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ゴブリンの巣穴を襲いました その1
しおりを挟むそして3日後。
今日はいよいよ決行の日だ。
【経験値が一定値に到達。レベルが上がりました】
そんなアナウンスを聞きながら、ゴブリンの巣穴が視認できる場所――茂みに隠れて私は懐かしの生誕の地を眺める。
あの時は体も小さかったし、後ろも振り返らずに必死こいて逃げたもんね。
でも、今、私はこれからあの巣穴を……蹂躙すべきターゲットとして……どっしりと構えて眺めているわけだ。
なんだか感慨深いけど、まあ、それはさておき。
とりあえずはこちらの陣営の確認だね。
私が大将兼軍師として、それで弟君は副官というか私の警護。
王宮とかでいうと親衛隊みたいな感じかな。
日本でいうと織田信長の母衣衆とかみたいな側近中の側近って感じ……いや、母衣衆はちょっと違うかな?
ともかく、ボスの回りいるお付きの者って感じだ。
いや、ただ私から離れてくれないだけなんだけどね。
あと、弟君に付き従う感じで元・ガリガリ組はガチンコで私の親衛隊みたいな感じになっている。
ちなみにこの子たちの役割は既に終わっていて、メインは≪仕込み≫の手伝いだ。
種族念話はつながりや絆が強い方が伝わりやすいので、少しでも付き合いの長いからって感じかな。
ともかく、アイテムボックスに敷き詰められた大量の枯れ枝を獲得した時点で、この子たちの役目は終了。
まあ、仕掛けの周囲での仕留め担当はやってもらうけど、突入班には組み入れていない。
っていうかのも、この子たち……元ガリガリ組みだけあって、平均レベルがめっちゃ低いんだよ。
思わぬ反撃にあった時、生存の可能性は他の子たちに比べて低いだろう。
で、突撃メンバーは蛇の道は蛇ということで、クロ君が指揮を執ることになっている。
――良いんですかヒナタさん? 貴方に楯突いた俺に……そんな大役を……
――良いんだよクロ君。昔のことは水に流そう
――おお……おおお……ヒナタさん! なんて器のデカさなんだ! 俺はあんたに一生ついていきますぜ!
最後のほうは何故か山賊とかチンピラの三下っぽい口調だった……いや、私の脳内でそう翻訳されただけなんだけどさ。
まあ、現実問題として長らく巣穴のボスをやってたから、現場での細かい指揮の以心伝心は私よりは効くのは間違いない。
なんだかんだで新参者だからね私。狩りの時とかでも細かい指示はクロ君のが上手く伝わるし。
――ともかくヒナタさん! 俺たちはどんな危険にも顧みない! 全員があんたに命を預けてますから!
ああ、そこは大丈夫なんだけどね。
と、言うのも今日の完勝は既に確定してるに等しい。
っていうか、思惑通りにいってなかったらこのまま戦闘に入らずに逃げるもんね。
ゴブリンってのは純粋な個体戦闘能力は魔狼よりはめちゃくちゃ弱い。
けれど、不味い相手であって楽勝ということではない。
一対一なら余裕なんだけど、今回みたいに巣穴丸ごとみたいな総力戦になればなるほど、我が魔狼軍は不利になるのだ。
なんでかというと、理由はこんな感じだね。
・クロ君曰く、巣穴には総計300のゴブリン、こちらは50程度
・賢くはないけどアホ過ぎるということもない。恐らくは魔狼よりは知能は高い
・武器や防具を持っているので単純なステータスだけでは力量は分からない
・集団戦闘を前提としている
・事実、ゴブリンに魔狼が狩られることもあるし、危険度が高いので今までクロ君たちはゴブリンの巣穴を見逃している
ちなみに、以前に私は巣穴全体で30~50と予想していたけど、調理場はあそこだけではなかったようだ。
あのコックさんが作っていたのは王族とか幹部とかの分だったんだろうね。
と、まあこんな感じでゴブリンがこの森で生き抜く力というのは、要は知恵だ。
個々人の力量不足を、道具を使い、群れを作って連携してカバーしている。
本当に生命っていうのは強かなもので、個体が弱いならばそれを補う能力ってもんがあるんだね。
でもね、ゴブリンさんたちよ。キミたちが賢いとしても、それは所詮は動物のレベルで賢いという意味なんだよ。
――私、人間だかんね!
【経験値が一定値に到達。レベルが上がりました】
良し、神の声も聞こえてきた。
実は合計3回レベルアップがあったんだけど、どんどん間隔が短くなってるんだよね。
これで、中の大惨事は確定だ。今回は安全にみんなに経験値を取得させるという趣旨もあるので、そろそろ頃合いだろうかね。
――良し、みんな? 突撃の準備は良い?
念話で伝えると、そこかしこから「ワオーン!」と、遠吠えが上がった。
ってことで、会戦の狼煙のろしも上がっちゃったので、ボチボチしている暇はない。
そうして、私たち全員は茂みからゴブリンの洞窟へと続く穴に向けて駆けだしたのだ。
あ、ちなみに……なんでレベルが上がったかというと、それは――
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