レイニー・ザ・ウィザード〜魔法使いレイニーと犬になった僕〜

メカラウロ子

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学園生活4

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「セオドア・ブラックウェル。よく覚えていますよ。とても目立つ生徒でしたから」

一年の頃から、セオドアはその頭角を現していたという。
頭脳明晰、スポーツ万能。彼がリーダーになるのはそう時間がかからなかった。
高学年になる頃には、皆が彼に一目置いていたし、特に魔法に関しては、名家出身で頭ひとつ抜けていたそうだ。

「ですが、彼は非常に素行が悪くて……。特に大人しかったり地味な生徒に当たりが強い子でした」

そんな設定、原作では無かったはずだ。頭がよく目立つ生徒だが、むしろ同族を蔑ろにされて憤りを感じていた。

そして婚約者を殺されて暴走する。それが本来ならば一年前くらいに起きているはず。

だけどそうなる前に彼は亡くなっていた。そんなの知らない。

それなのに、胸がざわつくのは何故だろう。

「彼は、どうして亡くなったのですか?」

「帰省中にフォヴォーラ族に襲われたと聞いています。彼の学友達もその時亡くなっています。」

「帰省中……」

レイニーとセオドアの故郷は同じ。
そして原作でもレイニーを救ったとき、セオドアは帰省中だった。

だけど、せいぜい小さいゴブリンだったはずなのに。

「その、フォヴォーラ族はどうなったのですか?」

「偶然居合わせた魔法使いが処理したと聞いていますが、その方が着いた頃にはもう彼は手遅れだったと」

「…………」

「気になるようでしたら、新聞をご覧ください」

「はい……」

「それと、ミスター・アッシュフォードは同郷なんですよね?」

「はい……」

「彼が知らないなんてあり得ませんよ。あの時は一大ニュースになっていましたから」

「そうですか」

「ああそうだ、ノアさん?」

「は、はい」

「本来、禁書であっても図書室の貸出期間は二週間ですからね」

「えっ……」

その時、始業のベルが鳴る。

「おっと、行かなければ。生徒の遅刻を注意しておきながら、私が遅れる訳にはいきませんからね。では、ノアさん。ご機嫌よう」

クラウズリー先生がフッと目の前から消えてしまった。


***


「おかえり、遅かったな」

部屋に戻るとソファに座ってくつろぐレイニーに声をかけられた。

「使い魔のみんなとの話が長引いちゃって……」

「ふうん?」

僕はふかふかのクッションに身体を沈めた。 するとレイニーは僕を持ち上げ膝に収める。

トリミングが始まり、ブラッシングされたり顔をモミモミされる。
やめてー!今はそんな気分じゃないんだー!!

だけど犬としての本能に逆らえず、アフアフ言いながらされるがままであった。

「どうしたんだ?元気ないな。いじめられでもしたのか?」

「そんな事な……んふ、んふふふ」

レイニーに顎下をわしゃわしゃと撫でられ思わず声が出る。

「あ、そうだ」

レイニーがゴソゴソと鞄を漁っている。

なんかやたらとスタイリッシュだがとんでもなくレア素材でできていそうな首輪のバンドが出てきたぞ。

「ちょうどいい狩り場所を見つけたんだ。モンスターが無限に湧いてきてさ、倒してると時々レアなやつ出てくんだよ。歩いてたらたまに変わった素材も落ちてたりしてさ。残りの素材あげるって言ったら鍛冶屋のおっさんが喜んで作ってくれたよ」

特訓に最適!なんて嬉々として説明してくれているけど、この革、激強ドラゴンのじゃない?

「ふわぁあ……この金具、もしかしてオリハルコン……!????」

アメジストカラーの石を付け替えて、最強装備クラスの首輪をつけられる。

「これである程度の攻撃からは防御できるけど、落とすなよ?」

「僕の命より価値のありそうな装備品付けるの怖いよぉ……」

レイニーがムッとして僕を持ち上げ、正面に顔を突きつけた。

「んな訳ないだろ。こんなの、いつだって作れるんだから。命は一個しかない。身を守る為の装備品だろ」

「おっしゃる通りです……」

もしラスボスと戦う事になったとして、レイニーに頼りきりな訳にはいかない。

こちらに気を取られてレイニーがまともに戦えないのは嫌だ。

オリハルコンパワーでポメ弾丸くらいにはなれるかもしれない。

「今日は疲れたから早めに寝る」

有無を言わさずベッドに引き込まれて、ぎゅうぎゅうに抱きしめられ眠りについた。


***


薄々気づいていた。
本当は、見ないようにしてた。

レイニーが友達を作ろうとしないのも、学生生活を謳歌しないのも、全て僕のせいだ。

僕というイレギュラーがいるせいで、レイニーは自由に過ごす事ができない。

それどころか、本来ならばみんなに愛されるべき人間が孤立してしまっている。

「きれいな顔」

目の前には艶やかな肌と滑らかな髪の美しい青年が寝息を立てている。

僕みたいなノロマで出来損ないで、恥ずべき存在が彼の人生を無駄にしちゃいけないんだ。

そりゃ、このつぶらな瞳にピンクの舌、ぽわ毛は凄くプリティだけど。

こんな役立たず連れていたって足手まといなだけだ。

「そろそろ覚悟決めなきゃ」

僕はレイニーの額にコツンと頭を添えた。
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