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「すまねぇな、もう店はーーどうしたんだその格好は!」
「ごめん時間がないだからはや……
目の前で少女が倒れた。
脈を確認したが脈はある。
玄関先に少女を野放しにしておくわけにもいかないので店の奥、自分の部屋に入れ、寝かせておいた。
彼女はその夜を跨ぎ次の日に目覚めた。
「…ん…。」
「起きたか?」
「…ここは?」
「俺の店の中だ。昨日、玄関先で倒れただろ?」
「ごめんなさい、迷惑かけた?」
「いや、どちらかというと店の前に倒れたままでいられる方が迷惑だった。」
彼女はふふと優しい目で笑った。
「ところで名前は?」
「わからない。本当の名前は。私はゼロと言われてる。」
「本当の名前?」
「私、一回記憶を失って、その前の記憶がない。だから本当の名前はわからない。」
「なんか大変だな。じゃあ、あの鎌は?」
「殺した、何人かここに来る前に?」
「こっ…殺した…のか?」
「なんでそんなに驚く?普通のことでしょ?」
そうか、忘れていた。ここは異世界。されどこんな少女が殺しを?残酷な世界だな。
「そう…なのか。ここ数年、武器を作って、売る。それだけの生活だったからな。平和ボケしてたみたいだ。」
「そう。ところで鎌はどこに?」
「ほら、直しておいたぞ。あとついでにその服も。」
「ありがと……ん?」
「なんだ?どうかしたか?」
「もしかして……脱がした?」
「んなわけあるか!俺のスキルだ。物を触れることで修復できる。何っていったっけな。
あっ…そうだ。〝結合〟だっけ?」
「〝結合〟…?うーん、聞いたことない。」
「何せ、雑魚スキルらしいからな。戦闘に向かんし、こんなものにしか使えねえよ。でお前についていくつか聞いてもいいか?まがいなりとも助けたんだしいいだろ。」
「いいよ。助けもらったのはありがたいし
」
「じゃあ、一問目だ。ここまで何しに来たんだ?」
「逃げてきた。」
「逃げてきた…?それってどういう?」
「その前にあなた、王国を知ってる?」
「ああ、知ってる。ちょっと昔にはあそこに住んでたんだ。」
「昔ってどれくらい昔?」
「ちょうど二年前ぐらいだな。」
「二年前…ってことは崩壊前…。なら話す。でもその前に今王国がどうなってるか知ってる?」
「知らないな。俺は剣を作って売ることしかこの2年してこなかったし、こっから出てないからな。」
「本当に知らないんだ…。今、王国は地獄。」
「なんだ地獄って?」
「王国の財政は苦しく、民には重い税が与えられた。その辛い生活の中で王国内は終末思想に溢れていた。王国民はその謀りきれない不安を解消するために革命を始めた。それに巻き込まれ国王は死んだ。またそれにより国王が変わり、幹部や組織自体が変わってしまった。生贄を捧げることで民は救われるとデマが周り、拷問、虐殺が黙認化された。」
「なんだそれは?嘘だろ!だってここはこんなになんともないぞ。」
「それはそうだよ。ここは通称最初の村、言い換えると最弱の村。こんなとこまで情報は回らないし、来る者もいない。」
「最弱の村なのかここは?」
「知らないで住んでたの?」
「ああ、たまたまここにこう来て暮らしてるだけだからな。通りで全然売れないわけだ。」
「話を戻すね。私は今の王国を変えたい。だから同じ意志を持つ仲間と王国街の隠れ家に潜み、王国と戦ってた。でも隠れ家がバレ、逃げるしかなかった。だからここまできた。ここは多分安全だろうから。」
「なるほどな。」
「だから休んでいる暇はない。仲間を探さないといけない…」
「その同じ意志を持つ仲間ってやつか?」
「そう。5人いるの。ここに来る前にリスクを減らすため、各村に分かれて逃げた。だからまず探さないといけない。」
「そこであなたに手伝ってほしい。」
「死ぬか?それ。」
「死ぬかもしれない…。」
「なら却下。」
「でも私が守る。もう二度と失いたくない。」
「どうせ断っても無駄だろうし、いいよ。」
「…ありがとう!」
二日後に西にある町、イエスタに向けて出発した。
店には一応、「少しの間休業します。」と張り紙を貼っておいた。
「ごめん時間がないだからはや……
目の前で少女が倒れた。
脈を確認したが脈はある。
玄関先に少女を野放しにしておくわけにもいかないので店の奥、自分の部屋に入れ、寝かせておいた。
彼女はその夜を跨ぎ次の日に目覚めた。
「…ん…。」
「起きたか?」
「…ここは?」
「俺の店の中だ。昨日、玄関先で倒れただろ?」
「ごめんなさい、迷惑かけた?」
「いや、どちらかというと店の前に倒れたままでいられる方が迷惑だった。」
彼女はふふと優しい目で笑った。
「ところで名前は?」
「わからない。本当の名前は。私はゼロと言われてる。」
「本当の名前?」
「私、一回記憶を失って、その前の記憶がない。だから本当の名前はわからない。」
「なんか大変だな。じゃあ、あの鎌は?」
「殺した、何人かここに来る前に?」
「こっ…殺した…のか?」
「なんでそんなに驚く?普通のことでしょ?」
そうか、忘れていた。ここは異世界。されどこんな少女が殺しを?残酷な世界だな。
「そう…なのか。ここ数年、武器を作って、売る。それだけの生活だったからな。平和ボケしてたみたいだ。」
「そう。ところで鎌はどこに?」
「ほら、直しておいたぞ。あとついでにその服も。」
「ありがと……ん?」
「なんだ?どうかしたか?」
「もしかして……脱がした?」
「んなわけあるか!俺のスキルだ。物を触れることで修復できる。何っていったっけな。
あっ…そうだ。〝結合〟だっけ?」
「〝結合〟…?うーん、聞いたことない。」
「何せ、雑魚スキルらしいからな。戦闘に向かんし、こんなものにしか使えねえよ。でお前についていくつか聞いてもいいか?まがいなりとも助けたんだしいいだろ。」
「いいよ。助けもらったのはありがたいし
」
「じゃあ、一問目だ。ここまで何しに来たんだ?」
「逃げてきた。」
「逃げてきた…?それってどういう?」
「その前にあなた、王国を知ってる?」
「ああ、知ってる。ちょっと昔にはあそこに住んでたんだ。」
「昔ってどれくらい昔?」
「ちょうど二年前ぐらいだな。」
「二年前…ってことは崩壊前…。なら話す。でもその前に今王国がどうなってるか知ってる?」
「知らないな。俺は剣を作って売ることしかこの2年してこなかったし、こっから出てないからな。」
「本当に知らないんだ…。今、王国は地獄。」
「なんだ地獄って?」
「王国の財政は苦しく、民には重い税が与えられた。その辛い生活の中で王国内は終末思想に溢れていた。王国民はその謀りきれない不安を解消するために革命を始めた。それに巻き込まれ国王は死んだ。またそれにより国王が変わり、幹部や組織自体が変わってしまった。生贄を捧げることで民は救われるとデマが周り、拷問、虐殺が黙認化された。」
「なんだそれは?嘘だろ!だってここはこんなになんともないぞ。」
「それはそうだよ。ここは通称最初の村、言い換えると最弱の村。こんなとこまで情報は回らないし、来る者もいない。」
「最弱の村なのかここは?」
「知らないで住んでたの?」
「ああ、たまたまここにこう来て暮らしてるだけだからな。通りで全然売れないわけだ。」
「話を戻すね。私は今の王国を変えたい。だから同じ意志を持つ仲間と王国街の隠れ家に潜み、王国と戦ってた。でも隠れ家がバレ、逃げるしかなかった。だからここまできた。ここは多分安全だろうから。」
「なるほどな。」
「だから休んでいる暇はない。仲間を探さないといけない…」
「その同じ意志を持つ仲間ってやつか?」
「そう。5人いるの。ここに来る前にリスクを減らすため、各村に分かれて逃げた。だからまず探さないといけない。」
「そこであなたに手伝ってほしい。」
「死ぬか?それ。」
「死ぬかもしれない…。」
「なら却下。」
「でも私が守る。もう二度と失いたくない。」
「どうせ断っても無駄だろうし、いいよ。」
「…ありがとう!」
二日後に西にある町、イエスタに向けて出発した。
店には一応、「少しの間休業します。」と張り紙を貼っておいた。
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