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黒豚令息の領地開拓編
この木なんの木
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ドタバタと音がして、転がり出るように起きて来たシェルリアーナは、いつになく淑女からはかけ離れた慌てっぷりでデイビッドに迫って来た。
「寝ちゃってた!!!」
「あー、良く寝てたなぁ。」
「いつの間にかベッドにいて…」
「自分で寝に行ってたぞ?」
「覚えてなぃぃっ!」
「知るかよ…一応声は掛けたからな?うるさがられたけどよ。」
「アンタまさか、私の寝てるとこ見てないでしょうね?!」
「こっからじゃ見えねぇよ…」
「おはようございますぅ!シェル様、夕べはぐっすりでしたねぇ?寒くなかったですか?クシャミしてたから薄がけ足したんですけど。」
「やっぱり見られてたぁぁっ!!もうやだぁぁ!!」
卵を焼くデイビッドをガクガク揺さぶって八つ当たりすると、シェルリアーナは諦めて顔を洗い身支度を始めた。
「あ…ベリーのお茶、紫でキレイ…」
その後、生のベリーの水分でしっとり焼けたマフィンと、塩気のあるスープを食べて落ち着くと、シェルリアーナは現実逃避のようにハーブティーを飲みながらチェアに腰掛けて空を眺めていた。
「おはようございますデイビッド様!わぁシェル先輩早いですね!お部屋にいないから先に来てようと思ったんですけど、越されちゃいました!」
「え?え…ええ!おはようヴィオラ!今朝はちょっと用があって先に来てたのよ、ごめんなさいね?」
シェルリアーナが帰らなかった事に気が付いていないヴィオラは、デイビッドの隣でマフィンをかじっていた。
「今日は建物の方に探検に行くんですよね!?」
「ああ、何かいたら危ないから用心しないとな。」
「では、僕はここで待ってますから」
今日も留守番を決め込んだエリックを置いて、3人は盗賊が入り込んでいた例の建物へと向かって行った。
貴族用の建物には保全や保持の魔術式が掛けられている事が多い。
そのため窓ガラスや壁はあまり壊れた所がなく、外側だけなら単に年数が経った建物に見える。
しかし中は荒れ放題の埃まみれで、外からツル草などの植物も入り込み、人も入った事で汚れていた。
裏口の戸が壊され、何度も人が出入りした形跡が残されている。
「良かったわね。野盗の根城なんかにされてなくて。」
「(されてた事は黙っとくか…)宿無しが夜露しのぎに使った程度ならいいが、行商や冒険者が宿代わりの当てにしてたら困るな。早いとこ表だけでも形にしとくか…」
領境の街道に面した所だけでも手を入れておかないと、いつまでも無人の廃領と思われいても良くない。
建物は吹き抜けの二階建て。
一階のフロアが昨夜の捕物があった場所だ。
部屋の真ん中にはテーブルや椅子代わりにされていた木箱が積まれている。
ニ階には部屋が3つ。
据え付けの本棚や収納があり、やはり村の管理に使われていたようだ。
夕べ忍び込んだ高窓は吹き抜け側にあり、明るくなってから見るとかなりの高さだった事がわかる。
「いいわよヴィオラ!特訓の成果を見せてちょうだい!?」
「はいっ!行きますよ!?」
(何してんだ…?)
一階の窓を開け閉めしてしていると、後ろでヴィオラとシェルリアーナが何やら始めようとしている。
ヴィオラの短い呪文の後に、足元に小さなつむじ風が現れ、それが徐々に広がって部屋中の埃を巻き込み、壁や天井を駆け回り、開いた窓目掛けて一気に吹き抜けた。
窓近くにいて巻き込まれたデイビッドは埃まみれになったが、部屋の中の積もった埃や大まかなゴミは全て外に出されて行った。
「ゲッホゲホッ!やるなら一声かけてくれよ!!」
続けて今度は大きな水の玉が床に現れると、ヴィオラの合図で散り散りになって床から壁から天井まで這いずり回り、汚れを吸着させながら、人の手の届かない所まで入り込んでゴミをかき出し、また窓から出て下の枯れ草の上に落ちて行った。
窓の桟までキレイにしながら真っ黒になった水が地面に吸収
され、ゴミの塊になるのを見ているとヴィオラかおずおず声を掛けてきた。
「デイビッド様、ごめんなさい…」
「いいよ、部屋ん中キレイにしてくれたんだろ?俺だったら1日掛けてもここまでできねぇからよ。」
「ヤダ、埃まみれじゃない。早く外で落として来なさいよ!」
外で服を叩いてもう一度館に入ると、部屋の中はさっきとは見違えるように空気が澄んで明るくなっていた。
「すげぇな、魔法でこんな事もできるのか。」
「私もこれ覚えた時感動しました!お掃除が凄くラクだなって!」
「今じゃ専用の魔道具なんかもあって、掃除に箒なんか使わないのよ。」
「俺なんか置いていかれてる訳だ。ひとつも使えねぇもんな…」
大きなゴミや木箱を外に運び出し、納屋と裏の倉庫も一通り風を通してから、外の草や木も刈るとそこそこ見られた外見になった。
「ここが村の中心だったらしい。裏に小川と水路があって、粉挽き小屋と船着き場もあったのか…」
「今はなんにもありませんね。」
あちこちにある井戸もほとんど水が枯れていて、残ったものも泥水になってしまっている。
「掘り直したらお水出ますかね?」
「水脈が動いてたら無理だろうな。」
どこから何をどうしたものやら、3人が立ち尽くしていると、森の中から誰かの笑う様な声が聴こえてきた。
「いいい今!何か聞こえませんでしたか?!」
「森の様子がおかしいわ…何かいるのかしら…」
「いや…この声、アリーか?」
3人が森の方を向くと、バキバキと木々が擦れへし折れる音と共に地鳴りが近づいて来て、ガバッと森の入り口が開いて大量の根やツタと共にアリーが飛び出して来た。
「「キャァァァッ!!!」」
「デイビッド タダイマ アリー カエッテキタ!」
「よぉアリー、元気そうだな。ベルダはどうした?」
「ドッカニ クッツイテル」
「やぁここだよ!?」
別れた時より肌ツヤが良くなったベルダが、イキイキした顔でノートに何かを書きながらアリーの後ろでツタに絡まっている。
「筆舌に尽くし難い素晴らしい体験だった…」
「幸せそうで何よりだな…」
「アリー ゲンキニナッタ! モリノナカデ アソンデキタ タノシカッタ!」
「そうか、楽しかったか。良かったな!」
「ヴィオライタ ルーモ! 」
あまりの驚きにへたり込んでしまったヴィオラとシェルリアーナに、すっかり元の姿に戻ったアリーが抱きついた。
「きゃぁぁ!シェル先輩!一体何が起きてるんですか?!」
「落ち着いてヴィオラ、貴方には見えないでしょうけど、アリーが来てるのよ。魔物かと思って攻撃するところだったわ、まぁ私の魔法如きじゃ敵わなかったでしょうけど…」
「あ…アリーちゃんが…?」
「アリー ヤッパリ ミンナイッショガイイ!」
アリーは今まで以上に晴れやかに、憑き物の落ちた様な笑顔で2人にツタを巻き付けていた。
そこへデイビッドが森に生えた木を指してアリーに尋ねた。
「所でアリー、あの木がなんなのか知らないか?」
「アレハ アリーノナカニ アッタモノ ダシタラ スッキリシタ!」
「出したら…まさか…」
「君が食べさせた世界樹の実の種がアリーの中で成長しようとしてたんだよ。外に出したら魔素とアリーの魔力に反応して一晩であの大きささ!」
「それって不味いんじゃねぇか…?」
「おっかないよね!精霊界にしか存在しないはずの世界樹の大木だよ?!もうどうしていいのかぜんぜんわかんないから、とりあえず記録だけはずっと取り続けてるんだ!」
「諦めんなよ!どうすんだよ!ここでなんかあったら全責任俺が取らされる事になるんだぞ?!」
「何言ってるのさ、元はと言えば正しく君が撒いた種でしょ?!それが手元に返って来ただけだよ!良かったね、人がまだ居ない時で!」
「ぐっ……」
過去の愚行が何倍にも膨れ上がって返って来てしまい、しっかり自覚もあるためデイビッドはついに押し黙ってしまった。
枝葉を四方に伸ばした世界樹は、今もみしみしと成長を続けているらしい。
そもそも精霊界にしか存在しないはずの世界樹が、なぜ人間界の、しかもこんな中途半端な所で育ってしまったのだろうか。
「たぶん、アルラウネの体内でこっちの世界に順応したんだろうね。大丈夫、過去にはこの国にも生えてた記録も残ってるんだよ!1000年くらい前に,」
「文明2~3回滅んでんじゃねぇか!」
「その栄華の象徴があの木だったんだよ。」
かつてこの大陸で最も栄えた幻の国が、遥か昔このラムダ王国のある場所に存在していた。
その中心であり、富と幸福の源であり、国そのものの象徴であったのが世界樹だったらしい。
「寝ちゃってた!!!」
「あー、良く寝てたなぁ。」
「いつの間にかベッドにいて…」
「自分で寝に行ってたぞ?」
「覚えてなぃぃっ!」
「知るかよ…一応声は掛けたからな?うるさがられたけどよ。」
「アンタまさか、私の寝てるとこ見てないでしょうね?!」
「こっからじゃ見えねぇよ…」
「おはようございますぅ!シェル様、夕べはぐっすりでしたねぇ?寒くなかったですか?クシャミしてたから薄がけ足したんですけど。」
「やっぱり見られてたぁぁっ!!もうやだぁぁ!!」
卵を焼くデイビッドをガクガク揺さぶって八つ当たりすると、シェルリアーナは諦めて顔を洗い身支度を始めた。
「あ…ベリーのお茶、紫でキレイ…」
その後、生のベリーの水分でしっとり焼けたマフィンと、塩気のあるスープを食べて落ち着くと、シェルリアーナは現実逃避のようにハーブティーを飲みながらチェアに腰掛けて空を眺めていた。
「おはようございますデイビッド様!わぁシェル先輩早いですね!お部屋にいないから先に来てようと思ったんですけど、越されちゃいました!」
「え?え…ええ!おはようヴィオラ!今朝はちょっと用があって先に来てたのよ、ごめんなさいね?」
シェルリアーナが帰らなかった事に気が付いていないヴィオラは、デイビッドの隣でマフィンをかじっていた。
「今日は建物の方に探検に行くんですよね!?」
「ああ、何かいたら危ないから用心しないとな。」
「では、僕はここで待ってますから」
今日も留守番を決め込んだエリックを置いて、3人は盗賊が入り込んでいた例の建物へと向かって行った。
貴族用の建物には保全や保持の魔術式が掛けられている事が多い。
そのため窓ガラスや壁はあまり壊れた所がなく、外側だけなら単に年数が経った建物に見える。
しかし中は荒れ放題の埃まみれで、外からツル草などの植物も入り込み、人も入った事で汚れていた。
裏口の戸が壊され、何度も人が出入りした形跡が残されている。
「良かったわね。野盗の根城なんかにされてなくて。」
「(されてた事は黙っとくか…)宿無しが夜露しのぎに使った程度ならいいが、行商や冒険者が宿代わりの当てにしてたら困るな。早いとこ表だけでも形にしとくか…」
領境の街道に面した所だけでも手を入れておかないと、いつまでも無人の廃領と思われいても良くない。
建物は吹き抜けの二階建て。
一階のフロアが昨夜の捕物があった場所だ。
部屋の真ん中にはテーブルや椅子代わりにされていた木箱が積まれている。
ニ階には部屋が3つ。
据え付けの本棚や収納があり、やはり村の管理に使われていたようだ。
夕べ忍び込んだ高窓は吹き抜け側にあり、明るくなってから見るとかなりの高さだった事がわかる。
「いいわよヴィオラ!特訓の成果を見せてちょうだい!?」
「はいっ!行きますよ!?」
(何してんだ…?)
一階の窓を開け閉めしてしていると、後ろでヴィオラとシェルリアーナが何やら始めようとしている。
ヴィオラの短い呪文の後に、足元に小さなつむじ風が現れ、それが徐々に広がって部屋中の埃を巻き込み、壁や天井を駆け回り、開いた窓目掛けて一気に吹き抜けた。
窓近くにいて巻き込まれたデイビッドは埃まみれになったが、部屋の中の積もった埃や大まかなゴミは全て外に出されて行った。
「ゲッホゲホッ!やるなら一声かけてくれよ!!」
続けて今度は大きな水の玉が床に現れると、ヴィオラの合図で散り散りになって床から壁から天井まで這いずり回り、汚れを吸着させながら、人の手の届かない所まで入り込んでゴミをかき出し、また窓から出て下の枯れ草の上に落ちて行った。
窓の桟までキレイにしながら真っ黒になった水が地面に吸収
され、ゴミの塊になるのを見ているとヴィオラかおずおず声を掛けてきた。
「デイビッド様、ごめんなさい…」
「いいよ、部屋ん中キレイにしてくれたんだろ?俺だったら1日掛けてもここまでできねぇからよ。」
「ヤダ、埃まみれじゃない。早く外で落として来なさいよ!」
外で服を叩いてもう一度館に入ると、部屋の中はさっきとは見違えるように空気が澄んで明るくなっていた。
「すげぇな、魔法でこんな事もできるのか。」
「私もこれ覚えた時感動しました!お掃除が凄くラクだなって!」
「今じゃ専用の魔道具なんかもあって、掃除に箒なんか使わないのよ。」
「俺なんか置いていかれてる訳だ。ひとつも使えねぇもんな…」
大きなゴミや木箱を外に運び出し、納屋と裏の倉庫も一通り風を通してから、外の草や木も刈るとそこそこ見られた外見になった。
「ここが村の中心だったらしい。裏に小川と水路があって、粉挽き小屋と船着き場もあったのか…」
「今はなんにもありませんね。」
あちこちにある井戸もほとんど水が枯れていて、残ったものも泥水になってしまっている。
「掘り直したらお水出ますかね?」
「水脈が動いてたら無理だろうな。」
どこから何をどうしたものやら、3人が立ち尽くしていると、森の中から誰かの笑う様な声が聴こえてきた。
「いいい今!何か聞こえませんでしたか?!」
「森の様子がおかしいわ…何かいるのかしら…」
「いや…この声、アリーか?」
3人が森の方を向くと、バキバキと木々が擦れへし折れる音と共に地鳴りが近づいて来て、ガバッと森の入り口が開いて大量の根やツタと共にアリーが飛び出して来た。
「「キャァァァッ!!!」」
「デイビッド タダイマ アリー カエッテキタ!」
「よぉアリー、元気そうだな。ベルダはどうした?」
「ドッカニ クッツイテル」
「やぁここだよ!?」
別れた時より肌ツヤが良くなったベルダが、イキイキした顔でノートに何かを書きながらアリーの後ろでツタに絡まっている。
「筆舌に尽くし難い素晴らしい体験だった…」
「幸せそうで何よりだな…」
「アリー ゲンキニナッタ! モリノナカデ アソンデキタ タノシカッタ!」
「そうか、楽しかったか。良かったな!」
「ヴィオライタ ルーモ! 」
あまりの驚きにへたり込んでしまったヴィオラとシェルリアーナに、すっかり元の姿に戻ったアリーが抱きついた。
「きゃぁぁ!シェル先輩!一体何が起きてるんですか?!」
「落ち着いてヴィオラ、貴方には見えないでしょうけど、アリーが来てるのよ。魔物かと思って攻撃するところだったわ、まぁ私の魔法如きじゃ敵わなかったでしょうけど…」
「あ…アリーちゃんが…?」
「アリー ヤッパリ ミンナイッショガイイ!」
アリーは今まで以上に晴れやかに、憑き物の落ちた様な笑顔で2人にツタを巻き付けていた。
そこへデイビッドが森に生えた木を指してアリーに尋ねた。
「所でアリー、あの木がなんなのか知らないか?」
「アレハ アリーノナカニ アッタモノ ダシタラ スッキリシタ!」
「出したら…まさか…」
「君が食べさせた世界樹の実の種がアリーの中で成長しようとしてたんだよ。外に出したら魔素とアリーの魔力に反応して一晩であの大きささ!」
「それって不味いんじゃねぇか…?」
「おっかないよね!精霊界にしか存在しないはずの世界樹の大木だよ?!もうどうしていいのかぜんぜんわかんないから、とりあえず記録だけはずっと取り続けてるんだ!」
「諦めんなよ!どうすんだよ!ここでなんかあったら全責任俺が取らされる事になるんだぞ?!」
「何言ってるのさ、元はと言えば正しく君が撒いた種でしょ?!それが手元に返って来ただけだよ!良かったね、人がまだ居ない時で!」
「ぐっ……」
過去の愚行が何倍にも膨れ上がって返って来てしまい、しっかり自覚もあるためデイビッドはついに押し黙ってしまった。
枝葉を四方に伸ばした世界樹は、今もみしみしと成長を続けているらしい。
そもそも精霊界にしか存在しないはずの世界樹が、なぜ人間界の、しかもこんな中途半端な所で育ってしまったのだろうか。
「たぶん、アルラウネの体内でこっちの世界に順応したんだろうね。大丈夫、過去にはこの国にも生えてた記録も残ってるんだよ!1000年くらい前に,」
「文明2~3回滅んでんじゃねぇか!」
「その栄華の象徴があの木だったんだよ。」
かつてこの大陸で最も栄えた幻の国が、遥か昔このラムダ王国のある場所に存在していた。
その中心であり、富と幸福の源であり、国そのものの象徴であったのが世界樹だったらしい。
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