Messiah~底辺召喚士の異世界物語~

小泉 マキ

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開闢の始まり

四大学園対抗戦 予選18

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会場は大盛り上がり。
第二回戦も終盤。
ついに生徒会『水環龍の調べ』vs『五月雨』の試合が始まろうとしている。

アモス理事長も満足気に上空に浮かぶモニターを眺めていた。
『一服』仕込んだとはこの事。
メイ達にとってはただの戯れだとは思っているが、この学園の未来と、今日の売り上げの為に一肌脱いで貰おうと思っている。

中央に集まる両チーム。
『サーリフ・マルワーズ・オ・ドレイム』は良く出来た孫だ。
隣に座る息子のボリスに似て職務は真面目にこなすし、勤勉。
それに、母親の優しさも受け継いでいる。

しかし、だ。
恵まれた大公家に生まれ、何不自由無く育ち、自己鍛錬も欠かさない彼にも欠点がある。
それは、心。
優しさは確かにあるが、『ペットに与える優しさ』と同一の物。
それをアモスは見抜いている。

( これを機に成長してくれればのぅ...。)

金色の片目が光る。
見てしまったのだ。
デミドランに模擬戦で敗れたあの日、鬼の形相で自室のありとあらゆる物に当たり散らしていた彼を。

ポーカーフェイスながらも、野心に満ち溢れているサーリフ。
自分が一番でないと気が済まない。
悪い事ではないが、それではこの先やっていけなくなってしまう時が来る。
自分と息子が居なくなった時、一人で家を護れなければ困ってしまうのだ。

さぁ、お手並み拝見といこう。

少し姿勢を正し、自慢の孫へと眼を向けた。



『五月雨』と『水環龍の調べ』。
両チーム挨拶を交わし、位置に着く。
サーリフとメイは握手をし、言葉を交わした。

「お手柔らかに頼むよ、メイ君。」

「こちらこそ、会長。」

お互いに笑みを零す。
今日は晴れ舞台だ。
模擬戦の時と違って、お互いに出し惜しみはしない。


「さぁ!両チーム、一人目、前へ!!!」


審判の声でテンニーンが前へ出る。
会場入口からシュルシュルとフルルカンガスが飛び、彼の手に収まった。
観客も感嘆の声を漏らす。

生徒会からは背の高い男性。
坊主で、ブレザーは着ずにシャツだけ着て腕まくりをしている。
そこから見える筋肉からするに、相当のパワーがあるのだろう。

「よろしくお願いします。」

「あぁ、手加減はしないぞ。」

テンニーンの差し出した手を握る。

「俺の名はアンドリュー・パーパスだ。君は?」

「私はテンニーン。テンニーン・アインホルムです。以後お見知り置きを。」

それを聞き、アンドリューは満足そうに笑いながら距離を取る。
吹き抜ける風が、両者の頬を打った。


「ハジメッッッ!!!!!」


審判が腕を振り下ろし、試合開始の火蓋が落とされる。
先に動いたのはアンドリュー。
尻ポケットから、何か取り出した。

「あれは...!!」

テンニーンは何かの資料で見た事がある。
その赤いマントを。
アンドリューはそれを首に装着する。

バタバタとたなびく赤いマント。
現代で言えば、スーパーヒーローが使っている物に酷似していた。

「行くぞッッッ!!!!!」

アンドリューは拳を振りかぶり、テンニーンへ向かって『射出』された。
そう表現するしか無い程のスピード。
立っていた地面も割れている。

ガンッッッッ!

「くっ、重っ!!!」

フルルカンガスの側面で受けるも、吹き飛ばされた。
あまりの衝撃に、剣を握る手も痺れる。

「まだまだ序の口ッッッ!!!」

飛び蹴り。
吹き飛ばされたテンニーンを目掛けてアンドリューが一直線に迫る。
しかし彼は素早く軸足で回転して半身になり、拳を『置いた』。

人間、飛んでいては攻撃を避けられない。
それはテンニーンも経験している。

自身のスピードに、人間の姿をしているとはいえ龍人の拳。
それがアンドリューの顎にクリーンヒットした。
パコーンという気持ちの良い音を響かせて、巨体が地面へ落ちる。

生徒会と言えども、所詮は生徒。
ただの人間だ。
その辺のハンターズギルドならば生きていく金には困らない実力なのだろうが、相手は龍人。
ただの人間、それも成人手前とはいえ子供が勝てる相手では無かった。

一瞬の結末に沸き起こる歓声。
審判も止めに入り、救護班がアンドリューを運んで行く。
もしかしたら、歯の一本二本位は欠けているかもしれない。

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