アルカディア・クロノクル ゲーム世界に囚われた俺を救うのは、妹か、かつての仲間か

織部

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魔法剣士 ※

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キラービークイーンを1匹倒した。 経験値:20p獲得しました。(セレナ10p) ゴールド:100Gを獲得しました。

**ステータス**

アキラ 魔術師  レベル5 ファイアーボール LV7 /ウインドブラスト LV6
セレナ 魔法剣士 レベル4 親愛度:7 雷剣 LV2

- ゴールド: 865
- 保護時間: 9日

 ステータスを確認したアキラは、セレナが新しい職業「魔法剣士」を選び、さらに「雷剣」というスキルを取得していることに気づく。

「セレナ、いつの間に魔法剣士になったんだ? しかも、スキルまで取得してるじゃないか!」アキラは驚きながら尋ねた。

「うん、かっこいいでしょ!」セレナは満足げに笑顔を浮かべる。

「いつそんなことを?」

「女王蜂と戦っているときに、声が聞こえたの」

「ラピさんの声?」

「名前はわかんない。怖い人じゃなくて、神の使いの声!」セレナは慌てて訂正した。どうやらクイーンとの戦闘中に、ラピスのナビゲートでジョブを選んだらしい。

「スキルもその時に?」

「うん、魔法剣士だから魔法も使える!」

どうやらセレナはPSRなので上級職業を選べるらしい。雷魔法まで使えるとは……主人公は自分のはずなのに、ちょっと複雑な気持ちだ。

「ところで、ルナは大丈夫? 蜂に刺されたりしてないよな?」アキラはふとルナのことを思い出し、心配そうに尋ねる。

「大丈夫! 牙狼の毛は、蜂の針なんか通さないから」

話を聞いてみると、実際には前回もルナが蜂に刺されて苦しんだわけではなく、セレナが心配でご飯も食べずに弱っていただけだったらしい。

「ルナって、狼だったのか?」

「何言ってるの、今さら! ルナはフェンリル、北の狼の王だよ。私はその保護者!」セレナは誇らしげに胸を張った。

「ワオーン!」とルナが力強く吠えた。その吠え方はまるで「違う! 私がセレナの保護者なんだ」と言ったのだが、アキラは一瞬驚いたが、その意図は伝わらなかった。



 林へ移動する前の休憩中、アキラは受け取れる報酬を確認した。

 新人冒険者ミッションは、達成すると上位のミッションが自動的に出現するらしい。すでに達成済みのものもあり、先ほどの戦いで使ったマナポーションの貴重さを改めて感じていた。品質毎にポーションが3本ずつだがもらえる親切設計だ。

「これ考えた人、優しすぎじゃないか……」

 休憩を終え、障害が取り除かれた林へと向かう。林を通り抜け、塔を目指した。
 林の奥でセレナが蜂の巣を見つけ、彼女に導かれるまま目的地へと歩き始めた。

 太陽の光を遮る木々の間を、涼しい風が心地よく吹き抜ける。思ったよりも目的地は近かった。

「蜂蜜をパンにつけると美味しいよ」と、セレナは嬉しそうに言いながら、誰もいない蜂の巣から空き瓶に蜂蜜を集めている。

 今のセレナには、蜂がいないおかげで恐れるものはない。

 小狼は蜂蜜を少し舐めてみたが、すぐに顔を顰めた。どうやらその味は気に入らなかったらしい。

「アキラ、リュック貸して!」林には食料が豊富にあり、セレナとルナは果物やキノコをせっせと集め始めた。セレナはどこに食べられる物があるのか、よく知っているようだ。

「これはまずいからダメ」ルナが集めたものに、セレナが駄目出しをして落ち込んでいる。

 セレナは慎重に見極めながら次々とリュックに入れていく。アキラが渡したリュックは次第に膨らみ、いっぱいになるとセレナは満足げに微笑んだ。

「ラピさん、助けてくれたの?」アキラが小声で尋ねる。

「何がですか?そんなことはしていません」と、ラピスはやや慌てた様子で答えた。

「だって、戦闘中にセレナにジョブやスキルの説明をしていたでしょう?」

「それは仕事の一環です」ラピスは毅然と答えた。

「そうですか。でもミッション報酬、助かります。」

「ミッションの達成報酬ですから。それよりも、先に進みましょう」ラピスは感謝の気持ちを照れ隠しするかのように話を切り上げた。

 林を抜けると、広大な野原が広がっていた。すぐに物見塔が見えると思っていたので、拍子抜けしてしまった。

 魔物に全く遭遇しない野原を、夕方になるまで歩き続けた末、ようやく物見塔が蛇行する川の対岸に姿を現した。

※※※

 山吹が黒神に「キャンプに行くことになった」と伝えると、彼は「それは良かったな」と笑った。

「誰のせいよ!」

「いやいや、お前の兄貴が、俺をわざわざ四万十川までキャンプに連れて行ったんだぞ」

「どうせ断らなかったんでしょ? 兄さんが全額持ちだよね」

「まあな」だから今、山吹に返してる。

「楽しかったんでしょ?」

「……少しだけな。サークルのみんなが集まるなんて珍しかったし、でも蜂の巣に突っ込んじまって、まるで戦場だった」

「え、どうしたの?」

「お前の兄貴がまさかのバズーカタイプの蜂スプレーを持ってきたんだ。奴が蜂の大群に向かってスプレーをぶっ放す姿は……英雄そのものだった」

「何それ、漫画みたい。他に何かあった?」

「沈下橋を回るサイクリングもさせられた。みんなブーブー言ってたぞ。しかも雨が降った翌日で道がぬかるんでて……いや、もういい。次こそは勝つ」

「何に?」

「気にすんな。それより、時雨だっけ? 彼女のこと、ちゃんと調べたのか?」黒神の声には心配が滲んでいた。

「キャンプの前に、彼女の家でお泊まり会をすることになった。女の子が3人で」

「お前、他にも友達がいたんだな」彼は笑いながら尋ねる。

「友達っていうか、知り合い。予備校時代のね」

「お前、ちゃんと勉強してたのか?」

「もちろん! 兄さんやあの人みたいに天才じゃないから、頑張ったんだ。何かわかったら、また連絡する」

 そう言って携帯を切ると、山吹は大きなため息をついた。

 二重スパイをしてでも、黒神たちが隠している秘密に辿り着くつもりだ。



 兄の行方を探す為に。
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