クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

８：≪【ネクロマンス】はレジストされました≫

　
　灰田さんが両手を前に掲げ叫ぶ。

　「【ネクロマンス】っ！！」

　すると、死神の足元に灰色の魔法陣が現れ淡い光を放ち、そして砕け散った。
　実際に灰田さんのスキルが発動するのを見るのは初めてだが、何となく失敗した気がした。

　『……ふむ………まぁ、想像通りか……』
　「な、なんで…？」

　死神一人納得し、灰田さんは困惑している。
　灰田さんの様子を見るに、はやりスキルは失敗した様だ。

　『……互いのレベル差があり過ぎるせいか……単純にスキルレベル不足か………』

　僕たちのレベルは二人とも１。もし【ネクロマンス】のスキルが、自分のレベル以下の相手にしか使えないのなら、この世界の殆どのアンデッドに使えないだろう。
　そういえばこの死神のレベルは幾つなのだろうか？先ほどドラゴンすら倒した事があるみたいな事を言っていた気がするけど。

　「今メッセージウインドウで、レベルとスキルレベルの両方が不足しているからスキルが失敗したって出たわ」
　『……メッセージウインドウ……？……ああ、異世界人だけに見えると言う謎の文字か……やはりレベル上げが必要か……さて……どうするか……』

　死神は何やら考えはじめ、暫くしてふと、僕の方を見た。

　『……【ネクロマンス】のスキル効果で……そこのアンデッドが手に入れた経験値は……小娘にも入るのだったな……』

　そういえばそう言ってたな。
　灰田さんは使役したアンデッドに戦わせる、いわば後衛職にあたるポジションなのだろう。

　『……ならば……』

　死神は唐突に持っていた大鎌をこちらに放り投げた。

　「ア”－－－！」

　あぶな！
　僕が咄嗟に避けると、大鎌が僕のすぐ前に転がった。

　『……貴様にその鎌を貸してやろう……それは魂喰いの大鎌ソウルイーターという魔道具で……大抵の魔物を一撃で屠る事が出来る……アンデッドにしか扱えないのと、アンデッドには効かないという欠点はあるがな……』

　要するに即死確定の武器？！何そのチートアイテム。
　というか、出会いがしらにそんなもので切り付けられたのか、僕は。

　眼前に落ちている大鎌を拾い上げる。
　プレッシャーの様な物を感じるが、不思議と手になじむ。

　『……我が魔物の動きを封じるので……貴様は魂喰いの大鎌ソウルイーターで止めをさせ……この森の魔物であれば……結構な経験値になるはずだ……』

　寄生プレイというか、パワーレベリングというか……MMORPGなら嫌われそうなレベル上げの方法だが、実際に命が掛かっているこの場面でそんな事は言っていられない。
　なにより、どうせこちらには拒否権などないのだ。

　魂喰いの大鎌ソウルイーターを握る手に力が入った。