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29.結末
いつものごとく2人きりの執務室に何回目かのレイノルドのため息が響く。
今回の件は軍部も一部関わっていたこともあり、煩雑な事後処理に追われているのは俺もこいつも変わらない。
終わったらしばらく休みをもぎ取る!と息巻いていたが、2人とも定期の休みすらまともに取れていない。
叩けば埃だらけのガリアス公爵家の家宅捜査に始まって、武器商人やら出入りの業者、さらに関係する貴族や文官たちを調べ上げている。
内容が内容だけに、数人の信頼できる部下に限定して、追加調査と過去資料の精査を含め、様々な処理にあたっていることも仕事量が膨大になっている要因でもある。
それ故に、一刻も早く片をつけたいという気持ちは一致している。
「にしてもさぁ、動機があんまにあんまりじゃない?」
「俺たちには分からない世界だな」
「いや、お前だって貴族なんだしって…、無理か。結局、要は、気に食わないからだなんて、我儘なクソガキかよ」
地方の弱小貴族の俺が、将軍までなったのが気にくわないから始まり、そこそこ邪魔や妨害工作も多かった。それはそれで、老害だと思い無視してきたが、それが気に食わなかったらしい。
さらに先日の褒賞としての伯爵の地位と、王族であるシェリルノーラとの結婚が、貴族として許せないというのが、公爵の動機といえば動機のようだった。戦も終わり、目障りだから潰してやるという。
軍部の改革で、長年裏で受け取っていた金が得られなくなったこともあるようだが。
そんなに金を溜め込んで何がしたいのか、俺には分からないが奴には奴の論理があるのだろう。例え、腐り切っていたとしても。
姑息な手や悪事にだけ頭が回る男だったようだ。今まで影でこそこそ動くことは得意なのか、意外と尻尾を出さなかった。
それがここに来て気が急いたのか、おおっぴらに動きすぎた。
南はガリアス公爵家の広大な領地もある。屋敷に浸入した男の南の訛りも、そちらの関係者だろう。
行方をくらませているが、残していった剣を分析させた結果、一部に南の領地でしか使われない鉱石が使われていた。
部下であるザイルは妹と母親をガリアス公爵の手の者に誘拐され、それを元に脅されていたらしい。俺の情報を流すだけで解放すると言われ、休みや耳にしたことを伝えていた。
それを元に遠乗の際も金を使い、野盗に襲わせたことが分かっている。
この時点で相談してくれていたらとは思うが、怪しい動きを少しでもしたら2人がどうなるか分からないと脅されれば仕方なかっただろう。しかし、上司として信頼されてなかったのは自分の責任でもある。
業を煮やした公爵は直接屋敷に忍び込み、俺に罪を擦りつけるための証拠を仕込みたかったようだ。
そのために警備の者たちを使えなくしたのもザイルだった。予定があるからと担当を交代し、その夜の警備に付いて隙を見て渡された薬を使った。この時も薬で動けなくさせるだけで、誰も危害は加えないと言われ、やむなく協力したと。
自分も薬の影響が出たが、正気になり状況が分かると自害しようとした。そこをレイノルドに阻まれ、縛りつけられていた。事情を聞いた後は、自害防止に見張りをつけていたが最近は家族の支えもあり落ち着いたようだった。
どんな事情があれ仲間を裏切った事は事実であり、規律違反の者をこのまま軍に置いておく訳にはいかない。処分は免れないが、時期を見て何かしら仕事を紹介するつもりでいる。
「これで愚か者たちを排除できれば、結果としてはまずまずだろ。とにかくさっさと片をつけるぞ」
「はいはい、分かってますよ。俺、ちょっと会計のほう行ってくる。帰りになんか食べ物持ってくるわ、そろそろ腹が限界」
紙の束を持って、うちであったかいごはん食べたーいと呟きながら去っていったレイノルドの背中を見送る。
息を吐き出し、俺も再度手元の資料に目を通し始めた。
今回の件は軍部も一部関わっていたこともあり、煩雑な事後処理に追われているのは俺もこいつも変わらない。
終わったらしばらく休みをもぎ取る!と息巻いていたが、2人とも定期の休みすらまともに取れていない。
叩けば埃だらけのガリアス公爵家の家宅捜査に始まって、武器商人やら出入りの業者、さらに関係する貴族や文官たちを調べ上げている。
内容が内容だけに、数人の信頼できる部下に限定して、追加調査と過去資料の精査を含め、様々な処理にあたっていることも仕事量が膨大になっている要因でもある。
それ故に、一刻も早く片をつけたいという気持ちは一致している。
「にしてもさぁ、動機があんまにあんまりじゃない?」
「俺たちには分からない世界だな」
「いや、お前だって貴族なんだしって…、無理か。結局、要は、気に食わないからだなんて、我儘なクソガキかよ」
地方の弱小貴族の俺が、将軍までなったのが気にくわないから始まり、そこそこ邪魔や妨害工作も多かった。それはそれで、老害だと思い無視してきたが、それが気に食わなかったらしい。
さらに先日の褒賞としての伯爵の地位と、王族であるシェリルノーラとの結婚が、貴族として許せないというのが、公爵の動機といえば動機のようだった。戦も終わり、目障りだから潰してやるという。
軍部の改革で、長年裏で受け取っていた金が得られなくなったこともあるようだが。
そんなに金を溜め込んで何がしたいのか、俺には分からないが奴には奴の論理があるのだろう。例え、腐り切っていたとしても。
姑息な手や悪事にだけ頭が回る男だったようだ。今まで影でこそこそ動くことは得意なのか、意外と尻尾を出さなかった。
それがここに来て気が急いたのか、おおっぴらに動きすぎた。
南はガリアス公爵家の広大な領地もある。屋敷に浸入した男の南の訛りも、そちらの関係者だろう。
行方をくらませているが、残していった剣を分析させた結果、一部に南の領地でしか使われない鉱石が使われていた。
部下であるザイルは妹と母親をガリアス公爵の手の者に誘拐され、それを元に脅されていたらしい。俺の情報を流すだけで解放すると言われ、休みや耳にしたことを伝えていた。
それを元に遠乗の際も金を使い、野盗に襲わせたことが分かっている。
この時点で相談してくれていたらとは思うが、怪しい動きを少しでもしたら2人がどうなるか分からないと脅されれば仕方なかっただろう。しかし、上司として信頼されてなかったのは自分の責任でもある。
業を煮やした公爵は直接屋敷に忍び込み、俺に罪を擦りつけるための証拠を仕込みたかったようだ。
そのために警備の者たちを使えなくしたのもザイルだった。予定があるからと担当を交代し、その夜の警備に付いて隙を見て渡された薬を使った。この時も薬で動けなくさせるだけで、誰も危害は加えないと言われ、やむなく協力したと。
自分も薬の影響が出たが、正気になり状況が分かると自害しようとした。そこをレイノルドに阻まれ、縛りつけられていた。事情を聞いた後は、自害防止に見張りをつけていたが最近は家族の支えもあり落ち着いたようだった。
どんな事情があれ仲間を裏切った事は事実であり、規律違反の者をこのまま軍に置いておく訳にはいかない。処分は免れないが、時期を見て何かしら仕事を紹介するつもりでいる。
「これで愚か者たちを排除できれば、結果としてはまずまずだろ。とにかくさっさと片をつけるぞ」
「はいはい、分かってますよ。俺、ちょっと会計のほう行ってくる。帰りになんか食べ物持ってくるわ、そろそろ腹が限界」
紙の束を持って、うちであったかいごはん食べたーいと呟きながら去っていったレイノルドの背中を見送る。
息を吐き出し、俺も再度手元の資料に目を通し始めた。
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