アルカディア・クロノクル ゲーム世界に囚われた俺を救うのは、妹か、かつての仲間か

織部

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我儘王女、野原に転移する

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 朝食を終えると、また事件が発生した。いつもこの時間にだ。

「ごちそうさま、美味しかったよ、ステラ」朝から少し重めの料理は、セレナたちのリクエストだろう。

「良かったです。お茶のお代わりをどうぞ」ステラが嬉しそうに、お茶を注いでくれる。

「アキラ、大変、敵が!」と叫ぶ声と共に、「ワオーン」と響く獣の声が、穏やかな朝の時間に終わりを告げた。

 アキラはマップ機能を確認し、息を呑んだ。野原には60以上の敵性反応があり、そのうち1匹は非常に高い脅威度を示している。味方と思われる反応は4人?

「急いで行って!」アキラが叫ぶ。

「大丈夫、すぐそこだ。行こう、ルナ、ノクス」

 朝の訓練をしていた彼女たちは、すぐに彼の指示に応じた。

アキラも慌てて部屋に戻り、着替えながらラピスに話しかけた。

「野原に敵が出ました。これから大丈夫でしょうか?」心配性の彼はどうしても気になってしまうのだ。

「まだ保護期間がありますから、今回は特別ですね」

「特別?」

「ええ、特別です。」

「それって、王女と関係が?」

「さあ、それはどうでしょう。でも、王女は危険人物です」

「あ、わがままですもんね。近づかないようにします」

「それがいいでしょう。ホテルに監禁部屋を作るべきでしたね。それより、早く行って経験値を稼いできてください」ラピスの不穏な言葉が気になったが、アキラは戦場へ急いだ。

 ゴブリンの軍勢も、突然の空間移動に戸惑っていた。

「ここはどこだ?魔法を使ったのか、全軍、戦闘体制を維持」ホブゴブリンは周囲を見回し、冷静に判断を下した。

 ゴブリンアーチャーの部隊も、ゴブリンの軍勢 もこの場にいる。負けることはあり得ないと安易に考えていた。

 戦場となる野原は、アキラの家や町からほとんど離れていなかった。特に、セレナやルナのような俊足にとっては、目と鼻の先と言っていい。

 セレナとルナは一直線に馬車を目指して走った。

 目標はホブゴブリンだ。周囲の雑魚鬼には目もくれず、飛び越えて襲いかかる。その様子は、傍目にはどちらが魔物かわからないほどだった。

 ノクスは馬車の周りを取り囲む小鬼に、少し離れた場所から矢を放つ準備をする。

**ゴブリン**
HP: 16~24
MP: 8~12
スキル: 魔法防御

 アキラは馬車を取り囲むゴブリンたちに脅威がないことを確認すると、野原に倒れているメイド姿の女性に駆け寄り、彼女を抱き上げてリカバリーポーションを飲ませた。

 野原の高地に陣取ったゴブリンアーチャーたちから大量の矢が降り注ぐが、火風の複合魔法で地上に着く前に焼き尽くした。スキルレベルが上昇しており、威力が増しているのだ。

「それでは、お返しだ。ファイヤー/ウインドアロー」アキラは火風の複合魔法を連発した。「おかしいな、倒せない」彼は鑑定スキルを使った。

**ゴブリンアーチャー**
HP: 54~86
MP: 7~28
スキル: 毒矢、魔法防御、自然治癒

「HPが高いな。だがこれでどうだ」アーススパイクを使い、野原の高台に陣取ったゴブリンアーチャーたちの足元から土の槍が突き出て陣形を崩す。

 ゴブリンアーチャーたちは高台を諦めて坂を下ってくる。アキラは先回りして土魔法で弓隊を囲い込み、行手を塞ぎ、張り巡らされた土の檻に閉じ込めた。

 中には反撃で矢を射ってくる強者もいるが、散発的で正確さを欠いている。

「このくらいなら俺でも避けられるよ。でも負傷者もいるからな」火風魔法で矢を燃やす。

「仕上げだ」土魔法でさらに居場所を狭めながら、檻から逃げようとするゴブリンに対して火魔法で連発で狙い撃つ。

 鬼弓隊は魔法防御と自然治癒でしばらくは耐えたが、アキラの魔法のゴリ押しによって全滅した。

 アキラの放った魔法は、火風が10発、火が5発、土が10発であった。

「威力がまだまだだな」自分の戦いを終えたアキラは戦況を確認した。ちょうどその時、黒服のメイドが目を開けた。

※ 
 セレナはゴブリンたちの囲いを突破すると、馬車の上に飛び乗り、剣を高く振り上げた。

 得意の「雷剣」を使い、周囲全体に雷撃を放つ。その威力は凄まじく、半数以上のゴブリンが麻痺して動けなくなった。

「ワオーン」巻き添えを食らったルナが怒っている。

「ごめん、ごめん。ノクス、後はよろしく!」セレナは笑いながらルナに謝り、ノクスに指示を出した。

 ノクスは「ファイヤー/ウインドアロー」で火の魔矢と風魔法を組み合わせ、広範囲に攻撃を仕掛ける。セレナたちの戦いに邪魔が入らないようにしつつ、ゴブリンを狩っていった。

 ホブゴブリンは雷撃を魔法盾で難なく防ぎ、ゴブリンたちに狼娘への一斉攻撃を指示した。

 しかし、ほとんどが使い物にならない状態だった。セレナとホブゴブリンは、長剣と短剣、剣と盾で激しくぶつかり合っているが、セレナが押されている様子はなく、八割の力で軽くいなしている。

 ホブゴブリンは馬車からどんどん後退していった。

「ホブゴブリンだろ、そんなもんか」セレナは力比べを楽しんでいた。彼女のSTRはレベルを突破しているのだ。

ホブゴブリン

HP 374
MP 187
スキル 魔法盾、破壊剣、自然治癒、魔法防御、命令

 ルナは背後から雷を帯びた牙狼爪で攻撃を加え、ホブゴブリンのHPとMPを削っていった。自然治癒の回復を上回る攻撃で、MPは魔法防御と自然治癒で連続消費された。

ホブゴブリン
HP 174
MP 47

 ホブゴブリン以外のゴブリンは全て片付けられ、アキラとノクスは完全に観戦モードに入っていた。黒いメイド服の女性は意識を取り戻し、戦いを見つめていた。

「助けて頂いてありがとうございます。援軍に行きたいのですが」彼女がアキラに話しかける。

「うーん。邪魔をするとセレナに怒られるからね。既に機嫌が悪そうだし」ノワールは彼の言っている意味はわからなかったが、手を出すなということだと理解した。

「馬車には、王女様が!」

「でも、馬車の中の反応は問題ないよ。それにそろそろ終わるよ。もし問題が起きそうなら、僕がなんとかするから」アキラは自信ありげに答えた。

「練習相手にもならないぞ!小鬼、このままではやられるぞ!」セレナが力比べに飽き、ホブゴブリンを煽る。

 ホブゴブリンも援軍が来ないことに気付き、ジリ貧の状況を悟っていた。ゴブリン部隊は全滅していたため、乾坤一擲の勝負に出ることにした。

「仕方ない。破壊剣をお前に見せてやろう。見たことがないだろう?ゴブリン族の秘剣、受けてみろ!」

 ホブゴブリンの剣が光り輝き、凶暴な形に変わった。
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