Messiah~底辺召喚士の異世界物語~

小泉 マキ

文字の大きさ
10 / 85
底辺召喚士

野営

しおりを挟む



大剣使いバスター』のメリル。
短髪黒髪の好青年で、武器は黒色で柄の近くに真紅の球が嵌め込まれた大剣。
そして、銀の鎧を身に纏っている。
そんな彼がリーダーを務める『宵の三日月』。
彼を含めて五人で成り立っているらしい。

短剣使いローグ』のリヒャルド。
両腰から下げた一尺程の短剣が二つ。それが彼の武器である。
以前は『双剣使いダブルセイバー』だったらしく、二つの短剣はその名残だと、深緑の髪を揺らしながら「ニカッ」とした笑みを零していた。

弩弓士アーチャー』のカンジュ。
普通の『弓士アーチャー』とは少し違い、クロスボウを使う様だ。
黒めの肌と皺、白髪から想像するに、若者の集まりでもある『宵の三日月』では相当な年配者だと推測出来る。
そして無口だ。

狙撃手スナイパー』のマークス。
自分の身の丈程もある巨大な狙撃銃を担っている。
先端部には刃渡り20cm程の幅広の刃が付いているため、接近戦になっても闘える様だ。
頭には紺色のターバンを巻いていて、目元以外をその布で覆っている。

そして最後に紅一点。
魔導師ソーサラー』のレヴィである。
紅蓮の髪に黒のフード付きローブが特徴で、服装越しでもわかるボンキュッボンのモデル体型と綺麗な顔立ちは、見る者を魅了する。
武器は魔導師らしくスタッフであるが、両端に大きな持ち手のコブが付いてるのは珍しい。


( 守られるのって久々だなぁ…。)


車窓(と言っても布だが)から時折外を眺めながら、心の中でそう呟くメイ。
割と窮屈な乗合馬車の車内には、メイの他に家族連れやカップル等の老若男女が詰められている。
恐らく最年少で、身寄りも無いメイは退屈していた。
こんな時、現代社会ならスマホに夢中になっているだろう。
ひっぱりハンティングや、100人でのサバイバル等を思い出し右手が疼く。

( くっ!静まれ!私の右腕!! )

膝の上のトカゲが右腕を抑えるメイを怪訝な目で見ている。

( 退屈だ...。 )

車輪が街道の砂利を踏み越える小刻みな揺れ、車窓から入り込む暖かな陽射し。
時刻は10時頃になるか。
メイの瞼が重くなるには、そう時間はかからなかった。







暗闇。
どこまでも続く永遠の闇。
目の前に漂う金色のドラゴン

──我、サブルスペイト──

──汝に願う──

──この世界を──








ハッと目が覚める。
月明かりが車内を照らすが、乗客は自分以外誰もいない。
トカゲが肩で寛いでいるのを確認し、立ち上がり、伸びをする。

「...ふっぁああああっはぁーーっ!」

背骨がポキポキと鳴り、同時に欠伸まで出る。

どうせ皆途中で降りたか、野営の準備をしてるのであろう。

( ...少し寝すぎたかな。)

少しと言うには些か疑問が残るが、4~5時間は寝ただろう。
メイが乗降口(荷車の後ろ側)にテクテクと歩き始めると、ひょこっと『魔導師ソーサラー』レヴィが顔を出した。

「あっ、メイちゃん起きた?」

微笑みを零しながらメイを手招きする。

( やっぱりね。 )

メイが乗合馬車を降りると、街道の待避所の様な拓けた場所で『宵の三日月』と『行商人』ワンズが野営の準備をしていた。

恐らくレヴィは、メイが起きるまで見張りをしていてくれたのだろう。

「他の利用者さん達は?」

「他の皆はワン国内の研究都市で降りたわ。ドレイムへ行くのはメイちゃんだけね。」

アントランド王国の東の領国『ワン』。
どうやら他の利用者はそこで降りた様だ。
レヴィの説明だと、今は『ワン』と『ドレイム』の国境を大きく跨いで鎮座する湖『レイオン』の北側に居るらしい。
確かに心做しか涼しい気もする。

「おう、起きたか。」

メリルがメイを確認すると、皿を手渡す。
ゼリー状の携行食と、パン、ジャーキーの様な干し肉が乗っている。

「え、食べていいんですかっ!?」

「勿論だ。君には少し少ないかもしれないがな。」

そう言いながらメリルは微笑む。
横に座るリヒャルドは、それを聞いて「カッカッカッ!」と爆笑していた。

そんなことないですっ!と膨れながらも礼を述べ、自分達も空いている簡易ベンチに座る。

携行食をちびちびと食べながらメリルの説明に耳を傾けた。

「今夜はここで野営する。男は外で、依頼主であるワンズさんは荷馬車、女子達は乗合馬車で眠る。見張りは1時間交代で二人ずつ、『宵の三日月』が行う。出立は明朝7時だ。異論は無いな?」

周りを見渡し、皆が頷くのを確認する。

「それじゃあ、各々自由にしてくれ。」

その言葉を待っていたかの様に、男衆は『エーテルビール』の大瓶を取り出し、酒盛りを始めたのだった。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

いずれ最強の錬金術師?

小狐丸
ファンタジー
 テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。  女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。  けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。  はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。 **************  本編終了しました。  只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。  お暇でしたらどうぞ。  書籍版一巻〜七巻発売中です。  コミック版一巻〜二巻発売中です。  よろしくお願いします。 **************

処理中です...