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西暦2092年
断業の神剣~ダンゴウノシンケン~
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「いつまで逃げるつもりなのかな?
湊音ちゃん?」
湊音のTRAの背を眺めつつそうスピーカーで言い放つ桃華。
それに対し湊音は、鼻を鳴らして言い返す。
「やっすい挑発っすね――。
カス日本人ごと気に使われている馬鹿にはふさわしいセリフっす」
「はは!! 馬鹿?
あんたごとき旧式のおばさんには言われたくないわ――。
私はあんたと違ってまだまだ若いんだから」
「それは”経験の少ないお子様”っていうっすよ?
お馬鹿さん? 理解できていないっすか?」
「理解する何もあんたみたいなヨゴレじゃないってことでしょ?
経験って――、ただむやみに長く生きる事かしら?」
「口の減らないガキっすね――。
まさしくくカス日本人に使われている兵器にふさわしいカスそのものっす」
湊音は高層ビルの陰に隠れると、その手に持った機剣を背部に固定して、腰から35㎜アサルトライフルを抜く。
そして、そのまま桃華に向けて放った。
「?!!!」
しかし、さっきまで自分を追いかけてその場にいたはずの桃華は、そこにおらず姿が消えてしまっていた。
「どこに?!!!」
――と、不意に背後から発砲音が響いて、湊音のTRAの背部装甲が粉砕された。
「ク!!!!」
湊音はとっさにその場に伏せて弾丸を受け流すと、そのまま背後に銃口を向けて発砲した。
「当たらない!!!!」
そう叫ぶのは桃華である。
桃華はすでにその場にはおらず、高層ビル群の隙間を飛ぶように走り抜けて、湊音の側面をその40㎜小銃の照準でとらえた。
(まさか――これがTRAの動きっすか?!)
湊音はその機動力の高さに舌を巻く。
TRA4Sは機動力の面において92式戦術機装義体C型を遥かに超えているはずである。
しかし、その差があってもなお、桃華に追いつくことがかなわない。
(クソ――まさかこれが実験体の能力差ってやつっすか?!)
湊音は舌打ちしつつ桃華の銃撃を避けていく。
湊音もさすがは実験体――、並のパイロットであったらその場で戦闘不能になっているところを、装甲や機体の強固な部分を利用して弾丸の猛攻を防いでいく。
「カス日本人に使われている馬鹿の癖にやるっすね――」
「――あんた」
その時、不意に桃華の声のトーンが低くなる。
そして――、
「さっきから”カス日本人、カス日本人”って――、何言ってんの?
そんなに日本人が嫌い? ――ていうか、うじうじうじうじ悪口とか情けないんじゃない?」
「何?!」
「あ――何がそんなに日本人の事、気に入らないのか知らないけど――。
ソレのせいでテロリストにまで落ちるとか、馬鹿以外の何物でもないよね」
その桃華の言い草にさすがに頭にきた湊音は、アサルトライフルで牽制し横に走り抜けながら叫んだ。
「あんたみたいなガキに何がわかるっすか!!
そんなこと言うってことは、苦しんだ経験もない本当のガキだってことっす!!」
「フン――」
その銃撃を軽く受け流しつつ40㎜小銃を放つ桃華。
その銃弾は的確に、湊音の手にするアサルトライフルの側面を穿った。
「!!!」
ドン!!!
湊音のアサルトライフルが弾薬ごと爆発する。
咄嗟に湊音は腰の対戦車手りゅう弾を桃華に向けて投擲した。
――しかし、その爆発の範囲にすでに桃華はいない。
「ホント馬鹿ねあんた――。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ――。
あんたの経験したことが世界の本質と思い込んでいる真性の馬鹿だね」
「なに!!!」
湊音は歯をむき出しにして怒りの表情を作る。
そのまま背後の機剣”ジョワユーズ”を引き抜くと、それを楯のようにかざして桃華に向かって駆けた。
「お前に――、お前みたいなガキに何がわかるっすか!!!
苦しみも悲しみも――あたしの過去を何も知らないくせに!!!!」
桃華はそんな湊音に向かって40㎜小銃を放つ。
しかし、その弾丸は機剣”ジョワユーズ”の作る力場によって、すべて崩壊し消滅してしまった。
「切り裂け!!!!」
機剣の力場が桃華に向かって放たれる。
桃華は40㎜小銃を投擲し、それを犠牲にして力場を回避した。
「それがどうした――おばさん」
「?!」
不意に怒りに満ちた言葉が桃華の口から発せられる。
「あんた――クソテロリストに堕ちたくせに、同情されたいの?」
「な――」
「あんたにそんな価値があると本気で思ってるの?」
それは闇の中から響くような憎悪の声。
「同情されて――、過去を慮ってもらえるのは、
つらい過去を持っていて、それでもなお真面目にまっすぐ生きている人間だけよ?」
「く……」
「今のあんたには、その価値は欠片も存在しないわ」
「知った風な口を!!!」
湊音はその手の機剣を振りかぶる、しかし――、
ガキン!!!!!!
桃華の手には機剣”フツノミタマ”が握られていた。
その力場が機剣”ジョワユーズ”を退ける。
「あんた――、今まで何人の人間を殺してきたの?」
「何?」
いきなりの質問に困惑する湊音。桃華はそれに構わず言葉を続ける。
「その、あんたが殺して来た人間に――、
ワタシにはこんな過去があります――同情してくれますか?
って、聞いてみなさいよ――」
「何を――?」
「間違いなく――、全員こう言うでしょうね。
”お前の過去なんか知った事か――”って」
「!!!」
桃華はその手の機剣の出力を最大に開放する。
「日本人が嫌い? 日本人から酷いことをされてきた?
――そんなことを言って泣いて無力に引き籠る誰かほども、あんたには同情する価値はない」
その手の機剣の周囲にまばゆい光輪が生まれる。
「なぜなら――あんたは”テロリスト”だから――」
「く――」
「そんなに同情されたければ、まっすぐ真面目に生きろ――。
それができないなら――、
お前は真面目に生きる人々にとって害悪でしかない――、
”とっとと首くくって死ね――!!!!”」
「くああああああ!!!!!!」
湊音はその桃華の言葉に激昂する。もはやそこには戦術も何もない。
桃華はもはや何の感情もこもらない顔でその手の機剣を振るった。
グシャ!!!! ドン!!!!
その機剣”フツノミタマ”の力場が、機剣”ジョワユーズ”の刀身を粉々に砕き、そのままTRA4Sの胴を貫きその背まで貫き通す。
「な――、わたしが――こんなところで――、
に……ほん……人――」
「本当に馬鹿ねおばさん――」
「く――日本人……
破滅――」
「復讐のために生きる者が――、
その心が――”心が狂ってないわけないじゃない”」
その言葉は果たして湊音に向けて言った言葉であったのだろうか?
こうして、一人の実験体――、
日本人を憎悪する”青嶋 湊音”はその生を終えたのであった。
湊音ちゃん?」
湊音のTRAの背を眺めつつそうスピーカーで言い放つ桃華。
それに対し湊音は、鼻を鳴らして言い返す。
「やっすい挑発っすね――。
カス日本人ごと気に使われている馬鹿にはふさわしいセリフっす」
「はは!! 馬鹿?
あんたごとき旧式のおばさんには言われたくないわ――。
私はあんたと違ってまだまだ若いんだから」
「それは”経験の少ないお子様”っていうっすよ?
お馬鹿さん? 理解できていないっすか?」
「理解する何もあんたみたいなヨゴレじゃないってことでしょ?
経験って――、ただむやみに長く生きる事かしら?」
「口の減らないガキっすね――。
まさしくくカス日本人に使われている兵器にふさわしいカスそのものっす」
湊音は高層ビルの陰に隠れると、その手に持った機剣を背部に固定して、腰から35㎜アサルトライフルを抜く。
そして、そのまま桃華に向けて放った。
「?!!!」
しかし、さっきまで自分を追いかけてその場にいたはずの桃華は、そこにおらず姿が消えてしまっていた。
「どこに?!!!」
――と、不意に背後から発砲音が響いて、湊音のTRAの背部装甲が粉砕された。
「ク!!!!」
湊音はとっさにその場に伏せて弾丸を受け流すと、そのまま背後に銃口を向けて発砲した。
「当たらない!!!!」
そう叫ぶのは桃華である。
桃華はすでにその場にはおらず、高層ビル群の隙間を飛ぶように走り抜けて、湊音の側面をその40㎜小銃の照準でとらえた。
(まさか――これがTRAの動きっすか?!)
湊音はその機動力の高さに舌を巻く。
TRA4Sは機動力の面において92式戦術機装義体C型を遥かに超えているはずである。
しかし、その差があってもなお、桃華に追いつくことがかなわない。
(クソ――まさかこれが実験体の能力差ってやつっすか?!)
湊音は舌打ちしつつ桃華の銃撃を避けていく。
湊音もさすがは実験体――、並のパイロットであったらその場で戦闘不能になっているところを、装甲や機体の強固な部分を利用して弾丸の猛攻を防いでいく。
「カス日本人に使われている馬鹿の癖にやるっすね――」
「――あんた」
その時、不意に桃華の声のトーンが低くなる。
そして――、
「さっきから”カス日本人、カス日本人”って――、何言ってんの?
そんなに日本人が嫌い? ――ていうか、うじうじうじうじ悪口とか情けないんじゃない?」
「何?!」
「あ――何がそんなに日本人の事、気に入らないのか知らないけど――。
ソレのせいでテロリストにまで落ちるとか、馬鹿以外の何物でもないよね」
その桃華の言い草にさすがに頭にきた湊音は、アサルトライフルで牽制し横に走り抜けながら叫んだ。
「あんたみたいなガキに何がわかるっすか!!
そんなこと言うってことは、苦しんだ経験もない本当のガキだってことっす!!」
「フン――」
その銃撃を軽く受け流しつつ40㎜小銃を放つ桃華。
その銃弾は的確に、湊音の手にするアサルトライフルの側面を穿った。
「!!!」
ドン!!!
湊音のアサルトライフルが弾薬ごと爆発する。
咄嗟に湊音は腰の対戦車手りゅう弾を桃華に向けて投擲した。
――しかし、その爆発の範囲にすでに桃華はいない。
「ホント馬鹿ねあんた――。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ――。
あんたの経験したことが世界の本質と思い込んでいる真性の馬鹿だね」
「なに!!!」
湊音は歯をむき出しにして怒りの表情を作る。
そのまま背後の機剣”ジョワユーズ”を引き抜くと、それを楯のようにかざして桃華に向かって駆けた。
「お前に――、お前みたいなガキに何がわかるっすか!!!
苦しみも悲しみも――あたしの過去を何も知らないくせに!!!!」
桃華はそんな湊音に向かって40㎜小銃を放つ。
しかし、その弾丸は機剣”ジョワユーズ”の作る力場によって、すべて崩壊し消滅してしまった。
「切り裂け!!!!」
機剣の力場が桃華に向かって放たれる。
桃華は40㎜小銃を投擲し、それを犠牲にして力場を回避した。
「それがどうした――おばさん」
「?!」
不意に怒りに満ちた言葉が桃華の口から発せられる。
「あんた――クソテロリストに堕ちたくせに、同情されたいの?」
「な――」
「あんたにそんな価値があると本気で思ってるの?」
それは闇の中から響くような憎悪の声。
「同情されて――、過去を慮ってもらえるのは、
つらい過去を持っていて、それでもなお真面目にまっすぐ生きている人間だけよ?」
「く……」
「今のあんたには、その価値は欠片も存在しないわ」
「知った風な口を!!!」
湊音はその手の機剣を振りかぶる、しかし――、
ガキン!!!!!!
桃華の手には機剣”フツノミタマ”が握られていた。
その力場が機剣”ジョワユーズ”を退ける。
「あんた――、今まで何人の人間を殺してきたの?」
「何?」
いきなりの質問に困惑する湊音。桃華はそれに構わず言葉を続ける。
「その、あんたが殺して来た人間に――、
ワタシにはこんな過去があります――同情してくれますか?
って、聞いてみなさいよ――」
「何を――?」
「間違いなく――、全員こう言うでしょうね。
”お前の過去なんか知った事か――”って」
「!!!」
桃華はその手の機剣の出力を最大に開放する。
「日本人が嫌い? 日本人から酷いことをされてきた?
――そんなことを言って泣いて無力に引き籠る誰かほども、あんたには同情する価値はない」
その手の機剣の周囲にまばゆい光輪が生まれる。
「なぜなら――あんたは”テロリスト”だから――」
「く――」
「そんなに同情されたければ、まっすぐ真面目に生きろ――。
それができないなら――、
お前は真面目に生きる人々にとって害悪でしかない――、
”とっとと首くくって死ね――!!!!”」
「くああああああ!!!!!!」
湊音はその桃華の言葉に激昂する。もはやそこには戦術も何もない。
桃華はもはや何の感情もこもらない顔でその手の機剣を振るった。
グシャ!!!! ドン!!!!
その機剣”フツノミタマ”の力場が、機剣”ジョワユーズ”の刀身を粉々に砕き、そのままTRA4Sの胴を貫きその背まで貫き通す。
「な――、わたしが――こんなところで――、
に……ほん……人――」
「本当に馬鹿ねおばさん――」
「く――日本人……
破滅――」
「復讐のために生きる者が――、
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