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黒豚令息の領地開拓編
変わりゆく者達
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為す術もなく表情ひとつ変えずただ食べられていく様は、何か虚しいものがあり、見ていたヴィオラも居た堪れなくなったそうだ。
「コイツラ ヨワッチイ」
「危険なもんじゃ無くて良かったけどな…得体の知れないモンをホイホイ引っこ抜くのは止めてくれ…」
「次は気をつけます!」
「ダイジョウブ ヴィオラハ アリーガマモル!」
「ところで…コイツ等どうするんだ?」
足元にたむろす虚ろな目をした根っこの魔物は、デイビッドを見つけると、ヴィオラの後ろに隠れてしまった。
「なんか文句でもあんのかよ…」
「天敵と思われたのかも知れないね!」
「食材になるなら食っちまうけどよ!?」
それを聞いてうろたえるようにオロオロ逃げ惑っていた草達は、やがて馬車の下の穴を掘るとそこへすっぽり収まってしまった。
土の中から目玉だけがこちらを見ている。
「うっとおしいな…」
「デイビッド様!このコ達、飼ってもいいですか?!」
「飼う…って表現は正しいのか!?まぁ害がないなら好きにしろよ。」
謎の妖精モドキに構っている間に夕方が近くなったので、デイビッドは再びオーブンの前に立った。
パン生地を焼き上げ、肉種を鉄板に並べ、適当にサラダも添える。
マンドラゴラのスープに、トウモロコシと揚げた刻みマンドラゴラを散らしてパセリを飾り、テーブルに運ぼうと振り返ると、既にシェルリアーナとエリックが座っていた。
「いつの間に…」
「荷物を取りに行ってたのよ。今夜はサンドイッチなのね!」
「シェル様も、すっかり食べっぷりが板に付きましたね。」
「あら、美味しい物を一番美味しい方法で食べる事も大切なマナーなのよ?!」
そう言ってシェルリアーナは、両手に余るバンズにも臆せず、大きな一口で肉のサンドにかぶりついた。
ヴィオラも分厚い肉のパテに好きなソースを合わせてしっかり歯型を付けている。
「なるほどね…君の研究室に人の出入りが絶えない訳だ。」
「ベルダ先生はいつもお弁当でしたものね。」
「そう、いつも温かい内に差し入れてくれるのに、僕が放ったらかしてしまって、リディアに言われて冷めてから食べる事が多かったんだ。今思うと勿体無いことをしていたよ。」
出来立ての料理など、いつ振りだろうと言いながら、ベルダはスープに口を付けた。
「冷めてから食べるお弁当だって驚く程美味しいのに、出来たばかりの料理は本当に格別だね。」
「アリーモ タベル!」
「おい!待て!アリー!」
アリーはおもむろにスープのカップを手に取ると、一気に口に流し込んだ。
「味とかってわかるのか…?」
「うーーん!分からない!そもそも魔物とは言え植物に人間の食べ物は与えないしね!」
どうしたものか考えていると、横からヴィオラがアリーに話しかけた。
「アリーちゃん、これが“おいしい”だよ!?」
「オイ…シイ?」
「そう!あったかくって、あまくって、“おいしい”ね、アリーちゃん!」
「オイシイ! デイビッドノ ツクッタモノ ゼンブオイシイ!」
「大丈夫なんか、これって!?」
「えー?分かんないよ。でもアリーは進化前からちょいちょい君の作った物つまみ喰いしてたし、大丈夫じゃないかな?」
「ダメなら吐き出せよ!?」
「モウ ノンジャッタ!」
賑やかな夕食が終わると、丁度ヴィオラ達が取って来たプラムのパイが焼き上がり、紅茶が入った。
すると、横でモジモジしていたアリーがヴィオラとシェルリアーナにツヤのある赤い果実を差し出した。
「アリー オシャベリシタイ ヴィオラト ルート モットオシャベリシタイ」
「コレは…食べろってことかしら…?」
「おい、アリー…それってまさか…」
一度アルラウネの果実を口に突っ込まれ、ひっくり返った経験のあるデイビッドは警戒したが、ベルダに肩を押さえられ手を引っ込めた。
「大丈夫、だいぶ人に負荷が掛からないよう調整できるようになって来たし、魔力持ちの2人なら抵抗もできる。君の様にはならないよ。」
「うるせぇな、いちいち!!」
ヴィオラとシェルリアーナは、果実を受け取ると、恐る恐る口に含み飲み込んだ。
「わぁ、あまぁい!」
「美味しい…でも、それ以上にすごい魔力と霊質…」
「わ…お腹が熱くなって来ました…」
「ゆっくり深呼吸して、自分の魔力と果実に含まれていた魔力を練り合わせる様に混ぜながら全身に行き渡らせるの。焦っちゃダメよ。」
「なんだか胸がザワザワします…でも気持ちいい…」
大きく息を吸い込み、目を開けると視界が一瞬滲んで、2人の目にアリーの姿が写った。
「見えたわ…」
「わぁぁぁ!アリーちゃんだ!本当にアリーちゃんが見えますよ!」
「ヴィオラ ルー アリーノコト ミエテル ウレシイ!」
アリーのツタに抱き寄せられた2人は、ぐるぐる巻きにされたが、友達とふざけ合っている時と同様に笑っていた。
「私も嬉しい!アリーちゃんが見えるなんて!」
「私も、こんなにはっきり顔が見えたのは初めてね。改めて、よろしくねアリー。」
「アリーモ ヨロシクネ!!」
その様子を嬉しそうに眺めながら、ベルダはノートを取り出しかけて止めた。
「たまには思い出だけにするのも悪くないかもね。」
「記録に残して万一人に知られたらマズイですもんね。」
「頼むからこれ以上秘密増やすなよ!」
女の子の内緒話は真っ赤な甘酸っぱい果実の味。
こうしてまたひとつヴィオラの楽しみと秘密が増えた。
アリーにお休みを言うと、ヴィオラはまた渋々寮に帰って行った。
ここにいると勉強もしなくなってしまうので、部屋で課題も終わらせないといけない。
全くの休みにならない特待生とは忙しいものだ。
反対に、大荷物を抱えて来たシェルリアーナは、ヴィオラを見送るといそいそと荷物を馬車に積み込んで採取の装備を持って現れた。
「さぁ!星見草を摘みに行くわよ!」
「アリーモ イク!」
「じゃぁ僕も、夜の森の様子をもう少し記録したいんだ。」
ベルダを引率にアリーとシェルリアーナが行ってしまうと、キャンプにはエリックとデイビッドだけが残された。
デイビッドが水を浴びて戻ると、エリックはまた自分の巣に戻りカエル化して寝息を立てていた。
(どんだけ寝るんだ…?)
馬車の灯りを落とし、傷跡にシェルリアーナから寄越された薬を塗ろうとしたが、治りかけが痒くて掻いたらカサブタが剥けて血が出て来た。
構わず予後薬を塗り、シャツを着直してチェアに腰掛けると、見上げた空にかかる月を何かが横切った。
(コウモリ…にしちゃデカかったな…飛竜の仲間か…?)
木の下から顔を出し、夜空を見上げると月明かりに飛膜を広げた大きな影が飛んでる。
更に、地上に落ちた影は人の姿をしている様に見えた。
(妖魔の類か…?)
近付いて来る影に警戒し、デッキのナイフに手が伸びかけたが、マロニエの枝に舞い降りた姿を見ると、デイビッドは緊張を解いて手を振った。
「よぉ、ずいぶんと様変わりしたな。」
「今晩はデイビッド君。驚かせちゃったかな?」
「いいや?印象が違うんで身構えちまったけどな、それが言ってたコウモリの翼だって?どう見てもギーブルかワイバーンじゃねぇかよ。」
フワリと草地に降りて来たのは、真っ赤な瞳を輝かせた逞しい姿のエドワードだった。
「なんだ、モヤシ脱却か?」
「そうだよ、君のお陰でね。あの日君の血を口にしてから身体が変わり始めて覚醒したんだ。今まで何度儀式をしても、誰の血を飲んでも変わらなかった落ちこぼれの僕が、今じゃ一族の中で一番強いよ。そのお礼をいいに来たんだ」
「俺の方こそ、ずっと礼を言わなきゃと思ってた。解毒に血統権限まで使わせちまったって聞いてよ。悪かったな、人前で血を飲むのはご法度なんだろ?」
「ちゃんと契約もしたし、書面も残した上での措置だから問題は無いよ。見られたのだって気心知れた仲間内だけで…あ、でも…ミス・ヴィオラには悪い事しちゃったかな…」
「うーん…あんま気にはしてない様子だったけどな。」
デイビッドはいつものハーブティーにベリーを加え、残りのプラムパイと一緒にテーブルに並べると、エドワードと向かい合ってベンチに腰掛けた。
「コイツラ ヨワッチイ」
「危険なもんじゃ無くて良かったけどな…得体の知れないモンをホイホイ引っこ抜くのは止めてくれ…」
「次は気をつけます!」
「ダイジョウブ ヴィオラハ アリーガマモル!」
「ところで…コイツ等どうするんだ?」
足元にたむろす虚ろな目をした根っこの魔物は、デイビッドを見つけると、ヴィオラの後ろに隠れてしまった。
「なんか文句でもあんのかよ…」
「天敵と思われたのかも知れないね!」
「食材になるなら食っちまうけどよ!?」
それを聞いてうろたえるようにオロオロ逃げ惑っていた草達は、やがて馬車の下の穴を掘るとそこへすっぽり収まってしまった。
土の中から目玉だけがこちらを見ている。
「うっとおしいな…」
「デイビッド様!このコ達、飼ってもいいですか?!」
「飼う…って表現は正しいのか!?まぁ害がないなら好きにしろよ。」
謎の妖精モドキに構っている間に夕方が近くなったので、デイビッドは再びオーブンの前に立った。
パン生地を焼き上げ、肉種を鉄板に並べ、適当にサラダも添える。
マンドラゴラのスープに、トウモロコシと揚げた刻みマンドラゴラを散らしてパセリを飾り、テーブルに運ぼうと振り返ると、既にシェルリアーナとエリックが座っていた。
「いつの間に…」
「荷物を取りに行ってたのよ。今夜はサンドイッチなのね!」
「シェル様も、すっかり食べっぷりが板に付きましたね。」
「あら、美味しい物を一番美味しい方法で食べる事も大切なマナーなのよ?!」
そう言ってシェルリアーナは、両手に余るバンズにも臆せず、大きな一口で肉のサンドにかぶりついた。
ヴィオラも分厚い肉のパテに好きなソースを合わせてしっかり歯型を付けている。
「なるほどね…君の研究室に人の出入りが絶えない訳だ。」
「ベルダ先生はいつもお弁当でしたものね。」
「そう、いつも温かい内に差し入れてくれるのに、僕が放ったらかしてしまって、リディアに言われて冷めてから食べる事が多かったんだ。今思うと勿体無いことをしていたよ。」
出来立ての料理など、いつ振りだろうと言いながら、ベルダはスープに口を付けた。
「冷めてから食べるお弁当だって驚く程美味しいのに、出来たばかりの料理は本当に格別だね。」
「アリーモ タベル!」
「おい!待て!アリー!」
アリーはおもむろにスープのカップを手に取ると、一気に口に流し込んだ。
「味とかってわかるのか…?」
「うーーん!分からない!そもそも魔物とは言え植物に人間の食べ物は与えないしね!」
どうしたものか考えていると、横からヴィオラがアリーに話しかけた。
「アリーちゃん、これが“おいしい”だよ!?」
「オイ…シイ?」
「そう!あったかくって、あまくって、“おいしい”ね、アリーちゃん!」
「オイシイ! デイビッドノ ツクッタモノ ゼンブオイシイ!」
「大丈夫なんか、これって!?」
「えー?分かんないよ。でもアリーは進化前からちょいちょい君の作った物つまみ喰いしてたし、大丈夫じゃないかな?」
「ダメなら吐き出せよ!?」
「モウ ノンジャッタ!」
賑やかな夕食が終わると、丁度ヴィオラ達が取って来たプラムのパイが焼き上がり、紅茶が入った。
すると、横でモジモジしていたアリーがヴィオラとシェルリアーナにツヤのある赤い果実を差し出した。
「アリー オシャベリシタイ ヴィオラト ルート モットオシャベリシタイ」
「コレは…食べろってことかしら…?」
「おい、アリー…それってまさか…」
一度アルラウネの果実を口に突っ込まれ、ひっくり返った経験のあるデイビッドは警戒したが、ベルダに肩を押さえられ手を引っ込めた。
「大丈夫、だいぶ人に負荷が掛からないよう調整できるようになって来たし、魔力持ちの2人なら抵抗もできる。君の様にはならないよ。」
「うるせぇな、いちいち!!」
ヴィオラとシェルリアーナは、果実を受け取ると、恐る恐る口に含み飲み込んだ。
「わぁ、あまぁい!」
「美味しい…でも、それ以上にすごい魔力と霊質…」
「わ…お腹が熱くなって来ました…」
「ゆっくり深呼吸して、自分の魔力と果実に含まれていた魔力を練り合わせる様に混ぜながら全身に行き渡らせるの。焦っちゃダメよ。」
「なんだか胸がザワザワします…でも気持ちいい…」
大きく息を吸い込み、目を開けると視界が一瞬滲んで、2人の目にアリーの姿が写った。
「見えたわ…」
「わぁぁぁ!アリーちゃんだ!本当にアリーちゃんが見えますよ!」
「ヴィオラ ルー アリーノコト ミエテル ウレシイ!」
アリーのツタに抱き寄せられた2人は、ぐるぐる巻きにされたが、友達とふざけ合っている時と同様に笑っていた。
「私も嬉しい!アリーちゃんが見えるなんて!」
「私も、こんなにはっきり顔が見えたのは初めてね。改めて、よろしくねアリー。」
「アリーモ ヨロシクネ!!」
その様子を嬉しそうに眺めながら、ベルダはノートを取り出しかけて止めた。
「たまには思い出だけにするのも悪くないかもね。」
「記録に残して万一人に知られたらマズイですもんね。」
「頼むからこれ以上秘密増やすなよ!」
女の子の内緒話は真っ赤な甘酸っぱい果実の味。
こうしてまたひとつヴィオラの楽しみと秘密が増えた。
アリーにお休みを言うと、ヴィオラはまた渋々寮に帰って行った。
ここにいると勉強もしなくなってしまうので、部屋で課題も終わらせないといけない。
全くの休みにならない特待生とは忙しいものだ。
反対に、大荷物を抱えて来たシェルリアーナは、ヴィオラを見送るといそいそと荷物を馬車に積み込んで採取の装備を持って現れた。
「さぁ!星見草を摘みに行くわよ!」
「アリーモ イク!」
「じゃぁ僕も、夜の森の様子をもう少し記録したいんだ。」
ベルダを引率にアリーとシェルリアーナが行ってしまうと、キャンプにはエリックとデイビッドだけが残された。
デイビッドが水を浴びて戻ると、エリックはまた自分の巣に戻りカエル化して寝息を立てていた。
(どんだけ寝るんだ…?)
馬車の灯りを落とし、傷跡にシェルリアーナから寄越された薬を塗ろうとしたが、治りかけが痒くて掻いたらカサブタが剥けて血が出て来た。
構わず予後薬を塗り、シャツを着直してチェアに腰掛けると、見上げた空にかかる月を何かが横切った。
(コウモリ…にしちゃデカかったな…飛竜の仲間か…?)
木の下から顔を出し、夜空を見上げると月明かりに飛膜を広げた大きな影が飛んでる。
更に、地上に落ちた影は人の姿をしている様に見えた。
(妖魔の類か…?)
近付いて来る影に警戒し、デッキのナイフに手が伸びかけたが、マロニエの枝に舞い降りた姿を見ると、デイビッドは緊張を解いて手を振った。
「よぉ、ずいぶんと様変わりしたな。」
「今晩はデイビッド君。驚かせちゃったかな?」
「いいや?印象が違うんで身構えちまったけどな、それが言ってたコウモリの翼だって?どう見てもギーブルかワイバーンじゃねぇかよ。」
フワリと草地に降りて来たのは、真っ赤な瞳を輝かせた逞しい姿のエドワードだった。
「なんだ、モヤシ脱却か?」
「そうだよ、君のお陰でね。あの日君の血を口にしてから身体が変わり始めて覚醒したんだ。今まで何度儀式をしても、誰の血を飲んでも変わらなかった落ちこぼれの僕が、今じゃ一族の中で一番強いよ。そのお礼をいいに来たんだ」
「俺の方こそ、ずっと礼を言わなきゃと思ってた。解毒に血統権限まで使わせちまったって聞いてよ。悪かったな、人前で血を飲むのはご法度なんだろ?」
「ちゃんと契約もしたし、書面も残した上での措置だから問題は無いよ。見られたのだって気心知れた仲間内だけで…あ、でも…ミス・ヴィオラには悪い事しちゃったかな…」
「うーん…あんま気にはしてない様子だったけどな。」
デイビッドはいつものハーブティーにベリーを加え、残りのプラムパイと一緒にテーブルに並べると、エドワードと向かい合ってベンチに腰掛けた。
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