クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

大前野 誠也

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7:死神の思惑

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 自分に【ネクロマンス】のスキルを使ってみせろ、だって?
 何を考えているんだろう、この死神は。

 僕は【ネクロマンス】のスキルについてあまり詳しくは知らないが、少なくとも死んだ人間をアンデッドに変える力が有る事は間違いない。
 他に考えられそうな事と言えば、アンデッドの使役……あれ?ひょっとして僕、灰田さんに使役されてないか?
 ま、まぁ今それは良い。仮に使役の力が有るとしてこの死神は灰田さんに使役されたがっているって事か?

 ……変態さんかな?

 「な、なんで?」

 灰田さんが素直な疑問を死神にぶつけた。
 死神は少し考えてから答えた。

 『……貴様のスキルには使役された側のアンデッドに幾つかのメリットがあるのは……把握しているか?……』
 「メリット?」
 『……まったく……自分のスキルについてすら……把握できていないのか……』

 嘆かわしいと、死神はため息を吐いて首を左右に振る。いや、ため息を吐けるのかは知らないけど。
 あとやっぱり使役出来るのか。
 僕は使い魔的な存在なのかな?

 「し、仕方ないでしょ?さっきこの世界に来たばかり何だから!」

 灰田さんが大きな声で反論する。段々死神と喋るのに慣れて来たのかも知れない。

 『……さっき?……ふむ……何やら事情がありそうだな……よかろう。貴様のスキル…【ネクロマンス】について説明してやろう……』

 そして死神は語り出した。

 『…貴様の【ネクロマンス】の能力は、
  ……1つ…死者をアンデッドに変える……
  ……2つ…アンデッドを使役できる……
  ……3つ…使役したアンデッドと経験値を共有出来る……
  ……4つ…アンデッドが倒した敵の経験値が上昇する……
  ……5つ…使役したアンデッドの基本ステータスに常時バフが掛かる……
 ……今の所は……これだけだな……スキルレベルが上がれば……出来る事も増えるであろう……正直スキルレベル1でこれだけ破格な能力は……かなり稀有だ……流石はユニークスキルと言ったところか……』

 今の死神の話が本当なら、今僕が【ネクロマンス】のスキルで受けている恩恵は、経験値が多く貰えるのと、ステータスが上がってるってことぐらいかな。確かに結構大きなメリットではあるけど、見ず知らずの人間に使役されてまで手に入れたい恩恵では無い気がする。

 「そ、それだけ?貴方にとってはメリットに対してデメリットが大きくない?私に使役されちゃうんでしょ?」

 僕の疑問を灰田さんが口にしてくれる。

 『……我の目的は強くなることだ……それ以外に興味はない……その為に…人の身を捨て…アンデッドになり…永久の時を過ごしてきたのだ……しかし……最近は頭打ちでな……ドラゴンを倒しても……レベルが上がらない程だ……そこに現れたのが貴様だ……』

 死神がスッと灰田さんを指さす。その指に肉は無く、人の指の骨そのものだ。

 『……ステータスバフに加え経験値上昇……どちらも魅力的だ……まぁ、上昇値はまだ大したものでは無さそうだが……スキルレベルが上がれば……上昇値も上がるだろう……』
 「も、もし、貴方に【ネクロマンス】を使うのを拒んだら?」
 『……言ったであろう……?……死にたく無ければ……と。…その時は貴様らを殺して……我の経験値にするだけだ……まぁ……レベル1の貴様らの経験値など……スライムと大差ないだろうがな……ククク……』
 「ひっ」

 灰田さんがまた、ズルリと後ろに下がる。

 『……さぁどうする、小娘。……我に【ネクロマンス】を使うか。……それとも……ここで死ぬか…だ……』

 そんなもの、選択肢とも言えない。
 灰田さんの事は決まっている。

 「つ、使うわよ!使えば良いんでしょ!!」

 
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