大陸アニマ〜そのペンギンと紡ぐ世界〜

garato

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2話〜愛しき日々と成長

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――赤ん坊のペンギンは、ペン汰と名付けられた。
 ペン汰は、もう5歳になった。

 白カラスとの生活は、穏やかで静かだった。
 尋ねてくる人もいない。
 特に不自由しているわけでもなく不満もないが、少し寂しさを感じる年頃になっていた。

 なぜこの場所に誰も近寄らないのか……
ペン汰は、不思議に感じていた。
「おじいちゃん、なんでここは、だれもこないの?」

「そうだな…この場所は、みんなあまり好きではない所なんだよ」
 白カラスは、ペン汰の頭を撫でながら答える。


―この大陸には、異様な雰囲気を纏う場所がある。
南の海の先に微かに見える離島『鳥哭島』(うこくとう)
周囲には黒い霧が立ち込め、島の全容はわからない。

 白カラスは、話を続ける。
「南の海の向こうに、黒い雲のようなものがみえるだろう。
 あれは『鳥哭島』といって、悪いことの象徴と言われているんだ」
「だから、その場所に近いここには、誰も着たくないんだよ。」

 ペン汰は、難しい顔をしてうつむいている。
「そっか…わかったよ。おじいちゃん」
 

 頭では、納得している。
なんでも答えてくれるおじいちゃん。
 
白カラスのおじいちゃんが自分の本当の親じゃないことも知ってる。
 最初は、両親のことを想う事もあったし、おじいちゃんに聞いたこともあった。
 おじいちゃんは、正直に僕との出会いを教えてくれた。
 悲しみや寂しさで泣くこともあったけど――

 おじいちゃんは、優しく羽で包んで眠ってくれた。
おじいちゃんがいてくれるなら、それでいい――
 ……心からそう思えた。

 
 
 ――白カラスは、朝になると決まって薪を集めに行く。
 食糧が、少なくなったら魚獲って帰ってくる事もある。
 僕は、前の日におじいちゃんが集めてきた薪を割るのが仕事だ。


 おじいちゃんは、物知りで…ちょっとうるさいぐらいに教育熱心なところがある。
 薪の割り方も、何度も熱心に教えてくれた。
 お昼前には帰ってきて、2人で料理をするのが楽しかったりする。

 3歳ごろから、修行……っておじいちゃんは言ってたけど、ただ2人で向かい合って座って目を瞑る時間を作るようになった。
『ペン汰…川をゆっくり流れる水を思い浮かべるんだよ』
「わかった」
「……」
「……」

退屈とは言わないけど、何も言わずに目を瞑ってるより、おじいちゃんと話してる方が楽しいんだけどな。
「ねぇ、おじいちゃん」
『どうした』
「これ…何か意味があるの?」
『……川を思い浮かべる事は出来たか』
 おじいちゃんは、穏やかでいて、だけど力のこもった口調で言った。
「うん、川には魚が泳いでたよ」
『そうか』
 
そう言ったおじいちゃんの胸元のペンダントは、淡い光を纏っているように感じた。
『水はね、命を包んでくれるし、ありのまま姿を写してくれる』それだけ答えてくれた。
 ちゃんとした答えは返ってこないけど、大切な事なんだろうなと納得した。

 夜になると、おじいちゃんは、薪で火を起こして暖をとる。火を扱うのは、まだおじいちゃんの仕事だ。
 僕にも、そろそろ教えてほしいな。

 その後、2人で料理をしてご飯を食べる。
 ほんとにこの時間は楽しい。
僕は、おじいちゃんとご飯を食べてる時間が一番好きだ。

 ご飯を食べ終わると、布団の上で、いつものお話の時間が始まる。

 《天鳥》という鳥が、空からみんなを見守っていて、困っている人を助けていたというお話。
 そんな鳥、見たことないから、多分作り話なんだろうなと思うけど。
 僕は、途中で寝ちゃって話を最後まで聞いた事ないからよくわからない。
 僕には昔話なのか、作り話なのかわからないけど。
 なんとなくだけど…優しくて…
 おじいちゃんみたいな鳥さんだなって思っていた。
 今日も、同じ話――
 ……おやすみ。おじいちゃん。
 ――――
 

 この世界には、魔獣という生き物がいて、大陸の真ん中にある洞窟から湧き出てくるらしい。
 どうやって生まれてくるのかは、全くわからないけど、とにかく結構な数の魔獣が出てくるっておじいちゃんが言ってた。

  《天峰》には、四方に洞窟あり、洞窟内から不定期にさまざまな魔獣が現れる。その魔獣は、山岳地帯で小さな群れを作り、各国へ降りてく事がある。
 魔獣は、動物達にとって災いであるのと同時に、貴重な食糧でもあるため、各国は部隊を作り定期的に討伐を行っている。

 
 大体の魔獣は、国の軍隊が定期的に討伐してくれるおかげで、この辺りではあまり見ない。
 でも、たまにハグレ魔獣が迷い込んでくることがあって……
 人気のないこの場所では、自分の身は自分で守らないといけない。
 だから、おじいちゃんから戦い方を教えてもらうんだけど……こんな感じ――

 木の剣のみ持って、おじいちゃんと僕が向かい合う。
『ペン汰、目を瞑れ。目に見えるものだけを頼るな』
 言われた通りやってみるけど……
「何も見えないよ!」
『……いくぞ』そう言うと、おじいちゃんは木の剣で切り掛かってくる。
「いたいっ!」受けられるわけがない。何も見えないんだから。
『目を開けていたって同じ事だ。次は目をあけて受けてみなさい』
 僕は目を開けて構える。
『いくぞ』
 真っ直ぐに切り掛かるおじいちゃんが見える
「ここだ!」僕は、振り上げたおじいちゃんの剣の軌道上に剣を構えて受ける体勢をつくる。
 ほらっ!見えれば受けれるよ……と思った瞬間。
 少しだけおじいちゃんの体がぶれて…気付いたら剣は僕の頭の上。
「いたいっ!」
 もう、意味がわからない。とても老人の動きじゃない。
『わかったか、ペン汰。目で見えるものを信じすぎるんじゃない』
『相手が何を考えているか予測して待つんだよ』
 言ってる事は分かるけど……
 泣きそうな顔になり、うなだれる。
『ペン汰……何事も積み重ねだよ。わしも、何年も修行したものだよ。ペン汰ならできる』
おじいちゃんが慰めてくれるけど、そんなこと言われると……余計に悲しくなる。


 涙を止めれない僕におじいちゃんは、いつも大事そうにクビにかけているペンダントを、ぼくの首にかけた。
『これをあげよう。きっとペン汰を見守ってくれるから』
 そう言って、純白のペンダントを僕にくれた。
「ありがとう、大事にする」
 涙は、止まらないが、ペン汰はニッコリ笑った。
 その顔を見て、白カラスもニッコリ笑った。
 ――微かにペンダントが光っていた
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