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街の外れの丘で…

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「ヒビキ~みてー!ボク、ひとりでおかいものできたよ!」 

「おお!さすがだな!よくできました!」

「えへへ~♪」

買ってきたジュースを持って喜ぶスイの頭を撫でると、スイが嬉しそうに笑った。……可愛い!

「やっぱりヒビキはんはとんでもない親バカやなぁ。」

「親バカじゃありません!」

てか、俺は親でもないんだけどな……

「ヒビキ!これおいしいよ!」

「よかったな。」

「うん!ヒビキは?いらないの?」

「ああ、俺はいらないよ。ありがとな、スイ。」

相変わらず可愛いなぁ……

「ヒビキ~!クッキー買って来たから一緒に食べよ!」

「お帰りなさい、エレンさん。俺はいりませんから食べて下さい。」

「嫌いなの?」

「いや…そういうわけではないですが……」

エレンさんが買って来たわけだし……

「じゃあ…はい!」

「うむっ……」

エレンさんが強引に口にクッキーを突っ込んできた。

「美味しいでしょ?」

「……美味しい…です。」

「ボクもたべたい~!」

スイがぴょんぴょんと跳ねながらクッキーをおねだりをした。

「はい、これはスイの分だよ。」

「ありがと~!」

スイはジュースとクッキーも貰ってご機嫌だな。





……それから四人で出店を見て回った後、俺達は街の外れにある丘に来た。

「風が気持ちいいね~」

「せやな。天気もええし、昼寝日和やな。」

「ボクねむい……」

エレンさんが地面に座ると、それを見たリンファさんは寝転がり、スイは立ったまま目を擦っている。俺も地面に座るとスイが俺の膝に頭を乗っけて「すぅ……すぅ……」と寝息をたてはじめた。

「寝ちゃったか……」

スイの頭を撫でてエレンさん達を見ると、エレンさんとリンファさんも寝落ちしていた。

ちょうど3時くらいだし、一時間くらいで起こしてあげればいいか……で、俺はどうしとこうか?

「……ここからの景色綺麗だな……」

カメラがあれば記録できるのに……無い物ねだりしても仕方ないか……無いものは無いからな。

「よう、こんなとこで何してるんだよ。」

「あ…ギルアスさん。何かしているっていうわけではないんですが…皆寝ちゃいました。」

突然ギルアスさんがやって来た。どこかで見てたのか?

「みたいだな。」

「あ、あの……ダグラスさんは……?」

「あー…アイツは今、絶賛拗ね気でな。」  

「えと……拗ねてる…ですか?」

何があったんだ?

「お前に謝ろうとして、お前に近づきはするものの…エレンが睨み付けて近付くなって言わんばかりの形相だからな……嫌われてるって拗ねてるんだよ。」

「あぁー……そういうことですか……」

……俺が原因だった……

「えっと……じゃあ、ダグラスさんに大丈夫だって伝えてください。エレンさんには俺から話しておきます。」

「ああ、了解だ。…そういやお前、手芸用品店で色々買い込んでたみたいだな?何か作るのか?」
 
「えっと……スイにポシェットを作ろうかと思って……生地なんかを買いました。」

「……お前、手芸も出来るのか?」

「さ、さあ?」

やべ……今は記憶喪失って思われてるんだった……ちなみに、手芸は俺を引き取ってくれた両親の母親……つまり、俺の祖母にあたる人が教えてくれた。両親とは上手くいってなかったけど、祖父母とは上手くいってたんだよな。まぁ……今はもういなくなったけどな……

「……なぁ、ヒビキ。お前は家族を探したいか?お前が家族を探したいと言うなら俺もお前に協力する。」

真剣な表情でギルアスさんが言った。

「………」

……どうしよう…?ギルアスさんは俺の事を思って言ってくれてるんだろうけど……この世界に家族はいないし……

「…………いえ…家族は探さなくて…大丈夫…です。」

ギルアスさんに無駄な負担をかけないのはこの選択だよな…?家族はいない訳だし……

「……そうか、分かった。」

「あの…気になってたんですけど……俺達のこと尾行してましたか?」

「そのつもりはなかったが……ダグラスが謝ろうとタイミングを見計らってたらそうなったな……スマン。」

「い…いえ……それは大丈夫です。ただ、ここはあまり人が来なさそうなので不思議だっただけです。」

「そうか…ならいい。あぁ…今日の宿なんだが男女別にしようとしたら四人部屋がなくてな。二人部屋を三つにしたから…俺とダグラス、ヒビキとスイ、エレンとリンファで分ける。それでいいか?」

「分かりました。」

まぁ…いいか?って聞かれてもこれ以外に分けようがない気がするけどな……

「……なぁ、ヒビキ。お前、絵描けるか?」

「絵…ですか?どうでしょうか……?」

なんでいきなり絵なんだ?よく分からない……

「綺麗だろ?ここからの景色。絵に出来たらって思ったが……あいにく、俺には絵心なんてなくてな。お前なら出来るんじゃないか?」

「上手く描けるか分かりませんが……一回描いてみますか?」

「じゃ、頼むわ。画材はどうする?色鉛筆か?絵の具か?」

あったんだな…色鉛筆……羽根ペンが多かったからないんだと思ってた……

「じゃあ…色鉛筆でお願いします。」

「分かった。ちょっと待っててくれ。」

「はい。」

……と、そんな感じで絵を描くことになった……中学では一応美術部だったけど…特に上手いってわけじゃなかったからなぁ……少し不安だな……


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