74 / 90
第73話 強化イベント
しおりを挟む
「うふふふ……。さあナオヤ様、素直に直結致しましょうね」
なんて言うヴァイダと共に、ゼアルとアウロラが俺にせまってくる。この見覚えしかない光景を前に……。
「ヴァイダさん、だから言い方! ただ単に二人が加護を授けてくれるってだけでしょ!!」
魔王の魂を運ぶ任務は過酷を極める。
魔族から襲撃されるのは当然として、それ以外にも色々と想定しきれないような危険があるはずだ。
それらから身を守るためには、特にゼアルの守りが必須なのだが、離れていては守りの力なんて届きっこない。だから加護を、という話になったのだが……。
「そうは仰いますがナオヤ様。自らの魂の一部をナオヤ様に分け、ぐちゃぐちゃのドロドロに混ぜ合ってしまうのですよ? それはもう性交よりも凄い交わりなのでございますから、この程度の言い方などむしろ生ぬるいくらいなのですよ」
天使と人間とは感性の違いもあるだろう。ゼアルの表情を見れば、相当に緊張している事が分かるため、恐らくそうなのかもしれなかった。
「ちなみに私は研究の為、研究員全員に加護を授けておりますので、最早やりまくりのビッチですね」
「そんな恥ずかしがるような事でないならわざわざいやらしい言い方する必要なくね!?」
「そこは私の趣味にございます」
相変わらずのヴァイダ節が炸裂し、俺は思わず肩をこけさせてしまった。
ただ、あまり大したことが無いとヴァイダが言う割にはゼアルは異常に緊張している。俺にはそれが不思議でならなかった。
「どうした、ゼアル」
「な、なんでもねえよっ」
ゼアルは頬を紅潮させ、唇を引き結んでいる為、どう見ても何かある。
もしかして本当に物理的に直結するのかな、なんてちょっと期待してしまって……。つい、ヴァイダは思考が読める事を失念してしまっていた。
「ゼアルさんは加護を与えるのが初めてだから緊張しているのですよ。ナオヤ様は相変わらずドスケベでございますね。肉体同士の直結を想像なさるなんて」
「うぐっ」
「ナオヤのえっち!」
「おまっ、オレが緊張してただけでそんな事思ってやがったのかよ!」
女性陣からの非難が痛い……。
はい、ごめんなさいスケベです。でも男だから仕方ないだろ!? なんてのは逆切れか。
よし、素数を数えて心を落ち着けて……もう変な事は考えない。賢者モードだ。
行くぞっ。
「ちなみに魂を混ぜるのですから、意識を高ぶらせながら酩酊状態になる性交は、手段としても理にかなっているのでございますよ」
「だから言わないでくれぇっ!!」
もう思考がピンク一色に染まっちゃうだろ!
ちくしょう、ゼアルは普段から露出が高い服装だってのに……。
可愛いおヘソとかシミ一つない肌とか眩しい肩だとかの健康的なエロスがマジヤバいんだって。
以前まではアウロラは小さい、平たいで安全圏だったのに、そういう対象で見られてるって分かってからアウロラが安全じゃなくなっちゃったんだよォォ。
くぅっ、こういう時は……よし、ガンダルフ王の筋肉を思い浮かべればいいな。
マッチョ……ムキムキ……。おーけー、どんどん萎えて来たぞ。
もう何を言われても俺の思考にはこの筋肉がある。絶対エロい方向に流されないからな。
「騒いだかと思ったらしゃがみ込んでブツブツ呟いてからまた騒ぐって、危ない人みたいだよ、ナオヤ」
「絶対ヴァイダさんのせいだからな」
アウロラにきっぱりと言い返してから立ち上がると、ゼアルを正面から見据える。
今度はさすがにヴァイダもからかってきたりはしなかったので、ようやく進められそうだった。
「よし、やろう。俺は何をすればいいんだ?」
「そのまま立ってりゃいい」
「分かった」
分かったと言いつつ俺の頭は筋肉一色である。
他の事を考える余地を残してしまえば確実に18歳未満はお断りな思考に支配されてしまいそうだった。
そんな俺の思考などつゆ知らず、ゼアルは俺の前に立つと、赤い顔のまま「いくぞ」と言って――。
「なっ――」
俺に抱き着いて来た。
しかも普通の抱き着き方とは違って、胸と胸を擦りつけるようにしてくるのだ。
俺は必死で筋肉筋肉と脳内で唱え続けるが、ゼアルの柔らかさとか体温とか臭いとかもうたまらなくて……。
「なるべく心を空っぽにしろよ」
無理です。
「じゃあ、行くぞ」
いくとか言わないでください別の事を想像してしまいます。
ぷすっとヴァイダさんが噴き出すのが聞こえる。きっと俺の思考を笑われたのだろうが……。
仕方ないだろ! 彼女居ない歴イコール年齢で、キスもまともにした事が無い童貞なんだから免疫力ゼロなんだよ!
……あ、今のでちょっと頭冷えたかも。
なんて事をやっているうちに、だんだんと不思議な光がゼアルから沸き上がって来て、俺を包み込んでくる。
目の前に居る少女だけが視界の中を占め、それ以外の物が全て遠くに行ってしまう様な感覚に陥ってしまう。ゼアルが触れている感覚も、嗅覚も、全てがゼアル一人の事だけに支配されているような感じがして……。
暖かい光に包まれながら、俺の意識は可愛い守護天使に吸い込まれるように消えて行ってしまった。
「…………あ」
いつの間に俺は眠ってしまっていたのだろう。アウロラとゼアルが使っている寝具の中で目を覚ました。
窓から見える景色は暗く、かなり長い時間意識を失っていた様だ。
少し重さを感じる体に喝を入れながら起き上がると――。
「起きたか」
「のようですね」
部屋の隅に据え付けられた机と椅子に座り、将棋をさしていた二人の守護天使がこちらへ顔を向けた。
「あれ?」
俺と彼女たちの距離は遠い。だというのに、何故か息遣いまで聞こえて来そうなぐらい、二人を傍に感じられる。
特にゼアルなんかは今でも抱き着かれているのかと勘違いしてしまいそうなほど近くに。
「それが魂を混ぜた状態です。それでナオヤ様は、私とゼアルさん、二人の力の一端を扱う事が出来る様になりました」
「つってもほんの少しだけどな。人間にオレらの力はでかすぎる」
「具体的にはどんな力なんだ?」
手を握ったり開いたりしてみるが、ほとんど何も変わらない。体内の魔力が少し増えた様な気がするが、そんな劇的に増えたという感じもしなかった。
「普通なら魔法・魔術的な攻撃に対して抵抗、防御力が上がるだけだな」
肩を竦めてこともなげにゼアルが言う。
……それってもしかしなくても今までのと同じ?
「その通りでございます。ですからゼアルさんは誰にも加護を与えたことがございませんでした」
なるほど。近づいて直接バリア張ればいいだけだもんな。あの光の膜みたいなので覆われたらだいぶ長い時間守ってもらえるみたいだったし。
でも、これからはそうもいかないからこうして加護をつけたと。
「ちなみに私の加護は、魔術の制御力や魔力そのものの増加です。そちらは今も感じられると思いますよ?」
「ああ、それは何となく分かった」
「ナオヤ様は三重魔術まで操れるとの事でしたので、四重か五重程度は補助式無しで操れるようになったのではないでしょうか」
「へー」
そりゃすごいな……っと、そう言えばアウロラはどこだ?
ふといつも共に居てくれる少女の事に思い至り、部屋の中を見回すと……。
「んー……」
もぞもぞっと、俺の腰辺りで何かが動いた。
そうだ。確か俺は、少し体が重いなって感じて――。
「ねむ……ひ……」
「あう――!」
驚いた俺は思わず大声を上げそうになったのだが、素早く自身の手で自らの口を覆う。行き場を失った息が喉の奥で爆発し、焼ける様な痛みを生む。
そんな俺の様子をヴァイダはおかしそうに眺めながら、
「私達は心で繋がりましたが、アウロラ様はそうではありませんので、この際体の方で繋がってみてはと思いまして……」
なんて悪戯っぽく笑う。
まったく、余計なお世話だっ。
アウロラが同じ布団で寝てたってのは驚いたけど、さすがに慌てふためくほどではない、かな。まだ心臓がバクバクいってるけど。
「残念です」
俺の反応がおかしかったのか、ヴァイダはくすくすと笑い……やがて笑いを納めると、相変わらず楽しそうな顔で、
「それではナオヤ様。この加護を受けたナオヤ様にしか出来ない実験に付き合ってくださいますか? 試したい魔術がございますので」
なんて言ってきて、俺はやっぱりヴァイダさんだなぁ、というため息しか出てこなかった。
なんて言うヴァイダと共に、ゼアルとアウロラが俺にせまってくる。この見覚えしかない光景を前に……。
「ヴァイダさん、だから言い方! ただ単に二人が加護を授けてくれるってだけでしょ!!」
魔王の魂を運ぶ任務は過酷を極める。
魔族から襲撃されるのは当然として、それ以外にも色々と想定しきれないような危険があるはずだ。
それらから身を守るためには、特にゼアルの守りが必須なのだが、離れていては守りの力なんて届きっこない。だから加護を、という話になったのだが……。
「そうは仰いますがナオヤ様。自らの魂の一部をナオヤ様に分け、ぐちゃぐちゃのドロドロに混ぜ合ってしまうのですよ? それはもう性交よりも凄い交わりなのでございますから、この程度の言い方などむしろ生ぬるいくらいなのですよ」
天使と人間とは感性の違いもあるだろう。ゼアルの表情を見れば、相当に緊張している事が分かるため、恐らくそうなのかもしれなかった。
「ちなみに私は研究の為、研究員全員に加護を授けておりますので、最早やりまくりのビッチですね」
「そんな恥ずかしがるような事でないならわざわざいやらしい言い方する必要なくね!?」
「そこは私の趣味にございます」
相変わらずのヴァイダ節が炸裂し、俺は思わず肩をこけさせてしまった。
ただ、あまり大したことが無いとヴァイダが言う割にはゼアルは異常に緊張している。俺にはそれが不思議でならなかった。
「どうした、ゼアル」
「な、なんでもねえよっ」
ゼアルは頬を紅潮させ、唇を引き結んでいる為、どう見ても何かある。
もしかして本当に物理的に直結するのかな、なんてちょっと期待してしまって……。つい、ヴァイダは思考が読める事を失念してしまっていた。
「ゼアルさんは加護を与えるのが初めてだから緊張しているのですよ。ナオヤ様は相変わらずドスケベでございますね。肉体同士の直結を想像なさるなんて」
「うぐっ」
「ナオヤのえっち!」
「おまっ、オレが緊張してただけでそんな事思ってやがったのかよ!」
女性陣からの非難が痛い……。
はい、ごめんなさいスケベです。でも男だから仕方ないだろ!? なんてのは逆切れか。
よし、素数を数えて心を落ち着けて……もう変な事は考えない。賢者モードだ。
行くぞっ。
「ちなみに魂を混ぜるのですから、意識を高ぶらせながら酩酊状態になる性交は、手段としても理にかなっているのでございますよ」
「だから言わないでくれぇっ!!」
もう思考がピンク一色に染まっちゃうだろ!
ちくしょう、ゼアルは普段から露出が高い服装だってのに……。
可愛いおヘソとかシミ一つない肌とか眩しい肩だとかの健康的なエロスがマジヤバいんだって。
以前まではアウロラは小さい、平たいで安全圏だったのに、そういう対象で見られてるって分かってからアウロラが安全じゃなくなっちゃったんだよォォ。
くぅっ、こういう時は……よし、ガンダルフ王の筋肉を思い浮かべればいいな。
マッチョ……ムキムキ……。おーけー、どんどん萎えて来たぞ。
もう何を言われても俺の思考にはこの筋肉がある。絶対エロい方向に流されないからな。
「騒いだかと思ったらしゃがみ込んでブツブツ呟いてからまた騒ぐって、危ない人みたいだよ、ナオヤ」
「絶対ヴァイダさんのせいだからな」
アウロラにきっぱりと言い返してから立ち上がると、ゼアルを正面から見据える。
今度はさすがにヴァイダもからかってきたりはしなかったので、ようやく進められそうだった。
「よし、やろう。俺は何をすればいいんだ?」
「そのまま立ってりゃいい」
「分かった」
分かったと言いつつ俺の頭は筋肉一色である。
他の事を考える余地を残してしまえば確実に18歳未満はお断りな思考に支配されてしまいそうだった。
そんな俺の思考などつゆ知らず、ゼアルは俺の前に立つと、赤い顔のまま「いくぞ」と言って――。
「なっ――」
俺に抱き着いて来た。
しかも普通の抱き着き方とは違って、胸と胸を擦りつけるようにしてくるのだ。
俺は必死で筋肉筋肉と脳内で唱え続けるが、ゼアルの柔らかさとか体温とか臭いとかもうたまらなくて……。
「なるべく心を空っぽにしろよ」
無理です。
「じゃあ、行くぞ」
いくとか言わないでください別の事を想像してしまいます。
ぷすっとヴァイダさんが噴き出すのが聞こえる。きっと俺の思考を笑われたのだろうが……。
仕方ないだろ! 彼女居ない歴イコール年齢で、キスもまともにした事が無い童貞なんだから免疫力ゼロなんだよ!
……あ、今のでちょっと頭冷えたかも。
なんて事をやっているうちに、だんだんと不思議な光がゼアルから沸き上がって来て、俺を包み込んでくる。
目の前に居る少女だけが視界の中を占め、それ以外の物が全て遠くに行ってしまう様な感覚に陥ってしまう。ゼアルが触れている感覚も、嗅覚も、全てがゼアル一人の事だけに支配されているような感じがして……。
暖かい光に包まれながら、俺の意識は可愛い守護天使に吸い込まれるように消えて行ってしまった。
「…………あ」
いつの間に俺は眠ってしまっていたのだろう。アウロラとゼアルが使っている寝具の中で目を覚ました。
窓から見える景色は暗く、かなり長い時間意識を失っていた様だ。
少し重さを感じる体に喝を入れながら起き上がると――。
「起きたか」
「のようですね」
部屋の隅に据え付けられた机と椅子に座り、将棋をさしていた二人の守護天使がこちらへ顔を向けた。
「あれ?」
俺と彼女たちの距離は遠い。だというのに、何故か息遣いまで聞こえて来そうなぐらい、二人を傍に感じられる。
特にゼアルなんかは今でも抱き着かれているのかと勘違いしてしまいそうなほど近くに。
「それが魂を混ぜた状態です。それでナオヤ様は、私とゼアルさん、二人の力の一端を扱う事が出来る様になりました」
「つってもほんの少しだけどな。人間にオレらの力はでかすぎる」
「具体的にはどんな力なんだ?」
手を握ったり開いたりしてみるが、ほとんど何も変わらない。体内の魔力が少し増えた様な気がするが、そんな劇的に増えたという感じもしなかった。
「普通なら魔法・魔術的な攻撃に対して抵抗、防御力が上がるだけだな」
肩を竦めてこともなげにゼアルが言う。
……それってもしかしなくても今までのと同じ?
「その通りでございます。ですからゼアルさんは誰にも加護を与えたことがございませんでした」
なるほど。近づいて直接バリア張ればいいだけだもんな。あの光の膜みたいなので覆われたらだいぶ長い時間守ってもらえるみたいだったし。
でも、これからはそうもいかないからこうして加護をつけたと。
「ちなみに私の加護は、魔術の制御力や魔力そのものの増加です。そちらは今も感じられると思いますよ?」
「ああ、それは何となく分かった」
「ナオヤ様は三重魔術まで操れるとの事でしたので、四重か五重程度は補助式無しで操れるようになったのではないでしょうか」
「へー」
そりゃすごいな……っと、そう言えばアウロラはどこだ?
ふといつも共に居てくれる少女の事に思い至り、部屋の中を見回すと……。
「んー……」
もぞもぞっと、俺の腰辺りで何かが動いた。
そうだ。確か俺は、少し体が重いなって感じて――。
「ねむ……ひ……」
「あう――!」
驚いた俺は思わず大声を上げそうになったのだが、素早く自身の手で自らの口を覆う。行き場を失った息が喉の奥で爆発し、焼ける様な痛みを生む。
そんな俺の様子をヴァイダはおかしそうに眺めながら、
「私達は心で繋がりましたが、アウロラ様はそうではありませんので、この際体の方で繋がってみてはと思いまして……」
なんて悪戯っぽく笑う。
まったく、余計なお世話だっ。
アウロラが同じ布団で寝てたってのは驚いたけど、さすがに慌てふためくほどではない、かな。まだ心臓がバクバクいってるけど。
「残念です」
俺の反応がおかしかったのか、ヴァイダはくすくすと笑い……やがて笑いを納めると、相変わらず楽しそうな顔で、
「それではナオヤ様。この加護を受けたナオヤ様にしか出来ない実験に付き合ってくださいますか? 試したい魔術がございますので」
なんて言ってきて、俺はやっぱりヴァイダさんだなぁ、というため息しか出てこなかった。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる