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黒豚令息と訳あり令嬢の学園生活〜怒涛の進学編〜
ジェット
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魔石を一目見て、シェルリアーナはギョッとした顔をした。
「っなにコレ!!魔力が噴き出て核が歪んでるじゃないの!!」
「そうなんですよ…ここんとこ、これ抑え込むだけで毎日大量の魔力が必要になっちゃって…気が付くとごっそり持ってかれるんで、そろそろ身体が持たないんですよ…」
「何がどうなってんだ?」
「うーーん…なんて言うか…すっごい出たがってるんです…ジェットが…」
ジェットは、ヴィオラとエリックとシェルリアーナの3種類の魔力を合わせ、世界樹の偽果実を核にして、デイビッドの(大量の)毛髪と血を元に生まれた合成魔獣だ。
本来ならば魔石に眠る従魔には定期的に魔素や魔力を与え、時たま出してやれば充分存在を保持できるはずが、こいつと来たら勝手に周辺の魔素や魔力を吸収し、外へ出ようと日夜暴れているらしい。
「出してやったら落ち着くかと思ったら、そこらの魔素を吸収して2倍に膨れて帰って来ちゃって!もう収まり切らないんです!」
「ちょっと出して見せてよ…」
エリックが魔石の端をトントンと叩くと、シュルッと大きな影が膨らみ、デイビッドとそう変わらない大きさのむっちりどっしりしたトカゲがノソノソ現れた。
「でっっかい!!」
「わぁ!こんなに大きくなったのねジェット!」
「プヒュルルル!」
ジェットはヴィオラを見つけると嬉しそうにすり寄って背中に乗せようとする。
「いい子ね。でもエリック様の魔力を取っちゃダメよ?」
「プゥゥ……」
「ヴィオラには懐いてるのね。どっかの誰かみたいに。」
「そうなんですよ。ヴィオラ様の方ばっかり気にして仕方ないんです。どっかの誰かみたいに!」
「しっかりこっち見ながら言うな!」
ジェットはと言うと、さっきからしきりにデイビッドの足を尻尾で叩いて何やら牽制しているようだ。
「同担拒否なんですかね。」
「ライバルだと思われてんのかも知れないわ。」
「このトカゲ…皮剥がして3枚に下ろしてやろうか…?!」
シェルリアーナがジェットの背中に触れると、ひんやりなめらかで、しかし炭酸水に手を入れたような妙な刺激がある。
「…魔力を吸収してる…」
「ね!?こうやってやたらめったら魔力吸って膨れていくもんだから手に負えなくて!!」
「聞いたことないわ!自ら周囲の魔力を吸収する合成魔獣なんて!」
「前代未聞ですよ!普通は消耗していくから消えないよう魔力を与えるはずが、好き勝手に貪って肥る魔獣なんて見たことない!!」
「素材のせいかしら…」
「超絶レア物の素材大量投入してますからねぇ…」
「価値に換算したら、何かしらの国家予算に手が届きそうな額になるのよね。」
「核もさながら…素材に後ろ髪をあの長さ全部ぶち込みましたからね…考え無しに…」
「だからこっち見んな!!」
良く考えたら、貴重なネクターの素材でできた合成獣など聞いたこともない。
そもそも魔女と精霊の血統魔力を持つ魔獣など、恐らく魔法大国のエルムにも居ないだろう。
しかしその直後、3人の目の前で更に不可解なことが起こった。
「ふふふ!くすぐったいわジェット!撫でて欲しいの?まるで子犬みたいね!?」
「ヒュルルル!」
長い首をヴィオラに巻き付けて甘えていたジェットは、ヴィオラの手が触れると、なんと今度はシュルシュルと萎みだしたのだ。
「え?!縮んだ!?」
「どんどん小さくなってくわ!何が起きてるの!?」
「どうしたのジェット!!?」
ジェットは身体をぶるぶる震わせると、額の星模様をヴィオラの手に寄せた。
するとコロンと、手の平程の黒い欠片がヴィオラの手の中に落ちる。
「宝石…?」
「これは…魔力結晶?!」
「しかも高純度の…こんな大粒見たことない…」
魔力結晶とは、高位魔力の持ち主が自身の魔力を結晶化させて作る特殊な魔石の仲間だ。
ベルダがデイビッドに渡した指輪や、エリックの持っている精霊結晶もこれに当たり、とても貴重で価値がある。
「エリック…この結晶、もしかしてマズイかも知れないわ…」
「もしかしなくてもマズイですよ!エルムの王宮魔術師だってここまで大きな結晶が作れるとは思いません!」
「まぁくれるの?ありがとうジェット!綺麗な黒ね。デイビッド様の瞳の色だわ!キラキラしてキレイ…」
「フュルルルルル」
魔力が抜けて3分の一程の大きさになったジェットは、満足そうに今度はヴィオラの足に絡みついている。
「お、これなら抑えが効くんじゃねぇか?」
「効くけど、また同じ事の繰り返しになるわ。」
「いや、でも…サイクルが分かればデカく成りすぎる前に結晶化させて…」
「ブゥゥ……」
「エリックにはイヤみたいね。」
「イヤッそ~な目付き!!とことん素材元に似ててムカつきますね、このクソ従魔!」
「どちらかってぇと飼い主に似てねぇか?!」
こうしてひとしきりヴィオラに甘えて満足したジェットは、また大人しく魔石の中へ眠りに戻った。
「この結晶どうしたら良いですか?」
「俺が持っててもなぁ…」
「私もイヤよ!?見なかった事にしたい!!」
「普通の魔石としても使えますよ?!出力5倍くらいありますけど!」
「だったら私も制御できないので使えませんね。エリック様持ってて下さい。」
「またぁっ!?」
しかし、これでいつジェットが魔素の暴食で肥え太っても、抑え込むための魔力のストックが出来たと思えば良い。
エリックはまた渋々黒曜魔石と魔力結晶を預かることになった。
そんな(決して)些細(では無い)な事件も解決し、いよいよ週末がやって来た。
浮ついた商業科の授業は、またデイビッドの1人喋りに戻り、
今日はキリフの輸出入について説明している。
「てなわけで、現在キリフの輸入品目は22!内、魔術、魔道具に関する項目は3つもある。まぁ詳細はマニュアルを見ないと俺にも良くわからん。」
「はい、先生は魔術関係には詳しくないのですか?」
よせばいいのに、そこでまたシュトラールが余計な口を挟んで来る。
「そうだな。魔力が無いとこういう所でつまずきやすい。でもまぁそこは専門家入れてうまくやってるよ。」
「魔道具を扱う人間が、魔道具に暗いというのは信用面で何かと不便ではないですか?」
「そうだな、俺は責任者ってだけで、作るのも売るのも別人だから、詳しい情報が客に渡せれば問題無いと思ってる。」
「支障は無いと…?本当に?」
「ああ、なんならお前の親父さんがいい例だろ?収穫物の販売と加工には詳しいが、畑の生産過程は農家に丸投げだ。そういう例はどこにでもある。」
「なっ!畑なんて農家の仕事でしょう?!貴方だってそこまで見てる訳じゃない癖に!」
「その考え方には同意できないな。生産過程で人の働きが分からないと、必要な予算が組めない。対価が充分でなければ人はやがて離れて行く。俺も魔術関係は詳しくないが、工房と職人の話は良く聞くし、仕入れ先にも顔を出すようにしてる。単純に魔力がねぇから仕事に関われないってだけだ。逆に、全部人を雇って回して自分は数字だけ見て動かしてる人間もいる。その場合信頼関係が出来てねぇとコケた時の傷がデカいが、俺の親父はそういうやり方で下地を作って手広くやってた。雇用が増える分大変にはなるが、そこは人それぞれだな。俺には無理だ!」
ノートを取る生徒達の中で、シュトラールだけは気に入らないという顔で教壇を睨んでいた。
実はシュトラール、王都では商売に成功したものの、そこから先に進めず、他の大きな街や領地ではあまり成績が伸びずにいた。
王都の店は任されるであろうが、このままでは本人のプライドが許さないようだ。
白いチョコレートは売れるには売れるが、始めの物珍しさを過ぎれば売り上げは確実に落ちるだろう。
何より売り込み先のひとつが裁判沙汰になってしまい、頭を抱えている所だった。
故に古参であり、売り上げが常に一定の、デイビッドが抱えるグロッグマン商会のチョコレート事業が恨めしいようだ
「じゃ、続きは再来週!王都の祭りで何が売れてるかとか、需要の高そうなもんがあったらよく見といてくれ。俺、行かねぇからよ。」
「えー?せっかくのお祭りなのに?!」
「そんなもんより優先しなきゃなんない大事な用があるんだよ!じゃぁな!」
やたら機嫌の良いデイビッドに、生徒達は色々な憶測を飛ばし合ったが、真相を知る者は皆口を閉ざしていた。
「っなにコレ!!魔力が噴き出て核が歪んでるじゃないの!!」
「そうなんですよ…ここんとこ、これ抑え込むだけで毎日大量の魔力が必要になっちゃって…気が付くとごっそり持ってかれるんで、そろそろ身体が持たないんですよ…」
「何がどうなってんだ?」
「うーーん…なんて言うか…すっごい出たがってるんです…ジェットが…」
ジェットは、ヴィオラとエリックとシェルリアーナの3種類の魔力を合わせ、世界樹の偽果実を核にして、デイビッドの(大量の)毛髪と血を元に生まれた合成魔獣だ。
本来ならば魔石に眠る従魔には定期的に魔素や魔力を与え、時たま出してやれば充分存在を保持できるはずが、こいつと来たら勝手に周辺の魔素や魔力を吸収し、外へ出ようと日夜暴れているらしい。
「出してやったら落ち着くかと思ったら、そこらの魔素を吸収して2倍に膨れて帰って来ちゃって!もう収まり切らないんです!」
「ちょっと出して見せてよ…」
エリックが魔石の端をトントンと叩くと、シュルッと大きな影が膨らみ、デイビッドとそう変わらない大きさのむっちりどっしりしたトカゲがノソノソ現れた。
「でっっかい!!」
「わぁ!こんなに大きくなったのねジェット!」
「プヒュルルル!」
ジェットはヴィオラを見つけると嬉しそうにすり寄って背中に乗せようとする。
「いい子ね。でもエリック様の魔力を取っちゃダメよ?」
「プゥゥ……」
「ヴィオラには懐いてるのね。どっかの誰かみたいに。」
「そうなんですよ。ヴィオラ様の方ばっかり気にして仕方ないんです。どっかの誰かみたいに!」
「しっかりこっち見ながら言うな!」
ジェットはと言うと、さっきからしきりにデイビッドの足を尻尾で叩いて何やら牽制しているようだ。
「同担拒否なんですかね。」
「ライバルだと思われてんのかも知れないわ。」
「このトカゲ…皮剥がして3枚に下ろしてやろうか…?!」
シェルリアーナがジェットの背中に触れると、ひんやりなめらかで、しかし炭酸水に手を入れたような妙な刺激がある。
「…魔力を吸収してる…」
「ね!?こうやってやたらめったら魔力吸って膨れていくもんだから手に負えなくて!!」
「聞いたことないわ!自ら周囲の魔力を吸収する合成魔獣なんて!」
「前代未聞ですよ!普通は消耗していくから消えないよう魔力を与えるはずが、好き勝手に貪って肥る魔獣なんて見たことない!!」
「素材のせいかしら…」
「超絶レア物の素材大量投入してますからねぇ…」
「価値に換算したら、何かしらの国家予算に手が届きそうな額になるのよね。」
「核もさながら…素材に後ろ髪をあの長さ全部ぶち込みましたからね…考え無しに…」
「だからこっち見んな!!」
良く考えたら、貴重なネクターの素材でできた合成獣など聞いたこともない。
そもそも魔女と精霊の血統魔力を持つ魔獣など、恐らく魔法大国のエルムにも居ないだろう。
しかしその直後、3人の目の前で更に不可解なことが起こった。
「ふふふ!くすぐったいわジェット!撫でて欲しいの?まるで子犬みたいね!?」
「ヒュルルル!」
長い首をヴィオラに巻き付けて甘えていたジェットは、ヴィオラの手が触れると、なんと今度はシュルシュルと萎みだしたのだ。
「え?!縮んだ!?」
「どんどん小さくなってくわ!何が起きてるの!?」
「どうしたのジェット!!?」
ジェットは身体をぶるぶる震わせると、額の星模様をヴィオラの手に寄せた。
するとコロンと、手の平程の黒い欠片がヴィオラの手の中に落ちる。
「宝石…?」
「これは…魔力結晶?!」
「しかも高純度の…こんな大粒見たことない…」
魔力結晶とは、高位魔力の持ち主が自身の魔力を結晶化させて作る特殊な魔石の仲間だ。
ベルダがデイビッドに渡した指輪や、エリックの持っている精霊結晶もこれに当たり、とても貴重で価値がある。
「エリック…この結晶、もしかしてマズイかも知れないわ…」
「もしかしなくてもマズイですよ!エルムの王宮魔術師だってここまで大きな結晶が作れるとは思いません!」
「まぁくれるの?ありがとうジェット!綺麗な黒ね。デイビッド様の瞳の色だわ!キラキラしてキレイ…」
「フュルルルルル」
魔力が抜けて3分の一程の大きさになったジェットは、満足そうに今度はヴィオラの足に絡みついている。
「お、これなら抑えが効くんじゃねぇか?」
「効くけど、また同じ事の繰り返しになるわ。」
「いや、でも…サイクルが分かればデカく成りすぎる前に結晶化させて…」
「ブゥゥ……」
「エリックにはイヤみたいね。」
「イヤッそ~な目付き!!とことん素材元に似ててムカつきますね、このクソ従魔!」
「どちらかってぇと飼い主に似てねぇか?!」
こうしてひとしきりヴィオラに甘えて満足したジェットは、また大人しく魔石の中へ眠りに戻った。
「この結晶どうしたら良いですか?」
「俺が持っててもなぁ…」
「私もイヤよ!?見なかった事にしたい!!」
「普通の魔石としても使えますよ?!出力5倍くらいありますけど!」
「だったら私も制御できないので使えませんね。エリック様持ってて下さい。」
「またぁっ!?」
しかし、これでいつジェットが魔素の暴食で肥え太っても、抑え込むための魔力のストックが出来たと思えば良い。
エリックはまた渋々黒曜魔石と魔力結晶を預かることになった。
そんな(決して)些細(では無い)な事件も解決し、いよいよ週末がやって来た。
浮ついた商業科の授業は、またデイビッドの1人喋りに戻り、
今日はキリフの輸出入について説明している。
「てなわけで、現在キリフの輸入品目は22!内、魔術、魔道具に関する項目は3つもある。まぁ詳細はマニュアルを見ないと俺にも良くわからん。」
「はい、先生は魔術関係には詳しくないのですか?」
よせばいいのに、そこでまたシュトラールが余計な口を挟んで来る。
「そうだな。魔力が無いとこういう所でつまずきやすい。でもまぁそこは専門家入れてうまくやってるよ。」
「魔道具を扱う人間が、魔道具に暗いというのは信用面で何かと不便ではないですか?」
「そうだな、俺は責任者ってだけで、作るのも売るのも別人だから、詳しい情報が客に渡せれば問題無いと思ってる。」
「支障は無いと…?本当に?」
「ああ、なんならお前の親父さんがいい例だろ?収穫物の販売と加工には詳しいが、畑の生産過程は農家に丸投げだ。そういう例はどこにでもある。」
「なっ!畑なんて農家の仕事でしょう?!貴方だってそこまで見てる訳じゃない癖に!」
「その考え方には同意できないな。生産過程で人の働きが分からないと、必要な予算が組めない。対価が充分でなければ人はやがて離れて行く。俺も魔術関係は詳しくないが、工房と職人の話は良く聞くし、仕入れ先にも顔を出すようにしてる。単純に魔力がねぇから仕事に関われないってだけだ。逆に、全部人を雇って回して自分は数字だけ見て動かしてる人間もいる。その場合信頼関係が出来てねぇとコケた時の傷がデカいが、俺の親父はそういうやり方で下地を作って手広くやってた。雇用が増える分大変にはなるが、そこは人それぞれだな。俺には無理だ!」
ノートを取る生徒達の中で、シュトラールだけは気に入らないという顔で教壇を睨んでいた。
実はシュトラール、王都では商売に成功したものの、そこから先に進めず、他の大きな街や領地ではあまり成績が伸びずにいた。
王都の店は任されるであろうが、このままでは本人のプライドが許さないようだ。
白いチョコレートは売れるには売れるが、始めの物珍しさを過ぎれば売り上げは確実に落ちるだろう。
何より売り込み先のひとつが裁判沙汰になってしまい、頭を抱えている所だった。
故に古参であり、売り上げが常に一定の、デイビッドが抱えるグロッグマン商会のチョコレート事業が恨めしいようだ
「じゃ、続きは再来週!王都の祭りで何が売れてるかとか、需要の高そうなもんがあったらよく見といてくれ。俺、行かねぇからよ。」
「えー?せっかくのお祭りなのに?!」
「そんなもんより優先しなきゃなんない大事な用があるんだよ!じゃぁな!」
やたら機嫌の良いデイビッドに、生徒達は色々な憶測を飛ばし合ったが、真相を知る者は皆口を閉ざしていた。
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