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2日目
しおりを挟むアキラは長い夢を見ていたはずだが、目を覚ますとすっかり忘れてしまった。
「ゲームにログインしました」という機械音とともに、彼の意識が覚醒する。反面、見た夢はさらに深く沈んでいった。
敷布を敷いた地べたで寝ていたため、体の節々が少し痛む。彼は体を起こし、大きく伸びをした。すでに日は昇っており、長時間疲れ果てて眠っていたようだ。
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初心者応援キットその2
アキラは水筒から水を一口飲むと、倉庫にある新しい初心者応援キットを展開し、その中身を見て笑った。
テント(小)1張り、火打ち石1個、下着(上下)4枚、寝袋1個
「おはよう、ラピさん」アキラはラピスに話しかける。
「おはようございます、アキラさん。今日も頑張っていきましょう」
「ところで、ラピさん。今日のキットにはキャンプ道具が入ってたよ。それと、下着も」
「そうですか。良かったですね。夜は寒くなりますから」
「そういえば、少し頭が痛い」
「風邪は普通の薬草では治りませんからね。それと、清潔にすることも大切ですよ」
「わかったよ。着替えるね」アキラはその場で服をすべて脱ぎ、全裸になって周りを見回した。
「何してるんですか? 全くもう……」
「広大な自然に、産まれたままの姿…… 最高だよ」と、ぶらん、ぶらん。
「……」ラピスは呆れてはいないが、アキラの姿に赤面し、声が出なかった。
「ごめん、ごめん」急いで服を着たアキラは、ゲーム画面を常駐させた。画面の右上には新たに丸いマップが表示されていた。彼は指先でマップをフリックしてみたが、見渡す範囲だけが表示され、それ以上は見えなかった。
「地図かな?」
「はい、マップ機能です」動揺を悟られないように冷静に答えた。からかわれたら死んでしまう。
「遠くは見えないんだな」
「今のレベルでは、見える場所と行った場所だけが表示されます」
ただ、そのマップには必要な情報も含まれていた。川や林などの地形が示されている。彼はそのマップを動かしながら、次にどこへ向かうべきかを考えた。
「これを活用すれば、迷うことはないかな……」アキラは呟いた。似たような景色や森で迷子にならずに済むのなら、小さな冒険を決意した。すでに冒険の途中なのだが……。
とりあえず、きれいな川に行って水を補給しようと考えた。人間の3の法則――呼吸は3分、水は3日、食事は3週間。つまり、今一番必要なのは水だ。
「川に向かおうと思う」
「はい」賛成的な雰囲気で、ラピスが返事を返す。
「よしっ」重い腰を上げ、アキラはすたすたと川のある方向へ歩き出した。川があるのは分かるが、想像していたよりも遥かに遠い。途中、大きな砂の窪みらしきものがあった。
「クレーターかな」
近づいてみると、10階建てのビルくらいの高低差がありそうな、大きなすり鉢状で、サラサラな砂でできている。時々、ものすごい速さで砂が滑り落ちていく。まるで大きなクレーターのようなその地形に恐怖を感じる。最下部には石碑らしきものが立っているが、遠すぎて見えない。
「何だ、あれは?」
「わかりません」どう答えようか悩みながら、ラピスが答える。
「落ちたら戻って来れないな」
「危険です。近づいてはいけません!」ラピスの声がかすれて、急に途絶えた。
会話が無くなった間も、右上のマップがナビのように動き、彼の進むべき道を示してくれる。目的地が川に設定できたからだ。ここで止まっているわけにもいかないので、先を進むことにした。
やがて、林に囲まれた花畑を通り抜ける際、アキラはキラービーや大型ホーネットのような蜂の魔物に遭遇した。
「動きが速いし、攻撃されたらまずそうだね」彼はラピスの気配を感じて再び話しかけてみる。
「すいません。急用で外していました」
「そうだったんだ。それで大丈夫だった?」アキラが心配げに問いかけた。
「はい」ラピスは、アキラが気にかけてくれたことが嬉しかった。彼の口癖の「大丈夫」が聞けて、心が温かくなる。急用というのは、かつてのゲームサークルの仲間からだった。
「ここは無視して通り過ぎた方が良さそうだね」セーフティタイムは機能しているらしく、アキラに見向きもしなかったため、そのまま駆け足でその場を通り過ぎた。
「もう少しだ。」迷わず目的地を指すマップを見て、さらに足を進めた。川のせせらぎが聞こえ始めると、アキラは一層歩みを速めた。
太陽が少し傾き始めた頃、ようやく川べりに到達した。途中のクレーターを大きく迂回したため、思ったよりも時間がかかってしまった。
川に着くと、アキラはまず川の水を一口含んでみた。幸いなことに、ステータス異常は表示されなかった。彼は安心して水筒に水を満たした。
川の水は澄んでおり、中には魚が泳いでいるのが見える。しかし、捕まえるのは難しそうだと感じた。彼は魚を観察しながら、朝から何も食べていないことを思い出し、半分のパンと干し肉をかじった。
川の中を覗き込むと、ふわふわと泳ぐ数匹のクラゲのような生物を発見した。
「クラゲは海洋生物のはずだ」
「はい?」ラピスはアキラの言葉の意味が分からなかった。
「つまり、ウオータースライムなのかな?」アキラは言い直した。
「そうです」
「じゃあ」と言って川に飛び込んだアキラだったが、思ったよりも川は深く、場所によっては足が届かないことに気づいた。体に感じる違和感はさらに強くなったが、今はスライムに集中することが優先だと考えた。
彼は目標に向かって泳ぎ始めた。ふわふわと水中を漂うスライムは、倒しやすそうに見えたが、なかなかヒットしない。何とか3匹のスライムを倒すことに成功した。
これで、野原で倒した5匹と合わせて8匹になる。
昼間は暖かかった空気も、次第に冷たくなり、水温も下がり始めていた。服も重くなり、体力の消耗を感じた。
「残り2匹、無理か……」
そう思いながらも、川の深い場所にいる2匹のウォータースライムを見つけ、狙いを定めて潜った。しかし、何者かに川底に引きずり込まれるような感覚に襲われ、急に体が動かなくなり、溺れかけた。
「あなたらしくない!しっかりしてください!」
ラピスの声がアキラの意識を覚醒させた。川面に向かって必死に泳ぎながら、右手に持ったナイフでスライムを的確に切りつけた。
「ありがとう、ラピさん」岸に上がったアキラは肩で息をしながら感謝を述べた。
「10匹達成しましたね。でも、無理は禁物ですよ」
経験値 2p獲得しました。
金 10ゴールド獲得しました。
アキラ
レベル2
HP 4/14
MP 3/3
Exp 20/25
保護時間 13日
G 100
アキラは服を脱ぎ、タオルで体を拭いてから下着を着替えた。風が冷たい。このままでは風邪をひいてしまうだろう。
まずは周囲を見回し、薪を集め、大きな木の枝をナイフで細かく削って燃えやすい薪を作った。その後、火打石を取り出し、乾いた小枝に火花を散らしながら慎重に火を熾した。
やがて小さな炎が広がり、焚き火が勢いよく燃え始めた。
昼間の残りのパンと干し肉を火で炙り、食べた。
一本の大木が生えている土手の側にテントを張り、今日の宿とした。
「焚き火の光が、とても綺麗だ……」星と月の光しかない真っ暗な闇の中で、火の光が輝いていた。
※※
「冒険といえば、夜は焚き火だよな。美しいシーンが欲しいって思うんだ」彼がそう言ったことがあった。
「そんなの、飛ばされるシーンになるんじゃない?」彼女は笑いながら返した。
そんな過去の会話を思い出しながら、ラピスはアキラのキャンプシーンを眺めていた。
ミッション デイリーミッション(初心者用)
1:ログイン 50ジェム ◯
2:魔物を10匹倒す パン×3、干し肉×3 ◯
3 :未踏エリアを開放する、または10,000歩移動する 薬草×2、毒消し草×1 ◯
4:デイリーミッションを全て達成 100ジェム ◯
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