【第一部完】蜻蛉商会のヒトガミ様 ~死にたがりな神様は、過保護なあやかし従者たちに溺愛され、今日も鳥籠の中から出ることを許されません〜

御崎菟翔

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​第一部 4章 黄金の鳥籠と、最強従者たちの激昂 ―奪還編―

第40話 競売所の鳥籠と、闇の女神との再会

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 ざわめきと、高らかに数字を呼ぶ声。遠い昔、テレビや映画で見たことがあったが、実物は初めてだ。
 ここは、オークション会場。その舞台袖の一角に置かれた大きな鳥籠の中。自分が売られる側だと気づいたのは、少し前の事。

 逃げ出せれば良いのだが、どういうわけか、体に一切力が入らない。ゴロリと寝転んだまま、身動ぎ一つできないほど。その上、鉄の鎖のようなものでガチガチに手足を拘束されている。
 たとえ陽の気を込めて多少鎖を脆くできたとしても、亘のような力があるわけでもなく、鎖を解いたところで鳥籠から逃げ出るすべもないのだが。

 結局のところ、こういう状態に陥ると、自分がどういう者であろうと無力だと実感する。

(連れ出されてから、どれくらいの時間が経ったんだろう……)

 あれから、ほとんどの時間を深い眠りの中で過ごしていた。今の奏太には見当もつかない。

 
 商会の部屋にどうやって侵入されたのかは定かではないが、不審な連中に薬のような物を飲まされ、まんまと連れ出されたらしい。
 
 しばらく眠り続けていたが、突然、ズブリと脇腹のあたりの皮膚が裂け鋭い何かが食い込むような激しい痛みが走って、声にならない悲鳴を上げながら目が覚めた。

 その時、奏太は既に鳥籠の中。鎖で拘束されて動けない状態で、鬼が奏太の服をめくり上げ、腹に食らいついて一心不乱に血を啜っているのが目に入った。

 『ズズズ』っという不快な音と共に息もできないほどの激痛が走り、自分の中の力が失われていく。目覚めたばかりなのに、目の前がチカチカする。
 
 痛みに耐えかね、自分に食らいつく鬼の口のあたりをめがけて体内の陽の気を必死にかき集めて力を込めた。

 鬼は突然、叫び声を上げながら奏太の腹から口を引き離す。奏太の体はドッと床に投げ出されたが、飲まされた薬のせいか、血を奪われ力を失いすぎたせいか、体が全く動かなかった。

 叫び声に気づいた複数名が鳥籠の外に慌てて駆け寄ってきて、鬼の口、服、奏太の腹、籠の中が、血に染まっているのを見て息を呑んだ。

「この馬鹿!! 大事な商品に何をしてくれてるんだ!?」

 誰かが、怒声を上げた。

 商会の部屋で抑え込まれた時にも、似たような言葉を聞いた気がする。
 
『どっちが買うにしても、高く売れる。どこまで値が釣り上がるか楽しみだ』

 つまり、人身売買。その商品に、自分がなってしまったということだ。
 
 奏太はくたりと横たわり、これ以上力が流出していくのを抑える為に自分の体の中にある金の力を動かして、食らいつかれた場所を修復しながら、そう理解した。
 
 その間に鳥籠がガチャリとあき、奏太を食っていた鬼が引きずられるように連れ出されていく。

 せっかく籠が開いても、体が回復するまでは動けもしない。奏太は逃げることも抵抗することもできずに、そのまま再び深い眠りについた。

 そして、次に目覚めたのが、ついさっきのことだった。未だ、身体に力は入らない。酷い眠気が続いているので、身体の修復自体が終わっていないのだろう。

(あいつら、心配、してるよな……)

 亘達の顔を思い浮かべて、奏太は小さく息を吐く。

 あんな風に、自分の言いたいことをぶつけるだけぶつけて部屋に逃げ帰って来た直後の出来事だ。
 きっと、必死に自分を探して助けようとしてくれているのだろうけれど、どんな顔をして会えばいいのか分からない。

(無茶、してないといいな。自分達の身を第一に考えて絶対に危険を冒すなって、それだけでも伝えられたら良いんだけど……)
 
 動かない体のまま、奏太は舞台上の眩い光を見つめた。


 キャスターでも付いているのか、鬼二名がゴロゴロと奏太の入った鳥籠を押す。眩しい光の下に出ると、仮面をしたたくさんの鬼たちが座る客席がよく見えた。
 興味深そうなたくさんの目に晒される。
 
「さて、お次は人間の青年。しかし、ただの青年ではありません。他の人妖にはない、周囲を魅了する力を持っているのです。実は、昨夜もこの青年の魅力に取り憑かれた当係員が複数いたほど。おそらく、舞台から遠く離れた皆様にも既に伝わっていることでしょう!」

 舞台端。高らかに、正装をした男が言う。

「更に驚くことなかれ。この人間は優れた自己回復力を持っており、傷を作った翌日にはすっかりきれいに治癒しているほど。どれほど痛めつけ、その血を啜っても、すぐに死ぬことはないでしょう。落札の暁には十分お楽しみいただけることと存じます!」

 客席が疑わしげな声でざわめく。

「お疑いの方もいらっしゃるでようですね。それでは、この場で試してみましょう!」

 男はそう言うと、さっと奏太の鳥籠を押していた者に合図を送る。瞬間、足に鋭い痛みが走った。格子の間から伸ばされた手には短剣が握られ、それが奏太のふくらはぎに容赦なく突き立てられている。

 思わず、声を失った。
 更に無遠慮に短剣は抜き取られ、再度強い痛みが走る。その痛みから逃れたくて、奏太は必死に自分の体を修復しようと動いた。

「ああ、やはり、寝ている間に試したのと同じだな」

 みるみるうちに傷が塞がっていくのを見ながら、短剣を突き立てた男はニヤリと笑った。

 怪我のあった方の足を乱暴に掴まれて引っ張られ、濡れた布切れで、溢れ出た血が拭き取られる。そこにあったのは、無傷そのものの足。

 客席の前方から、どよめきが上がった。
 
「前方のお客様には、よくお見えでしょう? これが、この青年が特別である理由の、もう一つです。さあ、それでは、競売を始めましょう!!」

 男が高らかに宣言すると、それと同時に、それぞれが興奮気味に札を上げ、次々と値をつり上げていく声が聞こえ始める。

 その影で、鳥籠を押していた男達は小声でヒソヒソと話しをしていた。
 
「どうせ治るなら、もう少し血を飲んでおくんだったよ。あれ程うまいものを飲んだことはなかった。手放すのが惜しいな」
「まあ、仕方ないさ。さすがにあれだけ回し飲んだら、そのうち死んでてもおかしくない。高く売る為には、あれが限度だ。代わりに、莫大な金が手に入るだろ。俺たちで買えるわけないし、諦めろ」

 男はクイッと客席を顎でしゃくる。
 結構な金額までつり上がっているが、未だ、札はたくさん上がっている状態だ。

(……なるほど、どおりで、上手く力が入らないはずだ……)

 鬼に腹を食いつかれたあと、奏太は自分の身体を修復し力を回復させる為に深く眠っていた。その間、どうやら、この競売所の者たちに良いように血を吸い出されていたらしい。

 奏太の中の力は今、そのほとんどが傷ついた身体の修復に使われている。それを、そのそばから傷つけられていたら、いつまで経っても回復するわけがない。

 最初の一件以来、意識がなかったのは不幸中の幸いだったか。

(……眠いなぁ……)

 自分を手に入れようと白熱する客席の様子が、まるで他人事のように思える。
 頭がぼうっとして働かない。随分、体の修復に力を使ってしまっているせいで、いくら寝ても、寝足りない。

 奏太は、自分の行く末など気にしている余裕もなく、再び、スウっと吸い込まれるように眠りについた。


 次に目覚めた時、奏太は相変わらず鳥籠の中にいた。ただし、場所は競売所ではなく、何処かの屋敷の一室。窓はないが、貴族の屋敷かそれに類する広さと豪華さがある。手足の拘束は取り外されているけれど、自力で動けないくらいまで力が不足していた。

「目覚めたかい?」

 不意に声をかけられ、奏太は視線だけで声の主を見上げた。

(結局、こいつに買われたのか)

 一度、見たことがある顔。以前に見たときと同じ柔和な笑みを浮かべた、穏やかそうな雰囲気の壮年男性。

(鳴響商会の、商会長)

「動けないのだろう? 適度に血を抜き力を奪い続けないと危険だと、とある方に教えていただいたのだ」

 未だ奏太の身体の状態は、競売所にいた時と同じ。眠気、だるさで、床にだらりと寝転んだまま。いつ着替えさせられたのか、着ている服は、見たことのない質の良いものに変わっていた。

「私も、できたら、このような非道な事はしたくないのだがね」

 商会長はそう猫撫声で言いつつ、ガチャガチャと鳥籠の鍵を開けて入ってくる。奏太の側にしゃがみ込み、そっと顔に手を伸ばした。そのまま顎を上げさせられ、露わになった首筋に、もう片手の鋭い爪が突き刺さる。

 奏太はグッと奥歯を噛み、激痛に顔を顰めた。商会長は薄気味の悪い笑みを浮かべ、その顔を奏太の首筋に近づける。すぐに傷口が、生温かく濡れた柔らかいもので覆われた。

「……うぅ……ぐ……っ」
 
 ズズズっと血を吸いだす音が聞こえ、痛みが走り、否応なしに声が漏れる。
 
「ああ、そんな声で鳴かれたら、嗜虐心がうずくじゃないか」
 
 真っ赤に染まった唇が、歪に弧を描く。
 今度は愛撫のようにザラリとした舌が動いて傷口が舐められ、またズズズっと痛みと共に血が吸われていく。時々、鋭い牙のついた歯で噛まれ、傷が増える。その繰り返しだ。

「うぅ……ぅ……」
 
 力を奪われ続けたせいか、身体の一部に陽の気を集めることもできない。ただ、されるがまま、痛みに耐えるしかない。

 どれほど、そうやって耐えていただろうか。トントンと部屋の扉がノックされる音が聞こえた。

 商会長は不機嫌そうに顔を上げる。唾液と血の交じった糸が引きプツと切れると、商会長は口元を胸元に入れていたハンカチで拭った。

「続きは、夜にしよう」

 そっと耳元で囁かれ、頭を撫でられ、ハンカチが先ほどまで商会長の口で覆われていた首筋に当てられる。

(……力が、足りない)

 商会長がガチャリと鳥籠を出て鍵をかけるのを見ながら、奏太は朦朧とした意識の中で思う。
 身体の修復に、いつも以上に時間がかかる。傷の痛みが、なかなか引いていかない。

 ぼんやり床に体を預けていると、先ほどとは打って変わった苛立たしげな商会長の声が聞こえた。

「なんだ?」
「聖教会の方々がお見えです。例の人を確認したい、と」
「あれ程、断ったというのに、約束もなくやってくるとは」

 ドア越しに、そう会話するのが聞こえる。

「どうなさいますか?」
「仕方がない。通せ。用が済めば、さっさと追い返す」

 その声と同時に、忙しなく使用人が部屋を出入りするようになり、部屋が整えられ、テーブルに茶器がそろい始める。チラチラと使用人達の目がこちらに向く。その度に商会長に睨まれ、慌てて目を逸らしていた。

 案内されて入ってきたのは、正教会の祭服を身に着けた白髪の初老の男と、人で言うところの十歳くらいの漆黒の髪の少女。どちらもぱっと見、見たことのない顔だった。初老の男の胸には、白日、光耀を示すブローチはない。

「ああ、やっぱり」

 初老の男の横。少女が全てを吸い込むような黒い瞳で奏太を見据え、赤い唇でニタリと笑った。

 少女はそのまま、スウっと音も立てずに奏太の入った鳥籠に近づいてくる。商会長は眉を顰めたが、初老の男が何も言わないからか、止めることもできないようだ。

 少女は奏太の前にスッと座り込み、檻の間から奏太の顔に小さな手を伸ばす。黒を通り越し闇で染め上げたような髪と瞳。その幼い顔に不釣り合いな真っ赤な唇。それは、何処か見覚えのある雰囲気。

 そのヒヤリと冷たい手が自分の頬に触れた途端、ゾワッと全身が粟立った。
 その手から入ってくるのは、奏太の中の濃い陰の気に共鳴する禍々しい闇の力。
 それもまた、遠い昔に覚えのある感覚。

「……………………闇の…………女神…………」

 擦り切れた声でそう言えば、少女は突然、ゾッとするような甲高い笑い声を上げた。
 
「ふ、ふふふ、あははははははっ!」

 気味の悪い声。けれど、聞き覚えがある。あの時よりも幼いけれど、それでも、忘れるわけがない。
 
 闇を広げ、亘を奪い、鬼界も妖界も人界も、全てを飲み込み、闇の支配下に置こうとした女。神から堕ちた、闇を司る元女神。

「いい眺めね。力を奪われ続け、動くこともできないのでしょう?」

 クスクス笑いながら、少女はいやらしく目を細める。それから、声を潜めて奏太に囁いた。

「ずっと会いたかったのよ。約束したものね。覚えているかしら?」
「…………やく、そく…………?」
「ええ。言ったでしょう? 『大切なものを全て失い、苦痛に苛まれ、永らえることを後悔するほどの責め苦を、必ず味わわせてあげる』って」

 それは、三百年の昔、闇の女神がこの世に溶けて消える直前に残した言葉。憎悪の籠もった目を、まっすぐ奏太に向けながら。

「何故未だに人の体で居るのかは知らないけれど、足元を掬われたわね。しばらく、鬼たちの玩具で居ると良いわ。その間に、貴方が三百年前に護ろうとしたもの、すべてを壊してあげる」

 少女はそう言うと、ニイと笑みを深めた。

「……壊……す……?」
「そうよ。忌々しい陽の子孫。憎いあの方の力を受け継いだ、秩序の神」

 奏太に向けられるのは、三百年前、自らの子である、陰の御子を祓い、闇の女神の存在そのものを消された深い怨恨。あの日、最期に聞かされた、全てを道連れに闇の底に引きずり込むような呪詛、そのもの。

「全てを奪われた私と同じ苦痛を、貴方に」

 心底楽しそうに奏太を見下す目。それに、奏太はきつく奥歯を噛んだ。

「…………ふざ……けるな……。絶対に……奪わせない……あいつらも……あの……場所も……」

 声を、振り絞る。
 
「ふふ。無力な人間と化した貴方に、何ができるの?」

​ 闇の女神はクスクスと笑いながら、奏太の顔に触れた。冷たい感触。それもまた、三百年前の、あの時と同じ。

(……自分の体なんて、もう、どうでもいい)

 奏太は、ズタズタの身体を維持するために回していた『治癒の力』を一切断ち切り、その力の全てを、触れられた箇所に叩き込む。

​ 瞬間、

​『――アアアアァァッ!!』

​ 少女の口から、鼓膜を裂くような獣じみた絶叫が上がった。

 奏太が注いだのは、闇の女神を構成する力を祓い削ぐ、金の光。三百年前と同じように、世界を乱す害悪を、この世に溶かし還す、秩序の神たる力。

 女神は奏太に触れていた手を慌てたようにバッと引いた。

 白く美しい少女の手のひらは、そこだけが醜悪なまでに黒ずみ腐り、朽ちたように崩れ落ちた。

​「なんて、忌々しい……!!」

​ 激昂する闇の女神。
 
 けれど、奏太にできたのはそこまで。自分に向けられる純然たる悪意を前に、視界が揺れる。何とか支えていた力さえ失って、奏太の意識が薄れていく。

 プツリ。
 自分を睨む闇の女神の顔さえ目の前から消えて、全てが暗転した。
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