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閑話
閑話 幼なじみのそうた君 前編
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颯太、綾乃、大輝の幼馴染み三人の過去の話です。
綾乃視点にしています。
_________________________________
私の名前は一宮綾乃、五歳。
私は今、剣道の試合で知り合った立花颯太君と、颯太のお友達で、先日お友達になった江川大輝君と一緒に遊んでいるの。
今日はお父さんもお母さんも出かけていてつまらないから、お家から抜け出して公園に来たらたまたま会えた。
颯太君はこの前の剣道の試合で優勝していて凄いなって思った。
それがきっかけで話しかけて、お友達になる事が出来た。
お家の関係で、あまりお友達がいなかった私はとっても嬉しくて毎日遊びたいくらいだけど、なんでかお父さんとお母さんに「あまり他所の子とは遊んじゃいけませんよ」と言われていてとても悲しい。
なんで駄目なのって聞いても難しい事ばっかり言って。
きっとお父さん達は、私の事嫌いなんだ…
「あやのちゃん?どうしたの?」
「…えっ?」
「さっきからボーッとしてるぞ?だいじょぶか」
「……おとうさんとおかあさんがね…そうたくんやだいきくんと、あんまりあそんじゃダメだって…わたし、かなしくて…」
「なんで!?いいじゃんべつに!」
「…なにか、りゆうがあるの?」
「分かんないけど…「まきこんじゃうから」とか「おそとはあぶないから」とか…」
その時だった。
突然黒いパーカーと黒い帽子にマスクをした男の人が三人、公園の入り口に止められた車から降りて近づいてきた。
颯太君はそれを見るなり立ち上がって私達の手を引いた。
「あやのちゃん、だいきくん、もうかえらないといけないじかんじゃない?」
「「え?」」
「はやくいこう。おとうさんたちにおこられちゃうよ」
まだまだお外は明るいし、門限までかなりの時間があった。
なんで颯太君は、いきなりこんな事を言い出すのか分からなかった。
それでも何か焦っているのは見ていて分かったから、袖を引っ張って急かしてくる颯太君に素直を従って腕を引かれるまま走り出した。
大輝君も何が何だか分からないって言う顔をしていて二人して顔を見合わせた。
「ねえそうたくん、どうしたの?わたしまだ、じかんだいじょうぶだよ?」
「おれのいえにいこう」
「どうしたんだよ、そうた。おまえおかしいぞ!」
この時の颯太君はいつになく真剣な顔をしてて、ちょっとドキッとした。
なんかカッコいいなぁ、って思った。
「さっきこうえんにはいってきたひとたち、あやしいんだ」
「こうえんにはいってきたひとたち?」
「あやしいってどういうことだ?」
「たぶんだけど…あやのちゃんをねらってる」
「わたし?なんで…」
「…あやのちゃんのおうち、おかねもちでしょ?たぶんあやのちゃんをゆうかいして、おとうさんたちからおかねをとったりして、りようするきだよ」
「「!?」」
「じゃあ、なんでおれたちまでいっしょににげるんだよ!」
「さっきまでいっしょにあそんでたろ?おれたちもねらわれるかもしれないんだ」
颯太君のこの言葉で、私はようやくお父さん達の言っていた事の意味が分かった。
颯太が言ったみたいな人達がお外にはいるかも知れないから、それにお友達を巻き込んでしまうから…
私は、皆に迷惑かけちゃうんだ。
「とにかく、しんようできるおとなのひとのところにいくんだ。そうすれば、わるいひとたちはあきらめてくれるはずだよ」
そう言って三人で次の角を曲がろうとした時、突然物陰から男の人が出てきて私達に話しかけてきた。
「やあ、はじめまして。君、一宮綾乃ちゃんだよね?あっちで君のお父さんが呼んでたよ」
「おとうさんが?」
「うん。さ、オジさんと一緒に行こう。お友達はちょっと待っててね」
「…え、えっと…」
「だいじょうぶだよオジさん!」
「え」
「ぼくたちがあやのちゃんを、おとうさんのところにつれていくから!ぼく、あやのちゃんのおかあさんにたのまれてたんだ!いこう、あやのちゃん!」
颯太君はそう言って、私を引っ張って強引にオジさんを追い越した。
大輝君は少し遅れて私達についてくる。
私、そんな話知らない。
お母さんに頼まれていたなんて聞いてない!
「そうたくん!そんなのわたし、しらないよ!」
私は颯太君の腕を振り払って、オジさんの所に戻っていった。
「あやのちゃん!」
「おとなのひとといっしょなら、わるいひとたちはおってこないっていったの、そうたくんじゃない。オジさんはおとなだからだいじょうぶ…」
「だめだ!そのひとからはなれて!」
「えっ…!?」
いきなり後ろから、大きな手で口を塞がれて身体を持ち上げられる。
何?何が起こったの?
颯太君も大輝君も焦った顔で、口々に私の名前を呼ぶ。
「「あやのちゃん!!」」
「手間かけさせやがって…このガキが」
荒々しい口調で吐き捨てるのは、さっきお父さんが呼んでいるって言ってたオジさんだった。
私は突然の事で、一瞬何が何だか分からなくってとても怖かった。
でもさっきの颯太君の言葉を思い出して、このオジさんも悪い人達の仲間なんだって理解する事が出来た。
「ん! ん~!ん~!」
(いや!こわい!たすけて!)
「おい!あやのちゃんをはなせ!」
大輝君が飛びかかろうとするのを、颯太君が止めて真っ直ぐオジサンを鋭い目つきで見据えた。
「やっぱり、オジさんもさっきのわるいひとたちのなかまだったんだね」
「そこのガキ、少しは頭が回るようだな。さっきの作戦が失敗したのもお前のせいか。でも大人しくしろよ。これが見えねぇのか?」
オジさんはポケットから取り出した小さなナイフを私に突きつけてきた。
「ん~!」
(いやぁ!)
「あやのちゃん!」
大輝君の焦った声が聞こえた。
私はとっても怖くて逃げ出したかった。
なんで私がこんな目に合うの?
私が何したっていうの!
だんだん涙が溢れてきた。
その時、颯太君がさっきとは打って変わって優しい顔と声色で言ってくれた。
「あやのちゃん、だいじょうぶだよ。そのナイフはあやのちゃんにはとどかないし、すぐにたすけてあげるから」
次の瞬間、颯太君の姿がぶれて見えなくなった。
「なんだ!?あのガキどこ行きやがった!?」
今度はオジさんの焦った声が聞こえてきて、凄い音と共に身体が揺れた。
バキャン!
「ぎゃあ!」
「「!?」」
(そうた…くん?)
さっきまで目の前に居た筈の颯太君がすぐ近くに居て、オジさんの顔ぐらいの高さに飛び上がっていた。
しかも飛び蹴りの姿勢だ。
颯太君がオジさんを蹴り飛ばしたんだとすぐ分かった。
オジさんの拘束から逃れた私の身体が勢いよく宙に飛ばされる。
落ちる。
直感的にそう感じて私は堅く目を瞑った。
でも叩きつけられて身体に受ける筈の衝撃は、いつまで待ってもこなかった。
恐る恐る目を開けると、さっきよりも近くに颯太君の顔があった。
「!?」
「ね?だいじょうぶだったでしょ?」
明るく言って眩しい笑顔を向けてくれる颯太君。
颯太君に抱きとめられているんだと気付いて、私は顔が真っ赤になった。
助かったんだ。
颯太君が助けてくれた。
安心したのも束の間、蹴り飛ばされて倒れていたオジさんが立ち上がっていた。
「~!このガキが!良い気になるなよ!」
さっきのナイフを颯太君に突きつけて襲い掛かってくる。
「だいき!あやのをたのむ!」
「き、きゃあああ!」
「うわっ!」
颯太が突然の事に放心して固まってる大輝君に向かって叫び、私の身体を投げた。
大輝君はしっかり受け止めてくれたけど、衝撃でバランスを崩して倒れてしまった。
すぐさま起き上がって颯太君の方を見ると、今まさにオジさんが颯太君をナイフで刺そうとしていた。
「「そうたくん‼」」
綾乃視点にしています。
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私の名前は一宮綾乃、五歳。
私は今、剣道の試合で知り合った立花颯太君と、颯太のお友達で、先日お友達になった江川大輝君と一緒に遊んでいるの。
今日はお父さんもお母さんも出かけていてつまらないから、お家から抜け出して公園に来たらたまたま会えた。
颯太君はこの前の剣道の試合で優勝していて凄いなって思った。
それがきっかけで話しかけて、お友達になる事が出来た。
お家の関係で、あまりお友達がいなかった私はとっても嬉しくて毎日遊びたいくらいだけど、なんでかお父さんとお母さんに「あまり他所の子とは遊んじゃいけませんよ」と言われていてとても悲しい。
なんで駄目なのって聞いても難しい事ばっかり言って。
きっとお父さん達は、私の事嫌いなんだ…
「あやのちゃん?どうしたの?」
「…えっ?」
「さっきからボーッとしてるぞ?だいじょぶか」
「……おとうさんとおかあさんがね…そうたくんやだいきくんと、あんまりあそんじゃダメだって…わたし、かなしくて…」
「なんで!?いいじゃんべつに!」
「…なにか、りゆうがあるの?」
「分かんないけど…「まきこんじゃうから」とか「おそとはあぶないから」とか…」
その時だった。
突然黒いパーカーと黒い帽子にマスクをした男の人が三人、公園の入り口に止められた車から降りて近づいてきた。
颯太君はそれを見るなり立ち上がって私達の手を引いた。
「あやのちゃん、だいきくん、もうかえらないといけないじかんじゃない?」
「「え?」」
「はやくいこう。おとうさんたちにおこられちゃうよ」
まだまだお外は明るいし、門限までかなりの時間があった。
なんで颯太君は、いきなりこんな事を言い出すのか分からなかった。
それでも何か焦っているのは見ていて分かったから、袖を引っ張って急かしてくる颯太君に素直を従って腕を引かれるまま走り出した。
大輝君も何が何だか分からないって言う顔をしていて二人して顔を見合わせた。
「ねえそうたくん、どうしたの?わたしまだ、じかんだいじょうぶだよ?」
「おれのいえにいこう」
「どうしたんだよ、そうた。おまえおかしいぞ!」
この時の颯太君はいつになく真剣な顔をしてて、ちょっとドキッとした。
なんかカッコいいなぁ、って思った。
「さっきこうえんにはいってきたひとたち、あやしいんだ」
「こうえんにはいってきたひとたち?」
「あやしいってどういうことだ?」
「たぶんだけど…あやのちゃんをねらってる」
「わたし?なんで…」
「…あやのちゃんのおうち、おかねもちでしょ?たぶんあやのちゃんをゆうかいして、おとうさんたちからおかねをとったりして、りようするきだよ」
「「!?」」
「じゃあ、なんでおれたちまでいっしょににげるんだよ!」
「さっきまでいっしょにあそんでたろ?おれたちもねらわれるかもしれないんだ」
颯太君のこの言葉で、私はようやくお父さん達の言っていた事の意味が分かった。
颯太が言ったみたいな人達がお外にはいるかも知れないから、それにお友達を巻き込んでしまうから…
私は、皆に迷惑かけちゃうんだ。
「とにかく、しんようできるおとなのひとのところにいくんだ。そうすれば、わるいひとたちはあきらめてくれるはずだよ」
そう言って三人で次の角を曲がろうとした時、突然物陰から男の人が出てきて私達に話しかけてきた。
「やあ、はじめまして。君、一宮綾乃ちゃんだよね?あっちで君のお父さんが呼んでたよ」
「おとうさんが?」
「うん。さ、オジさんと一緒に行こう。お友達はちょっと待っててね」
「…え、えっと…」
「だいじょうぶだよオジさん!」
「え」
「ぼくたちがあやのちゃんを、おとうさんのところにつれていくから!ぼく、あやのちゃんのおかあさんにたのまれてたんだ!いこう、あやのちゃん!」
颯太君はそう言って、私を引っ張って強引にオジさんを追い越した。
大輝君は少し遅れて私達についてくる。
私、そんな話知らない。
お母さんに頼まれていたなんて聞いてない!
「そうたくん!そんなのわたし、しらないよ!」
私は颯太君の腕を振り払って、オジさんの所に戻っていった。
「あやのちゃん!」
「おとなのひとといっしょなら、わるいひとたちはおってこないっていったの、そうたくんじゃない。オジさんはおとなだからだいじょうぶ…」
「だめだ!そのひとからはなれて!」
「えっ…!?」
いきなり後ろから、大きな手で口を塞がれて身体を持ち上げられる。
何?何が起こったの?
颯太君も大輝君も焦った顔で、口々に私の名前を呼ぶ。
「「あやのちゃん!!」」
「手間かけさせやがって…このガキが」
荒々しい口調で吐き捨てるのは、さっきお父さんが呼んでいるって言ってたオジさんだった。
私は突然の事で、一瞬何が何だか分からなくってとても怖かった。
でもさっきの颯太君の言葉を思い出して、このオジさんも悪い人達の仲間なんだって理解する事が出来た。
「ん! ん~!ん~!」
(いや!こわい!たすけて!)
「おい!あやのちゃんをはなせ!」
大輝君が飛びかかろうとするのを、颯太君が止めて真っ直ぐオジサンを鋭い目つきで見据えた。
「やっぱり、オジさんもさっきのわるいひとたちのなかまだったんだね」
「そこのガキ、少しは頭が回るようだな。さっきの作戦が失敗したのもお前のせいか。でも大人しくしろよ。これが見えねぇのか?」
オジさんはポケットから取り出した小さなナイフを私に突きつけてきた。
「ん~!」
(いやぁ!)
「あやのちゃん!」
大輝君の焦った声が聞こえた。
私はとっても怖くて逃げ出したかった。
なんで私がこんな目に合うの?
私が何したっていうの!
だんだん涙が溢れてきた。
その時、颯太君がさっきとは打って変わって優しい顔と声色で言ってくれた。
「あやのちゃん、だいじょうぶだよ。そのナイフはあやのちゃんにはとどかないし、すぐにたすけてあげるから」
次の瞬間、颯太君の姿がぶれて見えなくなった。
「なんだ!?あのガキどこ行きやがった!?」
今度はオジさんの焦った声が聞こえてきて、凄い音と共に身体が揺れた。
バキャン!
「ぎゃあ!」
「「!?」」
(そうた…くん?)
さっきまで目の前に居た筈の颯太君がすぐ近くに居て、オジさんの顔ぐらいの高さに飛び上がっていた。
しかも飛び蹴りの姿勢だ。
颯太君がオジさんを蹴り飛ばしたんだとすぐ分かった。
オジさんの拘束から逃れた私の身体が勢いよく宙に飛ばされる。
落ちる。
直感的にそう感じて私は堅く目を瞑った。
でも叩きつけられて身体に受ける筈の衝撃は、いつまで待ってもこなかった。
恐る恐る目を開けると、さっきよりも近くに颯太君の顔があった。
「!?」
「ね?だいじょうぶだったでしょ?」
明るく言って眩しい笑顔を向けてくれる颯太君。
颯太君に抱きとめられているんだと気付いて、私は顔が真っ赤になった。
助かったんだ。
颯太君が助けてくれた。
安心したのも束の間、蹴り飛ばされて倒れていたオジさんが立ち上がっていた。
「~!このガキが!良い気になるなよ!」
さっきのナイフを颯太君に突きつけて襲い掛かってくる。
「だいき!あやのをたのむ!」
「き、きゃあああ!」
「うわっ!」
颯太が突然の事に放心して固まってる大輝君に向かって叫び、私の身体を投げた。
大輝君はしっかり受け止めてくれたけど、衝撃でバランスを崩して倒れてしまった。
すぐさま起き上がって颯太君の方を見ると、今まさにオジさんが颯太君をナイフで刺そうとしていた。
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