くじ引きで決められた転生者 ～スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?～

訓練所での会話

庭園を一周して僕達は父様達のところに戻って来た。

「あっ！優依も戻ってたんだ！」

「うん！ユリス君が寝ちゃってすることなかったからね。」

「よし！ルーク、久しぶりに訓練に参加するか？」

父様がパンッと手を叩いた。

「はい！参加します！」

もうすぐお昼休憩が終わるころだもんね！久しぶりに騎士団の皆に会いたいし！

「じゃあ、私も参加しようかな～」

「うむ、ではユイちゃんも行くとしよう。」

「あ…あの！わ、私も見学してもいい…ですか……？」

シルファが遠慮し気味に手を上げた。

「うん！大丈夫だよ！ね！父様！」

「あ、あぁ……そうだな…よし、ではシルファ嬢も一緒に行こう。」

「あ、ありがとうございます。」

う～ん……なんていうか…一瞬、父様の顔がひきつったような……

「シルファが行くなら私も見学しようか。」

「……クレスも来るのか？」

「嫌そうな顔しないでくれ。私も辺境の訓練が気になるだけだからな。」

「ハァ…分かった。」



と、いうことで！

訓練所にやってきましたー！

…どうかな？テレビのリポーターの真似してみたつもりなんだけど……やっぱり慣れないことはするもんじゃないなぁ……

「おひさっすね！坊っちゃん！学園ってどんな感じなんすか？」

「久しぶり！ハイルさん！」

かるーい感じで僕に話しかけてきた人はハイルさん。こんな感じのハイルさんだけど実は実力もトップで辺境の騎士団の副団長なんだ！つまり騎士団の中で父様の次に偉い人だよ！

「学園は楽しいよ！カイン達とも色々してるし！クラスメイトの人達とは休み明けの文化祭で出店をすることになったんだ！」

「いいっすねぇ！俺も文化祭連れてってくださいよ！」

「ダメだ。お前は私の変わりに騎士団をまとめてもらわないといけないからな。」

父様がハイルさんの首根っこを掴んで後ろに引き下げた。

「ちぇ…いつも団長ばっか坊っちゃんといるじゃないっすか。俺も坊っちゃんと遊びたいっす！」

「お前はサボりたいだけだろう？」

「まあ、そんなとこっすけど。ねえ？お嬢はどう思います？最近…いや始めからっすね…の団長は坊っちゃんにベッタリすぎっすよね？」

「あれ？ここで私に？まぁ…最近は特にかな。」

ハイルさんが剣を見ていた優依に問いかけた。

「やっぱりそうっすよね！いっ…！」

そんなハイルさんの後頭部を父様が木剣で軽く叩いた。

「ハァ……訓練を始めるぞ。」

「うぃーす！」



父様の挨拶があってから訓練がスタートした。

「ルーク、学園に行ってもしっかり訓練していたんだな。」

「もちろんです！」

木剣で素振りをしていると父様が僕の頭に手を置いて微笑んだ。

「これからも続けるんだぞ。」

「はい！」

ふふっ…頭を撫でられた久しぶりだなぁ……





※三人称

ルーク達が訓練している間、シルファ達親子は訓練している人達の邪魔にならない程度のところで見学していた。

「わぁ…すごいです……」

そう呟いたシルファの視線の先には辺境の騎士団の副団長であるハイルと手合わせしているルークがいた。シルファの頬はほんのり赤らんでおり、ルークを見て何を思っているかは明白だった。

「シルファ。」

「はい、お父様。」

シルファがクレスを見るとクレスはどこか真剣な顔だった。

「単刀直入に聞くが……ルーク君と結婚したいか？」

「ひゃ、ひゃい!?はわわわ…わ、私がルークしゃんと!?」

真正面から単刀直入に聞かれたシルファは顔を真っ赤にした。

「どうなんだ？」

「わ、私は……」

シルファは下を向き、もじもじしながらもルークのことをチラチラ見ている。

「もしそうなら必死でルーク君にアピールするんだぞ。ルーク君は学園でも人気だろう？いつ婚約者が出来るか分からないからな。」

「そ、それは……」

事実、ルーク本人は知らないがルークは学園で人気がある。

「が、頑張ります！」

シルファは気合いを入れるように小さくガッツポーズをした。ルークは誰にも渡さない、そんな可愛い意思表示だった……