【R18】ふたりしずか another

ささゆき細雪

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壱 その二

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「……子ども扱いされてる」

 義経に準備された部屋へ入り、緊張の糸が切れた静は花嫁衣裳がくしゃくしゃになるのも構わず、崩れるように身体を床へ投げ出す。ふだんならはしたないと乳母に叱られるであろうこの行為も、今日は誰にも窘められない。そんな静をじっと見守っているのは同い年の侍女、浅葱。

「静さまのせいではありません。義経さまははるばる鎌倉からいらした静さまがお疲れでしょうからこうして部屋を用意してくださったのでしょう?」

「そう、かなあ?」

 不安そうな静の前で、浅葱は無表情のまま応える。

「女としての魅力が足りないから傍に置けないと言われたわけでもないのですから、大丈夫ですよ。これからがあるのですから、静さまは自信を持っていればよいのです。まだ身体が熟しきっていないのは年齢的に仕方ありません、だから胸が小さいのも初潮が来ないのも静さまのせいではありません。そういったものは自然とやって参ります、気にしてはいけません」

 同い年でありながら、主に対して礼儀を欠かさないくせにどこか抜けたことを口にする浅葱を見上げ、静は苦笑を浮かべる。

「そっか、浅葱がそう言うのならそういうものかもしれないわね」

 てっきり婚礼を行ったその夜に寝所を共にするものだと思っていた静は、自分の身体が女性として未熟だったことを知った義経に育つまでの猶予を与えられたのだろうと勝手に納得し、ゆっくり帯をときはじめる。

 静が着物を脱ぐことに気づいた浅葱が背中にまわり、金糸が紡がれた帯をほどいていく。ことこと、と胸元にしまわれていた婚礼道具が床へ散らばる。静は気にすることなく重たい菊花と番いの鶴が描かれた黒の引き振袖を脱ぎ捨てていく。何も言わなくても浅葱が片付けてくれるから。

 浅葱は表情を見せないまま、主の着替えを手伝い、彼女が蒲団に入るのを見送ってから、自分も夜着になり、静が寝入るのを待つ。

 疲れていたのだろう、主は瞬く間に眠りについた。

 浅葱は満足そうに頷き、床へ散らばった婚礼道具をひとつにまとめ、自分も準備された蒲団に入る。

 枕元に、静の婚礼道具のひとつであった懐剣を置いて。
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