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開闢の始まり
学園生活9
しおりを挟む「成程、私が負ける事は万に一つも無いが、良いだろう。乗ってやる。」
メイは心の中でガッツポーズをする。
これで勝ってしまえば金輪際絡まれる事は無いし、その上仲間を手に入れられる。
後のギルド活動等を考えればフェイリスが戦力になるのはメリットである。
「よしっ、それじゃあいくよっ!」
メイは漆黒の刀、インビジブルを下段に構え走り出す。
対するフェイリスは聖盾を正面に構え、一撃を躱さんとする。
ミレイン子爵家に代々伝わる聖剣と聖盾。
それは相応しき者に莫大な力を与える。
聖剣はどんな敵をも切り裂き、聖盾はどんな攻撃も防ぐ。
聖剣は刃こぼれもせず、聖盾は傷一つ付かない。
そういう風に、フェイリスは習ってきた。
目の前で、バターでも切るかの如く聖盾を上下に両断されるまでは信じて疑わなかった。
「なっ...!!」
「ほいっ!」
メイが軽く振るう第2撃。
縦にフェイリスを襲う漆黒の刃。
聖盾が破壊された今、防ぐには聖剣を盾として使わなければならない。
「こんなっ...馬鹿な事があるかっ!!」
音も立てずに二分されてしまった聖剣。
短くなったそれを見て、フェイリスは震える。
正直な話、最初はテンニーンとランをメイの見た目に惹かれて囃し立てる下衆だと思っていた。
しかしその実力を見る限り、幼くか弱い彼女を守る為のボディガードなのだろうと考えを改めた。
それがなんだ。
この少女の秘めし力。
余力が計り知れない。
聖剣と聖盾を無力化するという事が出来るとしたら相当な攻撃力が必要な筈。
なのにこの幼き少女は簡単にやってのけたのだ。
本物の実力者は目の前の彼女。
成績が優秀なのも、疑いようのないこの実力からなのだろう。
メイは聖剣が2つに分かれたのを確認すると、高く飛び跳ねる。
足元に魔法陣を展開し対空し、両手を広げた。
巨大な翼の様に展開する虹色の炎。
メイを囲む様に現れた巨大な7色の炎弾。
右手に取り出したのは薄い青色の槍。
左手が掴んでいるのは紫色で球体のフレイルが付いた両槌。
「あれがメイの本気か。」
デミドランが、冷や汗を垂らしながら呟く。
数千年の時を経た彼でも、勝てるビジョンが浮かばない。
観客達も息を呑んで静まり返っている。
まるで神が降臨したかの様に、祈りを捧げる者までいた。
碧く輝く両眼が、フェイリスを見据える。
「まだ...戦いますか?」
凛とした声が、静まり返った中庭に響いた。
カランと聖剣を聖盾の破片の上に落とし、フェイリスは跪く。
「降参...致します。」
とても静かに、最終戦は閉幕となった。
*
模擬戦から夜が明けた翌朝。
廊下を物凄いスピードで歩く人物が居た。
生徒達は道を開け、彼女を通す。
そして、銀髪の少女は大広間の扉を勢い良く押し開いた。
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