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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
妖精の日曜日
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部屋では、積み上げられた衣装箱の山の中で、エリックともう一人生徒があれこれ話し込んでいた。
「だから、モデルに合わせちゃダメなんです!チビだろうが、デブだろうが、本人の形をそのまま魅力に変えられるデザインにしていかないと!」
「なんか魅力あります?」
「なきゃ作ればいいんですよ!ワンポイントでいいんです!人に「お!これは」って思わせたら勝ちなんです!!」
「なんでどいつもこいつも本人の意志皆無で作ろうとすんだろうなこのテーラーは……」
アニスがエリック相手に何やら熱弁している横を通り抜け、箱を脇に寄せながら中に入り、適当に開けてみると、パーティー用のスーツが一式入っていたので、即閉めてこれも他の箱の上に積む。
「何着てもヤクザかアウトロにしかならねぇんじゃ意味ねぇって…」
「カッコよけりゃ何でもいいんですよ!ちょいワルはいつの時代もオシャレのスパイスなんですよ?!」
「ちょいならスパイスでもな、ホールで来たらキツいぞ…」
「もー!なぁーんでそんなに消極的なんですか?!肉がついてようがギラギラ着飾ってる人なんてたくさんいるのに!」
「そーゆーのの仲間入りしたくないからだよ!嫌でも目立つのがわかってっからせめて地味にやってんの!!」
「地味…ベーシック…飾らないお洒落…わかりました!じゃ私これから用があるので、失礼します!!」
何がわかったのかわからないまま、瞳を輝かせたアニスは走ってどこかへ行ってしまった。
箱ばかり邪魔になり、足で除けながらソファへ座る。
「邪魔だな。全部片付けちまえよ。」
「えー?せっかく作ってもらったのに。」
「いらねぇもんはいらねぇんだよ!」
デイビッドがぶつくさ言っていると、ヴィオラとシェルリアーナが外の方から顔を出した。
「わぁ!すごいたくさんお洋服!」
「これ全部ウイニー・メイ…?!豚に真珠とは正にこの事ね!」
「悪かったな!何着ても似合わなくてよ!」
「そうだ!せっかくなのでヴィオラ様が選んでみませんか?どうせなら明日着ていく服でもコーディネートしてみて下さいよ!」
「わ、私がですか?!」
どんなに着たくない服でも、ヴィオラの選んだ物ならば断れまいと踏んだエリックは、ヴィオラに丸投げた。
「カジュアル系とラフなのはこっちの箱ですので、お好きに選んで下さいな!」
「エリック!いい加減にしろよ!」
ヴィオラは箱を次々開けて、中身とデイビッドを見比べていた。
「うーん…どれも素敵なのに、コレって来るものがなくて…もっとシンプルでいいのに!キラキラし過ぎと言うか、貴族の人の好みに寄り過ぎてると言うか…」
「ミス・アニスといい、同じとこに行き着くの面白いですね…」
「あ!コレならいいかも…えーと、こっちは…」
そうしてこの日、ヴィオラは満足の行くまで衣装箱とクローゼットを引っ掻き回し、デイビッドの着る服を選んでいた。
そして満月の日はやって来た。
その日は日曜日。
朝から早起きで準備していたヴィオラは、身も心も軽々飛び跳ねながらデイビッドの手を引いて行く。
「デイビッド様!早く行きましょ!?」
「あー…うん…」
ヴィオラの選んだ服は、ネクタイ嫌いのデイビッドのために襟元にギャザーを寄せたシャツに濃緑のジレ、腰に明るい緑のサッシェとベルトを重ねてコルセールにいつものブーツ。
気乗りはしていないが、ヴィオラが選んだと言うことで大人しく着ている。
「思った通りカッコいいですよ!」
「まぁ…ヴィオラがそれでいいなら…」
対するヴィオラは、折り返しの付いた編み上げブーツに、膝丈のたっぷりしたキュロット、シフォンのシャツに緑のベストと、髪をまとめ上げてファルコの羽を飾っている。
「うーーーん…溢れ出るパンセと海賊感…」
「キャプテンって風貌じゃないわよ。いいとこ下っ端ね。」
ヴィオラ達の後ろには、商家の娘と遊び人風の二人連れがついて行く。
変装したエリックとシェルリアーナが、今回は忍ばずにほぼ同行する形で堂々と後を追っている。
辺りに祭りの開始を知らせる角笛が鳴り響く。
郊外地へ歩いて行くと、ウキウキするヴィオラの前に大きな木組みのステージが現れた。
集まった人々は、皆一様に緑の物を身に着けている。
「うわぁ!お花のアーチですよ?!すごい!空から花びらがこんなに!あれ?!触れない!!」
「魔術系の演出だろうな。」
「シャボン玉もあんなに飛んでる!きれーい!」
「あんまり走ると迷子になるぞ?」
どこもかしこも花で飾られた広場では、もう既にあちこちで音楽が奏でられ、たくさんの大道芸や踊り子達が皆を楽しませていた。
妖精に扮した芸人達も、色とりどりの花やキャンディを配りながら、何かの宣伝をして回っている。
「アレなんですか?」
「サーカスが来てるんだとよ。ほら、あの派手なテントでやってるらしい。」
「サーカス!デイビッド様、私サーカスなんて初めて!観てみたいです!!」
「よし、行ってみるか。」
喜ぶヴィオラの後ろでも、もう一組も騒いでいた。
「私も初めてよ!サーカス!観たいわ!!」
「サーカスですか。貴族のお嬢様はまず見せてなんて貰えませんからね。」
「行くわよエリック!!」
「もう普通に楽しんでますね?!」
入口で入場料を払うと、大きな紙箱に詰めたキャンディコーンを手渡され、薄暗いテントの中を案内される。
運良く最前列に座ることができた4人は、両端にデイビッドとエリック、中にヴィオラとシェルリアーナが並んでドキドキしながら開演を待っていた。
シルクハットのリングマスターが挨拶し、まずはクラウン達のジャグリング。
ボール、ナイフ、酒瓶に、椅子や人間まで投げ合い場を盛り上げると、お次は馬の曲芸乗りが飛び出して来てステージをぐるぐる走り回る。
踊り子達の一心一体のダンス、アクロバットにコントーション、猛獣使いのパフォーマンスが息つく間もなく続き観客を楽しませる。
ヴィオラとシェルリアーナは、ハラハラしたりワクワクしたり大笑いしたり、子供のように無邪気にショーを楽しんでいた。
クライマックスは妖精と海賊が戦う演出で、天井から吊り下がるロープや長い布地から人が何人もぶら下がってテント中を回ったり、空中ブランコと綱渡りで高い足場を飛び回り、見る者は手に汗を握り、まばたきも忘れてステージを凝視していた
ラストで海賊がライオンに食われると、妖精がマストの上からロープで吊り下がり、本当に飛んでいるかのように空中を駆け回り、客席から大歓声と拍手が贈られた。
「すごかったです!!もう!ドキドキでキラキラで、最っ高でした!!」
「ズルいわ…なんでこんなに楽しいものを貴族だからって見ちゃいけないの…?」
「場末のサーカスにしちゃ豪華だったな。」
「大いに楽しんで頂けた様でなによりですね。」
明るい外に出ると、今度は広場に据えられた花時計を眺め、屋台の並ぶ方へ向かう。
「あれはなぁに?」
「カルメ焼きですよ!不思議なお砂糖のお菓子です。」
「キレイな緑色の飲み物もあるわね!」
「美味しいけど、飲むとベロが緑になっちゃうんですよ。」
「ヴィオラはよく知ってるのね!?」
「ローベル領でもやってましたから。春の楽しみだったんです。」
すっかり2人切りではなくなってしまったが、大きな綿菓子を分け合って喜ぶヴィオラとシェルリアーナを見ながら、デイビッドはこれはこれで良かったと思っていた。
ボール当てや射的のゲームで一喜一憂し、景品の棒付きキャンディを舐めながら、次は何をしようかと話し合う2人について行くと、不意に露天に並んだ鏡に映る自分と目が合った。
鏡の中の自分の顔が歪み、何か言う。
「 用心しろよ… 」
気の所為だったのかと思わせる程一瞬だったが、嫌な予感にデイビッドは辺りを見回し、神経を尖らせた。
(この感じ…あの時と似てるな…)
舞台で緞帳が落ちてきた時も、やはりどこからか声がした。
あの時は妖精の助けだったが、今回も同じとは限らない。
その時、背中に凄まじい気配を感じ、振り向くと何かが飛んで来るのが見える。
避けようとしたが目の前にヴィオラ達が居ることを思い出し、咄嗟に腕が動いた。
「だから、モデルに合わせちゃダメなんです!チビだろうが、デブだろうが、本人の形をそのまま魅力に変えられるデザインにしていかないと!」
「なんか魅力あります?」
「なきゃ作ればいいんですよ!ワンポイントでいいんです!人に「お!これは」って思わせたら勝ちなんです!!」
「なんでどいつもこいつも本人の意志皆無で作ろうとすんだろうなこのテーラーは……」
アニスがエリック相手に何やら熱弁している横を通り抜け、箱を脇に寄せながら中に入り、適当に開けてみると、パーティー用のスーツが一式入っていたので、即閉めてこれも他の箱の上に積む。
「何着てもヤクザかアウトロにしかならねぇんじゃ意味ねぇって…」
「カッコよけりゃ何でもいいんですよ!ちょいワルはいつの時代もオシャレのスパイスなんですよ?!」
「ちょいならスパイスでもな、ホールで来たらキツいぞ…」
「もー!なぁーんでそんなに消極的なんですか?!肉がついてようがギラギラ着飾ってる人なんてたくさんいるのに!」
「そーゆーのの仲間入りしたくないからだよ!嫌でも目立つのがわかってっからせめて地味にやってんの!!」
「地味…ベーシック…飾らないお洒落…わかりました!じゃ私これから用があるので、失礼します!!」
何がわかったのかわからないまま、瞳を輝かせたアニスは走ってどこかへ行ってしまった。
箱ばかり邪魔になり、足で除けながらソファへ座る。
「邪魔だな。全部片付けちまえよ。」
「えー?せっかく作ってもらったのに。」
「いらねぇもんはいらねぇんだよ!」
デイビッドがぶつくさ言っていると、ヴィオラとシェルリアーナが外の方から顔を出した。
「わぁ!すごいたくさんお洋服!」
「これ全部ウイニー・メイ…?!豚に真珠とは正にこの事ね!」
「悪かったな!何着ても似合わなくてよ!」
「そうだ!せっかくなのでヴィオラ様が選んでみませんか?どうせなら明日着ていく服でもコーディネートしてみて下さいよ!」
「わ、私がですか?!」
どんなに着たくない服でも、ヴィオラの選んだ物ならば断れまいと踏んだエリックは、ヴィオラに丸投げた。
「カジュアル系とラフなのはこっちの箱ですので、お好きに選んで下さいな!」
「エリック!いい加減にしろよ!」
ヴィオラは箱を次々開けて、中身とデイビッドを見比べていた。
「うーん…どれも素敵なのに、コレって来るものがなくて…もっとシンプルでいいのに!キラキラし過ぎと言うか、貴族の人の好みに寄り過ぎてると言うか…」
「ミス・アニスといい、同じとこに行き着くの面白いですね…」
「あ!コレならいいかも…えーと、こっちは…」
そうしてこの日、ヴィオラは満足の行くまで衣装箱とクローゼットを引っ掻き回し、デイビッドの着る服を選んでいた。
そして満月の日はやって来た。
その日は日曜日。
朝から早起きで準備していたヴィオラは、身も心も軽々飛び跳ねながらデイビッドの手を引いて行く。
「デイビッド様!早く行きましょ!?」
「あー…うん…」
ヴィオラの選んだ服は、ネクタイ嫌いのデイビッドのために襟元にギャザーを寄せたシャツに濃緑のジレ、腰に明るい緑のサッシェとベルトを重ねてコルセールにいつものブーツ。
気乗りはしていないが、ヴィオラが選んだと言うことで大人しく着ている。
「思った通りカッコいいですよ!」
「まぁ…ヴィオラがそれでいいなら…」
対するヴィオラは、折り返しの付いた編み上げブーツに、膝丈のたっぷりしたキュロット、シフォンのシャツに緑のベストと、髪をまとめ上げてファルコの羽を飾っている。
「うーーーん…溢れ出るパンセと海賊感…」
「キャプテンって風貌じゃないわよ。いいとこ下っ端ね。」
ヴィオラ達の後ろには、商家の娘と遊び人風の二人連れがついて行く。
変装したエリックとシェルリアーナが、今回は忍ばずにほぼ同行する形で堂々と後を追っている。
辺りに祭りの開始を知らせる角笛が鳴り響く。
郊外地へ歩いて行くと、ウキウキするヴィオラの前に大きな木組みのステージが現れた。
集まった人々は、皆一様に緑の物を身に着けている。
「うわぁ!お花のアーチですよ?!すごい!空から花びらがこんなに!あれ?!触れない!!」
「魔術系の演出だろうな。」
「シャボン玉もあんなに飛んでる!きれーい!」
「あんまり走ると迷子になるぞ?」
どこもかしこも花で飾られた広場では、もう既にあちこちで音楽が奏でられ、たくさんの大道芸や踊り子達が皆を楽しませていた。
妖精に扮した芸人達も、色とりどりの花やキャンディを配りながら、何かの宣伝をして回っている。
「アレなんですか?」
「サーカスが来てるんだとよ。ほら、あの派手なテントでやってるらしい。」
「サーカス!デイビッド様、私サーカスなんて初めて!観てみたいです!!」
「よし、行ってみるか。」
喜ぶヴィオラの後ろでも、もう一組も騒いでいた。
「私も初めてよ!サーカス!観たいわ!!」
「サーカスですか。貴族のお嬢様はまず見せてなんて貰えませんからね。」
「行くわよエリック!!」
「もう普通に楽しんでますね?!」
入口で入場料を払うと、大きな紙箱に詰めたキャンディコーンを手渡され、薄暗いテントの中を案内される。
運良く最前列に座ることができた4人は、両端にデイビッドとエリック、中にヴィオラとシェルリアーナが並んでドキドキしながら開演を待っていた。
シルクハットのリングマスターが挨拶し、まずはクラウン達のジャグリング。
ボール、ナイフ、酒瓶に、椅子や人間まで投げ合い場を盛り上げると、お次は馬の曲芸乗りが飛び出して来てステージをぐるぐる走り回る。
踊り子達の一心一体のダンス、アクロバットにコントーション、猛獣使いのパフォーマンスが息つく間もなく続き観客を楽しませる。
ヴィオラとシェルリアーナは、ハラハラしたりワクワクしたり大笑いしたり、子供のように無邪気にショーを楽しんでいた。
クライマックスは妖精と海賊が戦う演出で、天井から吊り下がるロープや長い布地から人が何人もぶら下がってテント中を回ったり、空中ブランコと綱渡りで高い足場を飛び回り、見る者は手に汗を握り、まばたきも忘れてステージを凝視していた
ラストで海賊がライオンに食われると、妖精がマストの上からロープで吊り下がり、本当に飛んでいるかのように空中を駆け回り、客席から大歓声と拍手が贈られた。
「すごかったです!!もう!ドキドキでキラキラで、最っ高でした!!」
「ズルいわ…なんでこんなに楽しいものを貴族だからって見ちゃいけないの…?」
「場末のサーカスにしちゃ豪華だったな。」
「大いに楽しんで頂けた様でなによりですね。」
明るい外に出ると、今度は広場に据えられた花時計を眺め、屋台の並ぶ方へ向かう。
「あれはなぁに?」
「カルメ焼きですよ!不思議なお砂糖のお菓子です。」
「キレイな緑色の飲み物もあるわね!」
「美味しいけど、飲むとベロが緑になっちゃうんですよ。」
「ヴィオラはよく知ってるのね!?」
「ローベル領でもやってましたから。春の楽しみだったんです。」
すっかり2人切りではなくなってしまったが、大きな綿菓子を分け合って喜ぶヴィオラとシェルリアーナを見ながら、デイビッドはこれはこれで良かったと思っていた。
ボール当てや射的のゲームで一喜一憂し、景品の棒付きキャンディを舐めながら、次は何をしようかと話し合う2人について行くと、不意に露天に並んだ鏡に映る自分と目が合った。
鏡の中の自分の顔が歪み、何か言う。
「 用心しろよ… 」
気の所為だったのかと思わせる程一瞬だったが、嫌な予感にデイビッドは辺りを見回し、神経を尖らせた。
(この感じ…あの時と似てるな…)
舞台で緞帳が落ちてきた時も、やはりどこからか声がした。
あの時は妖精の助けだったが、今回も同じとは限らない。
その時、背中に凄まじい気配を感じ、振り向くと何かが飛んで来るのが見える。
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