時翔る嫁 双子令嬢と身代わりの花婿

ささゆき細雪

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第二部 初恋輪舞 大正十二年文月~長月《夏》

初恋の奪還と紫の夢見鳥 04

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 魔薬で身体を高められた状態で、心臓に蝶の印を刻まれ胸元から秘処まで執拗に舐められて、蜜を吸われてしまったけれど、そこから先は未遂に終わった。
 悪魔の手や舌は氷のようにひんやりしていたから、痛覚が鈍化して意識が混濁していた状況でも、自分が最後まで犯されていなかったことはなんとなく理解できる。
 それもあって、音寧は禊で身体を清められた後も、下腹部を疼かせつづけている。この程度の快楽では足りないのだ。もっと胎内の奥深くまで、熱くて太くて硬いものが欲しいのだ、と。

「おとねの、いやらしい身体は、もっと資さまが欲しいのです……やめないで。もっともっと、わたしを溺れさせて……ン」
「……俺だって溺死寸前なのに」

 はぁ、と悩ましい息をつきながら、資が服を脱ぎ捨てていく。裸になった資は、自分の分身がとっくに勃ちあがっているのを音寧に見せつけてから、愛撫の手を再開させる。
 しつこいほどに胸を舐められ、秘芽を摘まれながら三本の指で姫壺の蜜襞を刺激された音寧は、欲しいものをなかなか与えてもらえず、快楽に追い詰められ軽く達しては身悶えつづけた。

「んっ、アァ……っ! そうじゃ、な……んっ!」
「ちゃんと言って。なにが欲しいの。俺にどうされたいの」

 執拗な愛撫を受けながら、音寧は弱々しくおねだりをする。資だけが知っている、いやらしくて、可愛らしい彼女の懇願で。
 どちらが悪魔かわからないな、とうそぶきながら資は瞳を潤ませる彼女に口づける。

「資さまの、この、硬くて太いので……おとねのなか、ついてほしい……です」
「そこまで言うなら何度でも逝かせてやるからな。おとねがもういらないって音を上げても止めないからな」
「はい。いらないなんて、言わないです……だから、もっと深くに、来て?」
「――わかった、わかったから……!」

 太ももを押し拡げ、ぬらぬらと蜜を垂らす秘処に己の屹立をこすりつける資と視線を絡ませて、音寧はこくりと喉を鳴らす。
 すでに先走りで濡れている亀頭に秘芽をこすられて媚鳴をあげながら蜜口を震わせる彼女に、資は言い放つ。


「覚悟はいいか。悪魔の痕跡を消し去るくらい俺に溺れてしまえっ……!」
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