11 / 26
第十一話
しおりを挟む
フジコのドタキャンが私に対しての荒療治だとわかり、フジコを批難したが彼女は相変わらずどこ吹く風だ。
フジコが私のことをすごく心配してくれている。それはわかっている。
妄想恋愛を楽しむあまり、リアルの恋愛に無頓着になって興味さえも湧いていなかった昨今。
私が妄想恋愛に走ることになった理由を知っているフジコとしては、そのまま見て見ぬ振りはできなかったのだろう。
フジコの気持ちは痛いほどよくわかるし、私のことを心配してくれるのはありがたいと思う。
だけど、これは……かなりの荒療治じゃないか。
怒ることにも疲れてぐったりとしていると、フジコに土曜日の夜のことを根掘り葉掘り聞かれた。
本当ははぐらかして言わないつもりだった。しかし、相手はフジコ。女王様フジコだ。
私などは赤子の手を捻るよりたやすい。そうフジコは豪語する。
その宣言通り、あれよあれよとすべてを話してしまった私。馬鹿正直にもほどがあるが、相手はフジコ。勝てるわけがない。
土曜日のすべてを聞いたフジコは「ふんふん」となにやら楽しげに鼻歌交じりだ。
戦々恐々とする私に対し、フジコはピシッと指を差して言った。
「それはお詫びとお礼を言いに行くのが筋っていうものでしょう」
「お詫びとお礼……」
「そうよ。尚先生には介抱してもらって、澤田家に一晩泊めてもらった挙げ句、朝ご飯までごちそうになったわけでしょ?」
「そ、そのとおりです」
小さく縮こまる私に、フジコは畳みかけるように言う。
「それは一度、菓子折でも持って謝罪に行った方がよくない?」
「……」
「なによ」
口を尖らせ、フジコをモノ言いたげに見つめる私に、フジコは眉をピクリとあげた。
その様子を見たあと、私は口を開く。
「フジコの言うとおり。確かにもう一度謝罪とお礼に行くべきだと思うよ」
そうでしょう、と深く頷くフジコにチラリと視線を飛ばす。
「だけどね、フジコ。私を気遣っての意見じゃないでしょ?」
「ふふ、バレた?」
バレバレだというのに、この人は。口を尖らせてフジコを睨み付けているのに、彼女は相変わらず余裕綽々である。
「まぁでも安心した」
「安心!? この状況のどこが安心できるっていうの? もう私なんて何が何だかさっぱりで!」
フジコには尚先生のここまでの行動を細かく話したはず。それなのにそんなふうに言うだなんてあんまりだ。
困っているなら助けましょう。それが友達としての正しい言葉じゃないの。
あの尚先生に立ち向かえる人物といえば、私の周りではフジコと真奈美さんぐらいしか思いつかない。
それほどあの澤田尚という人物は厄介であり、私の妄想恋愛の時間をなくしていく張本人なのだから。
ギャンギャンと抗議する私を見て、フジコは耳を押させて「うるさい!」と一喝してきた。
ちょっと、怒りたいのはこっちの方だよ。反論する私に近づき、フジコは真顔で宣言した。
「珠美、いいこと? これを逃したら、アンタ一生妄想恋愛することになるわよ」
「べ、別にいいもの」
「よくない。私に言わせればアンタは逃げているだけ。そんな逃げるだけの人生をこれから送るつもり?」
逃げてなんて、と言葉を濁す。口ではフジコに反論してはいるが、彼女の言うことにも一理あることは分かっている。
逃げている。たぶん、フジコの言うとおりなのだろう。
だけど逃げたいんだ。現実の恋なんて苦しむだけ、痛いだけ。それならもう、現実恋愛になんて興味はないし、魅力もない。
「逃げちゃだめなの?」
恋愛体質のフジコにしてみたら、私のしていることは理解できないだろう。
わかってくれなくてもいい。私はただ、日々何事もなく過ごしていきたいだけ。
恋愛で振り回されたくない。それが本音だ。
私の頑なな気持ちに気がついたフジコは、悲しそうに眉を顰める。
「ねぇ、珠美。妄想してるだけって楽しい?」
「楽しいわよ! だって辛くないもの」
「でしょうね」
案外すんなりとフジコは妄想恋愛に賛同した。ビックリして目を見開く私に「じゃあさ」とフジコは話を振る。
「辛いときはどうするの?」
「辛いとき?」
「そう、仕事でミスって落ち込んだとか。なんだかこの頃ツイていないなぁと思ったときは」
「そ、そりゃあ……」
そういうときはイケメンに慰めてもらう。もちろん脳内妄想恋愛機の中で。
私の答えがわかったのだろう。フジコは肩を竦める。
「じゃあさ、温もりが欲しくなったときはどうするのよ?」
「ぬくもり……?」
「想像だけじゃ得られない癒やしになると思うわよ」
「……」
黙りこくる私を横目に、フジコは冷やし中華を啜る。
言葉を無くした私に対し、フジコはフフッと意味ありげに笑った。
「妄想ではできないこと。色々あると思うわよ」
「フジコ」
「思い通りにならない? 結構なことじゃない。傷つかない? そりゃ傷つかないわよ、妄想なんだから。だけど、それは独りよがりなだけで何もないのと同じ」
「っ!」
フジコの言うとおりだ。脳内妄想恋愛機の弱点とも言える。
独りよがり、確かにその通りだ。自分が好きなように、好きな言葉で、好きなイケメンの表情を楽しむだけ。
恋愛機がストップすれば、あとに残るのはむなしさだけなのかもしれない。
だけど、私はリアル恋愛に踏み出す一歩を躊躇している。この一歩が自らの意思で出来るようになるのはいつのことだろう。
(もしかして一生ないかもしれないなぁ……)
小さくため息を零す私に、フジコはニヤニヤと意地悪く笑う。
なんだか嫌な予感しかしなくて、私はフジコから視線を逸らしおにぎりをぱくついた。
「心配する必要ないわよ、珠美」
「へ?」
顔を上げるとフジコはニンマリと笑みを深いものにする。
「珠美の周りには厄介な男である尚先生、可愛い直球系の翔くん。二人の男が珠美を狙っているじゃない。モテ期到来ってやつね」
「フジコ!」
面白がっているフジコに反論しようとしたが、相手はフジコ。聞いてもくれない。
「自分の殻に閉じこもったお姫様を助けるのはどちらの騎士なのかしらね」
「フジコ、思いっきり楽しんでいるでしょ?」
「あら、私が他人の恋愛事に興味を持つなんて稀なことよ」
そういう問題じゃない。反論する気も失せた私はテーブルに突っ伏す。
フジコは私の頭を撫でながら、クスクスと笑い声を零した。
「結構意固地で頑固者の珠美には、強引すぎるぐらいの男がちょうどいいと思うな」
「だから、私は恋愛する気は毛頭無いって言っているでしょう?」
呆れながらそう呟くと、フジコは「無理ね」とバッサリと私の意見を切り捨てた。
「あの尚先生よ。珠美のそんな言葉無視よ無視」
「……」
「強引に気持ちを掴まれた珠美は……一体どうなるのかしらね?」
「フジコ、他人事でしょう?」
恨み節炸裂でフジコを睨んだが、相手が悪い。怯むようなフジコではない。
「大丈夫よ、珠美。相談事はすべてこのフジコ様が請け負ってあげる。安心して身も心もメンズに差し出していらっしゃい。同時に二人の男と楽しむっていうのもありかも。いいわね、楽しそう!」
「フジコ!!!」
思わず辺りを見回す。良かった、誰もいない。ホッと胸を撫で下ろし、力なく椅子に座りこむ。
もう、フジコのバカ。本当に何を言い出したんだ、この人は。
頭を抱える私を見て、フジコは満足げに大きく頷いたのだった。
フジコが私のことをすごく心配してくれている。それはわかっている。
妄想恋愛を楽しむあまり、リアルの恋愛に無頓着になって興味さえも湧いていなかった昨今。
私が妄想恋愛に走ることになった理由を知っているフジコとしては、そのまま見て見ぬ振りはできなかったのだろう。
フジコの気持ちは痛いほどよくわかるし、私のことを心配してくれるのはありがたいと思う。
だけど、これは……かなりの荒療治じゃないか。
怒ることにも疲れてぐったりとしていると、フジコに土曜日の夜のことを根掘り葉掘り聞かれた。
本当ははぐらかして言わないつもりだった。しかし、相手はフジコ。女王様フジコだ。
私などは赤子の手を捻るよりたやすい。そうフジコは豪語する。
その宣言通り、あれよあれよとすべてを話してしまった私。馬鹿正直にもほどがあるが、相手はフジコ。勝てるわけがない。
土曜日のすべてを聞いたフジコは「ふんふん」となにやら楽しげに鼻歌交じりだ。
戦々恐々とする私に対し、フジコはピシッと指を差して言った。
「それはお詫びとお礼を言いに行くのが筋っていうものでしょう」
「お詫びとお礼……」
「そうよ。尚先生には介抱してもらって、澤田家に一晩泊めてもらった挙げ句、朝ご飯までごちそうになったわけでしょ?」
「そ、そのとおりです」
小さく縮こまる私に、フジコは畳みかけるように言う。
「それは一度、菓子折でも持って謝罪に行った方がよくない?」
「……」
「なによ」
口を尖らせ、フジコをモノ言いたげに見つめる私に、フジコは眉をピクリとあげた。
その様子を見たあと、私は口を開く。
「フジコの言うとおり。確かにもう一度謝罪とお礼に行くべきだと思うよ」
そうでしょう、と深く頷くフジコにチラリと視線を飛ばす。
「だけどね、フジコ。私を気遣っての意見じゃないでしょ?」
「ふふ、バレた?」
バレバレだというのに、この人は。口を尖らせてフジコを睨み付けているのに、彼女は相変わらず余裕綽々である。
「まぁでも安心した」
「安心!? この状況のどこが安心できるっていうの? もう私なんて何が何だかさっぱりで!」
フジコには尚先生のここまでの行動を細かく話したはず。それなのにそんなふうに言うだなんてあんまりだ。
困っているなら助けましょう。それが友達としての正しい言葉じゃないの。
あの尚先生に立ち向かえる人物といえば、私の周りではフジコと真奈美さんぐらいしか思いつかない。
それほどあの澤田尚という人物は厄介であり、私の妄想恋愛の時間をなくしていく張本人なのだから。
ギャンギャンと抗議する私を見て、フジコは耳を押させて「うるさい!」と一喝してきた。
ちょっと、怒りたいのはこっちの方だよ。反論する私に近づき、フジコは真顔で宣言した。
「珠美、いいこと? これを逃したら、アンタ一生妄想恋愛することになるわよ」
「べ、別にいいもの」
「よくない。私に言わせればアンタは逃げているだけ。そんな逃げるだけの人生をこれから送るつもり?」
逃げてなんて、と言葉を濁す。口ではフジコに反論してはいるが、彼女の言うことにも一理あることは分かっている。
逃げている。たぶん、フジコの言うとおりなのだろう。
だけど逃げたいんだ。現実の恋なんて苦しむだけ、痛いだけ。それならもう、現実恋愛になんて興味はないし、魅力もない。
「逃げちゃだめなの?」
恋愛体質のフジコにしてみたら、私のしていることは理解できないだろう。
わかってくれなくてもいい。私はただ、日々何事もなく過ごしていきたいだけ。
恋愛で振り回されたくない。それが本音だ。
私の頑なな気持ちに気がついたフジコは、悲しそうに眉を顰める。
「ねぇ、珠美。妄想してるだけって楽しい?」
「楽しいわよ! だって辛くないもの」
「でしょうね」
案外すんなりとフジコは妄想恋愛に賛同した。ビックリして目を見開く私に「じゃあさ」とフジコは話を振る。
「辛いときはどうするの?」
「辛いとき?」
「そう、仕事でミスって落ち込んだとか。なんだかこの頃ツイていないなぁと思ったときは」
「そ、そりゃあ……」
そういうときはイケメンに慰めてもらう。もちろん脳内妄想恋愛機の中で。
私の答えがわかったのだろう。フジコは肩を竦める。
「じゃあさ、温もりが欲しくなったときはどうするのよ?」
「ぬくもり……?」
「想像だけじゃ得られない癒やしになると思うわよ」
「……」
黙りこくる私を横目に、フジコは冷やし中華を啜る。
言葉を無くした私に対し、フジコはフフッと意味ありげに笑った。
「妄想ではできないこと。色々あると思うわよ」
「フジコ」
「思い通りにならない? 結構なことじゃない。傷つかない? そりゃ傷つかないわよ、妄想なんだから。だけど、それは独りよがりなだけで何もないのと同じ」
「っ!」
フジコの言うとおりだ。脳内妄想恋愛機の弱点とも言える。
独りよがり、確かにその通りだ。自分が好きなように、好きな言葉で、好きなイケメンの表情を楽しむだけ。
恋愛機がストップすれば、あとに残るのはむなしさだけなのかもしれない。
だけど、私はリアル恋愛に踏み出す一歩を躊躇している。この一歩が自らの意思で出来るようになるのはいつのことだろう。
(もしかして一生ないかもしれないなぁ……)
小さくため息を零す私に、フジコはニヤニヤと意地悪く笑う。
なんだか嫌な予感しかしなくて、私はフジコから視線を逸らしおにぎりをぱくついた。
「心配する必要ないわよ、珠美」
「へ?」
顔を上げるとフジコはニンマリと笑みを深いものにする。
「珠美の周りには厄介な男である尚先生、可愛い直球系の翔くん。二人の男が珠美を狙っているじゃない。モテ期到来ってやつね」
「フジコ!」
面白がっているフジコに反論しようとしたが、相手はフジコ。聞いてもくれない。
「自分の殻に閉じこもったお姫様を助けるのはどちらの騎士なのかしらね」
「フジコ、思いっきり楽しんでいるでしょ?」
「あら、私が他人の恋愛事に興味を持つなんて稀なことよ」
そういう問題じゃない。反論する気も失せた私はテーブルに突っ伏す。
フジコは私の頭を撫でながら、クスクスと笑い声を零した。
「結構意固地で頑固者の珠美には、強引すぎるぐらいの男がちょうどいいと思うな」
「だから、私は恋愛する気は毛頭無いって言っているでしょう?」
呆れながらそう呟くと、フジコは「無理ね」とバッサリと私の意見を切り捨てた。
「あの尚先生よ。珠美のそんな言葉無視よ無視」
「……」
「強引に気持ちを掴まれた珠美は……一体どうなるのかしらね?」
「フジコ、他人事でしょう?」
恨み節炸裂でフジコを睨んだが、相手が悪い。怯むようなフジコではない。
「大丈夫よ、珠美。相談事はすべてこのフジコ様が請け負ってあげる。安心して身も心もメンズに差し出していらっしゃい。同時に二人の男と楽しむっていうのもありかも。いいわね、楽しそう!」
「フジコ!!!」
思わず辺りを見回す。良かった、誰もいない。ホッと胸を撫で下ろし、力なく椅子に座りこむ。
もう、フジコのバカ。本当に何を言い出したんだ、この人は。
頭を抱える私を見て、フジコは満足げに大きく頷いたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる