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第二部 初恋輪舞 大正十二年文月~長月《夏》

つかの間の蜜月と忍び寄る悪魔 04

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「――資さま、お客様は」
「もう帰ったよ。悪かったね、ひとりにさせてしまって」

 柔らかい声音で資を迎えてくれた音寧は、すでに食事を終えていたらしく、天蓋つきの寝台の上で横になっていた。すこしは休めたのか、すっきりした表情をしている。
 身体を清めたこともあり、いまの彼女は淡い青紫色の矢車菊の花のような夜着を身につけている。当然、その下には何もつけていない。資は彼女を押し倒したくなる自分を律し、寝台の隅に腰を下ろす。

「いえ。それより、何か起きたのですか?」
「何かとは?」
「迎賓館にあやねえさまと傑さま以外のお客様がいらっしゃるなんて、珍しいなぁと……」
「ああ。軍のひとだよ、元同僚」
「同僚の方が退役された資さまにどのようなご用があったのですか」
「気になる?」
「だ、だってあやねえさまのことが、関係するのでしょう?」

 気にならないわけがないじゃないですかと音寧は頬を膨らませ、身体を起して資に迫る。
 胸元が開いた夜着の布の隙間から、彼女の白い乳房がのぞく。谷間に導かれるようにそうっと手を伸ばして布地ごとゆるゆると揉みはじめれば、音寧が「あっ、いけませんっ」と抵抗を見せるが、その声にはすでに艶が混じっていた。

「ちょ、ちょっと資さ……ンっ」
「貴女がいけないんだ。こんな風に俺を誘うから」
「いやっ、布地ごと食べないでぇ……!」

 乳房を夜着ごしに揉みながら、主張してきたふたつの胸の頂を探しだした資は、布地ごと口に含み、舌をつかった愛撫を施す。
 昨晩からさんざん睦みあっているというのに、資はまだ足りないとことあるごとに音寧にふれてくる。

「あぁん、ひぁぅ……」
「感じやすい身体だ。そのうちふれられただけで達することができるようになるんじゃないかな」
「そ、そんなこと……はぁ、ぁん」

 資の唾液でてらてらとひかる夜着が濡れて肌にへばりつき新たな快感を生み出していた。夜着を乱されながら寝台に押し倒された音寧は、資の口づけを受けて何も言えなくなってしまう。

「貴女の反応がいちいち可愛いから……風呂でもしたのにまたおとねが欲しくなったじゃないか」
「ぁ……んっ、まだ、話が……っ」
「だめだよ。貴女は何も気に病まなくていいんだ。いまはただ、俺を感じて気持ちよくなって」
「そんなっ……ン――っ!」

 深刻な話をはぐらかされた音寧は悔しそうに資を睨みつけるが、彼は素知らぬ顔で彼女の唇を塞ぎ、甘く蕩ける愛撫を再開させる。
 寝台に縫いつけられてしまったかのように音寧の身体が快楽に沈んでいく。軽く達した後にスカートをたくしあげられ資の分身を与えられた音寧は、もはや本来の目的を彼から訊き出すこともできないまま、打ちつけられる熱い楔を膣奥に感じながら、悦楽の涙を流すのだった。
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