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一章 出会いと適正
2 煙管を吸う男
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モルドは汽車に乗り二つ先の駅で降りた。
駅から一直線に続く公道を歩くと、海沿いの崖と砂浜に面した街に辿り着いた。
木造家屋が建ち並ぶ区画と煉瓦塀の家屋が並ぶ区画が、町の入口から海に直結する大通りを境に分けられていた。
不思議な街の様式に感動したモルドは、煉瓦塀側の商店街に立ち寄ると、デビッド=ホークスの所在地を訪ねた。
『変わり者』と、訊く人訊く人が口にするデビッドの居場所は、街外れの石積みの家屋に住んでいるという。
同居人は美人の使用人が住み込みでいるというが、二人は恋人同士ではないとされる。
さらなる情報では、デビッドは放浪癖があり前日や二日前の予約は出来ない場合が多い。
情報を元に、モルドは一度大通りまで出て街を囲う外壁沿いに西へ進むと、十分ほど歩いた所で左の方に目を向けた。すると、林の中に石塀の家屋らしきものを発見した。
街中の家屋の形と違い、その家屋は円筒形の建造物に大岩がのめり込むような作りであり、天井は半円形をしていた。
造りとしては、大岩さえも外壁であり家具としても用いるため、大岩にへばりつくように建てたと思われる。
外壁にはつる草や、地面近くの石には苔が蔓延っている。
「すいませーん。どなたかいらっしゃいますか」
呼び鈴となる物がなく、ドアを軽く叩いた。
暫くしてから「はーい」と女性の声で返され、間もなく扉が開いた。
出て来た女性はモルドより背が高く、白銀の肩までの長さの滑らかでサラサラの髪、色白の肌に海のように青い瞳。
噂通りの美女に、モルドは言葉を失い見惚れた。
「あの、どちら様で?」
訊かれて我に返った。
「あ、ごめんなさい。僕、モルド=ルーカスといいます」
用事を説明する前に言葉が定まらず、返答に戸惑い沈黙してしまった。
「本日はなにも予約を頂いてませんので、奇文関連でしたら――」
「――あ、違います。僕は骨董品修復師のケビン=アルバーの遣いで参りました」
肩掛け鞄から遣いの手紙を取り出し、女性に手渡した。
女性は手紙を確認すると、軽く握った手の、人差し指の第二関節部分を口元に当てた。
「あの……なにか?」
「いえ。この御方からは手紙が届く予定があるとホークス様は仰ってまして、手紙の配達人と話があるようなことを言ってたのですが……」
「どうかしたのですか?」
「いえ、ホークス様は昨日から所用で出ておりまして」
本当に予約を入れないと会えないのだと分かった。
「帰る日取りとかは分からないのですか?」
「今回は遠征ですが本日中には帰ってくるとは思いますが、そのままどこかへ向かうかもしれませんし、もしかしたら帰宅は明日になるかもしれません」
「そうですか」と呟きながら周囲を見渡すも、偶然出会うなどという事も無く、手紙を渡せば終わりと思っていた。
手紙をモルド自身が面と向かってデビッド=ホークスに渡さなければ、ケビンとの約束を破ってしまう。
「では、明日また来ます。何時くらいでしたら宜しいでしょうか」
「午後三時前後でしたら確実かと……。もしそれでもまだでしたら、中でお待ちいただいても構いませんので」
お礼の言葉を告げると、モルドは家を後にした。
このままケビン宅へ戻るには時間が掛かりすぎてしまうため、街で宿を取る事にした。
街へ着くと、木造建築側の宿を探した。理由は金額。石積み側は安い宿泊場所は全て埋まっていて、木造建築側しか残っていなかった。
なぜこのような事が起こるかというと、明後日は石積み側の広場で演奏会が行われるため、行きも帰りも楽な宿が相次いで埋まったという。
午後二時半。
宿を取ったモルドは、荷物を置いて街がどういうところか探索に赴いた。
街に出て一番気になったのは、大通りを真っ直ぐ進むと辿り着く浜辺である。
故郷やケビンの下で働きだしてからも、”海”というものをを見たことが無く、新鮮な思いと初めての興奮で向かう足取りが早足になっていた。
浜辺へ到達したモルドは、眼前に広がる雄大な海原に心奪われた。
潮の匂い、空と海の境である直線が水平線、一切止まることのない何処が起こしている場所か分からない波。
砂浜に出ても発見の連続である。
軽く足が沈み歩きにくい砂の大地、裸足で歩くと熱く波打ち際に近づくと冷たくなる。所々細かなゴミや、流木、干からびたり湿った海藻などがそこかしこにある。
街の探索が海に心奪われるあまり、辺りが仄かな朱色に染まる頃、他を探索しようと靴を履き街へ戻った。
浜辺から大通りに入ってすぐ左に、"風景を眺める人用"に設けられた長椅子が乱雑に五台設けられ、その一つに、えんじ色のボサボサした髪、半袖シャツの上着、紳士服用のズボンを履いた男性が珍しい物を吸い、煙を吐いていた。
穏やかな陽光を浴び、寛ぐ姿が様になっている男性も印象的な雰囲気であったが、何よりも男性の吸っている物が気になってしまい、すぐにその場を立ち去れなかった。
「ん? どうした?」
男性が話しかけきてモルドは焦った。喧嘩を売ってると思われるのを恐れ、即座に謝った。
「あ、すいません。珍しい物を吸っているなと思いまして」
「ああ。こいつか? これは煙管(きせる)といって、遙か西北、山と海を越えた国の民族が愛用している煙草だ。吸う仕草に惚れてね、ついつい愛用している」
男性は懐から小さな黒い円筒形の箱を取り出し、火皿の中の灰をその中に入れた。
「君、ここの人間じゃないね」
「え、どうして……」
けして理由を訊きたいがためにそう言葉にしたのではなく、不意にそう返してしまった。
「少し君が砂浜で興奮する所が目に入ってな。余程海が珍しいような印象だった。君は十代後半から二十代になったかならないか位の外見。それで海が珍しいというのはおかしいだろ?」
単純な推理だが、何処か男性から魅力的な印象を受けた。
「あ、はい。地元は【イルギテ】で、今日初めてここへ来ました」
「旅行かい?」
「いえ、仕事で」
男性は火皿の熱が冷めたのを触れて確認すると、煙管用に作ったベストの内ポケットに入れ、立ち上がった。
「失礼、初対面で踏み込んだ質問をし過ぎた」
「いえ、そんな事は……」
「君がここを初めてというなら、美術館は行ったことが?」
それは、モルドの中でいくつかある一度は行ってみたい場所の一つである。
モルドは頭を左右に振った。
「もし時間があるというなら行ってみるといい。俺はこれから所用で行くが、君も行ってみるか?」
「あ、いえ。お金が無くて」
「ん? 入館料は700オールだ。名産品の詰め合わせ一箱よりかは……まあ、100オールだが安いぞ」
「いや、無駄な金は使わないって……そんなとこです」
男性は溜息を吐き、頭を掻いた。
「その考えは改めた方がいいぞ若いの」モルドに向き直った。「自らの経験の糧となるなら、犯罪以外は経験した方がいい。その為の出費は無駄ではない。真に無駄なのは、快楽に溺れ依存した、何一つ身にならん出費だ」
モルドは返す言葉が浮かばない。
「美術館は観るだけだ。見識も広がるし、何かしらの発見もあるかもしれない。何も得られないかもしれないが、ああいった畏まった場所ではどのように振る舞えばいいか、それだけでも勉強になる」
そこまで言われると、行かなければと思い、決意した。
「あ、やっぱり行きます。一緒に行ってもいいですか?」
「おや、いいのかい? 仕事は?」
「仕事は明日なんですよ。だから時間は余ってて」
「そうか。では行こうとしよう」
美術館まではそれ程遠くなく、石積み煉瓦塀側の街を向くと、すぐ視界に入る巨大な尖塔が束になったような建物がそうだと男性に教えられ、そこに近づくにつれて興奮が治まらなかった。
「さて、辿り着いた」
美術館前でモルドは館を見上げ、圧巻の思いである。
尖塔一本一本の外壁に緻密な模様の彫刻が施され、それが石積みの建造物だと判明した時、これが人の作る建造物かと驚きを隠せない。加えて、夕陽の光と影で迫力が強調させた。
「外観はいつでも見れるから、早く中へ入ろうではないか」
モルドは先に進む男性について行き、入口で入館料を支払った。
一方、男性は仕事で訪れたため、必要書類への署名をした。
中へ入ると、床は大理石が敷き詰められ、更に中へ入ると赤い絨毯が床一面を覆っている。
天井は高く、民家のような平面ではなく、弧を描いた造りである。
「すごい。ランプもなにも無いのに、こんなに明るいのですか?」
「ああ、硝子と鏡の反射を利用した構造だからな。天井、壁、あちこちに反射物をはめた窓や、鏡の飾りがそこかしこにあるだろ?」
窓は四角や丸だけではなく、何かの形を象ったものや、色の違う硝子を切り取り、それ等を合わせて模様を描いた硝子も大窓として備えられている。
「ステンドグラスというらしい。――失礼、俺はこれから仕事へ向かい、そのまま帰るが、君は入館料を支払ったのだ。心行くまで満喫するといい」
「あ、はい。有難うごさいました」
少し声が大きくなり、男性はすかさず人差し指を立てて口元に当てた。
「こういった芸術作品を観賞する場所では静かに見て回るのが礼儀だ。覚えておくと良い」
モルドは周囲を見回し、恥ずかしくなって小声で返事した。
「では」男性は手を上げて去っていった。
髪型からだらしなさを印象させたが、それ以外は紳士的で頼もしく魅力的な男性であった。
良い出会いを果たしたモルドは、心置きなく作品観賞を堪能し、興奮治まらないまま宿へと帰った。
駅から一直線に続く公道を歩くと、海沿いの崖と砂浜に面した街に辿り着いた。
木造家屋が建ち並ぶ区画と煉瓦塀の家屋が並ぶ区画が、町の入口から海に直結する大通りを境に分けられていた。
不思議な街の様式に感動したモルドは、煉瓦塀側の商店街に立ち寄ると、デビッド=ホークスの所在地を訪ねた。
『変わり者』と、訊く人訊く人が口にするデビッドの居場所は、街外れの石積みの家屋に住んでいるという。
同居人は美人の使用人が住み込みでいるというが、二人は恋人同士ではないとされる。
さらなる情報では、デビッドは放浪癖があり前日や二日前の予約は出来ない場合が多い。
情報を元に、モルドは一度大通りまで出て街を囲う外壁沿いに西へ進むと、十分ほど歩いた所で左の方に目を向けた。すると、林の中に石塀の家屋らしきものを発見した。
街中の家屋の形と違い、その家屋は円筒形の建造物に大岩がのめり込むような作りであり、天井は半円形をしていた。
造りとしては、大岩さえも外壁であり家具としても用いるため、大岩にへばりつくように建てたと思われる。
外壁にはつる草や、地面近くの石には苔が蔓延っている。
「すいませーん。どなたかいらっしゃいますか」
呼び鈴となる物がなく、ドアを軽く叩いた。
暫くしてから「はーい」と女性の声で返され、間もなく扉が開いた。
出て来た女性はモルドより背が高く、白銀の肩までの長さの滑らかでサラサラの髪、色白の肌に海のように青い瞳。
噂通りの美女に、モルドは言葉を失い見惚れた。
「あの、どちら様で?」
訊かれて我に返った。
「あ、ごめんなさい。僕、モルド=ルーカスといいます」
用事を説明する前に言葉が定まらず、返答に戸惑い沈黙してしまった。
「本日はなにも予約を頂いてませんので、奇文関連でしたら――」
「――あ、違います。僕は骨董品修復師のケビン=アルバーの遣いで参りました」
肩掛け鞄から遣いの手紙を取り出し、女性に手渡した。
女性は手紙を確認すると、軽く握った手の、人差し指の第二関節部分を口元に当てた。
「あの……なにか?」
「いえ。この御方からは手紙が届く予定があるとホークス様は仰ってまして、手紙の配達人と話があるようなことを言ってたのですが……」
「どうかしたのですか?」
「いえ、ホークス様は昨日から所用で出ておりまして」
本当に予約を入れないと会えないのだと分かった。
「帰る日取りとかは分からないのですか?」
「今回は遠征ですが本日中には帰ってくるとは思いますが、そのままどこかへ向かうかもしれませんし、もしかしたら帰宅は明日になるかもしれません」
「そうですか」と呟きながら周囲を見渡すも、偶然出会うなどという事も無く、手紙を渡せば終わりと思っていた。
手紙をモルド自身が面と向かってデビッド=ホークスに渡さなければ、ケビンとの約束を破ってしまう。
「では、明日また来ます。何時くらいでしたら宜しいでしょうか」
「午後三時前後でしたら確実かと……。もしそれでもまだでしたら、中でお待ちいただいても構いませんので」
お礼の言葉を告げると、モルドは家を後にした。
このままケビン宅へ戻るには時間が掛かりすぎてしまうため、街で宿を取る事にした。
街へ着くと、木造建築側の宿を探した。理由は金額。石積み側は安い宿泊場所は全て埋まっていて、木造建築側しか残っていなかった。
なぜこのような事が起こるかというと、明後日は石積み側の広場で演奏会が行われるため、行きも帰りも楽な宿が相次いで埋まったという。
午後二時半。
宿を取ったモルドは、荷物を置いて街がどういうところか探索に赴いた。
街に出て一番気になったのは、大通りを真っ直ぐ進むと辿り着く浜辺である。
故郷やケビンの下で働きだしてからも、”海”というものをを見たことが無く、新鮮な思いと初めての興奮で向かう足取りが早足になっていた。
浜辺へ到達したモルドは、眼前に広がる雄大な海原に心奪われた。
潮の匂い、空と海の境である直線が水平線、一切止まることのない何処が起こしている場所か分からない波。
砂浜に出ても発見の連続である。
軽く足が沈み歩きにくい砂の大地、裸足で歩くと熱く波打ち際に近づくと冷たくなる。所々細かなゴミや、流木、干からびたり湿った海藻などがそこかしこにある。
街の探索が海に心奪われるあまり、辺りが仄かな朱色に染まる頃、他を探索しようと靴を履き街へ戻った。
浜辺から大通りに入ってすぐ左に、"風景を眺める人用"に設けられた長椅子が乱雑に五台設けられ、その一つに、えんじ色のボサボサした髪、半袖シャツの上着、紳士服用のズボンを履いた男性が珍しい物を吸い、煙を吐いていた。
穏やかな陽光を浴び、寛ぐ姿が様になっている男性も印象的な雰囲気であったが、何よりも男性の吸っている物が気になってしまい、すぐにその場を立ち去れなかった。
「ん? どうした?」
男性が話しかけきてモルドは焦った。喧嘩を売ってると思われるのを恐れ、即座に謝った。
「あ、すいません。珍しい物を吸っているなと思いまして」
「ああ。こいつか? これは煙管(きせる)といって、遙か西北、山と海を越えた国の民族が愛用している煙草だ。吸う仕草に惚れてね、ついつい愛用している」
男性は懐から小さな黒い円筒形の箱を取り出し、火皿の中の灰をその中に入れた。
「君、ここの人間じゃないね」
「え、どうして……」
けして理由を訊きたいがためにそう言葉にしたのではなく、不意にそう返してしまった。
「少し君が砂浜で興奮する所が目に入ってな。余程海が珍しいような印象だった。君は十代後半から二十代になったかならないか位の外見。それで海が珍しいというのはおかしいだろ?」
単純な推理だが、何処か男性から魅力的な印象を受けた。
「あ、はい。地元は【イルギテ】で、今日初めてここへ来ました」
「旅行かい?」
「いえ、仕事で」
男性は火皿の熱が冷めたのを触れて確認すると、煙管用に作ったベストの内ポケットに入れ、立ち上がった。
「失礼、初対面で踏み込んだ質問をし過ぎた」
「いえ、そんな事は……」
「君がここを初めてというなら、美術館は行ったことが?」
それは、モルドの中でいくつかある一度は行ってみたい場所の一つである。
モルドは頭を左右に振った。
「もし時間があるというなら行ってみるといい。俺はこれから所用で行くが、君も行ってみるか?」
「あ、いえ。お金が無くて」
「ん? 入館料は700オールだ。名産品の詰め合わせ一箱よりかは……まあ、100オールだが安いぞ」
「いや、無駄な金は使わないって……そんなとこです」
男性は溜息を吐き、頭を掻いた。
「その考えは改めた方がいいぞ若いの」モルドに向き直った。「自らの経験の糧となるなら、犯罪以外は経験した方がいい。その為の出費は無駄ではない。真に無駄なのは、快楽に溺れ依存した、何一つ身にならん出費だ」
モルドは返す言葉が浮かばない。
「美術館は観るだけだ。見識も広がるし、何かしらの発見もあるかもしれない。何も得られないかもしれないが、ああいった畏まった場所ではどのように振る舞えばいいか、それだけでも勉強になる」
そこまで言われると、行かなければと思い、決意した。
「あ、やっぱり行きます。一緒に行ってもいいですか?」
「おや、いいのかい? 仕事は?」
「仕事は明日なんですよ。だから時間は余ってて」
「そうか。では行こうとしよう」
美術館まではそれ程遠くなく、石積み煉瓦塀側の街を向くと、すぐ視界に入る巨大な尖塔が束になったような建物がそうだと男性に教えられ、そこに近づくにつれて興奮が治まらなかった。
「さて、辿り着いた」
美術館前でモルドは館を見上げ、圧巻の思いである。
尖塔一本一本の外壁に緻密な模様の彫刻が施され、それが石積みの建造物だと判明した時、これが人の作る建造物かと驚きを隠せない。加えて、夕陽の光と影で迫力が強調させた。
「外観はいつでも見れるから、早く中へ入ろうではないか」
モルドは先に進む男性について行き、入口で入館料を支払った。
一方、男性は仕事で訪れたため、必要書類への署名をした。
中へ入ると、床は大理石が敷き詰められ、更に中へ入ると赤い絨毯が床一面を覆っている。
天井は高く、民家のような平面ではなく、弧を描いた造りである。
「すごい。ランプもなにも無いのに、こんなに明るいのですか?」
「ああ、硝子と鏡の反射を利用した構造だからな。天井、壁、あちこちに反射物をはめた窓や、鏡の飾りがそこかしこにあるだろ?」
窓は四角や丸だけではなく、何かの形を象ったものや、色の違う硝子を切り取り、それ等を合わせて模様を描いた硝子も大窓として備えられている。
「ステンドグラスというらしい。――失礼、俺はこれから仕事へ向かい、そのまま帰るが、君は入館料を支払ったのだ。心行くまで満喫するといい」
「あ、はい。有難うごさいました」
少し声が大きくなり、男性はすかさず人差し指を立てて口元に当てた。
「こういった芸術作品を観賞する場所では静かに見て回るのが礼儀だ。覚えておくと良い」
モルドは周囲を見回し、恥ずかしくなって小声で返事した。
「では」男性は手を上げて去っていった。
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