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前略、反撃と装備変更と
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1人になると不意に怖くなる。
晴れた空は暗さとは真逆のものだけど、その不安はあたしの足取りを重くする。
「弱虫はいけないよね」
不安は独り言で塗りつぶす。何度死んだとしてもたった1人で戦うのは怖い。
それでもノノちゃんに勇気をあげると約束した、その約束を果たすまでは死ねないね。それに……
「あたしが死んだら、またノノちゃんを泣かせちゃうし」
だったら死ねない、死んだらいけない、あたしが頑張ってノノちゃんに笑ってもらう。うん、あたしの手の届くことだ。
目標が決まれば少しだけ歩きやすくなった気がした。実際にカゴを背負ってないから歩きやすいんだけど。
「だから怖いけど、怖くない」
独白は続く、あたしの知っているファンタジーでは、仲間と一緒に、切磋琢磨、共に戦い、共に泣き、共に笑う。
今のあたしは1人で、成長もゆっくりで、泣かせてばっかりで、なかなか笑ってもらえないけど。
「それもひっくるめて前に進むのがあたしの物語だ」
きっとそうだと思う、少しづつ前に進んで行こうか、そう呟いて独白終了。
さぁ、お出迎えだ。
「猿共ぉーーーっ!女の子を泣かしたらいけないんだぞぉーーーっ!」
「あと!野菜も勝手に持っていったらいけないんだぞぉーーーっ!」
全力で叫ぶ。目の前にそびえる猿山に向かって、リベンジだ、昨日のあたしと同じだと思わないことだね。
いや…あんま変わってないかも。
「ウキキ」「ウキ?」「ウキキキキキ」「ウキキ」
わらわらと猿たちが現れる、そんじゃいっちょいきますかー!
いつもの片手剣を抜き、構える。
すでに猿たちは臨戦態勢。構えた瞬間に近くの猿の拳が飛んでくる。
それでいい!そいつを待ってた!
伸びた猿の腕を掴み!こちらに引っ張る!もちろん全力で!
「よっこいしょぉ!」
「ウギギギギ!?」
あたしの時代錯誤の掛け声と共に、こちらに飛んでくる猿。あとは全力でぇ!!!
構えた片手剣から手を放し拳を握る。
「ぶん殴る!」
この猿達は手足がゴムのようによく伸びる。でも顔と身体はそのままだ。ならそこをぶん殴る。
それを警戒して手足を伸ばさないならあたしの間合いまで突っ走る!
一匹倒して構え直す、次はどうしようか。
リリアンの特訓のおかげで戦える。さてそれでもいつまでもつかな?
……快進撃はいつまでも続かない。当たり前か、こいつらは頭がいい。
数の多さこそが武器、近づいて手足を振るう猿、遠くから手足を伸ばす猿、さらに遠くから石などを投げる猿。
防ぐことで手一杯のあたし、ジリ貧のまま少しずつ押されていく。
「ダサい、ダサいなぁ、あたし……」
囲まれながらへたり込むあたし。
ちょっとでも強くなった気がした、少しでも誰かを守れるような気がした。
昨日までより格好良く生きられる気がした。全部勘違いかも。
それでも……
「ここで逃げだすあたしを、きっと明日のあたしが許さない!」
そんな後悔が、昔の記憶が少し頭をよぎる。すぐに振り払う。そんなことより前だ、明日は前にしかないんだよ!
この言葉は本来、あたしのものじゃない、それでも大事なものだ。久しぶりに使わせてもらおう。
スキルボードを呼び出す、奇跡的にポイントが溜まってないか、新しいマスがでていないか。諦めたくない、その一心で!
「これって……」
手が止まる。
新しいマスはない見慣れたスキルボードだ、昨日までと違うのは、いくつかのマスが習得可能なマスとして薄っすらと点滅していること。
残ポイントをみると33ポイント、昨日の日付で30ポイントが分けられたとの表記があった。
「なんだよ…やっぱりいい子じゃん…」
あのメイドを思い浮かべて呟く、殺すだの何だの言ってたくせに、あたしを見てくれてた。
「1番あたしを信じてなかったのはあたしだったか」
バカだなあたしは、誰もいない空に言葉をこぼす。
ノノちゃんもリリアンも信じてくれたのに。
勇気をくれると、約束を守ると。
「習得するよ!期待に答える為に!」
叫ぶ、スキルをくれる女神に、それともう1度決意を固める為に!
もちろん、当初の目的だった『刃物4点セット』を!
「習得ありがとうございまーす!エンジェルデリバリーでーす!」
聞き覚えのある声が後ろから聞こえる、なんだろうこの胡散臭い声は……
「セツナンおひさ~」
振り返るとあたしの将来絶対に殺すリストに書いた天使がいた。原付にのって、煽るように手を振りながら。
どうぞ!と天使は荷物を地面に突き刺す。あたしが新しく習得した、両手剣、双剣、大剣を。
近づき、軽く触れるとそれはあたしの中に溶けていく、その使い方が、有り様があたしの中に溶けていく。
「ぶっちゃけすぐに死んじゃうと思ってたけど、頑張ってるねセツナン」
「お陰様でね。いろいろあったよ」
落ち着いた口調、まるで友達のような。
「もっとお話ししたいけど、いろんなお話しを聞きたいけど、次の配達があるから」
また会おうね。天使が走りだそうとする。
あ、待って!
引き止める、1つだけ聞きたい!
「なんで貴重な質問権を使ったのに2秒で切ったの?」
これだけはどうしても、どうしても聞いておきたい!
「ご飯食べてたからです」
それでは、天使は悪びれることもなくそう言って去っていった。リストの順位をあげることにした。
「なんか…元気でた。」
佇むあたし。
ポーチからノノちゃんの薬草をとりだす。葉に包まった中の薬を傷に塗る、すぐに痛みはひきはじめた。包んでいた草をはむ。モシャモシャ、苦い。
「もう1度、そんじゃあいっちょいきますかー!」
構える、お待たせ、猿たち。
天使が配達中は守ってくれていたんだろう、お預けを食らっていた猿たちは再びあたしに襲いかかってきた。
もちろん、冷静に数の暴力で、でもさっきまでとは違うよ!
1番近くの猿でも、片手剣の射程よりギリギリ遠くにいる。届かない、片手剣ならね。
「そこだっ!」
振ると見せかけて瞬時に装備変更、片手剣から両手剣へ、一瞬の構え直しからの突き。久しぶりに倒すことができた。
どうやら【ウエポンチェンジ】には装備変更の際に少しだけ、硬直を無視した動きができるらしい。さっき、振り払おうとした瞬間に突きに変更できたように。
あたしがまだまだ弱いのは変わらないけど、これなら戦える!
「まだまだいくぞー!」
双剣に持ち替える、片方で石を払う、片方で手足に絡めて引っ張る!トドメは大剣!
流れるような装備変更、自分がハイになってるのを感じる、いけるとこまでいってみよー!
何匹かの猿を倒したところで、突然猿たちは動きを止めた。あたしの勝ち……かな?
安堵もつかの間、奥から他の猿よりも一回り大きな猿が現れ、あたしと向かい合う。
大きな体躯に他とは違う、白の毛並み。
こいつがボスだね。言葉が通じたりしないかな?
「あー、話し合いとかどうですか?」
「ウギギギギギギギギギ!」
だよね、あっちから見ればあたしも侵略者だ。
それでもお互い傷つけあった。これ以上は必要ないと思いたい。
「まずは勝って、そこからお互いわかり合おうか」
言葉が通じてるのかボスは大きな声を上げて応えた。
さぁ、わかり合う為に頑張ろう。
戦いの中でいつしかあたしはこの猿たちも笑顔でいられたらいいなと考えていた。それを叶えたいなら今、頑張ろう。
晴れた空は暗さとは真逆のものだけど、その不安はあたしの足取りを重くする。
「弱虫はいけないよね」
不安は独り言で塗りつぶす。何度死んだとしてもたった1人で戦うのは怖い。
それでもノノちゃんに勇気をあげると約束した、その約束を果たすまでは死ねないね。それに……
「あたしが死んだら、またノノちゃんを泣かせちゃうし」
だったら死ねない、死んだらいけない、あたしが頑張ってノノちゃんに笑ってもらう。うん、あたしの手の届くことだ。
目標が決まれば少しだけ歩きやすくなった気がした。実際にカゴを背負ってないから歩きやすいんだけど。
「だから怖いけど、怖くない」
独白は続く、あたしの知っているファンタジーでは、仲間と一緒に、切磋琢磨、共に戦い、共に泣き、共に笑う。
今のあたしは1人で、成長もゆっくりで、泣かせてばっかりで、なかなか笑ってもらえないけど。
「それもひっくるめて前に進むのがあたしの物語だ」
きっとそうだと思う、少しづつ前に進んで行こうか、そう呟いて独白終了。
さぁ、お出迎えだ。
「猿共ぉーーーっ!女の子を泣かしたらいけないんだぞぉーーーっ!」
「あと!野菜も勝手に持っていったらいけないんだぞぉーーーっ!」
全力で叫ぶ。目の前にそびえる猿山に向かって、リベンジだ、昨日のあたしと同じだと思わないことだね。
いや…あんま変わってないかも。
「ウキキ」「ウキ?」「ウキキキキキ」「ウキキ」
わらわらと猿たちが現れる、そんじゃいっちょいきますかー!
いつもの片手剣を抜き、構える。
すでに猿たちは臨戦態勢。構えた瞬間に近くの猿の拳が飛んでくる。
それでいい!そいつを待ってた!
伸びた猿の腕を掴み!こちらに引っ張る!もちろん全力で!
「よっこいしょぉ!」
「ウギギギギ!?」
あたしの時代錯誤の掛け声と共に、こちらに飛んでくる猿。あとは全力でぇ!!!
構えた片手剣から手を放し拳を握る。
「ぶん殴る!」
この猿達は手足がゴムのようによく伸びる。でも顔と身体はそのままだ。ならそこをぶん殴る。
それを警戒して手足を伸ばさないならあたしの間合いまで突っ走る!
一匹倒して構え直す、次はどうしようか。
リリアンの特訓のおかげで戦える。さてそれでもいつまでもつかな?
……快進撃はいつまでも続かない。当たり前か、こいつらは頭がいい。
数の多さこそが武器、近づいて手足を振るう猿、遠くから手足を伸ばす猿、さらに遠くから石などを投げる猿。
防ぐことで手一杯のあたし、ジリ貧のまま少しずつ押されていく。
「ダサい、ダサいなぁ、あたし……」
囲まれながらへたり込むあたし。
ちょっとでも強くなった気がした、少しでも誰かを守れるような気がした。
昨日までより格好良く生きられる気がした。全部勘違いかも。
それでも……
「ここで逃げだすあたしを、きっと明日のあたしが許さない!」
そんな後悔が、昔の記憶が少し頭をよぎる。すぐに振り払う。そんなことより前だ、明日は前にしかないんだよ!
この言葉は本来、あたしのものじゃない、それでも大事なものだ。久しぶりに使わせてもらおう。
スキルボードを呼び出す、奇跡的にポイントが溜まってないか、新しいマスがでていないか。諦めたくない、その一心で!
「これって……」
手が止まる。
新しいマスはない見慣れたスキルボードだ、昨日までと違うのは、いくつかのマスが習得可能なマスとして薄っすらと点滅していること。
残ポイントをみると33ポイント、昨日の日付で30ポイントが分けられたとの表記があった。
「なんだよ…やっぱりいい子じゃん…」
あのメイドを思い浮かべて呟く、殺すだの何だの言ってたくせに、あたしを見てくれてた。
「1番あたしを信じてなかったのはあたしだったか」
バカだなあたしは、誰もいない空に言葉をこぼす。
ノノちゃんもリリアンも信じてくれたのに。
勇気をくれると、約束を守ると。
「習得するよ!期待に答える為に!」
叫ぶ、スキルをくれる女神に、それともう1度決意を固める為に!
もちろん、当初の目的だった『刃物4点セット』を!
「習得ありがとうございまーす!エンジェルデリバリーでーす!」
聞き覚えのある声が後ろから聞こえる、なんだろうこの胡散臭い声は……
「セツナンおひさ~」
振り返るとあたしの将来絶対に殺すリストに書いた天使がいた。原付にのって、煽るように手を振りながら。
どうぞ!と天使は荷物を地面に突き刺す。あたしが新しく習得した、両手剣、双剣、大剣を。
近づき、軽く触れるとそれはあたしの中に溶けていく、その使い方が、有り様があたしの中に溶けていく。
「ぶっちゃけすぐに死んじゃうと思ってたけど、頑張ってるねセツナン」
「お陰様でね。いろいろあったよ」
落ち着いた口調、まるで友達のような。
「もっとお話ししたいけど、いろんなお話しを聞きたいけど、次の配達があるから」
また会おうね。天使が走りだそうとする。
あ、待って!
引き止める、1つだけ聞きたい!
「なんで貴重な質問権を使ったのに2秒で切ったの?」
これだけはどうしても、どうしても聞いておきたい!
「ご飯食べてたからです」
それでは、天使は悪びれることもなくそう言って去っていった。リストの順位をあげることにした。
「なんか…元気でた。」
佇むあたし。
ポーチからノノちゃんの薬草をとりだす。葉に包まった中の薬を傷に塗る、すぐに痛みはひきはじめた。包んでいた草をはむ。モシャモシャ、苦い。
「もう1度、そんじゃあいっちょいきますかー!」
構える、お待たせ、猿たち。
天使が配達中は守ってくれていたんだろう、お預けを食らっていた猿たちは再びあたしに襲いかかってきた。
もちろん、冷静に数の暴力で、でもさっきまでとは違うよ!
1番近くの猿でも、片手剣の射程よりギリギリ遠くにいる。届かない、片手剣ならね。
「そこだっ!」
振ると見せかけて瞬時に装備変更、片手剣から両手剣へ、一瞬の構え直しからの突き。久しぶりに倒すことができた。
どうやら【ウエポンチェンジ】には装備変更の際に少しだけ、硬直を無視した動きができるらしい。さっき、振り払おうとした瞬間に突きに変更できたように。
あたしがまだまだ弱いのは変わらないけど、これなら戦える!
「まだまだいくぞー!」
双剣に持ち替える、片方で石を払う、片方で手足に絡めて引っ張る!トドメは大剣!
流れるような装備変更、自分がハイになってるのを感じる、いけるとこまでいってみよー!
何匹かの猿を倒したところで、突然猿たちは動きを止めた。あたしの勝ち……かな?
安堵もつかの間、奥から他の猿よりも一回り大きな猿が現れ、あたしと向かい合う。
大きな体躯に他とは違う、白の毛並み。
こいつがボスだね。言葉が通じたりしないかな?
「あー、話し合いとかどうですか?」
「ウギギギギギギギギギ!」
だよね、あっちから見ればあたしも侵略者だ。
それでもお互い傷つけあった。これ以上は必要ないと思いたい。
「まずは勝って、そこからお互いわかり合おうか」
言葉が通じてるのかボスは大きな声を上げて応えた。
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