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Tier23 ひばりが丘南高等学校
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「――これが七年前に起きたことなの」
一通りの話を終えて、一息ついた姫石さんは僕達を見回して言った。
「後は、事件としてニュースにもなったから皆知っていると思うよ」
「……ひばりが丘南高校事件」
僕は姫石さんが言ったのを聞いて思い出した。
この事件も「平川第五中学校爆破事件」と同じくらい当時は話題になっていたはずだ。
中二の時にいろいろな事件を調べていたはずなのにすっかり忘れていた。
「お、伊瀬君正解。そう、私達の事件は最初は単なる学校で学生が起こした殺人事件でしかなかったの」
「あぁ、俺も思い出した! 殺されそうになった学生が逆に犯人を殺しちゃって正当防衛かどうか問題になってた事件だよな? けど、その学生は罪の意識からか飛び降り自殺してしまったっていう」
丈人先輩も思い出したらしく記憶を掘り起こすようにしながら言った。
「当時の報道は佐々木君の言うようにそんな感じの内容だったかな。もう少し詳しく話すと、あの事件で亡くなったのは三人。玉宮と八雲君、そして深見 聡君」
「えっ、深見って……」
美結さんが深見さんを伺うようにして言った。
「そうだ。深見聡は私の弟だ」
深見さんは美結さんの疑問に答えるように頷いた。
「そ、そうなんですか……すみません、こんなこと聞いちゃって」
「気にするな。七年も前のことだ。とっくに弟の死については心の整理はついている」
表情一つ変えずに深見さんは言った。
「弟さんが亡くなった事件ということは深見さんは七年前のこの事件のこと知っていたんですか?」
那須先輩が躊躇なく聞いた。
「もちろんだ」
「知っているどころか、深見君と姫石君はこの事件が単なる殺人事件ではなく、マイグレーションを使ったマイグレーターによって引き起こされた殺人事件だと気づいた張本人なんだよ」
深見さんの肯定に補足するように手塚課長が言った。
「「「そうなんですか!?」」」
丈人先輩と那須先輩と美結さんが声を揃えて言った。
三人とも姫石さんと深見さんを交互に眺めている。
「まぁ、そういうことになるかな」
姫石さんが少し恥ずかしそうに言った。
「事件が起こったことが発覚したのは歩乃架ちゃんが人を殺してしまったと警察に通報をしたからなの。通報を受けてすぐに警察が駆けつけると、脳死となった玉宮と感電死した聡君の遺体は準備室に、感電死した八雲君の遺体は科学室にあったみたい」
脳死となった遺体。
つまり、姫石さんの腐れ縁である玉宮さんが突発性脳死現象の最初の被害者ということなのだろうか。
「えっ、八雲が感電死? 八雲ってもう死んでるの!?」
「バカかお前は。そんなわけないだろう。八雲が本当に死んでいたとしたら、俺等の前に現れる八雲は何なんだよ? 幽霊だとでも言うか?」
美結さんの驚きに天野君が冷たくあしらった。
「なッ! そんな言い方しなくたっていいじゃない! そういうアナタはどういうことか説明できるの?」
「姫石さんの言っている感電死した八雲といのは、あくまでも八雲の肉体のことであって八雲の意識ではない。その時の八雲の意識は立花歩乃架の肉体にあったはずだ。とは言え、その肉体も自殺という形で即座に手放して他の肉体に入れ替わったようだけどな」
仕方ないというように天野君は美結さんに説明した。
「それ本当なんですか?」
天野君にバカにされたのが悔しかったのか、美結さんはふくれっ面で姫石さんに確認した。
「まぁ……うん、それは本当。本当に亡くなっていたのは八雲君じゃなくて歩乃架ちゃんだったの。あ、でも、これは私達もかなり後になって分かったことだから美結ちゃんがそんなに落ち込むことはないよ!」
美結さんの表情が見る見るうちに暗くなっていくのを見て、姫石さんは慌ててフォローした。
「けれど、どうして八雲と立花さんが入れ替わっていたって分かったんですか?」
早乙女さんの話では、腹を痛めて産んだ実の母親であろうと子どもがマイグレーターに入れ替わったとしても気付くことは出来ないはずだ。
「伊瀬君、良い質問だね。それは聡君と歩乃架ちゃんが残してくれたメッセージのおかげなんだよ。聡君の遺体があった床には黒のマジックペンで『八雲 入れ替わり 実験』と隠すように書いてあったの。歩乃架ちゃんは私にしか分からないであろうメッセージを残してくれていた。私は八雲君の遺体のすぐ近くに水酸化ナトリウムの容器が落ちていたことを聞いて、八雲君と歩乃架ちゃんが入れ替わっていることを確信したの。でも、その時にはもう歩乃架ちゃんに入れ替わった八雲君が自殺をした後だった」
僅かに後悔をした顔になって姫石さんは言った。
「その二人が命を掛けて残してくれたメッセージのおかげで八雲の入れ替わりやマイグレーションが起きたことに気付けたんですね」
「そういうこと。だけど、その事を表沙汰にするわけにはいかないから、単なる殺人事件として扱われているの。それでも、この事件がマイグレーションが初めて観測された事件であることに変わりはないわ」
「つまるところ、全ての元凶ってわけだ」
全ての元凶……八雲加琉麻。
天野君の言葉を聞いて、僕は早乙女さんの話を思い出した。
「おそらく八雲は、姫石さんと玉宮さんを元の体に戻す実験を通してマイグレーションの本質を理解した。そしてマイグレーションの再現性を確立して自信がマイグレーターになった上で、他の人間をマイグレーターにしてその数を増やしていった。その元凶となった場所がひばりが丘南高等学校、俺達が通っている学校だ」
そう。
その学校が僕が転校した学校なのだ。
一通りの話を終えて、一息ついた姫石さんは僕達を見回して言った。
「後は、事件としてニュースにもなったから皆知っていると思うよ」
「……ひばりが丘南高校事件」
僕は姫石さんが言ったのを聞いて思い出した。
この事件も「平川第五中学校爆破事件」と同じくらい当時は話題になっていたはずだ。
中二の時にいろいろな事件を調べていたはずなのにすっかり忘れていた。
「お、伊瀬君正解。そう、私達の事件は最初は単なる学校で学生が起こした殺人事件でしかなかったの」
「あぁ、俺も思い出した! 殺されそうになった学生が逆に犯人を殺しちゃって正当防衛かどうか問題になってた事件だよな? けど、その学生は罪の意識からか飛び降り自殺してしまったっていう」
丈人先輩も思い出したらしく記憶を掘り起こすようにしながら言った。
「当時の報道は佐々木君の言うようにそんな感じの内容だったかな。もう少し詳しく話すと、あの事件で亡くなったのは三人。玉宮と八雲君、そして深見 聡君」
「えっ、深見って……」
美結さんが深見さんを伺うようにして言った。
「そうだ。深見聡は私の弟だ」
深見さんは美結さんの疑問に答えるように頷いた。
「そ、そうなんですか……すみません、こんなこと聞いちゃって」
「気にするな。七年も前のことだ。とっくに弟の死については心の整理はついている」
表情一つ変えずに深見さんは言った。
「弟さんが亡くなった事件ということは深見さんは七年前のこの事件のこと知っていたんですか?」
那須先輩が躊躇なく聞いた。
「もちろんだ」
「知っているどころか、深見君と姫石君はこの事件が単なる殺人事件ではなく、マイグレーションを使ったマイグレーターによって引き起こされた殺人事件だと気づいた張本人なんだよ」
深見さんの肯定に補足するように手塚課長が言った。
「「「そうなんですか!?」」」
丈人先輩と那須先輩と美結さんが声を揃えて言った。
三人とも姫石さんと深見さんを交互に眺めている。
「まぁ、そういうことになるかな」
姫石さんが少し恥ずかしそうに言った。
「事件が起こったことが発覚したのは歩乃架ちゃんが人を殺してしまったと警察に通報をしたからなの。通報を受けてすぐに警察が駆けつけると、脳死となった玉宮と感電死した聡君の遺体は準備室に、感電死した八雲君の遺体は科学室にあったみたい」
脳死となった遺体。
つまり、姫石さんの腐れ縁である玉宮さんが突発性脳死現象の最初の被害者ということなのだろうか。
「えっ、八雲が感電死? 八雲ってもう死んでるの!?」
「バカかお前は。そんなわけないだろう。八雲が本当に死んでいたとしたら、俺等の前に現れる八雲は何なんだよ? 幽霊だとでも言うか?」
美結さんの驚きに天野君が冷たくあしらった。
「なッ! そんな言い方しなくたっていいじゃない! そういうアナタはどういうことか説明できるの?」
「姫石さんの言っている感電死した八雲といのは、あくまでも八雲の肉体のことであって八雲の意識ではない。その時の八雲の意識は立花歩乃架の肉体にあったはずだ。とは言え、その肉体も自殺という形で即座に手放して他の肉体に入れ替わったようだけどな」
仕方ないというように天野君は美結さんに説明した。
「それ本当なんですか?」
天野君にバカにされたのが悔しかったのか、美結さんはふくれっ面で姫石さんに確認した。
「まぁ……うん、それは本当。本当に亡くなっていたのは八雲君じゃなくて歩乃架ちゃんだったの。あ、でも、これは私達もかなり後になって分かったことだから美結ちゃんがそんなに落ち込むことはないよ!」
美結さんの表情が見る見るうちに暗くなっていくのを見て、姫石さんは慌ててフォローした。
「けれど、どうして八雲と立花さんが入れ替わっていたって分かったんですか?」
早乙女さんの話では、腹を痛めて産んだ実の母親であろうと子どもがマイグレーターに入れ替わったとしても気付くことは出来ないはずだ。
「伊瀬君、良い質問だね。それは聡君と歩乃架ちゃんが残してくれたメッセージのおかげなんだよ。聡君の遺体があった床には黒のマジックペンで『八雲 入れ替わり 実験』と隠すように書いてあったの。歩乃架ちゃんは私にしか分からないであろうメッセージを残してくれていた。私は八雲君の遺体のすぐ近くに水酸化ナトリウムの容器が落ちていたことを聞いて、八雲君と歩乃架ちゃんが入れ替わっていることを確信したの。でも、その時にはもう歩乃架ちゃんに入れ替わった八雲君が自殺をした後だった」
僅かに後悔をした顔になって姫石さんは言った。
「その二人が命を掛けて残してくれたメッセージのおかげで八雲の入れ替わりやマイグレーションが起きたことに気付けたんですね」
「そういうこと。だけど、その事を表沙汰にするわけにはいかないから、単なる殺人事件として扱われているの。それでも、この事件がマイグレーションが初めて観測された事件であることに変わりはないわ」
「つまるところ、全ての元凶ってわけだ」
全ての元凶……八雲加琉麻。
天野君の言葉を聞いて、僕は早乙女さんの話を思い出した。
「おそらく八雲は、姫石さんと玉宮さんを元の体に戻す実験を通してマイグレーションの本質を理解した。そしてマイグレーションの再現性を確立して自信がマイグレーターになった上で、他の人間をマイグレーターにしてその数を増やしていった。その元凶となった場所がひばりが丘南高等学校、俺達が通っている学校だ」
そう。
その学校が僕が転校した学校なのだ。
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