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※ side of Field ※ 2
しおりを挟む嫁入に押し倒されて、ダブルベッドにぽすんと頭を乗せて、僕は天井に目を向ける。
間接照明を反射させてキラキラ輝いているのは鏡だろうか。ドーム上になっている天井から、ひかりが降り注いでいるように見える。ふかく考えずに部屋を選んでしまったが、ここはベッドの上ににまるい鏡の天井があるのが特徴のようだ。
覆い被さっている嫁入は気づいてないようだが、上半身だけハダカになった僕の淫らな姿が浮かび上がっていて、すこし恥ずかしい。だが、そんな羞恥心も彼に胸を愛撫され、舐められているうちに霧散してしまった。
いまはただ、彼が与えてくれる初めての快楽に圧倒され、下半身も楽になりたいのが本心だ。
「脱がさせろって……なんか言葉おかしくない?」
「脱がせろ、じゃ俺じゃない誰かが脱がせるみたいじゃねぇか。俺がお前をハダカに剥きたいんだよ……」
ったく、へんなこと言わせるなと怒られてしまった。僕はただ嫁入に愛撫されて全身熱いからいっそのこと一緒にハダカになればいいと提案しただけなのに。
ぷう、と頬を膨らます僕を前に、嫁入の手がショーツにかかる。リボンで留めてあるだけのシンプルな、深紅の熟れたイチゴのようなショーツ。
焦らすようにリボンに指を絡ませて、嫁入はくすりと笑う。
「身体が熱くなったんだろ? 今度は下の方も可愛がってやる……だから勝手にパンツを脱ぐな」
脱がさせろ、という間抜けな彼の懇願に頷き、彼の手にショーツを委ねる。
もう一方の彼の手がふたたび僕の胸にかかり、心臓に負担がかからないよう右側を重点的に責めていく。
口づけが加わり、瞳をとじた瞬間、スゥっと下半身が涼しくなる。
「……野原の割れ目、よく見えるぞ」
「やだ、言わないで」
「薄いんだな、体毛」
キスから覚めれば生まれたての姿の自分が天井の鏡に映っている。右乳首だけコリコリに尖っていて、どことなくアンバランスなちいさな白い裸体が、嫁入のおおきな身体に囚われている。
彼の視線ははじめて見る僕の秘処へと注がれている。やばい、恥ずかしい。
誰にもふれられたことのない秘密の部分を彼に暴かれ、その様子を鏡で映しだされているというという非現実的な状況にくらくらしてくる。
嫁入は嬉しそうに笑って、僕の下生えをそうっと撫でる。探るような彼の指は、すぐにちいさな花芽を発見し、つんつん、とひとさし指の腹で突っつきだす。敏感なちいさな粒は彼の指紋のぎざぎざまで認識して、ぷくりと膨らみはじめる。同時に沸き上がる、甘い疼き。
「ゃ、クリトリス……」
「痛くならないようにやさしくおおきくしてやるからな。どうだ?」
嫁入の腕が僕の両足を左右に拡げさせた状態で固定して、抵抗できないように顎をお臍の上にのせている。彼の顔は快楽に染められる僕を凝視したまま、器用に指先でクリトリスの皮を剥いてゆく。
さらに敏感になった秘芽を摘まれ、僕はあぁと甲高い声をだす。吐息に混じる艶でさえ、自分のなかのおんなを刺激してくる。
「ぁあー……!」
「ぷっくら赤みを帯びてきた……こんなところにもイチゴがあったんだな」
「あぁん! よ、よめい……りぃっ」
臍の上に顎をのせて乱れる僕の顔を観察していた嫁入のあたまが、いつしか僕の太もものあわいに入り込んでいる。じゅるん、という音とともに指先とは異なる刺激が与えられ、僕は戦く。
「はぁ……ぁんっ!」
「おや、美味しそうな蜜が隠れていたぞ……奥ゆかしい奴だな。こぼさないようにぜんぶ舐めとらないと……」
「そ、そんな場所……舐め、るな……っ!」
汚い、と言い返そうとしたら、じゅるっ、と淫らな水音とともに秘芽を吸われ、言葉に詰まる。彼から顔を背けようと天井に顔を向けても、自分の秘処が口淫されている姿がばっちり鏡に映っているから、結局逃げられない。
おまけに手持ちぶさたになった彼の右手が僕の乳房にイタズラをはじめる。左手は唾液と愛液にまみれた秘芽を丹念に擦りたてるので忙しそうだ……って三点同時に責められたらさすがに理性が吹っ飛びそうだ。
鏡に映る自分のあられもない痴態が更に僕を追い詰める。
「も……いり、むり……ひぃやぁああんっ――!」
――ぺろぺろ、ぺちゃぺちゃという音で、我に却る。あれから嫁入は飽きずにずっと僕の秘処を舐め回しているようだ。未だにぞくぞくする感覚に、身体がのぼせそうになっている。
「嫁入……?」
「野原。盛大にイけたな」
「ぁん……っ、そこで、喋るなっ……」
ぺろぺろと僕の秘処をさんざん舐めしゃぶった嫁入は蜜口に語りかけるかのように声をかける。達したばかりの身体はひくん、と反応し、僕を戸惑わせる。
「手と口だけでドロドロだな」
ぼうっとしている僕の蕩けきった表情を見つめ、嫁入が照れ臭そうに微笑みかける。
そうか、彼の愛撫で僕はイけたのかと理解して、こそばゆい気持ちになる。
「そっか……イけたんだ」
「お前が啼いて意識を飛ばしたとき、焦ったよ。だけど発作を起こしたときのような感じじゃなかったから、しばらくすれば戻ってくるな、って……」
「だから、ずっと舐めてたの?」
「いつまでも失神しているようならいっそのこと一息に貫いてやろうかとも思ったぞ?」
「それは……痛いだろうからやめてくれ」
「冗談だよ……俺は野原が気持ちよくなれることだけしてあげたい」
いつの間にか、嫁入の上半身もハダカになっていた。顔をあげた彼は、ゆっくりと穿いていたズボンにも手をかけ、トランクス一枚になる。股間の部分がテントを張っていて、彼ももう、いっぱいいっぱいの状態でいるのだなということがわかって、ちょっぴり嬉しくなる。
嫁入がトランクスを脱いで、僕とおなじ、すっぽんぽんになる。そそり立つ陰茎は図鑑で見たことのあるものよりも嵩があって、キノコのエリンギを彷彿させる……あ、こういうときは松茸って言ってあげた方が喜ぶんだっけ。
僕が冷静に彼の陰茎を観察していることなど知るよしもなく、ふたたび僕にのしかかってくる。
じっとり汗ばむ素肌を重ねて、僕の鼓動が跳ねる。ゆるゆると胸を揉まれて、さきほどの熱がぶり返す。
「ずっと……こうやってお前を可愛がりたかったって言ったら、退くか?」
「……ううん」
ふたたび彼の愛撫によって身体を昂らされ、熱が籠った状態の僕は、秘処に指を入れられて、また、軽くイってしまう。
「まだまだキツいな……入り口はトロトロなのに、やっぱりはじめてだから……」
「あぁ……嫁入……そこ……」
「気持ちいいか? ここばっかり重点的に責めたらお前、潮吹くかもな」
「いや……おもらし……しちゃ……」
「ゆっくり開発していこうな」
「はぁんっ」
嫁入のひとさし指がくるくると、円を描くように蜜洞を撫でていく。淫らな水音で耳まで犯されるような錯覚に陥りながら、僕はみたび甘い声で啼く。
「……指、増やすぞ」
「あぁ……」
蜜口に添えられていた中指がそうっと侵入してくる。狭い蜜口を押し拡げるかのようにぐいぐいと入ってきた中指も、蜜壺の奥を目指してひとさし指とともに蠢きだす。
ふたつの指がピアノを弾くようにバラバラと僕のなかで遊びだす。奏でられるのは圧迫されたことで生じる艶めいた吐息ととろみを帯びた水音、そしていまにもおんなになろうとしている僕の声。
「――ん、ああぁっ……!」
気がつけば、嫁入の薬指も加わり、僕のなかはきついながらも三本の指によって耕されていた。きついと言いながら、やさしく拡張をつづける彼は、はじめて与えられる快楽によって真っ赤に染まった僕の顔を凝視したまま、手を動かしつづけている。
生娘の証である薄膜が、その奥を隠してはいるけれど……
「も……もぅ……」
天井の鏡に映る自分の痴態に、ゾクリと身体が震え、太ももに当てられた彼の熱杭を前に心が踊る。
瞳をとじても脳裡に残る執拗な彼の愛撫で、蕩けきった僕は限界だった。
――そして、嫁入も。
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