拾われた後は

なか

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16.お手伝いがしたい

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   居候の身で申し訳ないのだが、時間を持て余している。
   1人でいるとふとした時に、家族や友人のことを思い出してしまう。出来れば体を動かすどして、気を紛らわせていたかった。


   少しずつ読み書きも習っているが、マリアさんのメイドのお仕事もあり付きっ切りという訳にはいかない。
   僕にできることがあればいいのだけれど。

   その日の午後、僕は厨房に行こうと思いたった。
   この世界はほぼ洋食って感じだけど、僕が慣れ親しんだきた食材とほとんど変わりない。今まで共働きの両親のために、結構料理はしてきたから、何かできるはず。



   記憶を頼りに厨房まで来たら、中からカチャカチャ、ジャージャー物音がする。そおっとドアを開けて覗くと、灰色の短髪の男性が1人で働いている。コックコートみたいな格好だ。
   ふとこちらを見た男性と目が合う。意外と若い。

「お仕事中すみません。お手伝いしたいのですが、何ができること有りませんか?」

「お嬢ちゃんどこから来たんだ?迷い込んで来たのか?」

   また小さい女の子に間違われた。地味に傷つく。けど、めげないぞ。

「突然すみません。このお屋敷でお世話になってるハルカです。お世話になってるからには、何かお役に立てればと思って。」

   持っていた包丁を置いて、近づいてきた彼もやはり背が高い。

「ああ、なんか子供1人預かってるってお前か。」

「いつも美味しいご飯ありがとうございます。」

「おー、いつも残さず食べてくれてありがとな!」

   嬉しそうに尻尾がパタパタ揺れた。

「俺はクロスだ。小さいのにいい心がけだ。
ただな、料理は口に入るものだ。悪いけどカイル様の客人とは言え、信用できるか分からない者を料理人として厨房に入れるわけにはいかない。」

  きっぱり断られる。確かにそうだ。考えが甘かった。


「ま、俺の目の前でやってもらうのとあちこち触らないって約束できるか?」

「えっ、いいんですか?」

   俯きかけてた顔を勢いよく上げる。

「お前、すごくカイル様の匂いがついてるんだよ。それだけカイル様が信用してるってことだろうから、まぁ様子見ながら、ちょっとだけだぞ。」

「ありがとうございます!」

   よく分からない理由だけど、お手伝いする権利を手に入れた!


   それから野菜の皮むきをして感心されたり、洗い物をして感謝されたりしながら、料理についてお喋りもした。シェフっていうより、鮨屋や居酒屋の大将て感じのクロスさんと打ち解けることができた。


   
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