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閑話
閑話 俺は勇者
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俺の名前は有本良輔。
楯原高等学校1年B組の生徒だ。
テニス部に所属していて、一年ながらレギュラーメンバー入りしてる程の実力者だと自負している。
俺はいつものように同じクラスで仲が良い男友達の正岡康生と中島英二と話していた。
「なあ良輔、お前さ、いい加減告ったら?」
「そうだぜ。いつまでもウジウジしてないでさ、サッサと告って振られるなり引っ叩かれるなりしろよ」
「…おいそれ、振られる前提かよ…」
俺は恋をしている。
相手は同じクラスで学年一の美女と謳われる一宮綾乃さん。
一年の、廊下ですれ違った時に一目惚れしてからこの二人にはずっと相談に乗ってもらっているのだが、未だに告白出来ていない。
だからいつも二人には「早く告れ」と言われてる。
そう言われても勇気がないんだから仕方ないだろ!
しかも何だか最近は振られる前提で話を進めてくる。
「今なら傷が浅くて済むぞ?なあ?」
「だよなぁ。傷は浅い方が治りが早くて良い」
「何で振られる方向で話進めるわけ!?やめてくれ!」
そんな感じで騒いでいた時だった。
「うわ!何だこれ!」
「眩し!」
突然教室の床から光から溢れ、授業五分前で全員教室内に居た俺達B組メンバーはその光に飲まれた。
次に目を覚ますと、そこは見たことない所だった。
辺りを見渡すと、変な格好の男が数人とドレス姿の女性が俺達B組メンバーの周りを囲むように立っていて、側にはさっきまで喋ってた康生と英二が居た。
二人共何が何だか分からないという様子で、俺達三人は顔を見合わせた。
暫しの沈黙、だがそれはすぐに大歓声へと変わった。
「やった!成功だ!」
「ついにやりましたよ!姫様!」
「これでこの国は救われた!」
「流石は姫様だ!」
そんな声が歓声の中から聞こえてくる。
女性はへたり込み、大きな目に涙を溜めて俺達に言った。
「ようこそいらっしゃいました!勇者様!」
(…えっ?)
その後俺達はここが地球ではない事をドレス姿の女性、アストレア・フォン・レイドナルク様から聞いた。
なんでも世界全体が切羽詰まった状況で、俺達異世界人が必要だったらしい。
話の半分も理解出来なかったが、取り敢えずこの世界が大変な事になっているというのだけは分かった。
「お願いします!この国を…この世界を救って下さい!」
アストレア様は深々と頭を下げて俺達に懇願してきた。
俺はアストレア様の行動に胸を打たれた。
王女というのがかなり位が高くて偉い立場にいることは、王族が存在しない俺達日本人でも分かる。
そんな凄い人が俺達庶民に頭を下げて懇願するなんてよっぽどの事だ。
俺はすぐさま前に出て王女の肩に手をかけて微笑みかけた。
「頭を上げて下さいアストレア様。一国の王女様が簡単に頭を下げるのは良くないですよ」
「…あ、ありがとうございます。そんな風に言って下さるなんて…」
顔を上げたアストレア様は少し頬を赤らめていた。
この時俺は、心のどこかで高揚している自分がいる事に気が付いた。
だってこんなの、ほんとにラノベみたいでスゲーじゃん。
テンション上がらない方がおかしいって。
それに今自分が居る国に大変な事が起こってるんだったら見過ごせない。
一緒に話を聞いてたクラスメイトの皆もきっと同じ事考えてるだろう。
そう思った俺はアストレア様を元気づけるように力強く言った。
「いえいえ。それにそんな大変な事情を知ったら放っておくなんて出来ませんよ。俺も皆も出来る限り協力します!」
すると不安そうだったアストレア様の顔がみるみる明るくなっていく。
後ろにいた皆も俺の言葉に同調して集まってくる。
俺は間違ってなかった!
その後自分が勇者であると分かって、同じ勇者同士の一宮さん、江川と一緒一緒に他の皆とは別の区画の部屋に通された。
一宮さんの事は一年の時から見てたから、今近くに居られる事がこの上なく嬉しい。
でも江川と話した記憶はほとんどない。
一年の頃から、大体一宮さんの側に居るのを見かける。
出身の中学が一緒だったらしい、といつか英二に聞いた。
同中だからって一宮さんといつも一緒に居られるのは羨ましすぎる。
もう一人、この二人の間に居た気がするが、顔も名前も出てこないから多分気のせいだ。
そんな事を考えていると、この部屋で待たされてもう一時間近く経過していた。
とうとうしびれを切らした一宮さんが江川に八つ当たりしだした。
江川はそんな彼女を嗜めるように言葉を返していたが、聞く耳を持たずに部屋から出て行こうとした。
だが次の瞬間江川が出した「そうた」という名前にその動きを止め、ガタガタと震えだした。
その「そうた」とかいう奴に怒られた時の事を思い出したらしい。
江川も若干震えている。
「頼むから戻ってくれ」と懇願した江川の言葉を聞き入れ、素直に椅子に座り直した一宮さん。
「そうた」って誰だ?
…てか俺、さっきから会話に入れてない…
二人にガン無視されてる。
俺、空気じゃね?
勇者なのに…
俺はちょっと泣きそうになった。
楯原高等学校1年B組の生徒だ。
テニス部に所属していて、一年ながらレギュラーメンバー入りしてる程の実力者だと自負している。
俺はいつものように同じクラスで仲が良い男友達の正岡康生と中島英二と話していた。
「なあ良輔、お前さ、いい加減告ったら?」
「そうだぜ。いつまでもウジウジしてないでさ、サッサと告って振られるなり引っ叩かれるなりしろよ」
「…おいそれ、振られる前提かよ…」
俺は恋をしている。
相手は同じクラスで学年一の美女と謳われる一宮綾乃さん。
一年の、廊下ですれ違った時に一目惚れしてからこの二人にはずっと相談に乗ってもらっているのだが、未だに告白出来ていない。
だからいつも二人には「早く告れ」と言われてる。
そう言われても勇気がないんだから仕方ないだろ!
しかも何だか最近は振られる前提で話を進めてくる。
「今なら傷が浅くて済むぞ?なあ?」
「だよなぁ。傷は浅い方が治りが早くて良い」
「何で振られる方向で話進めるわけ!?やめてくれ!」
そんな感じで騒いでいた時だった。
「うわ!何だこれ!」
「眩し!」
突然教室の床から光から溢れ、授業五分前で全員教室内に居た俺達B組メンバーはその光に飲まれた。
次に目を覚ますと、そこは見たことない所だった。
辺りを見渡すと、変な格好の男が数人とドレス姿の女性が俺達B組メンバーの周りを囲むように立っていて、側にはさっきまで喋ってた康生と英二が居た。
二人共何が何だか分からないという様子で、俺達三人は顔を見合わせた。
暫しの沈黙、だがそれはすぐに大歓声へと変わった。
「やった!成功だ!」
「ついにやりましたよ!姫様!」
「これでこの国は救われた!」
「流石は姫様だ!」
そんな声が歓声の中から聞こえてくる。
女性はへたり込み、大きな目に涙を溜めて俺達に言った。
「ようこそいらっしゃいました!勇者様!」
(…えっ?)
その後俺達はここが地球ではない事をドレス姿の女性、アストレア・フォン・レイドナルク様から聞いた。
なんでも世界全体が切羽詰まった状況で、俺達異世界人が必要だったらしい。
話の半分も理解出来なかったが、取り敢えずこの世界が大変な事になっているというのだけは分かった。
「お願いします!この国を…この世界を救って下さい!」
アストレア様は深々と頭を下げて俺達に懇願してきた。
俺はアストレア様の行動に胸を打たれた。
王女というのがかなり位が高くて偉い立場にいることは、王族が存在しない俺達日本人でも分かる。
そんな凄い人が俺達庶民に頭を下げて懇願するなんてよっぽどの事だ。
俺はすぐさま前に出て王女の肩に手をかけて微笑みかけた。
「頭を上げて下さいアストレア様。一国の王女様が簡単に頭を下げるのは良くないですよ」
「…あ、ありがとうございます。そんな風に言って下さるなんて…」
顔を上げたアストレア様は少し頬を赤らめていた。
この時俺は、心のどこかで高揚している自分がいる事に気が付いた。
だってこんなの、ほんとにラノベみたいでスゲーじゃん。
テンション上がらない方がおかしいって。
それに今自分が居る国に大変な事が起こってるんだったら見過ごせない。
一緒に話を聞いてたクラスメイトの皆もきっと同じ事考えてるだろう。
そう思った俺はアストレア様を元気づけるように力強く言った。
「いえいえ。それにそんな大変な事情を知ったら放っておくなんて出来ませんよ。俺も皆も出来る限り協力します!」
すると不安そうだったアストレア様の顔がみるみる明るくなっていく。
後ろにいた皆も俺の言葉に同調して集まってくる。
俺は間違ってなかった!
その後自分が勇者であると分かって、同じ勇者同士の一宮さん、江川と一緒一緒に他の皆とは別の区画の部屋に通された。
一宮さんの事は一年の時から見てたから、今近くに居られる事がこの上なく嬉しい。
でも江川と話した記憶はほとんどない。
一年の頃から、大体一宮さんの側に居るのを見かける。
出身の中学が一緒だったらしい、といつか英二に聞いた。
同中だからって一宮さんといつも一緒に居られるのは羨ましすぎる。
もう一人、この二人の間に居た気がするが、顔も名前も出てこないから多分気のせいだ。
そんな事を考えていると、この部屋で待たされてもう一時間近く経過していた。
とうとうしびれを切らした一宮さんが江川に八つ当たりしだした。
江川はそんな彼女を嗜めるように言葉を返していたが、聞く耳を持たずに部屋から出て行こうとした。
だが次の瞬間江川が出した「そうた」という名前にその動きを止め、ガタガタと震えだした。
その「そうた」とかいう奴に怒られた時の事を思い出したらしい。
江川も若干震えている。
「頼むから戻ってくれ」と懇願した江川の言葉を聞き入れ、素直に椅子に座り直した一宮さん。
「そうた」って誰だ?
…てか俺、さっきから会話に入れてない…
二人にガン無視されてる。
俺、空気じゃね?
勇者なのに…
俺はちょっと泣きそうになった。
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