身代わり聖女は「君を孕ますつもりはない」と言われたのに死に戻り王子に溺愛されています

ささゆき細雪

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chapter,6

04. 聖女ジゼルフィアの終焉(前編)《2》

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 ミヒャエイールはジゼルフィアに向き直り、唐突に核心をつくような言葉を放つ。

「しょせんミヒャエルの尻尾から産み出された分身にすぎぬ。転生前のそなたが大精霊の”祝福”を用いた結果、産まれたイレギュラーな精霊ゆえに、な」
「ミヒャエイール?」
「ジゼ……いや、聖女ジゼルフィア。そなたはもうこの世界の”理”に気づいているのではないか?」
「それを”理”と呼ぶのかはわかりませんが、わたくしとヒセラが瓜二つの状態で近くにいる”からくり”でしたら、なんとなく」
「いつ」

 ことわりだろうがからくりだろうが、似たようなものだとミヒャエイールは苦笑する。
 前世の記憶は持ち合わせていないものの、この場にいるジゼルフィアはミヒャエイールとヒセラが自分の近くにいる必然性には勘づいているのだ。

「一昨年の、フィンリーの魔法講義のときに。大魔女タマーラさまが大精霊の祝福をつかって契約精霊リルに自分の姿を分け与えたという逸話を聞いて……もしかしたら前世の自分が”祝福”をつかってヒセラを産み出したのかもと」
「ふむ」
「でも、どういう事情で分身? 分裂するに至ったのかはわからないです。”時”の大精霊ミヒャエルに聞いたところできっと答えてくれないでしょうし」
「先のジゼが”祝福”を用いてヒセラを産んだのは第一王子リシャルトの花嫁の身代わりにするためだ。そなたらはもともとふたりでひとりだった」
「ですよね。そんな気がしました」
「驚かぬのだな」
「ヒセラはあまりにも自分に似ています。髪や瞳の色や体型だけではありません、保持している魔力の量や性格的なもの、もうひとりの自分がいたらきっとこんな感じなんだろうなと考えた体力のある理想の自分がヒセラなんです。だからわたくしも彼女がリシャルトさまの花嫁になってくれればいいなと思っているんです……どうせあと数年で消える生命ですから」
「羨ましいとは思わなんだ」
「不思議ですよね。もしわたくしがデ・フロート家の”枷”をつけられていなかったら彼女のように天真爛漫に森のなかを駆け回れたのかなと考えたことはありますが、別に嫉妬するようなことはなかったんですよ? 彼女は産まれた頃から”魔女の森”の魔女の娘としてマヒの一族や王城魔術師、王家の人間たちから離れた場所で生活していますから。それはそれで堅苦しいんじゃないかしら」
「制限されたなかでの自由、か」

 デ・フロート家の管理下に置かれている国有地”魔女の森”で生まれ育ったヒセラはひとりで森の外に出たことがない。外出する場合は管理者の許可証と同行人が必要となるため、城下町に買い物へ行くのもひとりで気楽にできる王城魔術師とは雲泥の差がある。そのかわり、森のなかで魔女たちは自由を保証されている。中央に座している世界樹の世話をしたり、自生しているハーブで薬や茶を作ったり、精霊たちと戯れたり……。

「それに。わたくしが”魔女の森”に入れるのはデ・フロート公爵家の一人娘だから。そうでなければヒセラと出逢うことはきっとなかったのよ」
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