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一章 遺跡の魔獣
Ⅶ レベル差
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青年が放った炎は女が絶命すると鎮火した。
(あの女の魔力がこの地帯に充満してたのね。あの人の炎は”魔力に反応する炎”だったのかもしれないわ。だから、燃えた範囲がここでとどまった説明がつく。なかなか魔力の使い方が上手い証拠よ。ただの炎なら森に燃え広がるから)
ベルメアの説明を受けても、そんな都合のいい力があるのか? と、ジェイクは内心で疑いが残った。
ジェイクは剣を鞘に納めず青年の元へ歩み寄ると青年は立ち上がった。
「てめえ、一体何者だ?」
剣先を青年へ向けた。
「助けた相手にそれは無いんじゃないですか。僕は貴方と戦う気なんてありませんよ」
ジッと青年の眼を見たジェイクは、敵意を発していないと感じると、剣を鞘へ納めた。
「すまん。込み入った事情で疑り深くなってるんだ」
藪から棒にベルメアが姿を現して命令した。
「とりあえず、その人に触れなさい」
ジェイクが「なんで?」と返すも、説明無く、「いいから」と強く返された。
いきなり触れるのも気恥ずかしく、男色の気があると疑われるのではと悩む。
とりあえず、自然な対応として握手を求めた。
「悪かった。助けてくれた事に感謝する」
青年は手を取るのに警戒するも、視線を逸らし、暫くして「分かった」と呟いた。不自然な言動と素振りにジェイクは違和感を覚えるも、握手した途端に諸々の謎が解明した。
握手を交わした途端、青年の横から少年の風貌をした、ベルメアと同じ色合いの守護神が現れた。
咄嗟に手を離し、距離をとったジェイクは理解した。
「お前、転生者か!?」
驚く一方、ベルメアは胸を張って守護神に近づいた。
「なんで『ビィトラ』がこんな良い転生者に当たるのよ」
守護神ビィトラは、退屈そうな表情のまま答える。
「何を持って”良い”か知らないけど、そっちもそっちで良いんじゃないの?」
どこか素っ気ない態度である。
二柱を他所に、青年はジェイクを見た率直な感想を述べた。
「あなたは”転生者同士の殺し合い”目当てじゃない転生者のようですね。安心しました。自己紹介が遅れました。僕の名は『トウマ』、こっちはビィトラです」
まだ警戒するジェイクに向かって、ビィトラが「自己紹介しない人?」と尋ねた。さすがに先に挨拶する者に対し警戒を貫くのは人としての礼儀に反するので筋を通した。
「ジェイクだ。こいつはベルメアだ」親指を立ててベルメアを指した。
ぶっきらぼうな挨拶が済むと、ベルメアの強引な『森を出て情報を出し合う』という提案を実行する運びとなった。
女の魔力が潰えたからか、弱小魔獣すら帰路に現れなかった。
淡々と一行が森を出る最中、どうしても聞きたい衝動にかられたジェイクはトウマに訊いた。
「なんで怪我人治療してすぐに森へ来たんだ? ずっと怪我人診てると思ったのに」
「あの人が、森で液体のような化け物に襲われて、仲間が化け物になったって怯えながら教えてくれたんです。到着した時、丁度ジェイクさんが大技かましてた所でして」
ビィトラが続きを説明した。
「君がどういった人物か分かんないから、暫く観察するようにビィが命令したんだよ。敵になるような奴だったら助けない方がいいからねぇ」
「賢明ね。あたしでもそうする」
ベルメアの言葉を聞いたジェイクは視線を向けた。
「お前、どっちの味方だよ」
「”あたしでも”って言ったでしょ。現場を見てどう行動するか”守護神として決める”って話よ。あたし達守護神は転生者が死んだら終わりなんだから」
黙って頷くジェイクが納得すると、今度はトウマが質問した。
「ジェイクさんのアレ、何ですか? 転生してそんなに日が経ってないと思うんですけど、かなり強い技持ってません? 結構前に転生したとか?」
先にベルメアが答える。「転生日に数日の誤差があっても、あんな特殊な力が特権として無いわ」
「正直、俺もよく分からんままで使ってるが、ベルと相談していざって時に使うようにしてる。俺の前世であった力に似てるから関係してるのかもな」
ビィトラが首を傾げた。
「……ステータスボード見りゃ分かるじゃん」
ジェイクとベルメアがビィトラとトウマへ真顔を向けた。
「壊した」
「壊された」
同時の返答に、トウマとビィトラも目を見開いて同じように驚いた。
「――ええぇ!? なんで壊すんですか!」
トウマの反応にベルメアが腕を組み、しみじみと頷く。
「分かる。分かるよぉ……。驚きますわよね。けど本当なんですよ」
「うるせぇ、過ぎた事をほじくり返すな!」
これ以上しつこいと、烙印技で切りつけるだろうと案じ、ステータスボード崩壊については触れないでいた。
「俺はやたら烙印の力が目立つだけで身体的な力は全然弱い。強い技って点じゃ、トウマも強力な術、使い熟してただろ。同じ転生者でどうしてこうも差ができんだ?」
視線をベルメアへ向けるも、答えたのはビィトラであった。
「トウマは二階層だから理解も要領もいいんだよ。だからレベル上げにサクサク励んでくれたんだ」
「はぁ!? ズルくねぇか!」
ベルメアへ訊くも、羨ましそうな想いの籠った表情で頷き、感想のような言葉が返される。
「いい、ジェイク。これが二階層よ。神の言葉を理解し、素直に従い、しっかり励む。それが真の守護神と転生者の間柄なのよ」
「おめぇだってドベ神じゃねえか」
ベルメアの表情が険しく変わる。
「ドベって言うなぁぁ!」
二人のやり取りをトウマは苦笑いを浮かべて見るも、少し羨ましくも思えた。
「ねぇトウマ、なにその顔」
若干の怒りが籠るベルメアは目を見開いて訊く。その様子が妙に怖い。
「ご、ごめん。なんか楽しそうでいいなぁって思って」
「はぁ!?」
「はぁ!?」
ジェイクとベルメアは同時に返した。
一方で、ビィトラは進行方向を指差した。
「息ぴったしのとこ邪魔して悪いけど」
同時に睨むも、ビィトラは気にしないで続ける。
「外出るから近くの平地で休みながら話しようよ。転生者は腹減ったら動けなくなるんだし」
仕方なく、指示に従った。
町と森の間の見晴らしの良い平地に腰かけるとビィトラが話した。
「さっき、話が逸れちゃったから言えなかったけど、トウマは要領はいいけどかなり衝動的だったり感情的に動く所あるから見てて危なっかしいよ」
トウマが「やめろって」と止めるも、「事実じゃん」と素っ気なく返された。
「どういう事? 森での助太刀なんて見事な頃合いだったと思うわよ」
「あれはビィが言ったんだよ。本当ならもっと早くに突っ走りかけてたし、あの大技だって考えなしだよ。炎放った時点で急激な魔力消費の反動で身体動けなくなるし」
「うるさいなぁ」
まともな話をしているが、まるで理解が及ばずついていけないジェイクはベルメアに事情を求めた。
魔力を術として使える者は、レベルに見合った魔力消費を気にしなければならない。消費量が著しく大きい術を使おうものなら内蔵されている魔力が一気に抜けてしまうため、身体の均衡が崩れて動けなくなる。その上でかなり強力な術を使おうとすれば死に至る。
「あんたは剣士だから消耗した体力がどれ程かって体感で度々分かるけど、術師は無理をすれば反動が来るのよ」
「反動もなにも、あんな強ぇ術二回も使えて生きてるって、相当強いって証拠だろ。お前レベル幾つだ?」
トウマはステータスボードを出現させた。
「さっきの戦闘で22になった」
ベルメアは勿論だが、ジェイクは落胆の意が現れる程に驚いた。
「何をどうしたらそれだけレベル上がんだよ!」ベルメアへ必死な形相を向けた。「俺、ぜってぇ20越えしてんじゃねえのか! この板無いだけで、今朝の経過報告の時に主神に聞けば分かったんじゃねぇのか!」
「あんた、神々なめんじゃないわよ! 一応、20に達したかどうかなんて、向こうに戻ったらすぐに分かるんだから! あんたは20に達してない! そうよね!」
急にトウマへ振られ、その気迫に圧されて戸惑うも、ビィトラが耳元で告げた。
「相手のステータスを見れって事だよ」
「けど、僕全て分かる程強くなってないよ」
「レベルだけ知りたいんだろうから、問題ないよ」
仕方なくトウマはステータスボードの上辺をジェイクへ向けて調べた。
ステータスボードには相手のステータスを知る術がある。これは転生者のレベルにより情報量が決められる。尚、今のトウマが得られる情報量は少ない。
ジェイクの名前、性別、職業、年齢、レベルが表示され、レベルが8と分かる。
ジェイクとベルメアの表情は固まった。しかし、先の戦闘からこのレベルに違和感を覚えたトウマは疑念を抱く。その様子すら気づかず、ジェイクは落胆する。
「……おいおいおいおい……おいおいおいおい! どうなってんだよベル! なんでこんなに低いんだよ!」
「こっちが知りたいわよ! なに? あんた成長遅い体質でもあんの?! 最初に出くわしたブーガとか、絶対レベル5から8相当じゃない! それを三体倒して、色々依頼熟して、液体女倒してこの結果。絶対あり得ない事よ! 酒場で破廉恥な話しに感けてレベル下げたんじゃないの!」
「情報収集に最適な話術だから関係ねぇだろ!」
言い合う二人を他所に、トウマは一つの可能性を導き出した。
「もしかしたら、烙印が影響してるんじゃないでしょうか」
ジェイクとベルメアはトウマに目を向ける。
ビィトラもトウマと同じ疑問を抱いた。
「確かに、トドメ刺したのに8ってのは変だ。それにこのレベルで渡り合えること自体が考えられないし」
「僕は大技の連続で身体が動かなくなったけど、ジェイクさんは烙印技を使って平然としてましたし……今まで技を使って動けなくなったことあります?」
「いや、なんとも」
少ない情報量からの結論は、『烙印技は別の意図が存在する』と、漠然としたものであった。
「でもどうするトウマ。この人と行動するの?」
ビィトラは成長の遅いジェイクとの同行を快く思っていない。
「あら、うちのジェイクに不満でもあるのかしら。数値は低いけど、うちの子は色々凄いんだから」
「いつてめぇの子になったよ」
そんなボヤキも無視され、ベルメアとビィトラは話を続く。
「だって、レベル20に固執してるよね、さっきから。ステータスボードの破壊や色んな情報に疎いのにレベル20目指すって言ったら、受肉目当てじゃないの」
見事に図星を突かれ、ジェイクとベルメアは表情に出るも、すぐに平静を装い立て直した。
「ええ。受肉して、他の転生者に対抗する転生者。それがうちのジェイクよ! 受肉に烙印技。うちの子の特性よ!」
もう、苦しい言い訳でしかなく、ビィトラにため息を吐かせてしまう。
「トウマ、考え直したほうが良いと僕は思うよ」
「それは、試してみてからだよ」徐に立ち上がる。「ジェイクさん、烙印ってまだ持ってますか?」
ジェイクが右手を見ると、無意識に採っていた烙印が記されていた。
「少し試したい事があります。付き合っていただけませんか?」
何をするかはさっぱりだっが、ここで治癒術を使える転生者を逃すまいとジェイクは従った。
(あの女の魔力がこの地帯に充満してたのね。あの人の炎は”魔力に反応する炎”だったのかもしれないわ。だから、燃えた範囲がここでとどまった説明がつく。なかなか魔力の使い方が上手い証拠よ。ただの炎なら森に燃え広がるから)
ベルメアの説明を受けても、そんな都合のいい力があるのか? と、ジェイクは内心で疑いが残った。
ジェイクは剣を鞘に納めず青年の元へ歩み寄ると青年は立ち上がった。
「てめえ、一体何者だ?」
剣先を青年へ向けた。
「助けた相手にそれは無いんじゃないですか。僕は貴方と戦う気なんてありませんよ」
ジッと青年の眼を見たジェイクは、敵意を発していないと感じると、剣を鞘へ納めた。
「すまん。込み入った事情で疑り深くなってるんだ」
藪から棒にベルメアが姿を現して命令した。
「とりあえず、その人に触れなさい」
ジェイクが「なんで?」と返すも、説明無く、「いいから」と強く返された。
いきなり触れるのも気恥ずかしく、男色の気があると疑われるのではと悩む。
とりあえず、自然な対応として握手を求めた。
「悪かった。助けてくれた事に感謝する」
青年は手を取るのに警戒するも、視線を逸らし、暫くして「分かった」と呟いた。不自然な言動と素振りにジェイクは違和感を覚えるも、握手した途端に諸々の謎が解明した。
握手を交わした途端、青年の横から少年の風貌をした、ベルメアと同じ色合いの守護神が現れた。
咄嗟に手を離し、距離をとったジェイクは理解した。
「お前、転生者か!?」
驚く一方、ベルメアは胸を張って守護神に近づいた。
「なんで『ビィトラ』がこんな良い転生者に当たるのよ」
守護神ビィトラは、退屈そうな表情のまま答える。
「何を持って”良い”か知らないけど、そっちもそっちで良いんじゃないの?」
どこか素っ気ない態度である。
二柱を他所に、青年はジェイクを見た率直な感想を述べた。
「あなたは”転生者同士の殺し合い”目当てじゃない転生者のようですね。安心しました。自己紹介が遅れました。僕の名は『トウマ』、こっちはビィトラです」
まだ警戒するジェイクに向かって、ビィトラが「自己紹介しない人?」と尋ねた。さすがに先に挨拶する者に対し警戒を貫くのは人としての礼儀に反するので筋を通した。
「ジェイクだ。こいつはベルメアだ」親指を立ててベルメアを指した。
ぶっきらぼうな挨拶が済むと、ベルメアの強引な『森を出て情報を出し合う』という提案を実行する運びとなった。
女の魔力が潰えたからか、弱小魔獣すら帰路に現れなかった。
淡々と一行が森を出る最中、どうしても聞きたい衝動にかられたジェイクはトウマに訊いた。
「なんで怪我人治療してすぐに森へ来たんだ? ずっと怪我人診てると思ったのに」
「あの人が、森で液体のような化け物に襲われて、仲間が化け物になったって怯えながら教えてくれたんです。到着した時、丁度ジェイクさんが大技かましてた所でして」
ビィトラが続きを説明した。
「君がどういった人物か分かんないから、暫く観察するようにビィが命令したんだよ。敵になるような奴だったら助けない方がいいからねぇ」
「賢明ね。あたしでもそうする」
ベルメアの言葉を聞いたジェイクは視線を向けた。
「お前、どっちの味方だよ」
「”あたしでも”って言ったでしょ。現場を見てどう行動するか”守護神として決める”って話よ。あたし達守護神は転生者が死んだら終わりなんだから」
黙って頷くジェイクが納得すると、今度はトウマが質問した。
「ジェイクさんのアレ、何ですか? 転生してそんなに日が経ってないと思うんですけど、かなり強い技持ってません? 結構前に転生したとか?」
先にベルメアが答える。「転生日に数日の誤差があっても、あんな特殊な力が特権として無いわ」
「正直、俺もよく分からんままで使ってるが、ベルと相談していざって時に使うようにしてる。俺の前世であった力に似てるから関係してるのかもな」
ビィトラが首を傾げた。
「……ステータスボード見りゃ分かるじゃん」
ジェイクとベルメアがビィトラとトウマへ真顔を向けた。
「壊した」
「壊された」
同時の返答に、トウマとビィトラも目を見開いて同じように驚いた。
「――ええぇ!? なんで壊すんですか!」
トウマの反応にベルメアが腕を組み、しみじみと頷く。
「分かる。分かるよぉ……。驚きますわよね。けど本当なんですよ」
「うるせぇ、過ぎた事をほじくり返すな!」
これ以上しつこいと、烙印技で切りつけるだろうと案じ、ステータスボード崩壊については触れないでいた。
「俺はやたら烙印の力が目立つだけで身体的な力は全然弱い。強い技って点じゃ、トウマも強力な術、使い熟してただろ。同じ転生者でどうしてこうも差ができんだ?」
視線をベルメアへ向けるも、答えたのはビィトラであった。
「トウマは二階層だから理解も要領もいいんだよ。だからレベル上げにサクサク励んでくれたんだ」
「はぁ!? ズルくねぇか!」
ベルメアへ訊くも、羨ましそうな想いの籠った表情で頷き、感想のような言葉が返される。
「いい、ジェイク。これが二階層よ。神の言葉を理解し、素直に従い、しっかり励む。それが真の守護神と転生者の間柄なのよ」
「おめぇだってドベ神じゃねえか」
ベルメアの表情が険しく変わる。
「ドベって言うなぁぁ!」
二人のやり取りをトウマは苦笑いを浮かべて見るも、少し羨ましくも思えた。
「ねぇトウマ、なにその顔」
若干の怒りが籠るベルメアは目を見開いて訊く。その様子が妙に怖い。
「ご、ごめん。なんか楽しそうでいいなぁって思って」
「はぁ!?」
「はぁ!?」
ジェイクとベルメアは同時に返した。
一方で、ビィトラは進行方向を指差した。
「息ぴったしのとこ邪魔して悪いけど」
同時に睨むも、ビィトラは気にしないで続ける。
「外出るから近くの平地で休みながら話しようよ。転生者は腹減ったら動けなくなるんだし」
仕方なく、指示に従った。
町と森の間の見晴らしの良い平地に腰かけるとビィトラが話した。
「さっき、話が逸れちゃったから言えなかったけど、トウマは要領はいいけどかなり衝動的だったり感情的に動く所あるから見てて危なっかしいよ」
トウマが「やめろって」と止めるも、「事実じゃん」と素っ気なく返された。
「どういう事? 森での助太刀なんて見事な頃合いだったと思うわよ」
「あれはビィが言ったんだよ。本当ならもっと早くに突っ走りかけてたし、あの大技だって考えなしだよ。炎放った時点で急激な魔力消費の反動で身体動けなくなるし」
「うるさいなぁ」
まともな話をしているが、まるで理解が及ばずついていけないジェイクはベルメアに事情を求めた。
魔力を術として使える者は、レベルに見合った魔力消費を気にしなければならない。消費量が著しく大きい術を使おうものなら内蔵されている魔力が一気に抜けてしまうため、身体の均衡が崩れて動けなくなる。その上でかなり強力な術を使おうとすれば死に至る。
「あんたは剣士だから消耗した体力がどれ程かって体感で度々分かるけど、術師は無理をすれば反動が来るのよ」
「反動もなにも、あんな強ぇ術二回も使えて生きてるって、相当強いって証拠だろ。お前レベル幾つだ?」
トウマはステータスボードを出現させた。
「さっきの戦闘で22になった」
ベルメアは勿論だが、ジェイクは落胆の意が現れる程に驚いた。
「何をどうしたらそれだけレベル上がんだよ!」ベルメアへ必死な形相を向けた。「俺、ぜってぇ20越えしてんじゃねえのか! この板無いだけで、今朝の経過報告の時に主神に聞けば分かったんじゃねぇのか!」
「あんた、神々なめんじゃないわよ! 一応、20に達したかどうかなんて、向こうに戻ったらすぐに分かるんだから! あんたは20に達してない! そうよね!」
急にトウマへ振られ、その気迫に圧されて戸惑うも、ビィトラが耳元で告げた。
「相手のステータスを見れって事だよ」
「けど、僕全て分かる程強くなってないよ」
「レベルだけ知りたいんだろうから、問題ないよ」
仕方なくトウマはステータスボードの上辺をジェイクへ向けて調べた。
ステータスボードには相手のステータスを知る術がある。これは転生者のレベルにより情報量が決められる。尚、今のトウマが得られる情報量は少ない。
ジェイクの名前、性別、職業、年齢、レベルが表示され、レベルが8と分かる。
ジェイクとベルメアの表情は固まった。しかし、先の戦闘からこのレベルに違和感を覚えたトウマは疑念を抱く。その様子すら気づかず、ジェイクは落胆する。
「……おいおいおいおい……おいおいおいおい! どうなってんだよベル! なんでこんなに低いんだよ!」
「こっちが知りたいわよ! なに? あんた成長遅い体質でもあんの?! 最初に出くわしたブーガとか、絶対レベル5から8相当じゃない! それを三体倒して、色々依頼熟して、液体女倒してこの結果。絶対あり得ない事よ! 酒場で破廉恥な話しに感けてレベル下げたんじゃないの!」
「情報収集に最適な話術だから関係ねぇだろ!」
言い合う二人を他所に、トウマは一つの可能性を導き出した。
「もしかしたら、烙印が影響してるんじゃないでしょうか」
ジェイクとベルメアはトウマに目を向ける。
ビィトラもトウマと同じ疑問を抱いた。
「確かに、トドメ刺したのに8ってのは変だ。それにこのレベルで渡り合えること自体が考えられないし」
「僕は大技の連続で身体が動かなくなったけど、ジェイクさんは烙印技を使って平然としてましたし……今まで技を使って動けなくなったことあります?」
「いや、なんとも」
少ない情報量からの結論は、『烙印技は別の意図が存在する』と、漠然としたものであった。
「でもどうするトウマ。この人と行動するの?」
ビィトラは成長の遅いジェイクとの同行を快く思っていない。
「あら、うちのジェイクに不満でもあるのかしら。数値は低いけど、うちの子は色々凄いんだから」
「いつてめぇの子になったよ」
そんなボヤキも無視され、ベルメアとビィトラは話を続く。
「だって、レベル20に固執してるよね、さっきから。ステータスボードの破壊や色んな情報に疎いのにレベル20目指すって言ったら、受肉目当てじゃないの」
見事に図星を突かれ、ジェイクとベルメアは表情に出るも、すぐに平静を装い立て直した。
「ええ。受肉して、他の転生者に対抗する転生者。それがうちのジェイクよ! 受肉に烙印技。うちの子の特性よ!」
もう、苦しい言い訳でしかなく、ビィトラにため息を吐かせてしまう。
「トウマ、考え直したほうが良いと僕は思うよ」
「それは、試してみてからだよ」徐に立ち上がる。「ジェイクさん、烙印ってまだ持ってますか?」
ジェイクが右手を見ると、無意識に採っていた烙印が記されていた。
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