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たとえ、辛くても、楽しい思い出を作ればいい ※三人称
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「ルーク、貴方の大切なお友達、貴方の手で殺してあげなさい。」
カミラのその言葉で優依達は別空間に移動した。正確にはカミラが移動させたのだ。移動した空間は荒野だった。この場にミリアナはいない。
「カミラ、貴女の目的は?」
「あら?今さら何を言っているのです?私の目的は邪神様が世界を滅ぼすための手助けをするだけですよ。」
当然といったようにカミラは言い放つ。
「ルークをどうやって拐ったの?」
「簡単な話です。私のサキュバスの力を使っただけですよ。私の瞳はサキュバスの中でも特殊で魔力を込めると対象の魔力を封じた後、意識を奪うことが出来るんですよ。便利でしょう?ただ、一度使えば魔力の消費が激しいので一週間はつかえませんが。」
「じゃあ、ルークを操っているのは?」
「それも簡単な話。そのブレスレットの効果ですよ。」
優依はその言葉を聞き、ルークが着けているブレスレットを鑑定したが表示されたのは鑑定不可の文字だった。
「…具体的な効果は?」
「うふふ、気になりますか?そうですね、今は気分がいいので教えてあげます。そのブレスレットの名称は『眠りの誘惑』。呪いの装備ですよ。代償は『装備者の体と能力をそのまま邪神に操作される。』というもの。効果は…」
カミラはにっこり微笑んだ。
「『装備者の心の傷がない世界の夢を見る』ことが出来るんですよ♪」
「…つまりルークが傷付かない夢を見れるってこと?」
「そういうことです。今、ルークは自分が傷付かない世界の夢を見ているんですよ。分かりやすく言うなら『幸せ』な世界です。」
「それが幸せだとでも?」
「さあ?それが幸せかどうかを決めるのはルークですよ?」
「もういい。そのブレスレットの効果で操られてるなら力付くでブレスレットを壊すだけ。」
優依はリディアから貰った魔法杖を構えた。
「ふふふ、分かりました。では…ルーク、ユイを殺しなさい。」
カミラが言うとルークの瞳が一瞬赤く光った。
そして、ルークは優依に向かって走りながら剣を抜き優依に斬りかかる。
「物理障壁」
優依はその場で物理障壁を展開し自身は影魔法で影に潜りルークの右横に移動した。そのまま魔法陣を展開した。展開したのは水魔法を応用した氷魔法だ。鋭い氷の刃はルークの右手首にあるブレスレットに一直線に向かっていった。
「…やっぱり効かないか…」
ルークは優依の氷を熱で溶かし、無効化した。
優依は続けて召喚魔法を展開する。呼び出したのはエルピスだ。
『ルーク!ルーク!ボクだよ!エルだよ!起きて!』
エルピスはルークの状況を知っていたのか召喚魔法陣から飛び出してそう叫ぶ。
「エル!ルークは私が何とかするからエルはカミラの足止めをお願い!」
「!!分かった!」
エルは優依の言葉に反応し、カミラの元へ走っていった。
「…ふぅ…やっとこれで二人だけだね。悠真。」
「…………」
ルークに返事はない。優依は微笑みながら穏やかに話しかける。優依は今、前に構えていた魔法杖を下に下ろしていた。それと対照的にルークは剣を優依に向けていたままだった。だが、それでも、優依はルークに言葉を投げかける。
…私に分かることじゃないし、勝手に言ったらダメだと思うけど…多分、『ルーク』はそこまでの心の傷は負ってないと思う…あるなら、『悠真』のはず…
優依はそう考えた。
「ねえ、悠真。なんだかんだ言って中学の最後の体育祭が学校の行事の中で楽しくなかった?小学校の時の組体操もよかったね。」
「…………」
「あと、中学の修学旅行も楽しかったね。私が歯ブラシ忘れて悠真に泣きついたら悠真は予備で持ってきてた使い捨てタイプの歯ブラシくれたよね。私、そういう校外学習とかで絶対何か忘れ物しちゃうんだよね…持ち物ちゃんと確認してるはずなんだけどなぁ…」
優依は『悠真』に向かい思い出話を語っていく。
「そういえば……」
「あの時の……」
優依は『悠真』に、傷付いたとしてもそれ以上に楽しかった思い出や嬉しかった事がたくさんあったでしょ?だから現実も捨てたものじゃないよ?と言っているようだった。
「…悠真。私はね、悠真に出会う前、自殺しようとしてた。…だって生きていたって『ゆい』を心から愛してくれる人はいないと思ったから。でも、悠真に会って変わった。私を愛してくれる人はたくさんいるって知れたから。だから……」
優依は『悠真』に呼び掛ける。
「だから、悠真ももう一度周りを見てみようよ。ね!悠真!次は私が悠真の道しるべになる!昔、悠真が私の道しるべになってくれたみたいに!私が悠真の手を引っ張ってあげる!」
「………う…」
カランッとルークの手から剣が落ちた。ブレスレットにはピシッとヒビが入る。
「悠真!戻っておいで!もう一度始めよう!辛かった事を『消す』ことは出来ないけどその傷を『忘れる』ことが出来るように楽しい思い出をいっぱい作ろう!」
「…あ……ゆ、い…」
優依の最後の叫びは『悠真』に届き、ルークの瞳は少しずつ光を取り戻していく。
「うん!悠真!待ってるから!」
「……優依!」
ルークは叫んだ。戻ってきたよと伝えるように。ただいまと告げるように。
ブレスレットは完全に破壊している。
ルークは優依に向かって走り出した。
『……ルーク。我の忠実な配下よ…』
ドクンッ!
ルークの心臓が高鳴り自然と足を止めた。
カミラのその言葉で優依達は別空間に移動した。正確にはカミラが移動させたのだ。移動した空間は荒野だった。この場にミリアナはいない。
「カミラ、貴女の目的は?」
「あら?今さら何を言っているのです?私の目的は邪神様が世界を滅ぼすための手助けをするだけですよ。」
当然といったようにカミラは言い放つ。
「ルークをどうやって拐ったの?」
「簡単な話です。私のサキュバスの力を使っただけですよ。私の瞳はサキュバスの中でも特殊で魔力を込めると対象の魔力を封じた後、意識を奪うことが出来るんですよ。便利でしょう?ただ、一度使えば魔力の消費が激しいので一週間はつかえませんが。」
「じゃあ、ルークを操っているのは?」
「それも簡単な話。そのブレスレットの効果ですよ。」
優依はその言葉を聞き、ルークが着けているブレスレットを鑑定したが表示されたのは鑑定不可の文字だった。
「…具体的な効果は?」
「うふふ、気になりますか?そうですね、今は気分がいいので教えてあげます。そのブレスレットの名称は『眠りの誘惑』。呪いの装備ですよ。代償は『装備者の体と能力をそのまま邪神に操作される。』というもの。効果は…」
カミラはにっこり微笑んだ。
「『装備者の心の傷がない世界の夢を見る』ことが出来るんですよ♪」
「…つまりルークが傷付かない夢を見れるってこと?」
「そういうことです。今、ルークは自分が傷付かない世界の夢を見ているんですよ。分かりやすく言うなら『幸せ』な世界です。」
「それが幸せだとでも?」
「さあ?それが幸せかどうかを決めるのはルークですよ?」
「もういい。そのブレスレットの効果で操られてるなら力付くでブレスレットを壊すだけ。」
優依はリディアから貰った魔法杖を構えた。
「ふふふ、分かりました。では…ルーク、ユイを殺しなさい。」
カミラが言うとルークの瞳が一瞬赤く光った。
そして、ルークは優依に向かって走りながら剣を抜き優依に斬りかかる。
「物理障壁」
優依はその場で物理障壁を展開し自身は影魔法で影に潜りルークの右横に移動した。そのまま魔法陣を展開した。展開したのは水魔法を応用した氷魔法だ。鋭い氷の刃はルークの右手首にあるブレスレットに一直線に向かっていった。
「…やっぱり効かないか…」
ルークは優依の氷を熱で溶かし、無効化した。
優依は続けて召喚魔法を展開する。呼び出したのはエルピスだ。
『ルーク!ルーク!ボクだよ!エルだよ!起きて!』
エルピスはルークの状況を知っていたのか召喚魔法陣から飛び出してそう叫ぶ。
「エル!ルークは私が何とかするからエルはカミラの足止めをお願い!」
「!!分かった!」
エルは優依の言葉に反応し、カミラの元へ走っていった。
「…ふぅ…やっとこれで二人だけだね。悠真。」
「…………」
ルークに返事はない。優依は微笑みながら穏やかに話しかける。優依は今、前に構えていた魔法杖を下に下ろしていた。それと対照的にルークは剣を優依に向けていたままだった。だが、それでも、優依はルークに言葉を投げかける。
…私に分かることじゃないし、勝手に言ったらダメだと思うけど…多分、『ルーク』はそこまでの心の傷は負ってないと思う…あるなら、『悠真』のはず…
優依はそう考えた。
「ねえ、悠真。なんだかんだ言って中学の最後の体育祭が学校の行事の中で楽しくなかった?小学校の時の組体操もよかったね。」
「…………」
「あと、中学の修学旅行も楽しかったね。私が歯ブラシ忘れて悠真に泣きついたら悠真は予備で持ってきてた使い捨てタイプの歯ブラシくれたよね。私、そういう校外学習とかで絶対何か忘れ物しちゃうんだよね…持ち物ちゃんと確認してるはずなんだけどなぁ…」
優依は『悠真』に向かい思い出話を語っていく。
「そういえば……」
「あの時の……」
優依は『悠真』に、傷付いたとしてもそれ以上に楽しかった思い出や嬉しかった事がたくさんあったでしょ?だから現実も捨てたものじゃないよ?と言っているようだった。
「…悠真。私はね、悠真に出会う前、自殺しようとしてた。…だって生きていたって『ゆい』を心から愛してくれる人はいないと思ったから。でも、悠真に会って変わった。私を愛してくれる人はたくさんいるって知れたから。だから……」
優依は『悠真』に呼び掛ける。
「だから、悠真ももう一度周りを見てみようよ。ね!悠真!次は私が悠真の道しるべになる!昔、悠真が私の道しるべになってくれたみたいに!私が悠真の手を引っ張ってあげる!」
「………う…」
カランッとルークの手から剣が落ちた。ブレスレットにはピシッとヒビが入る。
「悠真!戻っておいで!もう一度始めよう!辛かった事を『消す』ことは出来ないけどその傷を『忘れる』ことが出来るように楽しい思い出をいっぱい作ろう!」
「…あ……ゆ、い…」
優依の最後の叫びは『悠真』に届き、ルークの瞳は少しずつ光を取り戻していく。
「うん!悠真!待ってるから!」
「……優依!」
ルークは叫んだ。戻ってきたよと伝えるように。ただいまと告げるように。
ブレスレットは完全に破壊している。
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『……ルーク。我の忠実な配下よ…』
ドクンッ!
ルークの心臓が高鳴り自然と足を止めた。
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