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第五話(9)
ひきこもり、できるだけ集合!
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関屋君は言いました。
「オレ、みんながだべっている所に帰って、応援を連れて来るわ。」
「僕も行く。」
ひとりが、ふたりずつしか連れて来れないので、私も行ったほうが、効率が良いと思ったのです。
龍さんのそばに長谷川君を残し、関屋くんと私は、みんなのだべり場を意識を集中して思い浮かべ、(そこへ行く!)と強く願いました。
関屋君と私は、たちまち、だべり場の中心に立っていました。
集合的無意識の中では、瞬間移動が出来ることを知らない人達は、突然現れた私達を見て、驚いて腰を抜かしていましたが、関屋君と私が、どこからどうやって来たか、瞬間移動は、集合的無意識の中では誰でもできる、と話をすると、みんな落ち着いてきました。
関屋君が大声で呼びかけました。
「オレ達の魂のよりどころである龍さんの傷を治すために、みんなで協力しないか。まずは連れて行ける4人を募る。」
みんな、押し黙ったり、近くの人と顔を見合わせて、ひそひそ話したりしていましたが、そのうち、
「私は行ってみたい。」「俺も。」「役に立てるかどうかわからないけど、とりあえず。」「龍というものに興味あるから行く。」
と男女4人が立ち上がりました。
2人の女の子は、水口さんと、遠岡さんでした。
関屋君と私は、まず、4人を龍さんのところへ運び、傷の治しかたは、長谷川君から彼らへ教えてもらいました。
4人はすぐに要領を覚え、傷を治せるようになりました。4人の姿を見ていると、これまで部屋にひきこもる生活をしていて、自分にできることなんて無い、と思っていた人達が、自分は龍を治すちからがあることを知り、心の底から、喜びを感じながら取り組んでいるようでした。
こうなると、リクルートしてくる関屋君も熱がはいります。私とだべり場に帰っては、先に行った人達が、龍の傷を治すのにどれほどやりがいを感じて取り組んでいるか熱心に話し、治療者になる人を、龍のところへどんどん運びました。
だべり場にいる人達が少なくなってくると、関屋君の得意な、下から見上げて潜在意識が濁っている人のところへ直接行き、まずはだべり場に集めて、ひきこもりどうしで心を開いて話せるようになるまで待ち、そのうえで、
「今、戦争で傷ついた、日本人の魂のよりどころの龍さんを、ここのみんなで治すプロジェクトをしているんだ。よかったら行ってみない?」
と誘い、龍さんの治療者になってもらう活動を続けました。
しかし、龍さんの体は大きく、傷はあまりにも多いのです。龍さんが戦争の時、日本人を守りたい気持ちがこれほど強かったのかと思うと、心が痛みます。
関屋君と長谷川君と私が、初めて龍さんのところへ行った時、関屋君が龍さんの体に巻いたひもの位置は、まだ龍さんの頭に近いほうの位置で、ひもから後ろの体のほうが莫大に長かったのです。
最終的には、のべ10万人を超える、ひきこもりの人々が治療者になったのですが、それでも龍さんの傷のすべてを治すのに10年以上かかりました。
けれどもやっと、みんなの協力のたまもので、龍さんが再び、空に舞い上がれるまで回復しました。
7月21日、午前9時、龍さんが79年ぶりに、集合的無意識から舞い上がります。
鈴木先生にも、ぜひその瞬間を目撃していただき、私達ひきこもりが、私達の家族や世間の人から見れば、むだに過ごしたと思われている時間を、日本人の魂のよりどころ「龍」を治していたのだということの証人になっていただきたいのです。そして時が来たら、現実の世界で生きている人々に、精神の世界で起こっていたことを紹介していただきたいのです。
全日本ひきこもり当事者の会
会長 中光 正希 」
長い長いメールはそこで終わっていた。
「オレ、みんながだべっている所に帰って、応援を連れて来るわ。」
「僕も行く。」
ひとりが、ふたりずつしか連れて来れないので、私も行ったほうが、効率が良いと思ったのです。
龍さんのそばに長谷川君を残し、関屋くんと私は、みんなのだべり場を意識を集中して思い浮かべ、(そこへ行く!)と強く願いました。
関屋君と私は、たちまち、だべり場の中心に立っていました。
集合的無意識の中では、瞬間移動が出来ることを知らない人達は、突然現れた私達を見て、驚いて腰を抜かしていましたが、関屋君と私が、どこからどうやって来たか、瞬間移動は、集合的無意識の中では誰でもできる、と話をすると、みんな落ち着いてきました。
関屋君が大声で呼びかけました。
「オレ達の魂のよりどころである龍さんの傷を治すために、みんなで協力しないか。まずは連れて行ける4人を募る。」
みんな、押し黙ったり、近くの人と顔を見合わせて、ひそひそ話したりしていましたが、そのうち、
「私は行ってみたい。」「俺も。」「役に立てるかどうかわからないけど、とりあえず。」「龍というものに興味あるから行く。」
と男女4人が立ち上がりました。
2人の女の子は、水口さんと、遠岡さんでした。
関屋君と私は、まず、4人を龍さんのところへ運び、傷の治しかたは、長谷川君から彼らへ教えてもらいました。
4人はすぐに要領を覚え、傷を治せるようになりました。4人の姿を見ていると、これまで部屋にひきこもる生活をしていて、自分にできることなんて無い、と思っていた人達が、自分は龍を治すちからがあることを知り、心の底から、喜びを感じながら取り組んでいるようでした。
こうなると、リクルートしてくる関屋君も熱がはいります。私とだべり場に帰っては、先に行った人達が、龍の傷を治すのにどれほどやりがいを感じて取り組んでいるか熱心に話し、治療者になる人を、龍のところへどんどん運びました。
だべり場にいる人達が少なくなってくると、関屋君の得意な、下から見上げて潜在意識が濁っている人のところへ直接行き、まずはだべり場に集めて、ひきこもりどうしで心を開いて話せるようになるまで待ち、そのうえで、
「今、戦争で傷ついた、日本人の魂のよりどころの龍さんを、ここのみんなで治すプロジェクトをしているんだ。よかったら行ってみない?」
と誘い、龍さんの治療者になってもらう活動を続けました。
しかし、龍さんの体は大きく、傷はあまりにも多いのです。龍さんが戦争の時、日本人を守りたい気持ちがこれほど強かったのかと思うと、心が痛みます。
関屋君と長谷川君と私が、初めて龍さんのところへ行った時、関屋君が龍さんの体に巻いたひもの位置は、まだ龍さんの頭に近いほうの位置で、ひもから後ろの体のほうが莫大に長かったのです。
最終的には、のべ10万人を超える、ひきこもりの人々が治療者になったのですが、それでも龍さんの傷のすべてを治すのに10年以上かかりました。
けれどもやっと、みんなの協力のたまもので、龍さんが再び、空に舞い上がれるまで回復しました。
7月21日、午前9時、龍さんが79年ぶりに、集合的無意識から舞い上がります。
鈴木先生にも、ぜひその瞬間を目撃していただき、私達ひきこもりが、私達の家族や世間の人から見れば、むだに過ごしたと思われている時間を、日本人の魂のよりどころ「龍」を治していたのだということの証人になっていただきたいのです。そして時が来たら、現実の世界で生きている人々に、精神の世界で起こっていたことを紹介していただきたいのです。
全日本ひきこもり当事者の会
会長 中光 正希 」
長い長いメールはそこで終わっていた。
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