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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
ケーキケーキケーキ
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ドロドロとした他人に対する嫉妬心で粘りついた心の内を、爽やかな笑顔で上手く隠し、耳障りの良い言葉で他人に取り入って成功を収めてきたのだろう。
それが悪いことだとは言わないが、シェルリアーナはデイビッドにその嫉妬と憎悪が向けられた事で、無意識に随分と腹を立てていた。
「そんなに知りたいの?」
「教えてもらえませんか?必ずそれ以上の報酬をお約束します!!」
「……ケーキよ。」
「え…?!」
「ケーキよ、ケーキ。こちらからは指定も希望も注文も出してないわ。行ったら用意されてたの。」
「ど…どんなケーキだったんですか?!」
「それを考えるのが貴方の仕事よ?ただ、アイツが用意したのは私が食べたいと思った理想のケーキだったわね。」
「ぼ…僕は貴女の好みも趣味も知らないんですよ?」
「アイツもそうだったわ。名前すらあやふやで、会話らしい会話もした事がなかったのに、私が星にまで願った夢をひとつ叶えてくれたの。だから私はアイツに協力してるのよ。」
「そんな…」
「じゃあね、自信家さん。期待せず待ってるわ。」
そう言い捨てて、シェルリアーナはいつもの廊下を歩いて行った。
「シェル先輩…」
「あら、ヴィオラ!どうしたの?」
緑の廊下の一本道で、後ろからヴィオラに話しかけられ、シェルリアーナはにっこり振り返った。
「ごめんなさい…さっきのお話…聞いちゃいました…」
「さっき?!」
「ケーキのお話…私、まだ聞いたことありません…」
「やだ、聞こえてたのね!そうねぇ、貴女が編入して来る少し前だったから、話題に上らなかったわね。」
いつもの研究室にはデイビッドは居らず、エリックがひとり寛いでいた。
「おや、今日はお二人ですか。お茶でも淹れますか?」
「いいわ。フルーツティーを冷やしてあるから、それもらうわね。」
シェルリアーナは冷蔵庫から果物とハーブを漬け込んだ紅茶の入った大きな瓶を取り出し、グラスに注ぐとよく冷えた一杯を飲み干した。
「あーおいしい!!これはきっと夏に重宝するわね!」
「ジュースみたいにゴクゴク飲めて、スッキリ爽やかで身体にもいいんですって!」
「配合にかなり拘ってましたからね。僕も後でもらおー!」
戸棚から新作のクッキーとチョコレートサラミを出してかじると、どれにもホワイトチョコが使われていた。
「薄焼きのクッキーに挟むとクドさが抑えられて、むしろ白い方が合う気がするわね…」
「白いチョコの断面だと切った物が綺麗に見えますね!干し果物との相性も良くて、ビスケットやマシュマロも入ってて、おいしいです!!」
オヤツをつまみながら、シェルリアーナはゴロゴロしているエリックに話しかけた。
「ねぇ、エリック。貴方覚えてる?アイツが魔法大会で私に作ってくれたケーキ。」
「あーあのでっかい二段チョコレートケーキ。始めドン引きだったんですよ。良く知りもしない相手にケーキとかって、しかも理由聞いたら「何となく」とか言い出してアホかと思いましたよ。」
「私ね、アイツに一度もチョコレートが好きなんて言った事ないのよ。なのに始めからチョコで攻めてきたでしょ?どうしてか知ってる?」
「ああ、そう言えば、来る時いつもチョコの匂いがしたからって言ってましたっけ。たぶん好きなんじゃないかって聞いた覚えがありますよ。」
「それだけ!?」
「はい、それだけでいきなり作り出すもんだから、大丈夫かコイツって思ったんですよ。」
しかもそのケーキをこれでもかと分厚く切り分け、これまたデカい皿に乗せ、生粋の貴族令嬢相手に出したものだからエリックは正気を疑った。
しかしそれに対し、シェルリアーナは大きな二段ケーキをまじまじ見つめ、皿を受け取ると目を輝かせて一言呟いた。
「食べていいの…?」
「好きに食えよ。」
言われた通り、王族のアリスティアが隣りにいることも忘れて、シェルリアーナはケーキにかぶりついた。
それは、シェルリアーナが人前で初めてマナーを捨てて食事を楽しんだ瞬間だった。
「そんな事があったんですか。」
「私、こんな見た目でしょう?出される物ってみんな気取ってて繊細だったり、こーんな小さかったり、ゴテゴテの見てくればっかりで嫌気が差してたの。しかも人目を気にして指先まで気を使って食べなくちゃいけないから味なんてわかんないし、余計食欲がなくなってたのよね…」
いつか大きなケーキを誰にも気を遣わずに端から食べるというのが、子どもの頃からの夢だった。
もし叶うなら大好きなチョコレートのケーキがいい。
こってり濃厚で食べても食べてもなくならない程大きなケーキ…
「なるほど。そこでタガが外れちゃったんですね…」
「いいなぁシェル先輩。人生が変わるくらいおいしいケーキを食べたんですね!?」
「あれはケーキと言うより“毒”だった気もするわね…」
取り返しが付かなくなる程人生を蝕む猛毒の誘惑に、あの日シェルリアーナは負けてしまったのかも知れない。
「私は…なんでしょう…酷い目に遭わされて、目が覚めたら枕元にお菓子の箱があって、それがすごく美味しくて…そこからずーーっと美味しい物が出てくるようになって…」
「それはそれで恐怖ですよ!?」
「口にする物まで自分の色に染めようって…良く考えたらかなりのサディストじゃない?!」
「じゃ、食べない選択もできますよ?」
「逆よ!こんな身体にしてくれた責任取らせなきゃ気が済まないわ!」
「お菓子の家で魔女を脅かすタイプのヒロインだった…」
「私はデイビッド様の作る物は何でも美味しく食べちゃいますよ!」
当人の預かり知らぬ所でそんな話が盛り上がっている頃、デイビッドは庭園近くの畑でローラに絡まれていた。
「デーイビーッドせーんせー!!」
「なんだぁ…?」
「見て見てこれ見て!!“ミセス・メルバ魔法料理店”の最新刊!!」
「なんだ…」
「なんだとはなんですか!待ちに待った新章の続編ですよ!?私の持って行ったケーキが登場するんです!!もう大興奮!!」
「正確には俺に作らせて持ってったケーキな…」
「主人公が壁にぶつかって挫けそうになった時、颯爽と現れた昔の恋人が助けてくれるんです!「さぁ、顔を上げて。貴女の作るケーキはいつだって最高ですよ。」だって!メルバ一生未亡人のままかと思ってたのに、ここに来て恋の再熱ですよ!しかも相手はメルバを思うあまり生涯独身を誓って、家を捨てて料理人として修行の旅に出てたとか!胸熱展開ありがとうございます!!」
「誰に言ってんだ…?」
「もちろん作者の先生にですよ!!巻頭に“このケーキのレシピの情報をお寄せ下さった全ての読者様に愛と感謝を込めて”って書いてあるの!これ私の事過ぎません!?」
「今“全ての”って言ったよな…?」
鍬を持つ手に顎を乗せたままどうでも良さげに話を聞くデイビッド相手に、ローラは止まらずどんどん語る。
「今度シリーズ100万部突破記念に、ミセス・メルバケーキコンテストなんてやるんですって!!先生出ませんか?!」
「出ませんが…?」
「出ましょーよー!?参加賞のサイン入りブックカバーだけでも欲しいーー!!」
「自分で出ろよ…」
「先生なら絶対いいとこまでいけると思うのになぁ…優勝者には賞金大銀貨10枚と特装版の外伝全巻セットがもらえる上に、小説内でレシピを起用するんですって!」
「どうでもいいから足元の苗蹴飛ばすなよ?」
ピィピィお喋りの止まらないローラを相手に、だんだん疲れてきたデイビッドだった。
あちこちでケーキの話に花が咲き、ヴィオラが楽しい気分のまま数日が経ったある日、シェルリアーナとヴィオラの2人はシュトラールにカフェに呼び出された。
「お待たせしました、ミス・シェルリアーナ!貴女に捧げる最高のケーキをご用意致しました。」
「何故私も…?」
「ミス・ヴィオラにも是非味わって頂きたくて!お二人のために、今日は特別なケーキをお持ちしたんですよ?!」
シュトラールに出されたケーキは、真っ白なドーム型で、コロンと可愛らしい見た目をしていた。
それが悪いことだとは言わないが、シェルリアーナはデイビッドにその嫉妬と憎悪が向けられた事で、無意識に随分と腹を立てていた。
「そんなに知りたいの?」
「教えてもらえませんか?必ずそれ以上の報酬をお約束します!!」
「……ケーキよ。」
「え…?!」
「ケーキよ、ケーキ。こちらからは指定も希望も注文も出してないわ。行ったら用意されてたの。」
「ど…どんなケーキだったんですか?!」
「それを考えるのが貴方の仕事よ?ただ、アイツが用意したのは私が食べたいと思った理想のケーキだったわね。」
「ぼ…僕は貴女の好みも趣味も知らないんですよ?」
「アイツもそうだったわ。名前すらあやふやで、会話らしい会話もした事がなかったのに、私が星にまで願った夢をひとつ叶えてくれたの。だから私はアイツに協力してるのよ。」
「そんな…」
「じゃあね、自信家さん。期待せず待ってるわ。」
そう言い捨てて、シェルリアーナはいつもの廊下を歩いて行った。
「シェル先輩…」
「あら、ヴィオラ!どうしたの?」
緑の廊下の一本道で、後ろからヴィオラに話しかけられ、シェルリアーナはにっこり振り返った。
「ごめんなさい…さっきのお話…聞いちゃいました…」
「さっき?!」
「ケーキのお話…私、まだ聞いたことありません…」
「やだ、聞こえてたのね!そうねぇ、貴女が編入して来る少し前だったから、話題に上らなかったわね。」
いつもの研究室にはデイビッドは居らず、エリックがひとり寛いでいた。
「おや、今日はお二人ですか。お茶でも淹れますか?」
「いいわ。フルーツティーを冷やしてあるから、それもらうわね。」
シェルリアーナは冷蔵庫から果物とハーブを漬け込んだ紅茶の入った大きな瓶を取り出し、グラスに注ぐとよく冷えた一杯を飲み干した。
「あーおいしい!!これはきっと夏に重宝するわね!」
「ジュースみたいにゴクゴク飲めて、スッキリ爽やかで身体にもいいんですって!」
「配合にかなり拘ってましたからね。僕も後でもらおー!」
戸棚から新作のクッキーとチョコレートサラミを出してかじると、どれにもホワイトチョコが使われていた。
「薄焼きのクッキーに挟むとクドさが抑えられて、むしろ白い方が合う気がするわね…」
「白いチョコの断面だと切った物が綺麗に見えますね!干し果物との相性も良くて、ビスケットやマシュマロも入ってて、おいしいです!!」
オヤツをつまみながら、シェルリアーナはゴロゴロしているエリックに話しかけた。
「ねぇ、エリック。貴方覚えてる?アイツが魔法大会で私に作ってくれたケーキ。」
「あーあのでっかい二段チョコレートケーキ。始めドン引きだったんですよ。良く知りもしない相手にケーキとかって、しかも理由聞いたら「何となく」とか言い出してアホかと思いましたよ。」
「私ね、アイツに一度もチョコレートが好きなんて言った事ないのよ。なのに始めからチョコで攻めてきたでしょ?どうしてか知ってる?」
「ああ、そう言えば、来る時いつもチョコの匂いがしたからって言ってましたっけ。たぶん好きなんじゃないかって聞いた覚えがありますよ。」
「それだけ!?」
「はい、それだけでいきなり作り出すもんだから、大丈夫かコイツって思ったんですよ。」
しかもそのケーキをこれでもかと分厚く切り分け、これまたデカい皿に乗せ、生粋の貴族令嬢相手に出したものだからエリックは正気を疑った。
しかしそれに対し、シェルリアーナは大きな二段ケーキをまじまじ見つめ、皿を受け取ると目を輝かせて一言呟いた。
「食べていいの…?」
「好きに食えよ。」
言われた通り、王族のアリスティアが隣りにいることも忘れて、シェルリアーナはケーキにかぶりついた。
それは、シェルリアーナが人前で初めてマナーを捨てて食事を楽しんだ瞬間だった。
「そんな事があったんですか。」
「私、こんな見た目でしょう?出される物ってみんな気取ってて繊細だったり、こーんな小さかったり、ゴテゴテの見てくればっかりで嫌気が差してたの。しかも人目を気にして指先まで気を使って食べなくちゃいけないから味なんてわかんないし、余計食欲がなくなってたのよね…」
いつか大きなケーキを誰にも気を遣わずに端から食べるというのが、子どもの頃からの夢だった。
もし叶うなら大好きなチョコレートのケーキがいい。
こってり濃厚で食べても食べてもなくならない程大きなケーキ…
「なるほど。そこでタガが外れちゃったんですね…」
「いいなぁシェル先輩。人生が変わるくらいおいしいケーキを食べたんですね!?」
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取り返しが付かなくなる程人生を蝕む猛毒の誘惑に、あの日シェルリアーナは負けてしまったのかも知れない。
「私は…なんでしょう…酷い目に遭わされて、目が覚めたら枕元にお菓子の箱があって、それがすごく美味しくて…そこからずーーっと美味しい物が出てくるようになって…」
「それはそれで恐怖ですよ!?」
「口にする物まで自分の色に染めようって…良く考えたらかなりのサディストじゃない?!」
「じゃ、食べない選択もできますよ?」
「逆よ!こんな身体にしてくれた責任取らせなきゃ気が済まないわ!」
「お菓子の家で魔女を脅かすタイプのヒロインだった…」
「私はデイビッド様の作る物は何でも美味しく食べちゃいますよ!」
当人の預かり知らぬ所でそんな話が盛り上がっている頃、デイビッドは庭園近くの畑でローラに絡まれていた。
「デーイビーッドせーんせー!!」
「なんだぁ…?」
「見て見てこれ見て!!“ミセス・メルバ魔法料理店”の最新刊!!」
「なんだ…」
「なんだとはなんですか!待ちに待った新章の続編ですよ!?私の持って行ったケーキが登場するんです!!もう大興奮!!」
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「主人公が壁にぶつかって挫けそうになった時、颯爽と現れた昔の恋人が助けてくれるんです!「さぁ、顔を上げて。貴女の作るケーキはいつだって最高ですよ。」だって!メルバ一生未亡人のままかと思ってたのに、ここに来て恋の再熱ですよ!しかも相手はメルバを思うあまり生涯独身を誓って、家を捨てて料理人として修行の旅に出てたとか!胸熱展開ありがとうございます!!」
「誰に言ってんだ…?」
「もちろん作者の先生にですよ!!巻頭に“このケーキのレシピの情報をお寄せ下さった全ての読者様に愛と感謝を込めて”って書いてあるの!これ私の事過ぎません!?」
「今“全ての”って言ったよな…?」
鍬を持つ手に顎を乗せたままどうでも良さげに話を聞くデイビッド相手に、ローラは止まらずどんどん語る。
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「出ませんが…?」
「出ましょーよー!?参加賞のサイン入りブックカバーだけでも欲しいーー!!」
「自分で出ろよ…」
「先生なら絶対いいとこまでいけると思うのになぁ…優勝者には賞金大銀貨10枚と特装版の外伝全巻セットがもらえる上に、小説内でレシピを起用するんですって!」
「どうでもいいから足元の苗蹴飛ばすなよ?」
ピィピィお喋りの止まらないローラを相手に、だんだん疲れてきたデイビッドだった。
あちこちでケーキの話に花が咲き、ヴィオラが楽しい気分のまま数日が経ったある日、シェルリアーナとヴィオラの2人はシュトラールにカフェに呼び出された。
「お待たせしました、ミス・シェルリアーナ!貴女に捧げる最高のケーキをご用意致しました。」
「何故私も…?」
「ミス・ヴィオラにも是非味わって頂きたくて!お二人のために、今日は特別なケーキをお持ちしたんですよ?!」
シュトラールに出されたケーキは、真っ白なドーム型で、コロンと可愛らしい見た目をしていた。
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