208 / 411
黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
仲直り
しおりを挟む
この1年、デイビッドとヴィオラを間近で見てきたエリックにはひとつの不満があった。
この2人、中々衝突しないのだ。
進展はさて置き、今の今まで喧嘩というものを一切したことがない。
何をしても褒めて許して受け入れてしまうデイビッドと、何をされても感動し喜び楽しんでしまうヴィオラは、本当にぴったりと息が合い、歯車が狂う事が一度もなかった。
些細な行き違いすら互いに許容し合って来た、超絶仲の良い2人に訪れた初めての摩擦。
エリックはようやく起きたこのいざこざを、影で手を叩いて喜んでいた。
(これこれ!これが見たかったんだよね~!)
デイビッドの父ジェイムスは、それはやらかしてばかりの駄目男の典型で、しょっちゅうカトレアの気を逆撫でしては破局や離婚の危機に陥っていた。
その度山の様なプレゼントを抱え、何時間でも謝りながら土下座までして縋り付き、許しを請いては呆れられながら容赦してもらうという愚行を繰り返し、現在に至る。
(さ~て!デイビッド様はどうやって謝るのかな~!)
しかし、デイビッドは動かなかった。
ヴィオラが出て行ったドアをしばらく見つめてから、また手元の縫い物に視線を落とし、手を動かした。
すいすいと淀みなく針は動き、糸を切ると針箱を片付け、次に今朝作っていたパイ生地に、同じく作り置いて冷ましていたフィリングを詰めて布をかけて寝かせると、いつもの様に外に出て温室の方へ向かってしまう。
(まさか…こっちからは謝らないつもりとか…?)
エリックは予想外の展開に、少しだけ不安になってきた。
デイビッドは温室でもある程度の仕事を片づけながら、何も言わずに黙々と作業続けていた。
「デイビッド ドウシタノ?」
「ん?アリーか。どうしたって?なんかおかしいか?」
「デイビッド カナシソウ…」
「俺が?」
「イツモト チガウ ココトテモ カナシソウニ シテル…」
植物には何かわかってしまうのだろうか。
「そうかもな。確かに、少し落ち込んじゃいるよ。」
アリーは心臓を指差し、デイビッドの顔を見た。
不機嫌な顔はいつも通り同じままなので、他の者達には気づけなかっただろう。
「大丈夫、そんな大した事じゃねぇよ。」
「ホント?」
「ただ、頭ん中ちょっと整理して、冷静になろうとは思ってる…そうか、アリーも“心配”してくれるのか。ありがとよ。」
濾過前の薬液の入った瓶をケースにしまうと、デイビッドはまたどこかへ歩いて行った。
(どこ行く気だろ…)
温室の前で張っていたエリックも、隠蔽魔法の重ね掛けで後から付いて行く。
それから資料室に寄り、事務室を覗き、教員室で少しだけ書き物をして、また研究室へ戻って行く。
(本当に何してんだ…?)
そして研究室のドアを開けた瞬間、デイビッドは横っ面に強烈な平手打ちを食らった。
バチンと良い音がして、衝撃が耳の中までキーンと響き、ジンジンと痛みが込み上げてくる。
叩いた方の手も痛かったのだろう、利き手をぶんぶん降りながらシェルリアーナがデイビッドを睨みつけている。
「言ったわよね?私の可愛い後輩を泣かしたらただじゃ置かないって…」
「ん…あぁ…」
「今回はこれで勘弁してあげる!次やらかしたら本気で殴るわよ?!」
本気というのは恐らく魔力強化の事だろう。
魔女が魔力を使ったら生身の人間などひとたまりもない。
肩を怒らせ出ていくシェルリアーナと入れ違いで部屋に入ると、ソファの上でヴィオラがグスグス泣いている。
黙って隣に座ると、目を真っ赤にしたヴィオラが顔を上げた。
「…ごめんなヴィオラ、せっかく心配してくれたのに、あの言い方は悪かった。俺さ、自分の怪我はいつもの事過ぎて、だいぶ感覚が鈍くなってんだ。でもヴィオラがもし同じ怪我したらって考えたら、息ができなくなった…不安にさせて本当にごめん…」
「私こそ酷いこと言いました!デイビッド様は私を庇って怪我したのに…ごめんなさい!!」
デイビッドはしがみついてくるヴィオラを、今度は逃げずにちゃんと受け止める。
「この次は何かあったらちゃんと話すよ。隠し事はもうしない。約束する…」
「もう無茶はしないで下さいね!怪我したらちゃんと話して下さい…でないと悲しいです…」
「わかった…わかったよ…」
その時、ヴィオラのお腹からクゥと音がした。
「…いっぱい泣いたらお腹空きました…」
「よし、少し早いけど、支度するか?!」
「はい!」
デイビッドとヴィオラが、久々2人切りの時間を満喫中、廊下でコソコソしていたエリックを捕まえたシェルリアーナは、そのまま温室へ引っぱって行き、大人しくさせていた。
「チェ~!見たかったな、あの人がどう謝るのか。」
「見なくたって想像つくわよ!アイツ…ヴィオラが私に泣きついて、2人で研究室まで来て話し合うところまで予測してたわよ?!」
「まさか!」
「ヴィオラと相談し終えて、私がアイツを探しに行こうかってタイミングで顔出したもの。性格と行動パターンがもう読まれてんのよ!アレはお互いに必要な冷却時間と、心の準備まで計算に入れて戻ってきたわよ?!」
「そんな器用なマネできたんですね…」
「伊達に商会背負ってる訳じゃないって事ね。ダダのポンコツと思わないことよ。」
エリックはデイビッドが泣き縋る様子を、それこそポップコーン片手に鑑賞するような気満々でいたようだが、当てが外れた上にシェルリアーナがそれを許さなかった。
「ムカツクけど意外と理路整然としてんのよ。他人の許しを縋って求めるタイプじゃないわ。」
「そんなムカツク相手に謝ろうとしてるシェル様こそ大丈夫なんですか?」
「大丈夫なわけないでしょ!引っ叩いちゃったわよ!いつもの調子で!!」
「手が出るのがいつもの調子なら、もうそんな昔の事なんて謝る必要無いのでは…?」
「これはこれ!それはそれ!私が謝りたいのは今の図太いアイツじゃなくて、まだ何にも染まってなかった過去のアイツなの!!」
「それこそ無理ですよ…古い写真も見たことありますけど、けっこう早い段階で目が死んでましたよ?」
エリックによれば、ジェイムス所有の数少ない写真の中にも、既に子供らしさの欠片もない姿しか写されていなかったと言う。
こうして今日もまた踏み切れず、シェルリアーナの謝罪劇は先送りとなった。
気持ちを切り替えたシェルリアーナが、いつものように昼食に間に合うように部屋へ戻ると、さっきまで泣いていたのが嘘のようなヴィオラと、久々に眉間のシワが取れたデイビッドが、オーブンの前で話をしていた。
「オムレツが…斑模様に…」
「白身が混ざり切って無かったんだろうな。でも上手くまとまってるし、味は保証する。」
「でも、少し焼き過ぎちゃいました…」
「そうか?なら俺のと交換してくれよ。」
「えー、そんなぁ!」
「何でもいいから早くしなさいよ!!」
豚肉のリブの煮込みに、春野菜のサラダ、大きなオムレツ、山型パンは切るのに失敗して少し斜めだがふわふわに焼けている。
デザートはリンゴのクランブルパイ。
「パンがガタガタなのは気にしないで下さい!!」
「味は一緒だって。焼きたては切るの難しいんだよな。」
「んーリブ美味しー!隠し味はリンゴですか?」
「そうなんです!お父様がくれたリンゴが古くなるので使っちゃいました。」
「ヴィオラはお料理も頑張ってるのね?!」
「はい!早くデイビッド様に追いつきたいんです!」
「ヴィオラの手料理なんて、豚には贅沢じゃなくて?」
「教えてるの俺なのに…?」
(なんで一言悪態ついちゃうんだろう…)
エリックのこの疑問は、当然本人にも同じく疑問のようだ。
(この一言をどうやったら止められるのかしら…)
日に日に語彙豊かに、より辛辣に、更に鋭い一言が喉から繰り出されていく。
それを自覚してしまった事により、なるべく口に喋る暇を与えないよう、シェルリアーナは更に良く食べるようになってしまった。
この2人、中々衝突しないのだ。
進展はさて置き、今の今まで喧嘩というものを一切したことがない。
何をしても褒めて許して受け入れてしまうデイビッドと、何をされても感動し喜び楽しんでしまうヴィオラは、本当にぴったりと息が合い、歯車が狂う事が一度もなかった。
些細な行き違いすら互いに許容し合って来た、超絶仲の良い2人に訪れた初めての摩擦。
エリックはようやく起きたこのいざこざを、影で手を叩いて喜んでいた。
(これこれ!これが見たかったんだよね~!)
デイビッドの父ジェイムスは、それはやらかしてばかりの駄目男の典型で、しょっちゅうカトレアの気を逆撫でしては破局や離婚の危機に陥っていた。
その度山の様なプレゼントを抱え、何時間でも謝りながら土下座までして縋り付き、許しを請いては呆れられながら容赦してもらうという愚行を繰り返し、現在に至る。
(さ~て!デイビッド様はどうやって謝るのかな~!)
しかし、デイビッドは動かなかった。
ヴィオラが出て行ったドアをしばらく見つめてから、また手元の縫い物に視線を落とし、手を動かした。
すいすいと淀みなく針は動き、糸を切ると針箱を片付け、次に今朝作っていたパイ生地に、同じく作り置いて冷ましていたフィリングを詰めて布をかけて寝かせると、いつもの様に外に出て温室の方へ向かってしまう。
(まさか…こっちからは謝らないつもりとか…?)
エリックは予想外の展開に、少しだけ不安になってきた。
デイビッドは温室でもある程度の仕事を片づけながら、何も言わずに黙々と作業続けていた。
「デイビッド ドウシタノ?」
「ん?アリーか。どうしたって?なんかおかしいか?」
「デイビッド カナシソウ…」
「俺が?」
「イツモト チガウ ココトテモ カナシソウニ シテル…」
植物には何かわかってしまうのだろうか。
「そうかもな。確かに、少し落ち込んじゃいるよ。」
アリーは心臓を指差し、デイビッドの顔を見た。
不機嫌な顔はいつも通り同じままなので、他の者達には気づけなかっただろう。
「大丈夫、そんな大した事じゃねぇよ。」
「ホント?」
「ただ、頭ん中ちょっと整理して、冷静になろうとは思ってる…そうか、アリーも“心配”してくれるのか。ありがとよ。」
濾過前の薬液の入った瓶をケースにしまうと、デイビッドはまたどこかへ歩いて行った。
(どこ行く気だろ…)
温室の前で張っていたエリックも、隠蔽魔法の重ね掛けで後から付いて行く。
それから資料室に寄り、事務室を覗き、教員室で少しだけ書き物をして、また研究室へ戻って行く。
(本当に何してんだ…?)
そして研究室のドアを開けた瞬間、デイビッドは横っ面に強烈な平手打ちを食らった。
バチンと良い音がして、衝撃が耳の中までキーンと響き、ジンジンと痛みが込み上げてくる。
叩いた方の手も痛かったのだろう、利き手をぶんぶん降りながらシェルリアーナがデイビッドを睨みつけている。
「言ったわよね?私の可愛い後輩を泣かしたらただじゃ置かないって…」
「ん…あぁ…」
「今回はこれで勘弁してあげる!次やらかしたら本気で殴るわよ?!」
本気というのは恐らく魔力強化の事だろう。
魔女が魔力を使ったら生身の人間などひとたまりもない。
肩を怒らせ出ていくシェルリアーナと入れ違いで部屋に入ると、ソファの上でヴィオラがグスグス泣いている。
黙って隣に座ると、目を真っ赤にしたヴィオラが顔を上げた。
「…ごめんなヴィオラ、せっかく心配してくれたのに、あの言い方は悪かった。俺さ、自分の怪我はいつもの事過ぎて、だいぶ感覚が鈍くなってんだ。でもヴィオラがもし同じ怪我したらって考えたら、息ができなくなった…不安にさせて本当にごめん…」
「私こそ酷いこと言いました!デイビッド様は私を庇って怪我したのに…ごめんなさい!!」
デイビッドはしがみついてくるヴィオラを、今度は逃げずにちゃんと受け止める。
「この次は何かあったらちゃんと話すよ。隠し事はもうしない。約束する…」
「もう無茶はしないで下さいね!怪我したらちゃんと話して下さい…でないと悲しいです…」
「わかった…わかったよ…」
その時、ヴィオラのお腹からクゥと音がした。
「…いっぱい泣いたらお腹空きました…」
「よし、少し早いけど、支度するか?!」
「はい!」
デイビッドとヴィオラが、久々2人切りの時間を満喫中、廊下でコソコソしていたエリックを捕まえたシェルリアーナは、そのまま温室へ引っぱって行き、大人しくさせていた。
「チェ~!見たかったな、あの人がどう謝るのか。」
「見なくたって想像つくわよ!アイツ…ヴィオラが私に泣きついて、2人で研究室まで来て話し合うところまで予測してたわよ?!」
「まさか!」
「ヴィオラと相談し終えて、私がアイツを探しに行こうかってタイミングで顔出したもの。性格と行動パターンがもう読まれてんのよ!アレはお互いに必要な冷却時間と、心の準備まで計算に入れて戻ってきたわよ?!」
「そんな器用なマネできたんですね…」
「伊達に商会背負ってる訳じゃないって事ね。ダダのポンコツと思わないことよ。」
エリックはデイビッドが泣き縋る様子を、それこそポップコーン片手に鑑賞するような気満々でいたようだが、当てが外れた上にシェルリアーナがそれを許さなかった。
「ムカツクけど意外と理路整然としてんのよ。他人の許しを縋って求めるタイプじゃないわ。」
「そんなムカツク相手に謝ろうとしてるシェル様こそ大丈夫なんですか?」
「大丈夫なわけないでしょ!引っ叩いちゃったわよ!いつもの調子で!!」
「手が出るのがいつもの調子なら、もうそんな昔の事なんて謝る必要無いのでは…?」
「これはこれ!それはそれ!私が謝りたいのは今の図太いアイツじゃなくて、まだ何にも染まってなかった過去のアイツなの!!」
「それこそ無理ですよ…古い写真も見たことありますけど、けっこう早い段階で目が死んでましたよ?」
エリックによれば、ジェイムス所有の数少ない写真の中にも、既に子供らしさの欠片もない姿しか写されていなかったと言う。
こうして今日もまた踏み切れず、シェルリアーナの謝罪劇は先送りとなった。
気持ちを切り替えたシェルリアーナが、いつものように昼食に間に合うように部屋へ戻ると、さっきまで泣いていたのが嘘のようなヴィオラと、久々に眉間のシワが取れたデイビッドが、オーブンの前で話をしていた。
「オムレツが…斑模様に…」
「白身が混ざり切って無かったんだろうな。でも上手くまとまってるし、味は保証する。」
「でも、少し焼き過ぎちゃいました…」
「そうか?なら俺のと交換してくれよ。」
「えー、そんなぁ!」
「何でもいいから早くしなさいよ!!」
豚肉のリブの煮込みに、春野菜のサラダ、大きなオムレツ、山型パンは切るのに失敗して少し斜めだがふわふわに焼けている。
デザートはリンゴのクランブルパイ。
「パンがガタガタなのは気にしないで下さい!!」
「味は一緒だって。焼きたては切るの難しいんだよな。」
「んーリブ美味しー!隠し味はリンゴですか?」
「そうなんです!お父様がくれたリンゴが古くなるので使っちゃいました。」
「ヴィオラはお料理も頑張ってるのね?!」
「はい!早くデイビッド様に追いつきたいんです!」
「ヴィオラの手料理なんて、豚には贅沢じゃなくて?」
「教えてるの俺なのに…?」
(なんで一言悪態ついちゃうんだろう…)
エリックのこの疑問は、当然本人にも同じく疑問のようだ。
(この一言をどうやったら止められるのかしら…)
日に日に語彙豊かに、より辛辣に、更に鋭い一言が喉から繰り出されていく。
それを自覚してしまった事により、なるべく口に喋る暇を与えないよう、シェルリアーナは更に良く食べるようになってしまった。
47
あなたにおすすめの小説
国王一家は堅実です
satomi
恋愛
オスメーモ王国…そこは国王一家は麗しくいつも輝かんばかりのドレスなどを身につけている。
その実態は、国王一家は国民と共に畑を耕したり、国民(子供)に読み書きを教えたり庶民的な生活をしている。
国王には現在愛する妻と双子の男女の子に恵まれ、幸せに生活している。
外部に行くときは着飾るが、領地に戻れば庶民的で非常に無駄遣いをしない王族である。
国庫は大事に。何故か、厨房担当のワーグが王家の子どもたちからの支持を得ている。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
政略結婚の意味、理解してますか。
章槻雅希
ファンタジー
エスタファドル伯爵家の令嬢マグノリアは王命でオルガサン侯爵家嫡男ペルデルと結婚する。ダメな貴族の見本のようなオルガサン侯爵家立て直しが表向きの理由である。しかし、命を下した国王の狙いはオルガサン家の取り潰しだった。
マグノリアは仄かな恋心を封印し、政略結婚をする。裏のある結婚生活に楽しみを見出しながら。
全21話完結・予約投稿済み。
『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『pixiv』・自サイトに重複投稿。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
力は弱くて魔法も使えないけど強化なら出来る。~俺を散々こき使ってきたパーティの人間に復讐しながら美少女ハーレムを作って魔王をぶっ倒します
枯井戸
ファンタジー
──大勇者時代。
誰も彼もが勇者になり、打倒魔王を掲げ、一攫千金を夢見る時代。
そんな時代に、〝真の勇者の息子〟として生を授かった男がいた。
名はユウト。
人々は勇者の血筋に生まれたユウトに、類稀な魔力の才をもって生まれたユウトに、救世を誓願した。ユウトもまた、これを果たさんと、自身も勇者になる事を信じてやまなかった。
そんなある日、ユウトの元へ、ひとりの中性的な顔立ちで、笑顔が爽やかな好青年が訪ねてきた。
「俺のパーティに入って、世界を救う勇者になってくれないか?」
そう言った男の名は〝ユウキ〟
この大勇者時代にすい星のごとく現れた、〝その剣技に比肩する者なし〟と称されるほどの凄腕の冒険者である。
「そんな男を味方につけられるなんて、なんて心強いんだ」と、ユウトはこれを快諾。
しかし、いままで大した戦闘経験を積んでこなかったユウトはどう戦ってよいかわからず、ユウキに助言を求めた。
「戦い方? ……そうだな。なら、エンチャンターになってくれ。よし、それがいい。ユウトおまえはエンチャンターになるべきだ」
ユウトは、多少はその意見に疑問を抱きつつも、ユウキに勧められるがまま、ただひたすらに付与魔法(エンチャント)を勉強し、やがて勇者の血筋だという事も幸いして、史上最強のエンチャンターと呼ばれるまでに成長した。
ところが、そればかりに注力した結果、他がおろそかになってしまい、ユウトは『剣もダメ』『付与魔法以外の魔法もダメ』『体力もない』という三重苦を背負ってしまった。それでもエンチャンターを続けたのは、ユウキの「勇者になってくれ」という言葉が心の奥底にあったから。
──だが、これこそがユウキの〝真の〟狙いだったのだ。
この物語は主人公であるユウトが、持ち前の要領の良さと、唯一の武器である付与魔法を駆使して、愉快な仲間たちを強化しながら成り上がる、サクセスストーリーである。
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
マーベル子爵とサブル侯爵の手から逃げていたイリヤは、なぜか悪女とか毒婦とか呼ばれるようになっていた。そのため、なかなか仕事も決まらない。運よく見つけた求人は家庭教師であるが、仕事先は王城である。
嬉々として王城を訪れると、本当の仕事は聖女の母親役とのこと。一か月前に聖女召喚の儀で召喚された聖女は、生後半年の赤ん坊であり、宰相クライブの養女となっていた。
イリヤは聖女マリアンヌの母親になるためクライブと(契約)結婚をしたが、結婚したその日の夜、彼はイリヤの身体を求めてきて――。
娘の聖女マリアンヌを立派な淑女に育てあげる使命に燃えている契約母イリヤと、そんな彼女が気になっている毒舌宰相クライブのちょっとずれている(契約)結婚、そして聖女マリアンヌの成長の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる