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裏山とその学校について
じいちゃん
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―じいちゃん― 東雲 峰
僕は家に着くと、足を止める。
戸………開けたくない。
その思いのせいで戸に触れるのを躊躇した。手が震えていた。それでも僕は勇気を振り絞って勢いよく戸を開けた。
ガラガラガラ
中は静かな空間だった。
「………た、ただいま」
僕は中を覗き、注意しながら恐る恐る家に入る。
よし、誰もいないな。
それを確認すると、僕はそそくさとニ階へ上がった。ニ階へ上がると、自分の部屋に飛び込んだ。
「………ふう、これで親にバレずに家へ帰れた。門限過ぎてるからなぁ」
僕は安堵の声を漏らす。
だが、もうすでにあの人はいた。
「何をそんなに安心しとるんじゃ」
僕は体をビクッとさせ、ゆっくりとそちらの方に振り向く。
………あ、終わった。
「………じ、じいちゃん。なんでここにいるの?」
部屋の中央にドンと座っていた。
「なぜって、お前の帰りが遅いからに決まっておるじゃろ。だからお前の部屋で待っていただけだ」
そう言って、じいちゃんは部屋の時計を見る。
「………三十分」
「え?」
すぐには理解できなかった。そのため少しじいちゃんの顔を見た。見てみると、じいちゃんはため息をしたあとこう言ってきた。
「七時三十分。家の門限は何時だ?答えてみろ」
「………七時です」
「………どういうことじゃ。お前は、なんと、三十分も過ぎてるんだぞ!三十分だぞ!これはどういうことじゃ!!」
「いや、じいちゃん。ちょっと聞いて、七時は早すぎるって」
「何だと!親に刃向かうというのか!」
「いや、だから、七時は早すぎるんだって!小学生とか中学生とかならわかるよ。けど、僕はもう高校生だから!わかる?僕は健全な高校生!!」
僕は強く言う。
じいちゃんは顔を赤くしてこう言い返してきた。
「なら、晩飯は抜きだ!わかったか!!」
そう言ってバタンと扉を閉め、部屋を出ていってしまう。
「………じいちゃん」
じいちゃんは僕が小さな頃から厳しかった。毎日毎日、なにかやらかすたびにガミガミと怒って、その上説教が長かった。正座をずっとさせられて足が痺れるのは日常。そして、それを我慢して説教が終わると、いつも兄さんのもとへと駆け寄っていた。そのまま兄さんに抱き着き、そこで初めて、僕は泣く。兄さんはよく言っていた。
「また、おじいちゃんに怒られたのかい?」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。僕は体を密着させ、兄さんの温もりを感じる。
思い出すなぁ。じいちゃんの説教は思い出したくないけど。
でも、あの事件で変わってしまった。あの災害が起きた日、じいちゃんは村にはいなかった。僕は村にいたが、なんとか生き残っていた。その時は、僕は家を出て、兄さんを捜しさまよい歩いていた。そしたらいつの間にか、避難所に僕はいた。避難所にはじいちゃんがいた。じいちゃんは僕を見つけると、少しの間体が止まっていた。目からは涙が溢れていた。僕は初めて見たと思う。じいちゃんがあんなに泣いた顔を。
災害が起こったとき、じいちゃんは村にはいなかったから、家族の安否がわからなかった。そんな時に、僕が避難所に着いたから、じいちゃんはやっと確認したんだ。孫は生きていたと。じいちゃんは強く僕を抱きしめ、小さく呟いていた。今でも覚えている。この言葉を。「全く、このわしに心配かけおって………」
涙をポロポロと流しながらそう言っていた。僕はというと、じいちゃんの姿に呆気にとられていた。最初は絶対怒ると思っていた。一体何をしてたんだ!とか。
しかし、予想は外れた。怒鳴りはせず、ただ強く抱き締めてくれた。その後のじいちゃんの生活は、優しくなるかと思いきや、変わらず厳しかった。いや、さらに厳しくなった。そんなことがあり、今にいたっている。
「………また怒らせちゃった………どうしよう」
頭をポリポリと掻きながら僕はそう呟く。
晩飯抜きだって言ってたよな。ご飯食いたいけど、素直に謝るのは嫌だな。よし、あの方法を使うか。
「えーっと、ここら辺にあったはず………おっ………あったぞ」
僕は将棋盤を手に取り、にやりと笑った。
じいちゃんは勝負事が好きだ。特に、将棋が。
僕は将棋盤を抱えながら一階に下りる。茶の間の部屋に入ると、じいちゃんが怖い顔をしながら座っている。
気をつけないと。
「なぁ、じいちゃん。僕とコレやらない?」
じいちゃんはこちらを睨んだ。睨んだ後、ゆっくりと僕の手元を見た。
「………なんだ。わしになんか用か?」
声が怒っている。
「いや、その………久しぶりに将棋やりたいなーって、思ってさ。じいちゃんやらない?」
じいちゃんは手元を見て、また視線を僕の顔に戻した。
どうなる?
「………ゴホンッ………」
じいちゃんはわざとらしい咳をする。
「………まぁ、少しなら相手してやってもいいぞ」
そう言って顔を横にそらした。
よっしゃ!
僕は心のなかでガッツポーズをする。
これで少しは機嫌が良くなっただろう。ふぅ、やはりこういうときは将棋に限るぜ。
僕は早速準備をした。準備がし終わると、じいちゃんとの対局が始まった。最初の一手は僕で、素早くサッと指した。
「ほぅ、そうきたか」
顎をさすりながらじいちゃんは言う。
「いや、じいちゃん。これ一手目だから。そうきたかとかないから」
「ええい、黙れい。雰囲気を出そうと思ったんじゃ。わしの孫なら空気ぐらいちゃんと読め!」
悪かったな。
僕はふぅとため息をついた。
じいちゃんは駒を指し、少し笑みを浮かべる。
なんとか機嫌は取れたようだ。
僕も笑みを浮かべた。笑みを浮かべると、それに気づいたじいちゃんが顔を上げ、わけがわからないような表情でこう言った。
「ん?どうしたんだ。次はお前の番だぞ。早く指せい」
じいちゃんは顔を下げ、将棋盤を見つめる。まるで何かを狙っているかのような険しい表情だ。
「わかったよ。え~と、次はどこを指そうかな~?」
駒を持ち、上からパチンッと将棋を指した。一手、また一手と、対局はどんどん進んだ。勝負の結果、この対局は僕が負けた。
さすが、じいちゃんだ。
生まれてこの方将棋でじいちゃんに勝ったことがない。手加減なんてしてくれず、いつも僕の負けだ。
「いや~、やっぱりじいちゃんは強いなあ~」
「ふん。そうじゃろ」
自慢気に鼻を鳴らす。
僕はふと時計を見ると、あることに気がついた。それは先輩の言っていた時間にもうすぐなろうとしていたことだった。
|十一時に裏山に来てくれ|
今は十時半。走っていけばなんとかなる。だが、問題が一つ。じいちゃんは外出を許可してくれるだろうか。多分ムリ。ここはじいちゃんの目を盗んで行くしかない。
僕はそう思って勢いよく立ち上がった。
「じいちゃん。僕はそろそろ寝るよ。ってか、ご飯食ってないし」
「おお、もうこんな時間か。ちと、夢中になりすぎたの。わしも寝るとするか」
そう言ってじいちゃんも立ち上がった。じいちゃんは今度から気をつけろと言って、僕の肩をぽんと叩いて部屋を出ていった。バタンと扉が閉まる音がする。それと同時に心のなかで、なにかズシッと思いものが落ちるような感覚がした。
また心配掛けちゃうな。
そう思いながら僕はただ扉を見つめた。いっそのこと、先輩との約束を破って、明日の朝謝りに行こうかな。そんなことさえも思い始めていた。そうすればじいちゃんに怒られずに済む。
でも、実際の僕はそんなことは出来なかった。そんなことも出来なかった僕は将棋を片づけ、二階に上がっていった。
行かないという選択肢もあった。けれど、僕は行く。兄さんに会いたいから。
僕は自分の部屋の扉を閉めると、はぁとため息をつく。
夜の外出は懐中電灯は必要だよな。
カチッカチッ
ライトが点くか確かめた。点くのを確認すると早速行こうと思った。扉に手を近づけた。
「ん?なにか忘れているような………」
一度立ち止まり考える。
先輩は確か………。
「あっ」
そうだ忘れてた。刀だ。先輩は持ってこいと言っていた。
僕はすぐさま見渡した。
目につくとしたらコレしかないよな。
僕はそれを手に取る。刀ながらの重みがじわじわと感じる。
「………やっぱり本物の刀は違うな」
子供のプラスチックのおもちゃの刀も、修学旅行の土産店に売っている木刀も、本物にはどう抗っても勝てない。そういえば昔は兄さんとチャンバラごっこしたな。そこら辺の道で拾った木の棒を使って遊んで、兄さんにボコボコにされて、でもたまにわざと自分が負けて僕に勝たせてくれたりもしたな。兄さん寸止めしてくれなかったなぁ。戦い終わった後は絶対ケガしてたし。
右手に懐中電灯、左手に刀。
なんかバランス悪いな。
僕は紐を持ってきて刀を背中に縛り付けた。
ギュッ
鞘が背中にあたって地味に痛い。それでも僕は刀を背負い、扉を開ける。ゆっくりと、じいちゃんにバレないように静かに開ける。階段もゆっくりと下りる。
兄さんはなぜいなくなったのだろう?本当にあの女が誘拐したのか?なら、なんで誘拐したんだ?目的は何だ?
下唇を噛みながら僕は家を出た。家の外は闇だった。帰り道に見ていた夕日は跡形もなく、その代わりに白い月が浮かんでいた。持っていた懐中電灯のスイッチをオンにし、僕は目の前の空間に光を当てる。当てるとはっきりとした道ができ、この暗闇に自由を与えてくれた。ここは田舎だからとても暗い。夜道は危険がたくさんあり、野生の動物たちが活発に活動し始める。それと、動物以外になにかいるときがたまにある。これは僕の気のせいなのだろうか?
僕は家に着くと、足を止める。
戸………開けたくない。
その思いのせいで戸に触れるのを躊躇した。手が震えていた。それでも僕は勇気を振り絞って勢いよく戸を開けた。
ガラガラガラ
中は静かな空間だった。
「………た、ただいま」
僕は中を覗き、注意しながら恐る恐る家に入る。
よし、誰もいないな。
それを確認すると、僕はそそくさとニ階へ上がった。ニ階へ上がると、自分の部屋に飛び込んだ。
「………ふう、これで親にバレずに家へ帰れた。門限過ぎてるからなぁ」
僕は安堵の声を漏らす。
だが、もうすでにあの人はいた。
「何をそんなに安心しとるんじゃ」
僕は体をビクッとさせ、ゆっくりとそちらの方に振り向く。
………あ、終わった。
「………じ、じいちゃん。なんでここにいるの?」
部屋の中央にドンと座っていた。
「なぜって、お前の帰りが遅いからに決まっておるじゃろ。だからお前の部屋で待っていただけだ」
そう言って、じいちゃんは部屋の時計を見る。
「………三十分」
「え?」
すぐには理解できなかった。そのため少しじいちゃんの顔を見た。見てみると、じいちゃんはため息をしたあとこう言ってきた。
「七時三十分。家の門限は何時だ?答えてみろ」
「………七時です」
「………どういうことじゃ。お前は、なんと、三十分も過ぎてるんだぞ!三十分だぞ!これはどういうことじゃ!!」
「いや、じいちゃん。ちょっと聞いて、七時は早すぎるって」
「何だと!親に刃向かうというのか!」
「いや、だから、七時は早すぎるんだって!小学生とか中学生とかならわかるよ。けど、僕はもう高校生だから!わかる?僕は健全な高校生!!」
僕は強く言う。
じいちゃんは顔を赤くしてこう言い返してきた。
「なら、晩飯は抜きだ!わかったか!!」
そう言ってバタンと扉を閉め、部屋を出ていってしまう。
「………じいちゃん」
じいちゃんは僕が小さな頃から厳しかった。毎日毎日、なにかやらかすたびにガミガミと怒って、その上説教が長かった。正座をずっとさせられて足が痺れるのは日常。そして、それを我慢して説教が終わると、いつも兄さんのもとへと駆け寄っていた。そのまま兄さんに抱き着き、そこで初めて、僕は泣く。兄さんはよく言っていた。
「また、おじいちゃんに怒られたのかい?」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。僕は体を密着させ、兄さんの温もりを感じる。
思い出すなぁ。じいちゃんの説教は思い出したくないけど。
でも、あの事件で変わってしまった。あの災害が起きた日、じいちゃんは村にはいなかった。僕は村にいたが、なんとか生き残っていた。その時は、僕は家を出て、兄さんを捜しさまよい歩いていた。そしたらいつの間にか、避難所に僕はいた。避難所にはじいちゃんがいた。じいちゃんは僕を見つけると、少しの間体が止まっていた。目からは涙が溢れていた。僕は初めて見たと思う。じいちゃんがあんなに泣いた顔を。
災害が起こったとき、じいちゃんは村にはいなかったから、家族の安否がわからなかった。そんな時に、僕が避難所に着いたから、じいちゃんはやっと確認したんだ。孫は生きていたと。じいちゃんは強く僕を抱きしめ、小さく呟いていた。今でも覚えている。この言葉を。「全く、このわしに心配かけおって………」
涙をポロポロと流しながらそう言っていた。僕はというと、じいちゃんの姿に呆気にとられていた。最初は絶対怒ると思っていた。一体何をしてたんだ!とか。
しかし、予想は外れた。怒鳴りはせず、ただ強く抱き締めてくれた。その後のじいちゃんの生活は、優しくなるかと思いきや、変わらず厳しかった。いや、さらに厳しくなった。そんなことがあり、今にいたっている。
「………また怒らせちゃった………どうしよう」
頭をポリポリと掻きながら僕はそう呟く。
晩飯抜きだって言ってたよな。ご飯食いたいけど、素直に謝るのは嫌だな。よし、あの方法を使うか。
「えーっと、ここら辺にあったはず………おっ………あったぞ」
僕は将棋盤を手に取り、にやりと笑った。
じいちゃんは勝負事が好きだ。特に、将棋が。
僕は将棋盤を抱えながら一階に下りる。茶の間の部屋に入ると、じいちゃんが怖い顔をしながら座っている。
気をつけないと。
「なぁ、じいちゃん。僕とコレやらない?」
じいちゃんはこちらを睨んだ。睨んだ後、ゆっくりと僕の手元を見た。
「………なんだ。わしになんか用か?」
声が怒っている。
「いや、その………久しぶりに将棋やりたいなーって、思ってさ。じいちゃんやらない?」
じいちゃんは手元を見て、また視線を僕の顔に戻した。
どうなる?
「………ゴホンッ………」
じいちゃんはわざとらしい咳をする。
「………まぁ、少しなら相手してやってもいいぞ」
そう言って顔を横にそらした。
よっしゃ!
僕は心のなかでガッツポーズをする。
これで少しは機嫌が良くなっただろう。ふぅ、やはりこういうときは将棋に限るぜ。
僕は早速準備をした。準備がし終わると、じいちゃんとの対局が始まった。最初の一手は僕で、素早くサッと指した。
「ほぅ、そうきたか」
顎をさすりながらじいちゃんは言う。
「いや、じいちゃん。これ一手目だから。そうきたかとかないから」
「ええい、黙れい。雰囲気を出そうと思ったんじゃ。わしの孫なら空気ぐらいちゃんと読め!」
悪かったな。
僕はふぅとため息をついた。
じいちゃんは駒を指し、少し笑みを浮かべる。
なんとか機嫌は取れたようだ。
僕も笑みを浮かべた。笑みを浮かべると、それに気づいたじいちゃんが顔を上げ、わけがわからないような表情でこう言った。
「ん?どうしたんだ。次はお前の番だぞ。早く指せい」
じいちゃんは顔を下げ、将棋盤を見つめる。まるで何かを狙っているかのような険しい表情だ。
「わかったよ。え~と、次はどこを指そうかな~?」
駒を持ち、上からパチンッと将棋を指した。一手、また一手と、対局はどんどん進んだ。勝負の結果、この対局は僕が負けた。
さすが、じいちゃんだ。
生まれてこの方将棋でじいちゃんに勝ったことがない。手加減なんてしてくれず、いつも僕の負けだ。
「いや~、やっぱりじいちゃんは強いなあ~」
「ふん。そうじゃろ」
自慢気に鼻を鳴らす。
僕はふと時計を見ると、あることに気がついた。それは先輩の言っていた時間にもうすぐなろうとしていたことだった。
|十一時に裏山に来てくれ|
今は十時半。走っていけばなんとかなる。だが、問題が一つ。じいちゃんは外出を許可してくれるだろうか。多分ムリ。ここはじいちゃんの目を盗んで行くしかない。
僕はそう思って勢いよく立ち上がった。
「じいちゃん。僕はそろそろ寝るよ。ってか、ご飯食ってないし」
「おお、もうこんな時間か。ちと、夢中になりすぎたの。わしも寝るとするか」
そう言ってじいちゃんも立ち上がった。じいちゃんは今度から気をつけろと言って、僕の肩をぽんと叩いて部屋を出ていった。バタンと扉が閉まる音がする。それと同時に心のなかで、なにかズシッと思いものが落ちるような感覚がした。
また心配掛けちゃうな。
そう思いながら僕はただ扉を見つめた。いっそのこと、先輩との約束を破って、明日の朝謝りに行こうかな。そんなことさえも思い始めていた。そうすればじいちゃんに怒られずに済む。
でも、実際の僕はそんなことは出来なかった。そんなことも出来なかった僕は将棋を片づけ、二階に上がっていった。
行かないという選択肢もあった。けれど、僕は行く。兄さんに会いたいから。
僕は自分の部屋の扉を閉めると、はぁとため息をつく。
夜の外出は懐中電灯は必要だよな。
カチッカチッ
ライトが点くか確かめた。点くのを確認すると早速行こうと思った。扉に手を近づけた。
「ん?なにか忘れているような………」
一度立ち止まり考える。
先輩は確か………。
「あっ」
そうだ忘れてた。刀だ。先輩は持ってこいと言っていた。
僕はすぐさま見渡した。
目につくとしたらコレしかないよな。
僕はそれを手に取る。刀ながらの重みがじわじわと感じる。
「………やっぱり本物の刀は違うな」
子供のプラスチックのおもちゃの刀も、修学旅行の土産店に売っている木刀も、本物にはどう抗っても勝てない。そういえば昔は兄さんとチャンバラごっこしたな。そこら辺の道で拾った木の棒を使って遊んで、兄さんにボコボコにされて、でもたまにわざと自分が負けて僕に勝たせてくれたりもしたな。兄さん寸止めしてくれなかったなぁ。戦い終わった後は絶対ケガしてたし。
右手に懐中電灯、左手に刀。
なんかバランス悪いな。
僕は紐を持ってきて刀を背中に縛り付けた。
ギュッ
鞘が背中にあたって地味に痛い。それでも僕は刀を背負い、扉を開ける。ゆっくりと、じいちゃんにバレないように静かに開ける。階段もゆっくりと下りる。
兄さんはなぜいなくなったのだろう?本当にあの女が誘拐したのか?なら、なんで誘拐したんだ?目的は何だ?
下唇を噛みながら僕は家を出た。家の外は闇だった。帰り道に見ていた夕日は跡形もなく、その代わりに白い月が浮かんでいた。持っていた懐中電灯のスイッチをオンにし、僕は目の前の空間に光を当てる。当てるとはっきりとした道ができ、この暗闇に自由を与えてくれた。ここは田舎だからとても暗い。夜道は危険がたくさんあり、野生の動物たちが活発に活動し始める。それと、動物以外になにかいるときがたまにある。これは僕の気のせいなのだろうか?
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