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「ライラ様。そちらの毒花は従来のものより毒性を強化し、致死量の2倍となっております。一時的な副作用として強い幻覚や腹痛、吐き気や吐血、痙攣、身体機能の低下が挙げられますが、如何でしょうか。」
隣に控えた研究者は、私たちの食事の邪魔をしないようにそう尋ねてきました。
自分たちの研究の成果を自分の目で確かめたいのでしょう。
私はにこりと微笑むと、口元をナプキンで拭きながら隣に立つ研究者を見上げました。
「前回よりも刺激的で美味しいですわ。それに花の香りが増して食べやすくなっておりますわね。」
「流石ライラ様。その通りでございます。」
確かに前回よりも毒性が強くなったようですが、その分花の匂いも増しています。
味は相変わらず不味いですが…この匂いで補えばそのまま食べるのも楽になるかもしれませんわね。
「私のために態々ありがとうございます。これからも宜しくお願い致しますね。」
「ありがたき幸せで御座います。これからもライラ様の為に精進致します。」
にこりと微笑んでお礼の言葉を口にしました。彼は昔から毒花の虜になっているため、きっとこれからも新しい開発をしてくれることでしょう。
研究者は頬を赤く染めたと思ったら青い顔になり、お辞儀をして逃げるように去っていきました。
ふと視線を戻すと、テオが頬杖を着いてこちらを見ていました。
「ライラねぇは誰にでも人当たりが良すぎだよ。」
「あら、そんなことありませんわよ。」
私が優しく接するのは自分に利のあるものだけですもの。
生憎任務以外でこの屋敷を出たことはありませんけれど、きっと私が大切にするのは家族だけですわ。
それにしても…さっきから口の中が嫌に痛みますわね。
口の中の食べ物に明らかに硬いもの混ざっているようです。
カラン
どうやら口の中に入っていたのは、折られたナイフの欠片だったようです。
おかげで口の中が血だらけになってしまいましたわ。
私の異常に気づいたライアンお兄様は食堂を出て行き、テオとは立ち上がって犯人を見つけようと辺りを見渡しました。
「俺のライラねぇの料理に巫山戯たもんぶち込んだのは何処の誰だよ!!」
あらあらテオったら、口調が悪くなっていますわよ。
それにテオったら、そんな殺気を出していては皆喋ることもできませんわ。使用人達がいくら特殊な訓練を受けているとはいえ、私達とは次元が違うのですから。
口の端から零れた血をナプキンで拭うと、私は静かに笑を貼り付けたまま辺りを見渡しました。
「テオとは大丈夫ですの??」
「ライラねぇは喋らないで!俺が犯人を見つけて死ぬより辛い思いをさせてやる。」
どうやら大丈夫な様ですわね。
となると、これを仕込んだのは花を飾るタイミングということかしら。
犯人として挙げられるのは料理人と研究者ですけれど、研究者は違いますわね。
彼は自身の研究の末、毒花の効果で公爵家とは別に私個人に忠誠を誓っておりますもの。毒花の与える高揚感の中毒になった彼が正気を取り戻したとは思えませんわ。
さて、どうしましょうか…。我が家の家訓は「目には目を歯には歯を」です。やられっぱなしはよろしくありませんものね。
私の毒で麻痺させて自白させようかと思ったとき、ライアンお兄様が1人の料理人の頭を掴んで引き摺ってまいりました。
その料理人は小柄な女性のようで、随分と泣き叫んで抵抗しようとしています。無駄な足掻きですのに。
「こいつが犯人だ。」
ライアン様はそう言ってその女性を床に投げ捨てると、どこからともなく短刀を取り出しました。そしてライアンお兄様の発する威圧感に萎縮してしまった彼女は、そのままゆっくりと首を斬られていきました。
随分と長い時間をかけたせいか、なぜ彼女はこんなことをしたのか、斬られている最中に自分から白状致しました。
曰く、私が以前情報収集のためにパーティーに参加した際、彼女の婚約者が私の発する毒に当てられてずっと私を求めるようになってしまったと。それにより婚約は解消、彼女は愛しい人を失う結果になってしまったと。それなのに私は家族からも大切にされ、屋敷の中で男を取っかえ引っ変えしているのが許せないと。
だから料理人に扮して私を傷つけにやってきたのだという。
口の中を傷つけて、毒を仕込んだ料理で体の内側から傷つけようと。
悲しいお話ですわね。
そんなに強い毒性ではないのに中毒になってしまった婚約者も。
私の武器を知らないがために愚策に終わってしまったあなたも。
「全ては無駄に終わりましたけれど…ここまでよく頑張りましたわね。」
彼女の意識が途切れる瞬間、私はにこりと微笑んでそう伝えました。
彼女は最期に絶望に染った表情をして…この首と体は永遠の別れを告げました。
嗚呼、やはり面白いですわね。今際の際の絶望した顔というものは。悪い癖だとは分かっていますけれど、たまりませんわ。
私が堪えていた笑いを溢れさせている時、ライアンお兄様とテオは死体の処理と料理の交換を指示出ししておりました。
隣に控えた研究者は、私たちの食事の邪魔をしないようにそう尋ねてきました。
自分たちの研究の成果を自分の目で確かめたいのでしょう。
私はにこりと微笑むと、口元をナプキンで拭きながら隣に立つ研究者を見上げました。
「前回よりも刺激的で美味しいですわ。それに花の香りが増して食べやすくなっておりますわね。」
「流石ライラ様。その通りでございます。」
確かに前回よりも毒性が強くなったようですが、その分花の匂いも増しています。
味は相変わらず不味いですが…この匂いで補えばそのまま食べるのも楽になるかもしれませんわね。
「私のために態々ありがとうございます。これからも宜しくお願い致しますね。」
「ありがたき幸せで御座います。これからもライラ様の為に精進致します。」
にこりと微笑んでお礼の言葉を口にしました。彼は昔から毒花の虜になっているため、きっとこれからも新しい開発をしてくれることでしょう。
研究者は頬を赤く染めたと思ったら青い顔になり、お辞儀をして逃げるように去っていきました。
ふと視線を戻すと、テオが頬杖を着いてこちらを見ていました。
「ライラねぇは誰にでも人当たりが良すぎだよ。」
「あら、そんなことありませんわよ。」
私が優しく接するのは自分に利のあるものだけですもの。
生憎任務以外でこの屋敷を出たことはありませんけれど、きっと私が大切にするのは家族だけですわ。
それにしても…さっきから口の中が嫌に痛みますわね。
口の中の食べ物に明らかに硬いもの混ざっているようです。
カラン
どうやら口の中に入っていたのは、折られたナイフの欠片だったようです。
おかげで口の中が血だらけになってしまいましたわ。
私の異常に気づいたライアンお兄様は食堂を出て行き、テオとは立ち上がって犯人を見つけようと辺りを見渡しました。
「俺のライラねぇの料理に巫山戯たもんぶち込んだのは何処の誰だよ!!」
あらあらテオったら、口調が悪くなっていますわよ。
それにテオったら、そんな殺気を出していては皆喋ることもできませんわ。使用人達がいくら特殊な訓練を受けているとはいえ、私達とは次元が違うのですから。
口の端から零れた血をナプキンで拭うと、私は静かに笑を貼り付けたまま辺りを見渡しました。
「テオとは大丈夫ですの??」
「ライラねぇは喋らないで!俺が犯人を見つけて死ぬより辛い思いをさせてやる。」
どうやら大丈夫な様ですわね。
となると、これを仕込んだのは花を飾るタイミングということかしら。
犯人として挙げられるのは料理人と研究者ですけれど、研究者は違いますわね。
彼は自身の研究の末、毒花の効果で公爵家とは別に私個人に忠誠を誓っておりますもの。毒花の与える高揚感の中毒になった彼が正気を取り戻したとは思えませんわ。
さて、どうしましょうか…。我が家の家訓は「目には目を歯には歯を」です。やられっぱなしはよろしくありませんものね。
私の毒で麻痺させて自白させようかと思ったとき、ライアンお兄様が1人の料理人の頭を掴んで引き摺ってまいりました。
その料理人は小柄な女性のようで、随分と泣き叫んで抵抗しようとしています。無駄な足掻きですのに。
「こいつが犯人だ。」
ライアン様はそう言ってその女性を床に投げ捨てると、どこからともなく短刀を取り出しました。そしてライアンお兄様の発する威圧感に萎縮してしまった彼女は、そのままゆっくりと首を斬られていきました。
随分と長い時間をかけたせいか、なぜ彼女はこんなことをしたのか、斬られている最中に自分から白状致しました。
曰く、私が以前情報収集のためにパーティーに参加した際、彼女の婚約者が私の発する毒に当てられてずっと私を求めるようになってしまったと。それにより婚約は解消、彼女は愛しい人を失う結果になってしまったと。それなのに私は家族からも大切にされ、屋敷の中で男を取っかえ引っ変えしているのが許せないと。
だから料理人に扮して私を傷つけにやってきたのだという。
口の中を傷つけて、毒を仕込んだ料理で体の内側から傷つけようと。
悲しいお話ですわね。
そんなに強い毒性ではないのに中毒になってしまった婚約者も。
私の武器を知らないがために愚策に終わってしまったあなたも。
「全ては無駄に終わりましたけれど…ここまでよく頑張りましたわね。」
彼女の意識が途切れる瞬間、私はにこりと微笑んでそう伝えました。
彼女は最期に絶望に染った表情をして…この首と体は永遠の別れを告げました。
嗚呼、やはり面白いですわね。今際の際の絶望した顔というものは。悪い癖だとは分かっていますけれど、たまりませんわ。
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