本当に悪役なんですか?

メカラウロ子

文字の大きさ
1 / 13

プロローグ

しおりを挟む
はあ、くだらねー。

いつもそうだった。
誰かが幸福の絶頂にいる時、その不幸を引き取るのは俺なのだ。

俺は運のない星の元に生まれた人間であると常に感じている。

映画館で自分が買った席にだけゴミが置いてあったり

不良品返品なんて日常茶飯事

使いづらい道具、くじ引きで当たるやりたくない委員会


日向の人気者達が幸運を享受している中、死ぬ程ではない、しかし損を掴まされる役割が俺なのだ。

先日席替えをした隣の席の女子は、一人だと物静かな癖に、人が集まるとスピーカーが最大ボリュームになったかのような声を出す。

だから今日も彼女がハマっているという乙女ゲームの話があまりにもくだらなくて、思わず声に出してしまったのだ。

CMでもよく見かけるそれは、運命の相手と結ばれたら魔力増加、愛の力で悪を挫く、実にチープなシナリオのようだった。

陽キャが考えそうなものだなと、斜に構えて聞いていた反面羨ましいと思っていた。

なぜなら愛の力なんて甘い関係構築は自分には叶うはずもない事だから。



そんなこんなで、またいつもの女子達が推しの話を大声でしているのだろう。

そう思ってため息混じりにつぶやいた言葉と共に目を開くと見知らぬ人達が信じられないと言った様子でこちらを見ていた。

いや、厳密には見知らぬ人ではない。
彼らは正にその乙女ゲームの登場人物だったのだ。



「お前、喋る事ができたのか。」

開口一番にそんな失礼な発言をするこの男。
こいつこそ攻略対象者の一人であり、隣の席の女子の一番の推しだった。

アルフレッドという名の黒髪とブルーグレーの瞳の彼は、攻略対象者でありながらも悪役令息であり実は王子の異母弟にあたる属性盛り盛りの所謂隠しキャラだった。

だから普段の彼はヒロインとメインキャラ達に嫌がらせをするポジションで、全員の好感度が低くなければフラグが発生しないらしい。

しかしこのゲーム、ちょっと挨拶しただけで好感度が爆上げする難易度ゆるゆるなゆるゲーであるため彼のルートは難しいのだそうだ。

盗み聞きの知識であるが。


丁度、今正にヒロインとメインヒーローの王子がこのアルフレッドに喧嘩を吹っかけている所だった。

そんなタイミングで人知れず転生が完了した俺。

発した言葉は不敬にも程があるので俺と同じくモブをしている取り巻きは青ざめた顔でこちらを見ていた。


そもそも平民と王子が一緒に通う学校って何だよ。魔法スキル次第でってこじつけがあるけど普通に危なくない?従者なしで?

いや、それよりも…

今の状況を何とかしなくては。

とりあえず…ひたすら謝って逃げよう。


「申し訳ございません。」


「何に対しての謝罪だ。」


「申し訳ございません。」


「謝って欲しい訳ではない。」


「申し訳ございません。」

「………。」

そんな俺の様子にアルフレッドは興を削がれたのか何について揉めていたのか分からないまま解散となった。

アルフレッドと取り巻き二人と共にその場を後にする。

自分の状況を整理しなくては。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

【完結】「婚約を破棄する!」から始まる話は大抵名作だと聞いたので書いてみたら現実に婚約破棄されたんだが

ivy
BL
俺の名前はユビイ・ウォーク 王弟殿下の許嫁として城に住む伯爵家の次男だ。 余談だが趣味で小説を書いている。 そんな俺に友人のセインが「皇太子的な人があざとい美人を片手で抱き寄せながら主人公を指差してお前との婚約は解消だ!から始まる小説は大抵面白い」と言うものだから書き始めて見たらなんとそれが現実になって婚約破棄されたんだが? 全8話完結

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかないオタクのはなし

はかまる
BL
転生してみたものの気がつけば好きな小説のモブになっていてしかもストーリーのド終盤。 今まさに悪役が追放されそうになっているところを阻止したくなっちゃったオタクの話。 悪役が幸せに学園を卒業できるよう見守るはずがなんだか――――なんだか悪役の様子がおかしくなっちゃったオタクの話。 ヤンデレ(メンヘラ)×推しが幸せになってほしいオタク

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】

リトルグラス
BL
 人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。  転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。  しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。  ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す── ***  第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20) **

悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】

瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。 そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた! ……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。 ウィル様のおまけにて完結致しました。 長い間お付き合い頂きありがとうございました!

処理中です...