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Episode 3 失われし霊樹を求めて
Chapter 1 再会と決別と……
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大陸歴990年7月――。
アスト達は今ケイシューに居た。
実は、アスト達はバルディ、そして天帝フィリガナムからある使命を受けていた。
その使命の為にはカディルナ西部地方へと向かわねばならないが、その前にやり残したことをしようとこの街に寄ったのである。
無論、やり残したこととは、姉の事であった。
◆◇◆
「アスト君、この先にある酒場が、例の黒髪の異邦人がよく居る場所らしいぞ」
マーマデュークがそう言ってアストの肩を叩く。アストはビクリとしてマーマデュークを見つめた。
「緊張しているようだな。もう少し肩を解せ」
「は、はい」
アストは胸に手を当てて深呼吸する。
そして、硬くなりすぎている肩を、腕を回してほぐした。
「よし!」
アストは気を取り直して目的の酒場へと向かう。すぐにその入り口が見えて来た。
「?!」
アストが酒場の入り口に手をかけた時、入り口の扉が中から開かれた。そして、中から人が出て来て、その目がアストを見た。
「え?」
「あ?!」
酒場から出て来たのは女性であった。それも黒髪、黒い瞳の――。
「姉さん?!」
「アスト?!」
その時の両者の叫びが重なる。
それは、あまりにアッサリとした、姉弟の再会であった。
「アストなの? 本当に?」
「姉さん! 俺だよ! アストだ!」
「まさか……、こんなに大きくなって……」
アストとその姉、カナデは、嬉しそうに手を握り合う。こうして8年ぶりに離れ離れの姉弟が再び触れ合ったのである。
そんな二人の姿を見てリディアは目の端に涙を溜めて微笑んでいた。兄があれだけ再会を望んでいた人と再会出来たからである。兄のその想いの強さはリディアが一番よく知っていた。
「姉さん……。やっぱり無事だったんだね。姉さんなら何とか生きてると信じていたけど」
「ええ、もっとも今こうしているのは、ある人のおかげなんだけどね」
「ある人?」
「ええ、その人が居なかったら、あの後騎兵に捕らえられた時に、どうにかなっていたわ」
「え!?」
それは、予想出来ていたが驚きの事実であった。
「聖バリス教会に捕まっていたのか? なにかされなかったのか?」
「心配しなくても大丈夫、それより……」
「心配しなくても大丈夫って……、でも……」
カナデは嬉しそうに笑いながら強引に話しを切り替える。
「それより……。ここで再会出来たのも何かの縁だし。アスト、私達と一緒に来ない?」
「え?」
「貴方だから言うけど……、私達はある使命を受けて辺境地を巡っているのよ」
「辺境地……」
その言葉にアストは何か嫌な感じを受けた。
「辺境地に聖バリス教会の加護を広めて、聖バリス教会への帰順をもとめるの」
「!」
その言葉はアストにとって信じられない言葉であった。
「姉さん? どう言うこと? 聖バリス教会から逃げてきたんじゃないの?」
「逃げる? ああ、言って無かったわね。私は今、聖バリス教会圏諸国の一つの国、その貴族、レナード伯爵様の魔術顧問を務めているのよ」
「な?!」
「そのレナード伯爵様が、危ないところを保護して下さった方よ」
アストはかすれる声でカナデに言う。
「姉さん……、まさか聖バリス教会圏諸国につかえてるのか?」
「ええ、此処では大っぴらには言えないけどね」
「……」
アスト達はその言葉に一様に絶句する。
アストは何とか言葉を絞り出す。
「聖バリス教会がこんなところで何をしているんだ?」
「それはさっき言ったでしょ? 聖バリス教会を辺境地に広めて帰順を……」
「姉さん!!」
アストはもう聴きたくないと言うように叫ぶ。その時のアストの脳裏には、ラギルスの最後の姿が浮かんでいた。
「なんで姉さんが聖バリス教会なんかの味方をしているんだ!」
「え? アスト?」
「聖バリス教会が……。このカディルナの地の人々にどれほどのことをして来たのか! 知らないのか?!」
「アスト……。あなた」
アストのその叫びを聞いてカナデが悲しげな顔をする。
「アスト、貴方……。その鎧を見てもしかしてと思ったけど。黒の部族で生活していたのね?」
「それがどうしたんだ!」
「そしてその思想に染まってしまった」
「な?! どう言う意味だ! まさか黒の部族を妖魔族だとか言うつもりか?!」
「そんな事は言わないわ。私だって彼らが妖魔族とは別の種だって知識で知ってる。でも、彼らは赤の民を目の敵にして、聖バリス教会の真意を歪めているのよ」
「な……」
カナデは無表情で話しを続ける。
「私達聖バリス教会は決して、争いは望んでいない。そのためにこそ、私達はカディルナの地に派遣されたのよ」
「姉さん。本気でそんな事……」
「本気だとか……、それこそが聖バリス教会の真実よ」
アストはもはや言葉を紡げなかった。あまりのことに呆然とする。
「カナデさんの言った通りです」
不意に酒場から声がかけられる。
アスト達がそちらを向くと、そこに一人の男が立っていた。
「失礼、私が彼女の言うレナードです」
「!!」
アスト達は驚愕の表情でその男を見る。
それは、偽装しているのか、紫色の髪をして、青い瞳をした男だった。
「赤の民?!」
「そうです。まあ、大きい声では言えないですが」
「赤の民がこんなところで……」
「さっきカナデさんが言った通り、黄の民の方々に、聖バリス教会への帰順をもとめるためカディルナの地を巡っているのです。あくまで平和的に話し合って……ね」
「お前らが今さら? 話し合い? お前たちが今まで何をして来たか、わかって言っているのか?!」
「そうですね……、悲劇はおきてしまいました。その事は私も知っています。
でも、だからこそ我々は居るのです。もう悲劇を繰り返さないように」
「そんな話し信じられると?!」
「信じられませんか?」
「俺は忘れない! ラギルスさんの最後を! 貴様らがして来た多くの悲劇を! 忘れられるわけないだろ!」
「そう、ですか……」
「自浄作用もないくせに……! 今さら話し合いだと!? 笑わせるんじゃない!!」
「……」
アストのその叫びに、カナデは言葉を失い、レナードは目をつぶって俯く。
レナードはアストの前に立って、そして背を向けた。
「許せないなら、どうか私を切ってくれ……」
「レナード様?!」
いきなりの言葉にカナデが悲鳴を上げる。
アストは一瞬驚いた後、腰の刀に手をかけた。
「お兄ちゃん!」
あまりの事態にリディアが悲鳴を上げる。
リックルとマーマデュークは、ただ黙ってアストを見つめている。
「やめてアスト!」
カナデがアストに縋り付き、アストを止めようとする。しかし、アストはカナデを振り解き、そのまま刀を振り抜いた。
「レナード!」
カナデの悲鳴が街に轟く。そして――、
「切らないのか?」
「……」
アストの刀はレナードの肩の側で止まっていた。
「アンタが、姉さんを助けてくれたんだろ? だから、これはその借りだ……」
「アスト君」
「それに、このままアンタを切ろうとしたら、そこのアンタの仲間が襲って来るだろうし……な」
「……」
そう、いつのまにか、レナードの側には二人の男女がそれぞれの武器を手に立っていたのである。
「ティル、ロベルト……」
「レナード様……コイツは……」
「彼はカナデの弟だ、大丈夫問題無い」
その二人は、レナードの言葉に武器を収める。アストも刀を鞘に収めた。
「レナードとか言ったか?」
「ああ、そうだ」
「姉さんを助けてくれてありがとう」
「……」
「だから、もう俺の前に顔を出すな。俺はアンタを切りたく無い……」
「了解した」
アストはカナデに向き直る。
「姉さん……」
「アスト……」
「これからもコイツについていくつもりなんだろ?」
「ええ……」
「姉さんならきっと、正しい道を見つけ出す……。俺はそれについては行けないが」
「ごめんなさいアスト」
「いいよ……。姉さんが無事であるなら。だから、レナードさん。姉さんを頼みます」
アストはレナード達に背を向けてそう言う。その言葉にレナードははっきりと頷いた。
「カナデのことは任せてもらおう」
アストはそれだけを聞くと、走ってその場を去っていく。
リディア達もそれを追いかけた。
「アスト」
カナデはいつまでもアストの去った方向を呆然と眺めていた。
◆◇◆
アストはカナデ達が見えなくなるぐらい走ってそして止まった。そこにリディアがかけて来る。
「お兄ちゃん?」
「リディア」
アストは少し悲しげな表情でリディアを見る。
「お兄ちゃん……大丈夫?」
「ああ……」
アストは力無く笑う。
「俺達にはやるべき使命がある」
「お兄ちゃん」
「だから、こんなところで止まってはいられない」
アストの目に再び力が宿る。
「行こう……」
そう言って皆を見回すアスト。
皆は、ただその言葉に頷くしか出来なかった。
八年の月日を越えて姉弟は再会した。しかし、その道は交わる事は無かった。
果たしてこれからも交わる事は無いのか?
それは今は誰も知らない――。
アスト達は今ケイシューに居た。
実は、アスト達はバルディ、そして天帝フィリガナムからある使命を受けていた。
その使命の為にはカディルナ西部地方へと向かわねばならないが、その前にやり残したことをしようとこの街に寄ったのである。
無論、やり残したこととは、姉の事であった。
◆◇◆
「アスト君、この先にある酒場が、例の黒髪の異邦人がよく居る場所らしいぞ」
マーマデュークがそう言ってアストの肩を叩く。アストはビクリとしてマーマデュークを見つめた。
「緊張しているようだな。もう少し肩を解せ」
「は、はい」
アストは胸に手を当てて深呼吸する。
そして、硬くなりすぎている肩を、腕を回してほぐした。
「よし!」
アストは気を取り直して目的の酒場へと向かう。すぐにその入り口が見えて来た。
「?!」
アストが酒場の入り口に手をかけた時、入り口の扉が中から開かれた。そして、中から人が出て来て、その目がアストを見た。
「え?」
「あ?!」
酒場から出て来たのは女性であった。それも黒髪、黒い瞳の――。
「姉さん?!」
「アスト?!」
その時の両者の叫びが重なる。
それは、あまりにアッサリとした、姉弟の再会であった。
「アストなの? 本当に?」
「姉さん! 俺だよ! アストだ!」
「まさか……、こんなに大きくなって……」
アストとその姉、カナデは、嬉しそうに手を握り合う。こうして8年ぶりに離れ離れの姉弟が再び触れ合ったのである。
そんな二人の姿を見てリディアは目の端に涙を溜めて微笑んでいた。兄があれだけ再会を望んでいた人と再会出来たからである。兄のその想いの強さはリディアが一番よく知っていた。
「姉さん……。やっぱり無事だったんだね。姉さんなら何とか生きてると信じていたけど」
「ええ、もっとも今こうしているのは、ある人のおかげなんだけどね」
「ある人?」
「ええ、その人が居なかったら、あの後騎兵に捕らえられた時に、どうにかなっていたわ」
「え!?」
それは、予想出来ていたが驚きの事実であった。
「聖バリス教会に捕まっていたのか? なにかされなかったのか?」
「心配しなくても大丈夫、それより……」
「心配しなくても大丈夫って……、でも……」
カナデは嬉しそうに笑いながら強引に話しを切り替える。
「それより……。ここで再会出来たのも何かの縁だし。アスト、私達と一緒に来ない?」
「え?」
「貴方だから言うけど……、私達はある使命を受けて辺境地を巡っているのよ」
「辺境地……」
その言葉にアストは何か嫌な感じを受けた。
「辺境地に聖バリス教会の加護を広めて、聖バリス教会への帰順をもとめるの」
「!」
その言葉はアストにとって信じられない言葉であった。
「姉さん? どう言うこと? 聖バリス教会から逃げてきたんじゃないの?」
「逃げる? ああ、言って無かったわね。私は今、聖バリス教会圏諸国の一つの国、その貴族、レナード伯爵様の魔術顧問を務めているのよ」
「な?!」
「そのレナード伯爵様が、危ないところを保護して下さった方よ」
アストはかすれる声でカナデに言う。
「姉さん……、まさか聖バリス教会圏諸国につかえてるのか?」
「ええ、此処では大っぴらには言えないけどね」
「……」
アスト達はその言葉に一様に絶句する。
アストは何とか言葉を絞り出す。
「聖バリス教会がこんなところで何をしているんだ?」
「それはさっき言ったでしょ? 聖バリス教会を辺境地に広めて帰順を……」
「姉さん!!」
アストはもう聴きたくないと言うように叫ぶ。その時のアストの脳裏には、ラギルスの最後の姿が浮かんでいた。
「なんで姉さんが聖バリス教会なんかの味方をしているんだ!」
「え? アスト?」
「聖バリス教会が……。このカディルナの地の人々にどれほどのことをして来たのか! 知らないのか?!」
「アスト……。あなた」
アストのその叫びを聞いてカナデが悲しげな顔をする。
「アスト、貴方……。その鎧を見てもしかしてと思ったけど。黒の部族で生活していたのね?」
「それがどうしたんだ!」
「そしてその思想に染まってしまった」
「な?! どう言う意味だ! まさか黒の部族を妖魔族だとか言うつもりか?!」
「そんな事は言わないわ。私だって彼らが妖魔族とは別の種だって知識で知ってる。でも、彼らは赤の民を目の敵にして、聖バリス教会の真意を歪めているのよ」
「な……」
カナデは無表情で話しを続ける。
「私達聖バリス教会は決して、争いは望んでいない。そのためにこそ、私達はカディルナの地に派遣されたのよ」
「姉さん。本気でそんな事……」
「本気だとか……、それこそが聖バリス教会の真実よ」
アストはもはや言葉を紡げなかった。あまりのことに呆然とする。
「カナデさんの言った通りです」
不意に酒場から声がかけられる。
アスト達がそちらを向くと、そこに一人の男が立っていた。
「失礼、私が彼女の言うレナードです」
「!!」
アスト達は驚愕の表情でその男を見る。
それは、偽装しているのか、紫色の髪をして、青い瞳をした男だった。
「赤の民?!」
「そうです。まあ、大きい声では言えないですが」
「赤の民がこんなところで……」
「さっきカナデさんが言った通り、黄の民の方々に、聖バリス教会への帰順をもとめるためカディルナの地を巡っているのです。あくまで平和的に話し合って……ね」
「お前らが今さら? 話し合い? お前たちが今まで何をして来たか、わかって言っているのか?!」
「そうですね……、悲劇はおきてしまいました。その事は私も知っています。
でも、だからこそ我々は居るのです。もう悲劇を繰り返さないように」
「そんな話し信じられると?!」
「信じられませんか?」
「俺は忘れない! ラギルスさんの最後を! 貴様らがして来た多くの悲劇を! 忘れられるわけないだろ!」
「そう、ですか……」
「自浄作用もないくせに……! 今さら話し合いだと!? 笑わせるんじゃない!!」
「……」
アストのその叫びに、カナデは言葉を失い、レナードは目をつぶって俯く。
レナードはアストの前に立って、そして背を向けた。
「許せないなら、どうか私を切ってくれ……」
「レナード様?!」
いきなりの言葉にカナデが悲鳴を上げる。
アストは一瞬驚いた後、腰の刀に手をかけた。
「お兄ちゃん!」
あまりの事態にリディアが悲鳴を上げる。
リックルとマーマデュークは、ただ黙ってアストを見つめている。
「やめてアスト!」
カナデがアストに縋り付き、アストを止めようとする。しかし、アストはカナデを振り解き、そのまま刀を振り抜いた。
「レナード!」
カナデの悲鳴が街に轟く。そして――、
「切らないのか?」
「……」
アストの刀はレナードの肩の側で止まっていた。
「アンタが、姉さんを助けてくれたんだろ? だから、これはその借りだ……」
「アスト君」
「それに、このままアンタを切ろうとしたら、そこのアンタの仲間が襲って来るだろうし……な」
「……」
そう、いつのまにか、レナードの側には二人の男女がそれぞれの武器を手に立っていたのである。
「ティル、ロベルト……」
「レナード様……コイツは……」
「彼はカナデの弟だ、大丈夫問題無い」
その二人は、レナードの言葉に武器を収める。アストも刀を鞘に収めた。
「レナードとか言ったか?」
「ああ、そうだ」
「姉さんを助けてくれてありがとう」
「……」
「だから、もう俺の前に顔を出すな。俺はアンタを切りたく無い……」
「了解した」
アストはカナデに向き直る。
「姉さん……」
「アスト……」
「これからもコイツについていくつもりなんだろ?」
「ええ……」
「姉さんならきっと、正しい道を見つけ出す……。俺はそれについては行けないが」
「ごめんなさいアスト」
「いいよ……。姉さんが無事であるなら。だから、レナードさん。姉さんを頼みます」
アストはレナード達に背を向けてそう言う。その言葉にレナードははっきりと頷いた。
「カナデのことは任せてもらおう」
アストはそれだけを聞くと、走ってその場を去っていく。
リディア達もそれを追いかけた。
「アスト」
カナデはいつまでもアストの去った方向を呆然と眺めていた。
◆◇◆
アストはカナデ達が見えなくなるぐらい走ってそして止まった。そこにリディアがかけて来る。
「お兄ちゃん?」
「リディア」
アストは少し悲しげな表情でリディアを見る。
「お兄ちゃん……大丈夫?」
「ああ……」
アストは力無く笑う。
「俺達にはやるべき使命がある」
「お兄ちゃん」
「だから、こんなところで止まってはいられない」
アストの目に再び力が宿る。
「行こう……」
そう言って皆を見回すアスト。
皆は、ただその言葉に頷くしか出来なかった。
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