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開闢の始まり
四大学園対抗戦 予選12
しおりを挟む素早く槙が柄を振り下ろす。
その初動を見逃さなかったメイは、黒色の刀身を横にして受けた。
金属同士がぶつかる音が、竹林に鳴り響く。
どこかで鳥の群れが飛び立った気がした。
メイと槙の距離は大分離れている筈なのだが、見えない刀身は幾度もメイを襲う。
槙の動きに注目していなければ、メイでさえ避けるのは困難だ。
一番厄介なのは、槙のインビジブルが自在に伸び縮みするという事。
無色透明ならではの利点だ。
「フッッ!!!」
軽く息を吐き、槙が下段から無色のインビジブルを振るう。
メイもそれに合わせて黒色のインビジブルを動かすのだが、今回は『剣撃』では無く、『斬撃』が飛んできた。
「わっ!ちょっ...!」
変幻自在の攻撃に、メイは翻弄される。
防御と回避に集中するしか無く、攻撃が疎かになっていた。
何度も振られる無色の刀。
刀身を防御する動きが、斬撃への対処を遅らせる。
キンキンキンキンキンキンキンキンッッッ
無駄な動きが、メイの体力を奪っていく。
このままではジリ貧というやつだ。
「あぁもうっ!面倒臭いっ!!!」
槙が振り下ろす動作をした時、メイは目を閉じた。
「ここだっ!!!!」
パシィッッッッ
無色透明の刀身を、メイが手の平で挟んだ。
槙は目を丸くしてインビジブルを引き抜こうとするも、ビクともしない。
「逃がすもんですかっ!!!」
そのままインビジブルの刀身を握り、槙ごと脇の竹林へ投げた。
長い得物がブォンブォンと空気を切り回転しながら飛んでいく。
槙は手を離した為に飛ばされはしなかったが、インビジブルを失ってしまった。
飛んで行ったインビジブルに切られた竹が、一斉に倒壊する。
ズドドドドドドッッッ
「フッ、流石だなぁ。」
槙は笑いながら、メイを賞賛する。
剣士にとって『刀は命』だ。
それを失ったにも関わらず、槙は余裕を見せている。
そして、目の前に迫ったメイの黒刀を指先で止めた。
『ドラゴネスフュージョン。』
メイのインビジブルに触れている指先から、白色の鱗が槙を覆っていく。
頬骨より下は完全に覆われ、太く大きな尻尾と長く立派な角が生えた。
その姿、『龍人』にとても似ている。
『さぁ、こっからが本番だぜ。』
先程とは違って、低く轟く声。
白き龍鱗に覆われた槙の左拳が、メイの腹部を真っ直ぐ突いた。
「がはっっ...!!!!」
少量の胃液を吐き出しながら、メイが吹き飛び地面をバウンドする。
なんとか受け身を取り、ふらつきながらも立ち上がった。
「『レイ』さんも...お久しぶりです...!」
槙の足元で蜷局を巻いている白蛇が一匹。
その表情はどこか嬉しそうで、チロチロと舌を出し入れしている。
『儂の力をまともに受けておいて、その程度のダメージとは。成長したのう。』
『芽衣はほら、努力家だから。俺達とは違ってさ。』
そう言いながら、槙も少し微笑んだ。
「余裕こいてられるのも、今の内なんですからね...!!!」
『ドラゴネスフュージョン!!!!!』
メイから神気が爆発し、ボロボロの竹林を揺らす。
白鱗がメイを包み、大きな尻尾と立派な角が生える。
碧から金色へと変化した瞳は、力強く槙を見つめていた。
『さぁ!いきますよっ!!!』
メイは力強く地面を蹴った。
先程のお返しだと言わんばかりに、高速の白き右ストレートを放つ。
そして、連打。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ
隙を見つけ、ローリングソバットを放つ。
しかし槙は状態を反らしてそれを躱した。
メイはそのまま回転し、右足の中段蹴りを見舞う。
やはりそれも槙は躱した。
『やるじゃん、芽衣。』
そう言いながらも尻尾でメイを薙ぎ払った。
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