不思議系 精神科医Dr.Friday〜自分におびえる男〜(ドッペルゲンガーか二重人格か?ドキドキの四話目完結)

むめ

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第四話(8)

それから

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内村優也氏と雅也氏とがひとつの人格になり、鈴木医師の元を去ってから数ヶ月が過ぎた。

鈴木医師はある朝、都内某所のホテルのラウンジにて、ホテルのサービスでもらった全国版の新聞を広げていた。

特に何かを見たいという目的があったわけではなく、最近の世の中はどのようなことが起こっているのかと思い、1枚ずつめくっていたところ、新聞1ページ分をまるまる使った、住宅の広告が現れた。

「頑丈そのまま、おしゃれになったセフティホーム」と書いてあり、外壁の色がこれまでは白かべージュに限られていたところ、新色として「スカイブルー」「ライトグリーン」「オレンジ」「ブラウン」「ブラック」が登場しました。とのことで、それらの色での施工例の写真が並んでいた。

それだけではなく、アルミサッシに貼ってもはがれない木目調や白、青、緑などのペイント調のテープをテープのメーカーと共同開発。外壁の色とテープの色との組み合わせで、家にさまざまな表情をもたせることが可能になりました。と、外壁の色にテープの色を合わせ窓枠のように見せた施工例も写真で紹介されていた。


鈴木医師は、思わぬところで、セフティホームの広告と出会い、内村優也氏のことを思い出した。

(内村さんが、私のところに来たのは、セフティホームの家は夢やロマンがないと営業部から言われ、勉強してこいと設計部から営業部へ行かされて、悩んでいる時だったな…

そして自分を助けてくれたドッペルゲンガーが5才の時に死に別れた、双子の兄で、彼らはひとつの人格になったのだった…

たぶん、この、おしゃれな外壁カラーと窓枠テープを発表できたということは、彼らが中心になって活躍しているということなのではないかな…)


鈴木医師はそう感じて、心があたたかくなり、これからも、彼らが活躍してゆけますようにと祈った。

人の思いを視覚的に見ることができる鈴木医師は、自分の心から発した、小さく輝く祈りが、ホテルのラウンジを横切り出入口を抜け、どこかにいる内村優也氏の元へと飛んでゆくのを見送った。

祈りは届く。
だから、素敵な祈りをたくさんしよう。

あらためてそう思いながら、新聞広告を眺める鈴木医師の姿は、誰が見ても幸福に包まれているのがわかる。素敵な朝だった。




(了)


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