身代わり聖女は「君を孕ますつもりはない」と言われたのに死に戻り王子に溺愛されています

ささゆき細雪

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chapter,3

03. 身代わり聖女と裏切りの魔術師《3》

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   * * *


 応接間にいたはずなのに、気づけば黒衣の魔法使いとふたりきりで違う部屋にいた。魔法による転移術だ。
 ヒセラは詠唱せずに転移したホーグを見て愕然とする。彼の魔法量は、ヒセラよりもずっと高い。これならリシャルトが刻んだ刻印を上書きすることも容易いだろう。だが、シュールトではなくなぜ彼が聖女ジゼルフィアを奪おうとしているのだろう。
 媚薬に侵されてじわじわと熱くなる身体がもどかしくて、自分で胸の頂を擦りたくなってくる。いけないと思うのに、リシャルトによっていやらしいことを覚えさせられた身体はヒセラの意志を無視してホーグの腕から伝わる振動からも快楽を拾っていく。

「ゃあ、だめっ、あぅ……」
「そんなにいやがるなんてひどいなぁ。結婚しようって約束した仲じゃないか」
「!?」
「かわいそうに、あの化け物王子に毎晩抱かれて……妊娠する前で良かったよ。これで妊娠していたら腹の子ごと殺さないといけないところだった」

 転移先の部屋はハーヴィックの王城よりもこぢんまりとしている。ヒセラが“魔女の森”で暮らしていた頃に買い物で訪れた商館の客室に雰囲気が近かった。
 まじまじと観察する余裕もないまま、ホーグにベッドへ下ろされる。そのまま魔法によって着ていた服を一息に剥ぎ取られ、ヒセラは悲鳴をあげる。

「きゃっ……」
「抵抗するつもり? なら、容赦しないよ」

 はだかに剥かれたヒセラを舌なめずりするようにじっくりと見つめていたホーグは、ベッドから逃げようとする彼女を見て渋い顔をした。
 そのまま何もない場所から麻縄を出現させ、彼女の上半身に縄をかけ、乳房を上下から潰すように縛って胸元を強調させる。麻縄が肌に食い込む感覚が、媚薬のせいで何倍にも快楽を増強していく。

「やだっ、あんっ!」

 抵抗しようと詠唱を試みるヒセラを嘲るように、彼はふたたび縄で彼女をなぶっていく。無詠唱で退路を断っていく彼の手から、しゅるしゅると麻縄が飛び出し、今度は後ろ手に組まされた腕のをまわされ、両手が使えないよう拘束される。リシャルトが行為で使った拘束具と違い、麻縄による緊縛は執拗なまでにヒセラの身体の敏感な場所を責め立てていく。痛い、苦しい、怖いのに気持ちいいと感じる身体の反応に、ヒセラは必死になって耐えようとするが、嘲るようにホーグが縄で乳首を擦り、ピンと勃つのを見て、心が壊れそうになる。

 ――やだ、どうして反応しちゃうの。リシャルトさまじゃなきゃイヤなのに……
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