アルカディア・クロノクル ゲーム世界に囚われた俺を救うのは、妹か、かつての仲間か

織部

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ボブゴブリン

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 アダムは慌てて馬車を停めた。濃霧に包まれ、前を行く馬車が突然視界から消えたのだ。

「どうしました?」ノワールが声を掛けた。ヴァイオレットはリリィから王国の紋章が刻まれた剣を手渡される。

「前の馬車が見えなくなりました」アダムは馬車を降り、前の馬車の車輪の跡を探したが、跡形もなく消えていた。周囲から物音が響き、馬たちもそれに気づき、興奮して騒ぎ始めた。

 森の中からは、人の声に似た騒がしい音が聞こえる。アダムは急いで馬車に戻り、馬たちに鞭を入れて急発進させた。

「魔物に囲まれています」魔物たちは一斉に森を飛び出し、馬車の四方から迫ってくる。

 アダムは、茶色の短髪に険しい顔立ちの無口な青年に見えるが、王国随一の御者である。そして彼の選んだ馬は、速さだけでなく、度胸を持った激しい利口な馬である。

 彼の完璧な手綱捌きによって、2頭の馬が駆け抜けて行く。緑の小さな鬼が数匹、行く手を塞ごうと飛び出すが、馬たちは臆せず何事もなく踏み付けて進む。

 窮地を脱したかに見えたが、峠に至る道が倒木で塞がれていた。馬たちが気づき、急停止した。後ろからは、数十匹のゴブリンの集団が迫ってくる。

 アダムが引き返して敵中突破を試みようと馬車を取り回そうとしたとき、小道を発見した。

 それはアズーリア村への側道で、アダムは戦いたくない思いとフェニックスたちがいる可能性を考え、その道を選んでしまった。狭道で馬車が一台通るのがやっとで、上り坂の悪路で全く速度が出ない。

「申し訳ありません。選択を間違えたようです」アダムの声を聞いて、ノワールが座席の扉を開けて御者台に飛び移った。

「逃げ切れますか?」ノワールが尋ねようとした瞬間、最悪の事態が起こった。坂道の上側から、何本かの大木が転がってきた。勢いよく転がる大木を馬たちは巧みに避けたが、車輪に挟まり、馬車は完全に止まってしまった。

「ライト」ノワールは敵襲に備えて光を灯した。タイミングを合わせて、数十本の矢の雨が降ってきた。

 騒がしく、あちこちから「キャキャキャキャ」と笑う声がする。ノワールは立ち上がり、両手に持っている鞭を振り回して巧みに矢を叩き落とす。彼女は鞭使いである。

 アダムは体のあちこちに矢が刺さり、顔面蒼白で倒れている。「しかも毒矢か。」ノワールは第2弾の矢も同様に叩き落とし、メイドとは思えぬ力で彼を座席に運んだ。

「リリィ、解毒を!」

「わかりました」リリィは、手慣れた仕草で、救急セットから毒消しポーションを取り出し、アダムに飲ませた。

「ヴァイオレット様、森へお逃げください。時間を稼ぎます」ノワールは王女に告げた。敵の数は60匹以上。フェニックスとアゼリアは何をしているのだ!焦りで声が震えた。

 「いやよ!まだ到着してないもの」彼女はリリィを左手で抱え、右手で剣を抜いて外の様子を伺っていた。彼女の手が震えているのに気づいたノワールは、自分の大きな失敗に気づき、顔面が蒼白になった。

 アダムとリリィを連れてくるべきではなかった。そうすれば、1台の馬車で移動していたはずだ。

「ノワール、そんな顔をしないで、戦いなさい」ヴァイオレットの声に覚醒する。

「御意」ノワールは馬車の屋根に登り、追撃してきたゴブリンたちが取り囲む体制をとっているのを確認した。抜け駆けする小鬼は見当たらない。

「奴らに、こんな知恵や組織力があるなんて」恐怖を感じながら、両手の鞭で第3弾の矢を叩き落とした。


 ホブゴブリンは弓手たちの射撃を止め、大きな体を持ち、鎧を装着し、剣と盾を持ったまま馬車に向かって歩き出した。

「オーガの坊主は一人も捕まえられなかったらしいな。戦というのはこうやるものなのだ」

 彼は道路を遮断し、敵を誘導して包囲する戦術を取る。最低限の犠牲で最大の成果を上げることが彼の戦術だ。

 黒い女の強さは予想外だったが、まあ、余興にはちょうど良いだろう。部下たちには定期的に力を見せなければならないし、 ゴブリンキングへの自慢話にもなるだろう。

 そして、ホブゴブリンは馬車の上のノワールに剣を振り下ろした。


 ノワールは目の前に現れたホブゴブリンの大きさや装備に驚いたが、好機とも考えていた。この軍団のボスだろう、倒せば勝利だ。

 ホブゴブリンが剣を振り上げた瞬間、ノワールは両手の鞭でその手を何重にも巻き上げる。鞭の表面はヤスリのようで、敵を傷つける。ホブゴブリンの手から血が流れ落ちた。

 しかし、それも束の間、ホブゴブリンの体が光り、一瞬で傷が消えた。シールドバッシュを繰り出され、ノワールの全身は天高く打ち上げられ、やがて地面に落ちた。

 ホブゴブリンは馬車の座席の扉に向かって剣で壊そうと近づいていった。



「ここまでですね。仕方ない」ラピスは戦況を見守りながらも行動に移ることを決めた。彼女は立腹して様々な嫌がらせを試みたが、ガチャのルールを破るわけにはいかない。

 死者を排出するわけにはいかないのだ。気分も良くなったので、アキラを驚かせてやろうと考えた。

「転送対象 エリア内の全員 転送先 西南平原の北、転送先時間 翌朝と」ラピスは、画面のボタンをクリックした。
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