ステータス表記を変えて貰ったら初期設定に戻ってたー女神公認のハーレム漫遊記ー

ささやん

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2章 危険を冒す者である事を知る

20話 目を背けたくないから男は立ち上がる

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 俺達は背中を向け合いながら生乾きの衣服を着始めていた。

 情事の後とか、裸をとかではなく、お互い変なテンションでヤッた事が妙に恥ずかしかったりしてこんな感じになっていた。

 うぐぐぐ……俺の女、嫁になれ、とか言う言葉の指示して叫ぶとか本気でないわ~

 まあ、確かに俺の願望なのは間違いないんだけどさ? 自分でも良く分からない興奮状態だったしな……しかも、前の世界に居る時に機会などないと思っていたお外でするというレベルの高い事をしたせいもある!

 みんなは気を付けろ? 変な扉が開いちゃうかもしれないから!

 多分、俺は手遅れかもしれないと思う。何故なら、現時点、ちょっとムラムラしてるからです!!

 パメラさんも俺が指示した言葉以外の『孕んで』とか付け加えるぐらいには興奮したのだろうか……いけねぇ、これだけの想像だけで3回はやれそうだ。

 えっ? 何がって、何かかな?

 色々、興奮したせいか疲労を感じる。結構、HPがまだ回復しきってない状態でハッスルしたからな……

 ヒール

 魔法を唱えた瞬間、スッと身に沁み込むような心地よさと共に疲れが吹っ飛ぶ。

 ふぅ、魔法が使える状態になったな、やはりスキルを使いこなせてないせいなんだろうか……

 使いこなせるように努力するのは必須だろうが命に関わるところだからなんとかする方法がないかな? と思いながらチラっと振り返るとパメラも着替え終えていた。

 振り返ってパメラに手を翳す俺の行動を見て、少し身を硬くするが回復魔法を行使する。

「ヒール」
「あ、有難う、助かる。しかし、先程の戦いの時使わなかったんだ?」
「はっはは、恥ずかしい話だけど魔力制御に失敗してて……状態異常とかに阻まれて」

 本当は痛くて集中出来なかっただけなんだけど、言えないやん?

 それなのにパメラは申し訳なさそうに「すまない」と言ってくる。

 あれ、絶対に要らない事聞いたとか自分を責めてるパターンやん! パメラさんが悪い訳じゃないよ?

 ピコン ピコン

 その音を聞いた瞬間、俺は半眼で自然に口を真一文字に絞る。

 魔力制御

 全状態異常耐性

 おい、スキル製造機……俺がさっき、命に関わるから何とかする方法ないかな? とか悩んだ時、ノーリアクションだったよな?
 なのにパメラさんが罪悪感を感じてるかもしれないとなったらスーパーマッハ対応かよ、オオゥ!

 やっぱり、お前には説教が必要だ! 宿に戻ったら正座だかんな!

 ……

 くぅ、コイツは俺を舐め腐ってるな、饒舌な時は色んな事を説明し始めるのに、このスキルの説明すらないしな!

 まあ、だいたいどんなスキルかは見たまんまだろうけど、これで魔法行使を失敗する要因をほとんど潰せたんじゃないだろうか?

 これは慣れとか関係ないからMAX振りだ!



 椎名 (シーナ) Lv10

 HP:3000/3000 MP:5900/6000

 ちから:500  みのまもり:300
 きようさ:60  すばやさ:550
 かしこさ:40  うん:3
 スキルポイント:44

 スキル:剣術Lv5 盾術Lv5 身体強化Lv5

     雷魔法Lv3 回復魔法Lv5 探査Lv3

     威圧Lv5 魔力制御Lv10 全状態異常耐性Lv10

     共通語 解体 危険探知

     HP自動回復 MP自動回復 挑発

     巨根 精力増大 スキルポイント取得倍増

     成長促進 鑑定 スキルポイント管理


 ふむ、なんとなく想像はしてたけど上限は10か。

 不安要素が1つ潰れたので次の行動を考え始めないとな。

 早速、探査を使うと俺達がいる辺りから北方向にゴブリンの集落があるようだ。更に北方向らしき反応があり、交戦中のようだ。

 ジリジリと押していってるように見えるが……おかしい、探査で見えるゴブリン達の動きが冒険者達を釣って包囲しようとしてるように見える。

 こないだ戦った感じではゴブリンにそこまで知恵があるようには思えなかったが……仮にあったら俺はここに存在してなかったような気がする。

 嫌な予感がしたので、まだ落ち込み中のパメラの両肩を掴んでこちらに顔を向けさせる。

「パメラさん、知恵を貸して欲しい。俺の探査で周囲の状況を確認してたら警備隊、冒険者達が集落に攻め込んでいるようだ」
「ならば、私達も!」

 立ち上がろうとしたパメラであったが掴んでた両手を離さずに立つのを邪魔する。

「慌てないで! 急ぎたい気持ちは分かる。だが、ゴブリンの動きがおかしい。攻めるみんなが釣られて包囲され始めているような動きをしてるんだ。だけど、俺が戦ったゴブリンはそんな知恵があるように見えなかった。何か心当たりはないか?」

 嫌な予感がするんだ、と告げる俺は着々と動くゴブリンが統制が取られ、俺が予測しているような形にどんどん近づいていってるように見える。

 一瞬、考え込む様子を見せたパメラであったが何かに思い当たったらしく、ハッと上げた顔は真っ青で目の焦点もあやしかった。

「ま、まさか……確かに集落の規模がおかしいとは思っていたが、いや、それは……」
「何か心当たりがあるんだな、教えてくれ!」

 ぶつぶつ呟くパメラを強く揺さぶり、気をしっかりさせようとするが上手くいかない。

 こうなったらショック療法だ。

 キスをして舌をねじ込む。いきなりな事でびっくりしたパメラが暴れようとするが俺がギュッと抱き締めて暴れるのを阻止する。

 しばらくバタバタしていたが徐々に落ち着いていったパメラの瞳に理性の光が宿り、そっと俺の背中をポンポンと叩いてくるので解放する。

「すまない、取り乱した」
「いや、いいんだ。それで心当たりを教えてくれないか?」

 俺が説明を求めると頷いてくたパメラの話はこんな感じであった。

 ゴブリンの集落は大中小と大きさがあり、10を超えるぐらいの集団、小規模のはゴブリンの亜種、ホブゴブリンや少し魔法が使えるゴブリンシャーマンと呼ばれる。

 中規模、30~50の集団のが言われ、ゴブリンジェネラルが統率するらしい。

 最後に大規模100クラスの集団がゴブリンキングやゴブリンクィーンがいると言われていた。

 ん? 100? おかしくないか、数の誤差の範囲じゃない気がするが……

「なぁ? 俺が倒したとされるゴブリンで50匹、こちらに向かう時にプリットに襲撃してきた数が200匹がいた。数がおかしくないか?」
「そんなにプリットに行ったのか? 私は逃げるので精一杯でそこまで気付かなかったが……となるとあの話しか……でまかせの類だと思っていたのだが」

 俺はパメラに続きを促す。

 しかし、口を閉ざすパメラだが、言いたくないというより言って現実になる事を嫌っているような雰囲気があった。

 これってかなり不味い感じか?

 意を決したパメラが口を開く。

「もしかしたら伝説のゴブリン神が生まれたのかもしれない」
「神だと! 本当に神様だとか言うのか?」

 一瞬、シズクなどと同列とされるゴブリンなのかと勘違いしかけたが、実際は違うらしい。

 ゴブリンキングの希少種らしく、人、それも戦上手な将軍のようにゴブリンを扱うようだ。

 単体でも強く、下位ドラゴンの地竜なみの戦闘力を有するが一番厄介なのが前に述べた戦術を駆使するところである。
 それを込みで考えると成竜を相手にするような手強さになると記録で見たそうだ。

 俺は探査で確認すると俺達寄りにいる他のゴブリンとは格が違う反応を示すのがある。

 おそらくこれがゴブリン神と言われるヤツだろう。

「これが私の見立て通りだった場合、包囲を切り抜けたとしてゴブリン神に出張られた時点で終わりだ……」

 絶望的なピンチなようだ。

 パメラは打つ手がないとばかりに俯いて美しい顔を歪めて、今にも泣いてしまいそうだ。そりゃ、そうだろう、惚れた腫れたはなかったかもしれないが気心が知れた同僚、先輩がいる警備隊、冒険者達の中にはパメラの知己もいたかもしれない。

 さあ、ここにいるヒロインは絶望に染まろうとしている。前線にも俺を想ってくれる良い女、ヒロインもいる。

 俺はここで諦めるのか?

 もう俺、シーナに逆転の目はないのか! 終わってしまうのか! ここで指を咥えて傍観するのか!

 そんな訳にはいかない、絶望のシナリオなんか、逆転劇のシナリオに俺が書き変えてやる。

 不謹慎だ、確かに不謹慎だが、全身が震える程に俺は滾っている。

 洞穴から見える外は既に暗く、星が綺麗な夜空を眺めて俺は頭に上った血を下げる為に深呼吸をする。

 夜空を眺めながらここにいない愛しい女の子に告げる。

 シズクは危険な事するなって言うけど、やっぱりしちゃう事になりそうだ。だけどな、これは俺がシズクから力を得た以上、半分は責務な気がするんだ。

 勿論、シズクがそんな事を考えてくれたんじゃないとは分かってる。俺が生きやすくしてくれる為と疑ってない。

 そう、これは自分に力がないからと歯を食い縛って目を背けなくていいよう、俺が生きる事が辛くなく、偽善であっても正しい事を正しいと胸を張る事が出来る為……使わせて貰うな、シズク。

 俺はパメラの肩を力強く掴む。

 少し強過ぎたのかビックリされたが笑顔で誤魔化す。

「戦争で敵の指揮官が優秀で俺達の軍が劣勢だ。このままだと負けが見えている」

 いきなり戦争の話をされて素っ頓狂な声を洩らすパメラの額に俺の額を触れさせるようにして見つめる。

「統制が取れた軍にジリジリと包囲されて逃げ場はなく、進める先には地獄への片道切符。さあ、俺達の軍の起死回生の目はないのか? 優秀な指揮官に破れるのか。打つ手がないと思った瞬間に思い出すんだ。副官と傭兵の最強の男がはぐれたままであることに」
「あっ!」

 どうやら気付いたようだ。

 俺は自信ありげに頷き、迷いを感じさせない瞳でパメラの瞳を覗き込みながら言う。

「俺達でゴブリン神を狩るぞ。着いてこい、パメラ」

 俺にそう言われたパメラは見惚れたように見つめ、微笑を浮かべて頷いた。
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