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四幕 静かに関わっていた者達
四 高貴の子・如月 孟親
しおりを挟むこの男は生まれながらに特別であった。
城主専属の武家の息子。
剣術を仕込めば、同年の子らは敵う者なし。
明晰な頭脳。
金もあり、名を知らない者は町には誰一人としていなかった。
如月孟親。
特別扱いされて育った彼は、他人を貶し、見下す素養を見出していた。
来る日も来る日も町の貧しい者を自らの傍に置き、見返りとして優遇した。それは子らにだけでなく、大人達にも行き渡る待遇であった。
歩けば褒め称えられ、命令すれば誰でも何でも聞いてくれる。それが、あらゆる動物や人を殺める事であっても。
この国の城主の性質も暴君気質であり、弱肉強食の思想を良しとし、孟親の行動は褒められた。
それが影響してか、強者に弱者は従うしかない国民性が仕上がった。
誰一人として孟親を叱責する者はいなかった。
本心で向き合おうとする者がいなかった。
嫌っていても陰で誰も告げ口をしなかった。それが見つかれば嬲り殺されるからだ。
暗殺を企てる者もいない。なぜなら、下手人共を一人残らず返り討ちにしたと噂が立ち、犯人と思われる者が貼り付けで晒され、後に後悔処刑される。
孟親の強さが際立つ状況だけが仕上がる一方だ。
狂った国、狂った子。
周辺国とは違ったこの国の、齢十三の孟親に、邪な影が纏わり出したのは今年の春の終わりからである。
しかし、その変化は誰一人として気づかなかった。
終わる事ない愚行、暴行に目を背け、とばっちりに遭うまいと逃げ、見て見ぬふりをして逃れる者達。
気づかずに狂う孟親。
迎えた今年の秋に、孟親は町の傍の誰もいない廃屋を自らの屋敷と称し、住み始めた。
内装も外装も住民を使い、綺麗に仕上げた。
その屋敷が、住民から恐れられる屋敷と噂されるのは、それから十日経った頃である。
夜中に悲鳴が聞こえたこともある。
家無しの徘徊者が知らぬ間に消えていったこともあった。
その時から、孟親の人相が不気味に、狂気を含んでいると思われ始めたのは。
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