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開闢の始まり
間奏7
しおりを挟む恐らく、デミドランの本気でさえも倒すのには骨が折れる筈。
この世界の伝説の古龍ですら大変なのだ。
普通の人間では足元にも及ばないだろう。
「スプリウェル、いけるか?」
「二人ならいけそうだよね。」
デミドランも、スプリウェルも表情は至って真剣だ。
そのレベルの瘴気が、その場に居る人間達を震え上がらせた。
ボリスを含め、教職員も絶望に満ちた表情をしている。
フェイリスに至っては涙目であるし、テンニーンも冷や汗が止まらない。
そんな中、笑顔の人間が一人。
「ん?どうした?メイ。」
「いやぁ、心配して損したなって思って。」
「は!?」
流石のデミドランも、この発言には驚いてしまった。
確かにメイは自分より強い。
だが、この未知数の強敵相手に『心配して損した』と言ってのける少女を、とても正気だとは思えなかった。
しかしメイには、そう言える根拠がある。
( なるほど、少し読めてきたなぁ。)
したり顔で、ガープを見据える。
『気でも狂ったか人間。この状況で笑って居られるとはな。』
ガープには、魔力ゼロの人間が気が狂って笑っている様にしか見えない。
「全く、ご褒美は考えておいて下さいね、理事長。」
メイは、『既にこの場に居るであろう』アモスに言葉を残し、跳躍した。
「フォッフォ、君にはかなわんのぅ。」
「「「「理事長!?!?」」」」
いつの間にか皆の背後に立っている真紅のローブと真紅のとんがり帽子を身に付けた老人。
その金と蒼の両眼は、ガープの元へ飛んで行く少女を笑顔で見送った。
『ほう、貴様一人で我を相手にするのか。舐められたものだな。』
ガープは怒り心頭といった声で目の前の少女を見据える。
魔力ゼロの癖に滞空している彼女が、普通の人間で無い事は分かったが、些か軽率に見えた。
「私から言わせれば、あんたのレベルで『ガープ』を名乗るなんて、舐めてるの?って思うね!」
ガープ。
66の『悪魔』軍団の長。
そして、総裁にして君主。
確かにこの世界では最強レベルで強いかもしれない。
だが、この少女も強い。
『貴様、舐めた口を!!!』
ガッと開いたガープの口から、至近距離で魔力のレーザーが射出された。
しかし、メイは片手で受け流す。
後方の森へ着弾したそれは大規模な爆煙を上げ、爆風がメイの金髪を揺らした。
「それで、本気?」
『小童が!!!』
メイの挑発に、ガープのボルテージが上がる。
全身の魔力を集中させ、虫けらを潰す為の拳を打ち付けた。
ピタッ
「効かないっての。」
人差し指のみで、自身の数倍は大きい拳を止めてしまう。
「今、お家へ帰るなら見逃してあげる。」
『貴様!!次から次へと我を侮辱しおって!!!』
ガープは両腕を広げ、少女を叩き潰さんとした。
「本物を見せてあげる。」
迫る両掌が、メイから発せられた膨大な質量の魔力に弾かれた。
『インフィニティフュージョン。モード『ガープ』!!!』
メイの身体中の肌を、夥しい密度の紋章が埋め尽くす。
両頬にまで届くそれは、端正な顔立ちを隠し、禍々しさを放出している。
そして、赤紫のオーラがメイを包み込んでいた。
『私の知っている『ガープ』は、貴方の何倍も強かった。』
一瞬で間合いを縮め、放たれた拳。
巨体が、学園の壁を押しつぶした。
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